退職したら確定拠出年金の手続きが必要?ケース別の手続き方法や脱退一時金、よくある疑問を徹底解説

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退職したら確定拠出年金の手続きが必要?ケース別の手続き方法や脱退一時金、よくある疑問を徹底解説

在職時に確定拠出年金に加入していた場合、退職後に手続きが必要になることをご存じでしょうか。意外に知らなかったという方もいらっしゃるかもしれません。

  • 「確定拠出年金は退職後どうしたら良いの?手続きが知りたい!」
  • 「退職後に手続きしなかったらどうなるの?」

実際、その手続きについてどうしたら良いのか、疑問やお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

退職後に再就職する場合は、再就職先の会社に確定拠出年金制度があれば、ほとんどの場合で引き続き加入できます。しかし、再就職先で加入できなかった場合や再就職先しない場合は、6ヵ月以内に資産を移動させる手続きが必要です。

このコラムでは、以下について詳しく解説します。

  • 確定拠出年金の概要
  • 確定拠出年金の退職時の手続き方法
  • 確定拠出年金の脱退要件、脱退一時金の受け取り方法

必要な手続きをしないままでいると、自動的に資産が移され、老後資産が減ってしまう場合があります。大切なお金を失わないために、手続きについて確認していきましょう。ぜひ最後までお読みください。

1.確定拠出年金の概要

確定拠出年金(DC)は、私的年金制度の1つです。私的年金制度には、企業年金と個人年金があり、確定拠出年金は企業年金にあたります。日本の年金制度は3階建てになっており、1階部分にあたる国民年金、2階部分にあたる厚生年金、そして3階部分にあたる私的年金の3つで構成されています。

退職後、企業型確定拠出年金を継続できない場合は個人型確定拠出年金(iDeCo)に資産を移動させることになります。両者の違いやメリット・デメリットについて見ていきましょう。

1-1.確定拠出年金には2つのタイプがある

確定拠出年金には、企業型と個人型の2つのタイプがあります。それぞれの拠出限度額や運用の特徴を、順番に見ていきましょう。

・企業型確定拠出年金とは

企業型確定拠出年金は、企業が拠出し加入者自身で運用する年金です。すべての従業員が加入する場合と、加入するかどうかを自身で選べる場合があります。

企業型確定拠出年金の拠出限度額は月額55,000円で、企業年金と併用の場合は月額27,500円です。掛金は拠出限度額内で決められ、企業が全額負担します。金融機関や運用商品についても企業が選定し、加入者はそのなかから商品を選んで自ら運用します。

積立期間は60歳または65歳までで、運用にかかる費用は企業または個人が負担するようになっています。

・個人型確定拠出年金(iDeCo)とは

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、個人が拠出し、運用する年金です。企業型と併用して運用することが認められており、企業型確定拠出年金に加入している方で、規約に同時加入が可能と定められている場合のみ、どちらにも加入できます。自分自身が併用できるかについては、勤務先の年金担当に確認しましょう。

個人型確定拠出年金の拠出限度額は、職業や他の年金の加入状況によって、次のように定められています。この金額を超えて拠出することはできません。積立期間は60歳までで、運用にかかる費用は個人が負担します。

職業等拠出限度額(月額)
自営業者など68,000円(国民年金基金の掛金と合わせた限度額)
厚生年金保険の被保険者で、確定給付型年金及び企業型確定拠出年金に加入していない者23,000円
企業型確定拠出年金のみに加入している者20,000円
確定給付型年金または確定給付型と企業型確定拠出年金の両方に加入している者12,000円
公務員12,000円
専業主婦(主夫)など23,000円

1-2.確定拠出年金のメリット

確定拠出年金のメリットは以下の3つです。

  • 税制優遇措置がある
  • 自分で運用できる
  • 老後資金の準備ができる

最大のメリットは、税制優遇措置があることです。掛金や運用益が非課税になるだけでなく、将来年金として受け取るときにも、各種控除によって税金が軽減されます。また、60歳まで引き出しができないことから、老後資金として効果的に使うことができます。

