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ニートやフリーターも年金の支払いは必要?免除制度やニートやフリーターの定義も解説

ニートやフリーターも年金の支払いは必要?免除制度やニートやフリーターの定義も解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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国民の義務とされている年金の納付ですが、種類が多かったり仕組みが複雑だったりして、難しく感じてしまう方も多いと思います。また、ニートやフリーターのような方たちは年金を支払う必要があるのでしょうか。

このコラムではニートやフリーターという言葉の定義から、日本の年金の仕組み、どのような人が支払う対象であるのか、また免除制度について詳しく解説していきます。

1.日本の年金制度について解説

日本の年金制度について解説

日本では、すべての20歳以上の方に対して年金が義務付けられています。これは、収入の有無にかかわらず一律に定められているものです。日本の公的年金制度には「国民年金」と「厚生年金」の2つがあります。ここではこれらの2つの年金が一体どういうものなのか、どのような方が加入の対象となるのかを詳しく説明していきます。

1-1.国民年金

「国民年金」は「基礎年金」とも呼ばれており、日本国内に住所を有している20歳から60歳未満の国民全員が加入することが義務付けられています。これは、会社員でも学生でも、あるいは無職の方でも関係なく適用されており、令和3年度の毎月の保険料は、1万6,610円と定められています。(2021年時点)

20歳から60歳まで滞りなく国民年金を満額納め続けた場合、受給額は毎月およそ6万5,000円です。しかし、納めた金額や支払い年数が少ないと、もちろん受給額は減ってしまうので注意が必要です。

・国民年金の実態

保険料の支払いが義務付けられている国民年金ですが、実際の納付率はどれくらいなのでしょうか。厚生労働省の発表によると、2020年度の国民年金保険料の納付率は71.5%です。これとは別に、低所得であることなどを理由に保険料の免除や減額といった特別措置の対象である方は609万人でした。

しかし問題となってくるのは、この特別措置を受けている方たちは、実際の納付率の計算に含まれていないことです。特別措置の方たちを含めると、20歳から60歳未満の国民全体から見た実際の納付率は40.7%にまで下がります。

参照元:国民年金の保険料免除・猶予、20年度最多609万人

1-2.厚生年金

「厚生年金」とは、国民年金に上乗せされる年金です。国民年金が20歳から60歳未満の日本国民全員に課されるのに対し、厚生年金は公務員や企業の会社員しか加入することができません。

厚生年金の特徴として、保険料を企業と折半で支払うことができるという点が挙げられます。国民年金に比べて保険料は高くなっており、個人差はあるものの、平均すると月給の18.3%の定率です。(2019年度時点)さらに、保険料が高い分、国民年金よりも受給額が高くなっています。

参照元:いっしょに検証!公的年金 | 厚生労働省

2.ニートやフリーターも年金を支払わないといけないのか?

ニートやフリーターも年金を支払わないといけないのか?

一般的にニートやフリーターは仕事のない方という認識があると思います。それでは、ニートやフリーターという方たちは、そもそもどのような状況の方のことを指すのでしょうか。また、仕事がない方でも年金を払う必要があるのでしょうか。

2-1.ニートとフリーターの定義について

「ニート」とは、15歳から34歳までの、学生でもなく、働いておらず、仕事に就くための就業訓練も受けていない、つまり仕事をする意思のない方たちのことと定義付けられています。

これはあくまで日本での定義であり、イギリスで生まれた「ニート」という言葉の本来の意味は、16歳から19歳の若者に限定されています。次に「フリーター」の意味ですが、15歳から34歳で、男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者のうち、

  • パート・アルバイトで就業中
  • 完全失業者のうち、探している仕事の形態が「パート・アルバイト」
  • 家事も通学もしてない者のうち、就業内定しておらず、希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」

いずれかに当てはまる方という形で定義付けられています。似ているようで全く違う2つの言葉なので、覚えておくと良いかもしれません。

2-2.国民年金保険料の支払い義務がある

「収入がなかったら年金を払わなくても良い」という間違った認識をしている方がたまに見受けられますが、20歳から60歳未満の国民であれば、国民年金保険料の納付は義務付けられています。つまり、無職やニート、フリーターでも、国内に住所を持っており対象の年齢であれば払う義務があります。

2-3.未納が続くとどうなるのか?

金銭的余裕がないなどの理由で、年金を未納のまま放置してしまう方は少なくないのが現状です。では、未納のまま放置してしまうとどうなるのでしょうか。65歳からもらえる老齢年金以外にも、病気やケガなどの際にもらえる障害年金、自身が亡くなった際に遺族に払われる遺族年金があります。年金を未納にしてしまうと、いざというときに年金をもらえなくなってしまい後悔する可能性が出てきます。

また、財産を差し押さえられてしまう可能性もあります。差し押さえとは、未納者の銀行口座からお金を取ることです。いきなり差し押さえされることはありませんが、未納のまま放置していると何度か催促状が届きます。

そしてその催促状を無視し続けると、いずれは差し押さえになることもあります。財産調査をもとに、差し押さえるべき財産が決められて差し押さえが行われます。自宅や事務所を捜査して不動産を差し押さえられる場合や、第三者に対して持っている債権などが差し押さえられることもあります。

