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自動車保険の免責金額とはいったい何?金額の設定方法を解説

セゾンのくらし大研究 編集部

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自動車保険の契約で目にする「免責」。意味をご存じではない方もいるのではないでしょうか。この記事では、主に自動車保険の免責について分かりやすく解説しています。

免責金額を設定すると、保険料を割安に抑えられるというメリットも。自動車保険を契約する方は、免責とは具体的にどのようなことなのか、免責金額の設定も含めて理解しておきましょう。

自動車保険の免責とは?

保険の証券を見ると、必ず目にする「免責」という文字。保険会社が約款で定めている「保険金を支払わない場合」に該当するケースや、契約上で免責金額や補償範囲が決まっている場合、保険金は支払われません。

車両保険は、車が事故で傷ついたり故障したりした場合に修理費を補償する保険です。では、車両保険における免責とは、具体的にどのようなことなのでしょうか。ここからは、車両保険の免責金額の設定や、万が一の場合の支払いについても合わせて見ていきましょう。

免責とは被保険者が負担すること!免責金額や免責事項とは

免責とは、元々「責任を負わない」という意味ですが、保険における免責は「保険会社が責任を負わない」ということ。すなわち自動車保険の場合、免責分の支払いを保険会社ではなく被保険者が負担することを指します。

保険金が支払われない免責には、契約上設定する免責金額と約款で定められた免責事項があります。車両保険での免責金額とは、被保険者が責任を負い(保険会社が責任を負わず)、負担する金額のこと。契約の際に任意で設定したり、保険会社によってはあらかじめ設定されていたりするものです。例えば、免責金額を100,000円で設定しているケースでは、事故で破損した車の修理費用が250,000円かかったとすると、免責金額100,000円を除いた150,000円が保険金として支払われます。

免責事項とは、保険会社が約款で保険金を支払わないと定めている項目です。例えば地震・噴火・津波による損害、被保険者の無免許運転や酒酔い運転による損害などが挙げられます。免責事項に該当する場合は、保険金が支払われません。ただし、自然災害による損害では、「車両全損一時金特約」の付帯など契約内容によっては補償が受けられるケースもあります。

免責金額は自動車保険契約時に設定する

自動車保険に車の修理を補償する車両保険を付ける場合、契約時に免責金額を設定しておきます。免責金額は、任意で設定できる保険会社と、あらかじめ設定されている保険会社があります。免責金額を任意で設定する場合は、保険料も合わせて検討しましょう。なぜ保険料が関係するのかというと、免責金額が高く設定してあるほど、同じ契約内容でも保険料が安くなる仕組みだからです。

免責金額が高く設定してあると保険会社が支払う保険金が少なくなるため、保険料は安くなります。しかし、負担する保険料が安くなっても、事故などで修理が必要になった場合に自己負担が大きくなることを考慮しなければなりません。

免責金額を設定する際は、免責金額による保険料の差額や、万が一の際にどの程度の金額を自己負担できるかなど、家計状況も含めて総合的に判断すると良いでしょう。

自動車保険の免責分の支払い方法は?

保険金の支払事由が発生した際、免責分の支払いは自己負担となります。免責分は、ご自身でディーラーや修理工場に支払うのが一般的です。また、修理費用が免責金額を下回っている場合は、保険会社からの保険金は受け取れず、全額自己負担になります。

自動車保険の免責金額、どう設定する?

多くの場合、自動車保険の免責金額は契約者の任意とされています。しかし、どの程度の金額を設定するべきか悩む方もいるでしょう。ここからは、免責金額の設定方法や保険料との調整方法について触れていきます。

設定方法を決める

免責金額の設定には、増額方式と定額方式の2種類があります。免責金額を設定する際は、最初にどの設定方式にするのかを決めると良いでしょう。まず、それぞれの方式と免責金額を0円とするケースについて解説します。

・増額方式

増額方式とは、免責金額が1回目の事故よりも2回目以降の事故のほうが高くなる設定です。例えば、1回目の事故の場合は免責金額50,000円、2回目以降は100,000円という設定。保険証券には「5-10万円」と表記されます。また、増額方式では1回目の免責金額を設定しないことも可能です。その場合、保険証券には「0-10万円」と表記されます。

事故回数1回目、2回目以降というカウントは、その自動車について永久に適用されるものではありません。1年契約の自動車保険なら、保険期間内の1年間でのカウントです。翌年契約を更新すれば回数はリセットされるため、1回でも車両保険を利用したら次回の事故からは2回目以降の免責金額を適用し続けるという訳ではありません。

自動車保険には、保険期間が複数年の長期契約もあります。長期契約の事故回数は、保険期間ごとではなく1年ごとにリセットされる契約や、特約の付帯などにより保険期間で通算される契約もあるので、契約時に確認しておきましょう。

・定額方式

定額方式とは、事故の回数に関係なく一定金額を免責として設定する方式です。例えば、100,000円と設定したなら、1回目の事故でも2回目以降の事故でも、自己負担額は100,000円。保険証券には「10-10万円」または「10万円」と表記されます。

・免責金額は0円でも問題ない

ここまで免責金額の設定について解説しましたが、契約時に免責金額を任意で設定できる保険の場合、0円に設定しても問題ありません。事故が起こった場合の修理費用を全額保険金で賄いたいということであれば、免責金額を設定しないことも可能なのです。免責金額は事故回数に関係なく0円のため、保険証券には「0-0円」または「免責なし」と表記されます。

ただし、先述のとおり免責金額が高くなるほど保険料が安くなる仕組みのため、免責を設けない場合は保険料が高くなります。保険料の中で車両保険が占める割合は大きく、免責金額を0円にした場合は、免責金額を設定した場合に比べて保険料は割高になるでしょう。

