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死ぬまでにお金を使い切るほうが良い?人生100年時代の正しい生き方とは

セゾンのくらし大研究 編集部

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豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

人生を通してお金の使い方に漠然と悩んでいませんか。貯金や投資をして、老後への備えを推奨する方がいる一方で、今、お金を使い人生を充実させることを提唱する方もいます。さまざまな意見があり、自分はどうすれば良いのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。このコラムでは、死ぬまでにお金を使い切る方法や考え方について、以下の内容をご紹介します。

  • 世界的ベストセラー『DIE WITH ZERO』が提唱する考え方
  • 日本人特有の「貯めすぎ問題」の実態
  • 老後破産を防ぎながら資産を賢く使い切るコツ
  • お金を使い切るための5つの実践的ルール
  • 死ぬまでにお金を使い切ることのメリットとデメリット

より豊かな人生にするためのヒントとしてご活用ください。

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「死ぬまでにお金を使い切る」を提唱する『DIE WITH ZERO』の考え方

お金の貯め方や運用方法が注目を集める昨今、従来の考え方を覆す本『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス著)が話題になっています。

この本が提唱するのは「死ぬまでにお金を使い切る」という考え方です。著者は「アリとキリギリス」の寓話を引用しながら「人生でいちばん大切なのは、思い出を作ることだ」と説きます。そして読者に「勤勉なアリはいつ人生を楽しんだのだろうか?」と問いかけ、従来の貯蓄至上主義に一石を投じています。

本書の主張は、主に以下の4点です。

  • 喜びを先送りにせず「今しかできないこと」に投資すべき
  • 過度に貯蓄するより「ゼロで死ぬ」のが理想
  • 老後の必要資金は想定より少ないので、人生の早い段階でお金を有効活用すべき
  • 富の最大化ではなく人生の喜びの最大化を目指す

このような考え方は、従来の金融教育とは一線を画すものですが、お金と人生の関係を考え直すきっかけを与えてくれます。賢明な資産運用とは、必ずしも貯蓄額の最大化だけを意味するわけではないのかもしれません。

死ぬまでにお金を使い切るための具体的な方法や考え方について、一緒に考えてみましょう。

死ぬまでにお金を使い切るのを怖がる日本人の貯めすぎ問題

日本人は「老後のため」として多額の資産を貯め込む傾向があります。この状況について、以下3つの観点で解説します。

  • 日本の個人金融資産の現状
  • 高齢者の資産保有状況
  • 貯めた老後資産を使わずに亡くなる方が多い

具体的なデータとともに、日本の現状を確認してみましょう。

日本の個人金融資産の現状

日本人の「貯めすぎ」問題は、個人金融資産の規模を見ると明らかです。日本銀行調査統計局によると、2024年6月末時点で個人金融資産残高が2,212兆円に達し、過去最高を更新しています。

また、内閣官房による調査では、日本人は金融資産の約55%を現金や預金として保有しており、これは米国の13%やユーロ圏の27%と比べて際立って高い割合です。

では、なぜ日本人はこれほど現金を保有したがるのでしょうか。その主な理由は、安定志向と将来への不安からでしょう。同調査によると、日本人は金融資産の約7割を退職後の生活資金目的で保有しており、その大半を預貯金として眠らせています。このような運用では資産の成長が見込めず、インフレにより価値が目減りする可能性も高くなります。

平均寿命が延びた今、老後に向けて貯蓄すること自体は大切なことです。しかし、お金を貯めることばかりに気を取られていると、人生を豊かにするための消費や投資のチャンスを逃してしまうかもしれません。現代の日本人にとっては「貯める」と「使う」のバランスをうまく取ることが、大きな課題だといえるでしょう。

高齢者の資産保有状況

我が国の金融資産の約6割は、60代以上の世帯が保有しており、高齢者世帯の平均貯蓄額は約1,600万円にのぼります。

高齢者世帯の平均貯蓄額をさらに詳しく見てみると、3,000万円以上の資産を持つ層が14%と最も多く、1,000~1,500万円の層が9.2%、2,000~3,000万円の層が8.7%と続きます。一方で、貯蓄額が50万円未満の層はわずか3.4%にとどまっているのが現状です。

このデータから、高齢者世帯の多くが潤沢な資産を持っていることが分かります。その中でも、3,000万円以上の資産を持つ層が最も多く、高齢者層での資産の偏りが見られます。

