
「確定申告が必要な方ってどんな人だろう」「何を提出したら良いのか分からない」といった疑問を抱えていませんでしょうか。確定申告は、申告内容や必要書類がその方によって異なりますので、戸惑う方が多いです。
このコラムでは、確定申告のやり方に関する悩みを解決するために
- 確定申告が必要な方
- 確定申告のやり方
- 困ったときに相談できる窓口
について解説をします。初めての方も安心して確定申告が行えるように、申告書の作成方法や相談できる窓口を確認しておきましょう。
目次
1.確定申告について解説
確定申告とは、1年間の所得を税務署に申告し、税金を納める手続きのことです。確定申告が必要な方が申告をしなかった場合、ペナルティが課せられます。ここでは、確定申告の時期や対象者を紹介します。確定申告が不要な方でも、申告することでお得になるケースがありますので、ぜひ参考にしてみてください。
1-1.確定申告の時期
令和3年分の確定申告の時期は、令和4年2月16日〜3月15日です。確定申告の時期は、所得税法で毎年2月16日〜3月15日までの期間に行われることが定められています。(祝日等で、日にちが前後する可能性があります)
令和3年1月1日〜12月31日までの所得や控除は、令和4年2月16日〜3月15日に確定申告する必要があります。
1‐2.確定申告する必要がある方
確定申告する必要のある方は、以下のとおりです。
- 個人事業主(自営業・フリーランス)
- 不動産・山林所得がある方
- 給与が2,000万円以上の方
- 一定の公的年金を受給されている方
- 2ヵ所以上から給与所得を得ている方
“各種の所得金額の合計額(譲渡所得や山林所得を含む。)から、所得控除を差し引き、その金額(課税される所得金額)に所得税の税率を乗じて計算した税額から配当控除額を差し引いた結果、残額のある方は、確定申告書の提出が必要です。
引用元:国税庁
また公的年金等の受給金額が400万以上ある方や、公的年金を含む雑所得以外の金額が20万円以上ある方も 、確定申告が必要となります。 。
参照元:国税庁「確定申告が必要な方、給与所得者の確定申告」
1‐3.確定申告した方が得な方
確定申告の必要がない方でも、申告した方がお得になる方がいます。確定申告した方がお得な方は、以下のような方です。
- 赤字経営の方
- 各控除の要件に当てはまる方
「自分は会社で年末調整をしたから確定申告は必要ない」と考えている方がいるかもしれません。しかし、確定申告することで受けられる控除があります。確定申告する必要がある控除は、以下のとおりです。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 寄附金控除
ここで注意が必要になるのが「寄附金控除」です。ふるさと納税を6ヵ所以上の自治体で行った方は、確定申告が必要になります。ふるさと納税の確定申告方法は、こちらのコラムで詳しく説明しています。ぜひ参考にしてみてください。
【2022年最新】ふるさと納税の確定申告書の作り方3選!必要な4つの準備を紹介
1‐4.確定申告が不要な方
確定申告が不要な方は、以下のとおりです。
- 所得が48万円以下の方
- 企業で年末調整をし、各控除の申告が必要ない方
- ワンストップ特例制度でふるさと納税をした方
- 各控除の申告が必要ない方
- 公的年金の受給が400万円以下の方
所得税の納税者は、基礎控除が受けられます。一般的には、所得から経費を差し引いた額が「基礎控除額の48万円以下」の場合、確定申告が不要です。また企業で年末調整を受けている方や、公的年金の受給が400万円以下の方も、確定申告は不要となります。
2.確定申告のやり方を5つのステップで解説
確定申告するときに「何から始めたら良いのか」と戸惑う方が多いのではないでしょうか。確定申告のやり方は、主に5つの手順で説明できます。ご自身で確定申告を行う際に、参考にしてみてください。
2‐1.帳簿を整理する(事業所得や不動産所得がある方)
確定申告する時に最初に行うべきは、帳簿の整理です。帳簿とは、売り上げや経費などを記録した台帳です。事業所得や不動産所得がある全ての方に、帳簿を作成する義務があります。一方で事業所得や不動産所得がない場合、帳簿作成は不要です。例えば「医療費控除」や「寄付金控除」などの控除を目的とした確定申告の場合、帳簿は不要です。
初めて確定申告をする際は「帳簿の付け方が分らない」と悩まれる方が多いでしょう。税務署には、帳簿のアドバイスがもらえる「記帳指導」というサービスがあります。税理士やパソコン指導員による指導が無料で受けられますので、困った際は利用してみてください。