1-3.確定拠出年金のデメリット

確定拠出年金のデメリットは次の4つです。

  • 60歳まで資産を引き出せない
  • 将来もらえる額が確定しない
  • コストがかかる
  • 投資の知識が必要

大きなデメリットは、60歳まで引き出せないことや、運用によるリスクがあることです。もらえる年金は確定拠出年金の運用の結果で決まるため、不確実性が高いといえます。

しかし、確定拠出年金には3つの税制優遇措置があり、長期運用が前提となっているため、運用によるリスクは通常の資産運用に比べると低くなっています。また、運用を個人で行うため、投資の知識が必要になる点や、手数料などのコストがかかる点にも留意しておきましょう。

2.退職したら確定拠出年金はどうすれば良い?手続き方法を解説

確定拠出年金は、退職後の状況によってそれぞれ手続きが必要です。どの場合も必ず資産を移換させなければならないことに注意しましょう。主な手続き方法は、以下のとおりです。

退職後の状況確定拠出年金の手続き方法
転職先に確定拠出年金がある場合転職先の確定拠出年金に移換
転職先に企業年金はあるが確定拠出年金がない場合1) iDeCoに移換2) 確定給付企業年金に移換
転職先に企業年金自体がない場合iDeCoに移換
自営業や公務員、フリーランス専業主婦(主夫)になる場合iDeCoに移換

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1.転職する方で、転職先に確定拠出年金がある場合

転職先の会社に確定拠出年金がある場合は、確定拠出年金を継続することができます。転職先にて移換手続きを行いましょう。

転職先の確定拠出年金に加入資格がない場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換します。その際は6ヵ月以内に個人型確定拠出年金(iDeCo)への移換手続きをしてください。

移換手続きには、旧勤務先からの資産を出すための手数料と、新しい勤務先の確定拠出年金に資産を移すための移換料がそれぞれかかります。6ヵ月を過ぎてしまうと、さらに自動移換手数料等が必要になるため注意しましょう。

2-2.転職する方で、転職先に確定拠出年金がない場合

転職先の会社に、企業年金はあるけれども確定拠出年金がない場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換します。6ヵ月以内にご自身で手続きを行いましょう。

移換手続きには、旧勤務先の企業型確定拠出年金からの移換手数料として、国民年金基金連合会に対するコストとして2,829円(税込)の手数料が一時かかります。また、この手数料とは別に、移換するiDeCoの運営管理機関への加入時・移換時等の手数料がかかる場合があります。

移換後は、個人型確定拠出年金の加入者となり、引き続き拠出を継続するのか、拠出は中止して運用指図者となるかのどちらかを選択しましょう。

期限内に手続きできなかった場合は、資産が自動移換されてしまうため注意が必要です

転職先に確定拠出年金はないけれども確定給付型企業年金がある場合、規定によっては、確定給付企業年金に移換できる場合があります。加入できるかどうか、転職先で確認してみましょう。

2-3.転職する方で、転職先に企業年金自体がない場合

企業年金は、すべての企業で実施されているわけではありません。特に小規模の会社では実施率が低く、転職先に企業年金自体がない場合もなかにはあります。転職先に企業年金がない場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換します。手続きは6ヵ月以内に行いましょう。

移換後は、ご自身で引き続き拠出を続けるのか、拠出はせず運用指図者となるかのどちらかを選びます。期限内に移換しなかった場合は、自動移換されるため注意しましょう。

2-4.退職後、自営業、フリーランス、専業主婦(主夫)、公務員になる場合

退職後、自営業やフリーランス、専業主婦(主夫)になる場合、また公務員に転職する場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換が必要です。移換後は、個人型確定拠出年金の加入者となって継続して拠出していくのか、拠出はせず運用指図者となるかを選択することができます。

移換手続きは6ヵ月以内に行いましょう。期限を過ぎると自動移換されてしまいます。期限内に移換が完了するよう、余裕を持って手続きを行いましょう。

3.確定拠出年金の脱退(解約)と脱退一時金の受け取り方法

確定拠出年金は、基本的に脱退や途中での資産の引き出しができません。しかし、条件を満たした場合のみ、脱退(解約)し脱退一時金を受け取ることができると定められています。どのような場合であれば脱退できるのか、要件や脱退一時金について詳しく見ていきましょう。