ここで、高齢者世帯の家計収支に目を向けてみましょう。無職夫婦の平均的な家計は月約37,916円の赤字になっており、これだけ見ると厳しい状況に見えるかもしれません。しかし、実際は年齢を重ねるにつれて消費支出は減少傾向にあるため、多くの方が蓄えた資産を十分に活用できていない可能性があります。

このように、日本の高齢者層は堅実な資産形成には成功しているものの、その資産をうまく活用できていない様子が伺えます。

参照元:総務省「家計調査報告 家計収支編2023年(令和5年)平均結果の概要」
内閣官房新しい資本主義実現本部事務局「資産所得倍増に関する基礎資料集
2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況、Ⅱ各種世帯の所得等の状況
家計調査報告家計収支編2023年(令和5年)平均結果の概要

貯めた老後資産を使わずに亡くなる方が多い

若くして資産づくりに励んだ多くの方々は、せっかく貯めたお金を使い切ることなく生涯を終えるケースが目立ちます。主な理由としては以下の2つが挙げられます。

  1. 老後にはお金を使う元気が残っていない
  2. 老後になっても未来への不安から、備え続けてしまう

結局、人は歳を重ねてもいつまで続くか分からない人生への不安から、未来に備え続けざるを得ません。身体は衰えていく一方で、実際に感じる自らの老いを実感することで恐怖が膨らんでいくのではないでしょうか。そのため、歳を重ねるほどに人はお金を使いにくくなっていくようです。まだ元気なうちに客観的にみると、それはもったいない生き方のようにも思えます。このような現状を踏まえると、一度しかない人生を充実させるためには、いかにしてお金を使っていくかが重要なのだと考えさせられます。

老後破産を防ぐ5つのリスク管理術!死ぬまでにお金を賢く使い切るコツ

資産を残したまま亡くなる方がいる一方、お金が底をついて老後破産してしまう方がいるのも事実です。老後破産の心配をすることなくお金を使い切るには、以下5つのポイントを押さえておく必要があります。

  • メリハリのあるお金の使い方をする
  • 収支に見合った生活を心がける
  • 住宅ローンも人生設計に組み込む
  • 医療・介護費用も考えておく
  • マネースクールなどでお金について学ぶ

ひとつずつ解説します。

メリハリのあるお金の使い方をする

人生を楽しみながらリスクに備えるためには、メリハリのあるお金の使い方が重要です。単なる倹約ではなく、本当に価値のあることにお金を投資できるよう、不要な支出を見直しましょう。

例えば、ストレス解消と称した衝動買いを繰り返していると、後々大きなチャンスを逃してしまう可能性があります。お金は人生を豊かにするための大切な道具です。自分が本当にやりたいことや価値を感じることに投資するため、まずは日々の支出を見直してみましょう。

収支に見合った生活を心がける

現在の幸せと将来の安心を同時に手に入れるには、収支バランスのとれた生活水準を心がけることが大切です。

世の中には、出費を喚起する広告や商品ディスプレイがあふれており、つい生活水準以上の支出をしてしまいがちです。しかしそれでは、すぐに赤字になり生活が苦しくなってしまいます。

改善の第一歩として、まずは固定費の見直しから始めましょう。特に家賃などの大きな支出は、収入の3分の1程度に抑えることが望ましいとされています。

住宅ローンも人生設計に組み込む

マイホームを持つことは多くの方の夢ですが、ほとんどの場合、住宅ローンという長期的な支出計画が必要となります。老後の破産を防ぐためにも、住宅ローンの返済をライフプランに組み込むことが重要です。

一般的に、住宅ローンの年間返済額は年収の25%以内が安心ラインとされています。例えば、年収300万円の場合で見てみましょう。

  • 年間返済額の目安:75万円(年収の25%)
  • 月々の返済額の目安:6万2,500円

このようにご自身の年収を基準に住宅ローンの返済額を計算し、長期的な人生設計に組み込みます。

医療・介護費用も考えておく

老後の医療と介護にかかる費用は、合わせて800万円を目安に準備しておくと安心です。

まず、医療費について見てみましょう。厚生労働省の2020年度統計によると、60歳以降の医療費自己負担額と保険料の合計額は、一生涯で平均約159.2万円です。また、がんなどで高額療養費制度を利用した場合、70歳以上の自己負担上限額は月5万7,600円です。仮に12ヵ月入院したとすると自己負担額は合計約69万円となり、医療費総額は約228万円になります。