参照元:国税庁「記帳の仕方がわからない方へ」
2-2.必要な書類を準備する
次に、確定申告に必要な提出書類を準備します。確定申告に必要な書類は、所得や控除の内容によって異なります。
必ず準備する書類
必ず準備する書類は、以下のとおりです。
- 確定申告書
- 本人確認書類
- 本人名義の銀行口座
- 所得や公的年金の受給額が分かるもの(源泉徴収票等)
確認申告書は、青色申告の方は「青色申告決算書」、白色申告の方は「収支内訳書」を準備しましょう。
参照元:国税庁「確定申告の際にご持参いただくもの」
必要に応じて準備する書類
各控除を受ける場合、証明書が必要になります。所得税控除には、以下のようなものが挙げられます。
- 医療費控除
- 住宅ローン控除
- 寄附金控除
- 生命保険料控除
- セルフメディケーション税制
- 地震保険料控除
各控除の要件に当てはまる場合、発行された証明書を添付して、確定申告する必要があります。例えば、医療費控除を受ける場合は「医療費控除の明細書」、住宅ローン控除を受ける場合は「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」などの書類の提出が必要です。
また「セルフメディケーション税制」という言葉をご存知でしょうか。セルフメディケーション税制とは、ドラッグストアなどでセルフメディケーション税制対象の医薬品を購入した際に控除が受けられる制度です。世帯での対象商品の購入額が年間12,000円以上で、控除が受けられます。「購入時のレシート」が必要となりますので、紛失しないように注意しましょう。
参照元:厚生労働省「セルフメディケーション税制」
2-3.提出書類を作成する
確定申告書は、3種類の作成方法があります。ご自身に合った方法で、作成してみてください。
手書きで作成
申告書を取得して、手書きで作成する方法です。申告書を取得する方法は、以下のとおりです。
- 国税庁のWEBサイトからダウンロードし印刷する
- 税務署や確定申告会場でもらう
手書きのメリットは、インターネット環境がない場所で作成できることです。そのため、パソコンをお持ちでない方でも、ご自宅で作成できます。しかし、ご自身で記入項目を探し出したり、金額を手動で計算したりする必要がありますので、作成に時間がかかる点がデメリットです。
確定申告書等作成コーナーを利用
確定申告書等作成コーナーで、作成する方法があります。確定申告書等作成コーナーとは、国税庁が管理する確定申告のオンラインシステムです。確定申告書等作成コーナーで作成した申告書は、そのままオンラインで送信(e-tax)できます。金額が自動計算されるため、手書きに比べ記入の間違いが少なく、短い時間で申告書の作成ができるでしょう。
専門家に依頼
確定申告書は、税理士など専門家に依頼して作成する方法もあります。依頼の内容により相場は異なりますが、税理士に全て依頼したケースでは15万円前後かかるといわれています。「作成の時間がとれない」「自分自身で作成が不安」といった悩みをお持ちの方は、税理士など専門家に依頼する方法がおすすめです。
2-4.申告書を提出する
作成した確定申告書は、税務署に提出します。税務署への提出方法は、以下の3種類がありますので、ご自身に合った提出法を選択してみてください。
税務署・確定申告会場に持参する
確定申告書には、税務署や確定申告会場に持参して提出する方法があります。税務署には「時間外収受箱」の設置がありますので「夜間にしか持参できない」という方でも、提出が可能です。
郵送する
確定申告書には、郵送して提出する方法があります。税務署に郵送する際は「郵便物」または「信書便物」として送る必要があります。通信日付日が提出日となりますので、期限に余裕を持って郵送することがおすすめです。
参照元:国税庁「申告書の税務署への送付」
e-Taxによる送信
確定申告書は、e-Taxによるインターネット送信が可能です。確定申告書等作成コーナーで作成した申告書は、e-Taxに読み込みインターネットで送信ができます。税務署に足を運ばなくても提出できることは、オンラインならではのメリットでしょう。なお、e-Taxを利用するには、マイナンバーカード、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンまたはICカードリーダーが必要です。
2-5.納税する
年間の所得から控除を引いた額がプラスになる 場合、ご自身で 納付を行う が必要となります。納税額は、確定申告書の第一表22欄で確認可能で す。