・免責ゼロ特約を設けている保険会社もある

保険会社によっては、「免責ゼロ特約」を付帯できることがあります。免責ゼロ特約とは、文字どおり免責をゼロ(0円)にできる特約です。例えば、増額方式で「5-10万円」と免責を設定していても、免責ゼロ特約を付帯していれば全額保険金から修理費用が支払われます。

先述のとおり免責金額は、契約者が任意に設定できる場合と、あらかじめ保険会社で設定されている場合があります。保険会社で免責金額が設定されている場合でも免責金額を0円にしたい場合には、免責ゼロ特約を付帯することにより自己負担額を0円にできるのです。

ただし、免責ゼロ特約の付帯には条件があります。多くの場合、1回目の事故の免責金額が50,000円に設定されている契約については免責ゼロ特約の付帯が可能です。また、付帯できる契約の等級や契約内容が制限されているケースもあります。特約を検討する際は、付帯可能かどうかも合わせて確認しましょう。

免責ゼロ特約を付帯するとその分保険料は高くなりますが、免責金額を設定して保険料は割安に抑えながら万が一の事故の際に自己負担を避けたい方には、おすすめの契約方法といえます。

保険料と免責金額を調整する

免責金額の設定方式を決めたら、保険料と調整しながら免責金額を設定しましょう。免責金額を高く設定すると、保険料を割安に抑えられます。しかし免責金額は、万が一事故に遭って車の修理が必要になった場合、自己負担しなければならない金額です。保険料が安くなるからと免責金額を高額に設定していると、事故の際に思わぬ出費が発生することも。無理なく支払える金額に設定しておくことが大切です。

保険料と免責金額の調整の際は、WEBサイトの一括見積もりなどを利用して、いくつか比較検討することも大切です。「WEBサイトの見積もりを利用すると、セールスメールが届くのでは?」と不安な方は、まずは個人情報不要の簡単シミュレーションから始めてみてはいかがでしょうか。

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事故によっては自己負担なしで全額補償されるケースもある

免責金額を設定するとどのような事故でも自己負担が発生するのかというと、そうではありません。事故によっては、自己負担なしで全額保険金が支払われるケースもあります。ここからは、自己負担なしで全額補償される2つのケースについて見ていきましょう。

全額補償されるケース1:全損

「全損」と呼ばれるケースでは、免責金額を設定していても自己負担なしで全額補償されます。全損とは、簡単に説明すると車が修理できない状態のこと。自動車保険の全損は2種類あり、車の損傷が激しく修理できない状態を「物理的全損」と呼び、車の修理自体はできるが全損扱いになることを「経済的全損」と呼びます。

車両保険では、損害額にかかわらず車の時価額までしか保険金が支払われません。例えば、事故に遭って修理費用が800,000円かかる場合でも、車の時価額が500,000円であれば保険金は500,000円までしか支払われないのです。物理的には800,000円支払えば修理は可能ですが、修理費用が時価額を上回ってしまうケースを経済的全損と呼びます。

物理的全損でも経済的全損でも、全損と判断された場合は免責金額に関係なく保険金額全額が補償されます。ただし、車両保険の保険金額を超える修理費用は全額自己負担です。そのようなケースをカバーできるのが「車両超過修理費用特約」。特約に設定した金額の範囲で、超過した修理費用が支払われます。

経済的全損は、古い年式の車によく見られる傾向です。愛着のある車を長年大切にしている方は、修理費用が保険金額を上回る場合でも修理をして車に乗り続けたいのではないでしょうか。万が一のことを考え、車両超過修理費用特約に加入しておくことをおすすめします。

全額補償されるケース2:相手にも過失のある事故

相手側にも過失がある事故では、免責金額に関係なく全額補償されることがあります。相手がいる事故の場合、通常双方の保険会社で「どちら側にどの程度過失があるのか」という過失割合を決めます。相手にも過失があると認められると、相手側からの損害賠償金はまず免責金額に充当されるため、自己負担をしなくて済むのです。

免責金額の設定が5-10万円で、1回目の事故のケースを見てみましょう。損害額が800,000円で、過失割合が当方80%、相手20%の場合。

損害額800,000円×過失割合20%の160,000円が、相手側から損害賠償金として支払われます。そのうち、50,000円は免責金額に充当されるため、自己負担額はありません。また、800,000円から損害賠償金を差し引いた金額は、加入している保険会社から保険として支払われます。

自動車保険の免責は車両保険だけじゃない!

免責の主な対象は車両保険ですが、その他にも免責を設定できるものがあります。例えば、「車内身の回り品特約」や「車両全損一時金特約」です。

「車内身の回り品特約」は、車内やトランクに入れているものの損害に対する補償です。車内に置いていたカメラが事故による衝撃で破損した場合などに、保険金が支払われます。

地震や津波、噴火による損害は車両保険の免責事項に該当しますが、「車両全損一時金特約」を付帯していると車が全損した場合に保険金が支払われます。

どちらの特約も免責金額を設定することで、車両保険と同様に保険料を抑えられるでしょう。各特約の内容をよく理解して、要・不要の判断をすることが大切です。

おわりに

万が一の備えとして、加入しておくと安心な自動車保険。しかし、毎年の保険料を負担に感じることもあるのではないでしょうか。車両保険に免責金額を設定することも、保険料を抑える方法のひとつです。

免責金額を高く設定すると保険料が割安になりますが、事故の際に高額な自己負担が発生するリスクもあります。車両保険の免責金額は、万が一の際に自己負担できる金額と保険料のバランスを調整しながら設定しましょう。

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