次は介護費用です。公益財団法人生命保険文化センターの2021年の調査によると、ひとり当たりの生涯の介護費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は約580万円。この内訳は、毎月8.3万円の介護費用が5年1ヵ月続き約506万円、バリアフリー改修費などの一時的な費用が約74万円です。

これら2つの費用を合計すると約800万円になります。これを目安に準備しておけば、老後生活をより安心して送れるでしょう。

マネースクールなどでお金について学ぶ

老後破産しないためには、金融リテラシーを身に付けることが最重要課題です。多くの方はお金の基礎知識が不足しているため、必要以上に損したり、得するチャンスを取り逃してしまったりしがちです。十分な金融知識がないままでは、豊かな人生は望めないでしょう。

安定した老後生活を送るためにも、お金の知識を勉強することは欠かせません。お金について学ぶなら「セゾンマネースクール」がおすすめです。将来設計を考えるこの機会に、ぜひお金について学んでみてください。

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死ぬまでにお金を使い切るために!4つの実践的ルール

死ぬまでにお金を使い切るために!4つの実践的ルール

人生を充実させながらお金を使い切るには明確なルールが必要です。ここでは、お金を使い切るための4つのルールを紹介します。

  • 今しかできないことに投資する
  • 経験にお金を使う
  • 子どもに残すべきものは死ぬ前に決める
  • 資産の取り崩し時期を見極める

順番に見ていきましょう。

今しかできないことに投資する

ひとつめは「今しかできないことに投資する」ことです。人は、年齢を重ねるほど衰えていきます。衰えればできることが減っていくので、未来は今より確実に選択肢が少なくなります。

例えば、以下は若いうちだからこそ挑戦できることです。

  • 体力の必要な旅行(バックパッカー旅行、長期間の海外滞在など)
  • 新しいスキルや言語の習得(語学留学、資格試験勉強など)
  • 経験のないスポーツや激しい運動(スキューバダイビング、マラソンなど)
  • 起業やキャリアチェンジ

今ならできたことが、時間が経ってしまったがゆえにできなくなってしまった……これでは未来にお金を持っていたとしても、効果的な使い方ができません。特に定年後は体力的な制限や、家族の介護などで時間的制約が増えることも考えられます。そうなったときに後悔しないよう、今しかできないことに投資して生活を充実させてください。

経験にお金を使う

2つ目は「経験にお金を使う」ことです。経験への投資は、時間とともに価値が高まります。一方、モノは時間とともに価値が下がっていくものです。

商品を買った場合を想像してください。買った瞬間は満足度が高くても、次第に幸福感を感じなくなっていきます。なぜなら、持っていることが当たり前になるからです。そのうち新しい商品が出て、買った商品への不満を感じるようになるかもしれません。その結果「新しい商品が欲しい!」とストレスがたまるのは、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。

一方で、旅行などの楽しい思い出は、いつまでも記憶に残ります。幸福感も比較的長続きするでしょう。それどころか時が経てば経つほど、二度と体験できないかけがえのない思い出として、価値を増していきます。以上の点を踏まえ、人生の充実度という指標で考えた時、モノよりも経験を獲得するほうがより価値が高いといえるでしょう。

子どもに残すべきものは生前に決める

子どもに残すべきものは早めに決めましょう。子どもに残すべきものを生前に決めておくと、2つのメリットがあります。

  • 自分が死ぬまでに使える金額がはっきりする
  • 子どもが相続でもめない

ご自身にだけではなく、子どもにもメリットがあるのが良いところです。贈与税率は相続税率より高めですが、相続財産が相続税の基礎控除を超える場合は、毎年の贈与税の基礎控除110万円を活用した生前贈与が相続税対策として効果的です。

資産の取り崩し時期を見極める

最後の日まで充実した人生を送るためには、資産の取り崩し時期を慎重に見極める必要があります。具体的には、以下3つのポイントを押さえて計画を立ててみましょう。

  • 月々の必要生活費を正確に把握する(固定費、変動費、予備費の各項目の年間必要額を算出する)
  • 収入源を時系列で整理する(退職金、年金、保険満期金などの資産ごとに、いつ、どの程度入ってくるのか明確にする)
  • 資産の性質に応じた取り崩し順序を決める(預貯金、投資信託、債券などの資産ごとにいつ、どの程度取り崩すかの目安を設定する)

このような計画を立てることで「早く取り崩しすぎて、お金が足りない」「取り崩すのが遅すぎて使い切れなかった」といった事態を防げます。特に投資信託を保有している方は、市場の変動も考慮してより慎重に計画を立てましょう。

クレジットカードを1枚持っておくだけでさらに充実!