参照元:国税庁:「税金の計算をする」
納税方法には、以下のような方法があげられます。
- 現金
- 振込・振替
- クレジットカード
- 電子マネー(※対応していない自治体があります)
納税は、遅れてしまうとペナルティが課せられます。「忘れていて遅れてしまった」「期限を勘違いしていた」などの理由で遅れないように、確実に納税できる方法を選択することが大切です。
令和3年分の納税の期限は、以下のとおりです。
- 所得税:令和4年3月15日
- 消費税・地方消費税:令和4年3月31日
- 贈与税:令和4年3月15日
参照元:国税庁「税金の納付」
税務署から納付書や納付通知書などのお知らせは送られてきませんので、注意しましょう。納付書をお持ちでない方は「税務署」または「税務署管内の金融機関」で取得できます。 納税は、確実に期限が守れるセゾンカードの利用がおすすめです。セゾンカードで納税した場合、確実に期限が守れるのはもちろん、ポイントがたまったり、リボ払いに変更できたりと、お得に納税ができます。WEBサイトで簡単に手続きができますので、ぜひこの機会にセゾンカードを使って納税してみてはいかがでしょうか。
カードをお持ちではない方は、以下よりお申し込みください
3.確定申告のやり方で悩んだときに相談できる窓口

「自分自身に確定申告は必要なのだろうか」「控除の申告にどんな書類が必要なのか」といった疑問を持ったとき、相談できずに悩まれる方が多いのではないでしょうか。確定申告のやり方で悩んだ時に相談できる窓口を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
3-1.【無料】税務署
確定申告のやり方で悩んだときのために、税務署に相談窓口があります。税務署の「確定申告電話相談センター」では、どなたでも無料で相談が可能です。
しかし確定申告時期は、税務署への電話が集中し、毎年繋がりにくくなる状況が発生しています。その際は、チャットボットの利用がおすすめです。チャットボットとは、国税庁が管理している質問回答サービスです。
AI(人工知能)を活用して、自動で質問に回答するシステムとなっています。「確定申告が必要であるか」や「申告に必要な書類」などの疑問が、税務所に行くことなく解決できるでしょう。チャットボットは、国税庁のWebサイトから24時間利用が可能です。
参照元:国税庁「チャットボット(ふたば)に質問する」
3‐2.【有料】税理士会・青色申告会・商工会議所
確定申告に関する悩みを有料で相談できる場所は、以下のとおりです。
- 商工会議所
- 青色申告会
- 税理士
商工会議所は、個人事業者や中小企業に対して、経営相談や交流会などを実施している施設です。青色申告会は、個人事業主を対象とした納税者の団体であり、どちらも会員の場合に限り、確定申告の相談ができます。
さらに確定申告の時期には、無料相談会を開催している場合がありますので、税務署や商工会議所などのWEBサイトをチェックしておくことがおすすめです。
4.確定申告をしなかった場合ペナルティがある
確定申告をしなかった、もしくは申告が遅れた場合、ペナルティが課せられます。ペナルティには、以下のようなものがあります。
- 最高税率20%の「無申告加算税」
- 最高税率14.6%の「延滞税」
- 青色申告特別控除が65万円から10万円に減額
- 2年連続で提出が遅れると青色申告が取り消し
重いペナルティが課せられますので、確定申告が必要な方はしっかりと期限を守り、申告することが大切です。しかし「災害」や「新型コロナウイルス感染症の影響」などから、期限内の納税が困難な方がいらっしゃるかもしれません。納税が困難な場合は、最大1年間の納税が猶予される制度があります。
「確定申告が遅れるとペナルティがある」ことをしっかりと理解したうえで、準備を進めましょう。また納税が困難である場合、猶予制度が活用できるケースがありますので、早めに税務署に相談することが大切です。
参照元:国税庁「猶予制度とは」
おわりに
確定申告は、申告内容や必要書類がその方によって異なるケースが多く、戸惑うことがあるかもしれません。しかし、申告の必要な方が確定申告しなかった場合、重いペナルティが課せられます。決められた期限内に確定申告ができるように、しっかりと準備しましょう。
税務署では、無料で電話相談や自動回答システム「チャットボット」を利用できます。無料で相談ができる税務署の窓口は、電話が集中して繋がりにくくなることが予想されますので、分らないことは早めに相談しましょう。