3.ニートの方必見!年金の免除・納付猶予制度について

ニートの方必見!年金の免除・納付猶予制度について

ニートの方のように収入がない、あるいは収入が少なくて年金保険料の支払いが難しいといった方のために、年金には「免除制度」と「納付猶予制度」という二つの制度が存在します。

3-1.年金の免除制度について

年金には、免除制度というものが存在します。経済的な理由で保険料を納めることができない方が、未納にならずに済むように設けられた制度です。免除を受けるには申請書の提出が必要となり、免除額は所得から判断され決定されます。

3-2.年金の納付猶予制度について

年金の納付猶予制度とは、経済的な理由で保険料を納めることができない方に対して、納付を猶予する仕組みです。20歳から50歳までで、学生などの将来的に追納が可能なことが見込まれている方に対して適用される制度です。

3-3.免除制度と納付猶予制度の違い

では、免除制度と納付猶予制度の大きな違いは何でしょうか。「免除」とは、支払いの義務自体がなくなります。そのため将来の受給額も減ります。もし全額免除になった場合、もらえる年金は最大半分にまで下がってしまいます。

一方で、「猶予」とは簡単にいうと支払いを先延ばしにすることです。年金を支払えるようになってから、猶予期間の分まで追加で支払うことができれば、将来の受給額に影響はありません。

3-4.年金の免除・納付猶予制度を利用する条件

年金の免除や納付猶予制度は、誰でも利用できるわけではありません。役所に指定の申請書を提出し、前年の所得をもとにした審査に通れば利用することができます。

3-5.免除・納付猶予制度の申請方法について

申請方法は、自身の住所がある市区町村の役所の国民年金担当窓口に、指定の申請書を提出します。申請書は、国民年金担当窓口や事務所などでもらうことができます。また、日本年金機構の公式WEBサイトからダウンロードすることもできます。

参照元:日本年金機構

・申請に必要なもの

申請の際には、以下のものが必要です。

  • 所得の申立書
  • 前年または前々年の所得を証明する書類
  • 厚生労働省が実施している総合支援資金貸付の「貸付決定通知書」の写し、並びにその申請時の添付書類の写し
  • 雇用保険被保険者離職票の写し、または雇用保険受給資格者証の写し(失業などによる申請の場合)

また、以前に個人事業主や自営業をしていた方は、以下の書類も必要な場合があります。

  • 税務署等への異動届出書、事業廃止届出書の写しまたは個人事業の開廃業等届出書(税務署などの受付印があるもの)
  • 閉鎖事項全部証明書または履歴事項全部証明書
  • 保健所への廃止届出書の控(受付印があるもの)
  • その他、失業している事実が確認できる書類(公的機関が交付する証明書など)

複雑で少し大変かもしれませんが、忘れてしまうと申請ができないので注意しましょう。この申請は毎年度必要なので、免除や納付猶予制度を受けたい場合には忘れずに行わなければなりません。

参照元:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度

4.年金の免除・猶予制度を利用するメリットとデメリット 

年金の免除・猶予制度を利用するメリットとデメリット 

年金を払わなくても良くなる免除制度を使えば年金が免除となりますが、その一方でデメリットも存在します。そこで次からは年金の免除・猶予制度のメリットやデメリットについて詳しく解説するので参考にしましょう。

4-1.メリット

年金を毎月満額納めることができる収入がない方や収入が少ない方が、年金免除や猶予制度を利用することで、年金を受け取ることができるようになります。

国民年金は最低で10年以上納めている期間がないと受給対象にはなりませんが、これらの制度を利用している期間は、納付している期間とみなされます。つまりこの制度を利用することで、万が一の時や将来、年金を受給することが可能になります。

・免除制度を利用すれば支払わなくても2分の1を払ったことになる

所得での審査によって納付が全額免除になった場合でも、制度を利用することで全額免除期間の2分の1の受給ができます。全額免除の場合、所得基準は「(扶養親族数+1)×35万円+22万円〕以内」で計算されます。基準以下の所得の方は免除制度の利用を検討しましょう。

参照元:国民年金保険料を納められないときはどうすればいい?

・事故にあってしまっても心配無用

制度を利用することで、障害年金や遺族年金も受け取ることができるようになるので、万が一事故に遭ってしまった時でも心配する必要がありません。制度を利用していないと受給できない可能性も出てきますが、利用するだけで受給できるようになるので大きなメリットと言えるでしょう。したがって、納付が難しい場合は積極的に制度を利用することをおすすめします。

4-2.デメリット

制度を利用している期間は納付期間としてカウントされるため、年金の受給ができる可能性が増えます。しかし、その期間は年金の納付がストップされている状況になるので、もちろんデメリットもあります。

・将来受け取れる年金の支給額が下がる

1番のデメリットともいえるのが、将来受給できる年金の額が下がってしまうという点です。また、追納をして3年以上経過すると、加算額が上乗せされてしまうので注意しましょう。追納が可能なのは10年分のみなので、満額の受給額を受け取りたい方は早めに納付することが大切です。

おわりに

日本の公的年金には「国民年金」と「厚生年金」の二つが存在します。中でも国民年金は、20歳から60歳未満の国民全員に納付の義務があり、ニートやフリーターでも支払う必要があります。

収入がない方や少ない方は、免除制度や猶予制度を利用することで将来的に年金を受給できるなどのメリットがあるので、制度を利用することをおすすめします。一方で、受給額が減ってしまうというデメリットもあるので、できるかぎり早めにきちんと納付することが大切です。

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