死ぬまでにお金を使い切ることを考えると、お金の管理の重要性をお分かりいただけたのではないでしょうか。お金の管理にはクレジットカードが便利です。利用明細でお金の流れを可視化でき、スマホで予算と経費を一括管理できます。

また、クレジットカードと連携したスマホアプリなら、帳簿管理も簡単です。ほかにも、クレジットカードは月の使用限度額を都度確認もでき、使い過ぎを防げる点も魅力のひとつです。すぐにでもお金の管理をしたい方には、最短5分で手続きが完了するクレジットカード「SAISON CARD Digital」をおすすめします。

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SAISON CARD Digitalについて詳しく知り方は以下をご覧ください。

死ぬまでにお金を使い切ることのメリットとデメリット

死ぬまでにお金を使い切ることのメリットとデメリット

ここであらためて、死ぬまでにお金を使い切ることのメリットとデメリットを確認しておきましょう。

メリット:お金を使い切る選択の利点

人生の満足度を最大化できる

20代や30代は体力も気力も充実している時期なので、この時期に旅行や趣味などの経験を積むとかけがえのない財産になります。例えば、20代や30代のうちに世界一周旅行をしたり、本格的に音楽を習ったりする経験は、年を重ねても心の財産として残り続けるでしょう。

お金を使い切る選択の最大のメリットは、人生の質を最大限に高められる点にあります。若いうちから計画的にお金を活用すると、人生をより豊かに過ごせるでしょう。

子どもの自立心を育める

子どもに財産を残さないという選択は、意外にも子どもの成長にプラスの影響を与えることがあります。実際に世界的な成功者の中には、「子どもには財産を残さない」と公言している方も少なくありません。これは、子どもが自立心を持ち、自分の力で人生を切り開いていく強さを身に付けてほしいという願いが込められているからです。

お金の管理にまつわるストレスから解放される

計画的に資産を取り崩すことで、複雑な相続対策や資産運用に悩む必要がなくなります。老後は心身ともに余裕を持って過ごしたいものです。お金の管理に過度に気を取られることなく、自分の興味や関心に時間を使える生活は、精神的な豊かさをもたらしてくれるでしょう。

デメリット:予期せぬリスクへの不安

長生きした場合の生活費や医療費が不足する不安

現代は「人生100年時代」と呼ばれ、多くの方が90歳、100歳まで生きる可能性があります。計画的にお金を使い切ろうとする際に避けて通れないのが、将来への不安です。長寿は喜ばしいことですが、同時に医療費や介護費用の負担も大きくなります。特に重い病気にかかった場合、想定以上の治療費がかかる可能性もあるため、お金を使い切る計画はおのずと慎重になるでしょう。

子や孫へ経済的支援ができない不安

子どもや孫の将来を考えると、経済的な支援ができなくなることへの不安も無視できません。日本の教育費は世界的に見ても高額です。大学進学時の学費や、住宅購入時の頭金など、子どもの人生の重要な場面で援助できないことは、親として心配の種となるでしょう。特に近年は若い世代の経済状況が厳しくなっているため、この不安はより切実なものとなっています。

計画どおりにいかない不安

インフレや金融危機、予期せぬ出費により、計画していた資産の取り崩しペースが狂う可能性があります。特に高齢になってからは新たな収入を得ることが難しく、一度計画が崩れると立て直すのは至難の技です。さらに、災害や事故など、突発的な出費が必要になることも考えられます。

これらのリスクに備えるためには、余裕を持った計画が必要となるでしょう。

おわりに

死ぬまでにお金を使い切る生き方は、人生により深い充実感をもたらします。しかし、ただ漠然とお金を使うだけではいけません。無計画なお金の浪費は、充実した生活が遠ざかっていく原因にもなります。より大きな充実を得られるチャンスに、十分なお金を使うよう人生計画を立て、無駄な出費は抑えていきましょう。

また、最後の日まで人生を充実させるためには、老後資金や家族に残すお金も加味して計画を立てましょう。お金の管理はクレジットカードで可視化することがおすすめです。まだ、クレジットカードを持っていない方は、「SAISON CARD Digital」をご検討ください。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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