3-1.確定拠出年金の脱退一時金とは

確定拠出年金の脱退一時金とは、脱退の時に受け取れる資産のことです。確定拠出年金は、原則として脱退することができない仕組みになっています。しかし、条件を満たせば脱退して資産を受け取ることもできるようになっています。

とはいえ、脱退が認められる要件はとても厳しく、脱退一時金を受け取ることができるのはごく一部のケースです。

3-2.確定拠出年金の脱退要件

企業型と個人型、それぞれの確定拠出年金の脱退要件は、以下のとおりです。

企業型確定拠出年金を脱退する場合

企業型確定拠出年金を脱退する場合は、3つの条件をすべて満たした場合のみ、脱退が認められます。

  • 企業型DCの加入者・運用指図者またはiDeCo(イデコ)の加入者・運用指図者でないこと
  • 個人別管理資産額が1万5,000円以下であること
  • 企業型DCの資格喪失日の属する月の翌月から起算して6ヵ月を経過していないこと

・個人型確定拠出年金を脱退する場合

個人型確定拠出年金を脱退する場合は、5つの条件をすべて満たした場合のみ、脱退が認められます。

・国民年金の保険料免除者であること

  • 障害給付金の受給者ではないこと
  • 通算拠出期間が1ヵ月以上5年以下、または個人別管理資産が25万円以下であること
  • 企業型DCまたはiDeCoの資格喪失日の属する月の翌月から起算して2年を経過していないこと
  • 企業型DCから脱退一時金の支給を受けていないこと

参照元:厚生労働省 確定拠出年金制度の概要

3-3.脱退一時金の受け取り方法

脱退一時金の請求は、企業型拠出年金の場合は企業型確定拠出年金の記録関連運営管理機関に、個人型確定拠出年金の場合は、個人型確定拠出年金の記録関連運営管理機関、または国民年金基金連合会にそれぞれ請求します。

確定拠出年金の場合は、企業型年金の資格を喪失後に手続きを行いましょう。受け取った脱退一時金は、一時所得として課税対象になります。なお、一般所得の特別控除50万円が適用されます。

4.確定拠出年金でよくある疑問

退職後の確定拠出年金の手続きについて、よくある疑問について解説します。

4-1.退職後に移換手続きをしなかった場合はどうなる?

退職時や転職時に必要な移換手続きをしなかった場合、運用していた資産は現金化され、国民年金基金連合会に自動的に移換されてしまいます。これを「自動移換」といいます。自動移換されてしまうのは、退職後6ヵ月以内に必要な手続きがなされなかった場合です。

4-2.退職後の手続きを忘れて自動移換になった場合、デメリットはある?

自動移換されるときに手数料がかかるうえ、4ヵ月目以降は毎月管理料が差し引かれるため、資産が減ってしまいます。また、自動移換されたままにしておくと、通算加入期間としてカウントされず、60歳になっても資産の引き出しができません。このような事態にならないよう、必ず期限内に移換手続きを済ませておきましょう。

4-3.勤続年数3年未満に退職したら確定拠出年金はどうなる?

勤続年数が3年未満の場合、確定拠出年金規約によって事業主掛金に相当する全額または一部を以前の勤務先に返還(事業主返還)するよう定められている場合があります。また、脱退一時金が受け取れる場合もあります。まずは勤務先で規約を確認しましょう。脱退が可能な場合は、手続きして脱退一時金を受け取れます。脱退要件を確認し、満たしている場合は手続きを行いましょう。

おわりに

在職中に確定拠出年金に加入していた場合、退職後は必ず移換手続きが必要です。手続きが不要になるケースはありませんので、注意してください。再就職先に確定拠出年金制度がある場合は、引き続き加入することができます。新しい勤務先で加入条件などを確認し、加入できる場合はすみやかに手続きを行いましょう。

転職先で引き続き確定拠出年金に加入できない場合や再就職しない場合、自営業や公務員になる場合などは、個人型確定拠出年金(iDeCo)への資産の移換が必要です。6ヵ月以内に移換手続きを行いましょう。移換後の運用をどうするかは、移換時に選ぶことができます。

どの場合も6ヵ月以内に完了しないと自動移換されてしまうため、余裕を持って早めに手続きすることが大切です。