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複利の効果とは?仕組みや単利との違い、複利効果のシミュレーションを解説

複利の効果で資産運用に大きく差がつく!おすすめの投資信託や複利を得るポイント等を解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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複利という言葉は聞いたことはあっても、詳しくは知らない方も多いでしょう。また、複利効果を得るためのポイントとして再投資があります。再投資することでどのくらいリターンが変わるか、再投資の方法などが気になる方もいらっしゃるでしょう。

このコラムでは、投資でよく耳にする複利やその効果を得る方法について解説します。複利効果を最大化する資産運用に興味のある方には必見の内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

投資結果を左右する?複利効果の仕組み

資産運用する際に、大きな力を発揮する「複利」、複利は利息が付く仕組みのひとつです。金利の種類や複利効果について解説します。

金利の仕組みは2種類ある

金利とは、利息(お金を借りた方が支払う手数料)を計算する割合(利率)のことです。金利の仕組みには単利と複利の2種類があります

単利とは?

単利とは、元本(最初に預けたり投資した元になるお金)に対してのみ利息が付く仕組みのことです

例えば、100円を年利10%で運用する場合、1年目は10円、2年目は10円、3年目は10円といったように利息がつきます。単利では、常に元本の100円に対してのみ利息を計算しますので、3年目の資産合計は130円です。

複利とは?

複利とは、元本と利息の合計額にさらに利息が付く仕組みのことです

例えば、100円を年利10%で運用する場合、複利では、1年目は10円、2年目は11円、3年目は12.1円と元本の増加に伴って利息も増加し、資産合計は133.1円になります。

単利よりも利息が増える理由は、利息を元本に組み入れて再投資することで、次回以降の利息計算の基礎となる資金が増えるためです。

そのため、長期間投資を行う場合、単利よりも複利の方が多くの利益を得られます。

複利について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

複利効果とは?

複利効果とは、複利の仕組みを活用して資産を増やす力のことです。投資で複利効果を得るためには、運用益や分配金を、元本にプラスして再投資する必要があります。このような運用を続けることで、利益が雪だるま式に増えて、さらに利益を生みます。

資産が倍になる!複利と72の法則

複利効果を表す計算式で、「72の法則」というものがあります72の法則とは、複利効果を活用して、想定利回りで運用した場合に何年で資産が倍になるかを計算する方法です。年数は、72を想定利回りで割ることで求められます。

例えば、想定利回り2%・3%・5%で運用した際に、資産が倍になるまでの期間は以下のとおりです。

  • 想定利回り2%の場合:72÷2=36(年)
  • 想定利回り3%の場合:72÷3=24(年)
  • 想定利回り5%の場合:72÷5=14.4(年)

利回りの差が1%と聞くと大差ないと思われるかもしれませんが、このように2%と3%ではおよそ12年の差が生じます。

参照元: マネー賢者は知っている「72の法則」とは ? | マネー | おすすめコラム | 大和ネクスト銀行 (bank-daiwa.co.jp)

複利効果のシミュレーション

では、実際に単利と複利ではどの程度の差が生じるのか計算してみます。100万円の元本を年率5%で資産運用した場合を想定してみましょう。なお、元本100万円のみの運用で、追加入金は行わないものとします。

0年1年5年10年20年30年
単利1,000,0001,050,0001,250,0001,500,0002,000,0002,500,000
複利1,000,0001,050,0001,276,2821,628,8952,653,2984,321,942
差額0026,282128,895653,2981,821,942

※単位は円。手数料や税金等は考慮していません

単利では、元本100万円の年率5%の場合毎年等しく5万円の利息が付与されます。一方で、複利は元本と利息の合計額に対して利息が計算されるサイクルが繰り返されることで雪だるま式に利息が増えていきます。両者を比較すると1年目は単利と同じ5万円ですが、その差はどんどん大きくなっていきます。

スタートから10年後には約12万円、20年後では約65万円、30年後では約180万円と年々差が開いていきます。このように、投資期間が長くなればなるほど複利の効果が増し、資産をより増やしやすくなるでしょう。

複利で運用する際の注意点

複利で運用することにより、利益を増やせる可能性がありますが、いくつかの注意点もあります。ここからは複利で運用する際の注意点を紹介します。

インカムゲインを当てにしている方にはおすすめしない

複利運用は、インカムゲイン(定期的な収入)を得ることを目的としている方には適していません。複利では、得た利息や配当金を再投資して資産を増やすため、現金としての収入は得られません。

インカムゲインとは、株式や債券、不動産などの資産を保有することで定期的に得られる収入のことです。具体的には、株式の配当金や債券の利子、不動産の賃貸収入などが該当します。

複利運用では、インカムゲインを受け取らずに再投資して資産を増やすため、毎月定期的に現金収入を得たい方にはおすすめできません。

毎月の生活費や老後資金としてインカムゲインを期待している場合、複利運用は適していないでしょう。複利運用では、資産が増えていてもお金を手元に引き出せないため、現金収入を得たい方には不向きです。

単利よりも下落時に損失が大きくなる可能性がある

複利運用では、時間が経過するにつれて元本自体がどんどん増えていきますが、その分市場が下落した際の損失も大きくなる可能性があるので注意しましょう。

例えば、以下は初期投資額1,000万円を年利5%で5年間運用した後、6年目に20%の暴落が発生した場合の資産をシミュレーションした結果です。

年数単利の資産額複利の資産額
1年目1,050万円
(50万円)
1,050万円
(50万円)
2年目1,100万円
(100万円)
1,102万5,000円
(102万5,000円)
3年目1,150万円
(150万円)
1,157万6,250円
(157万6,250円)
4年目1,200万円
(200万円)
1,215万5,062円
(215万5,062円)
5年目1,250万円
(250万円)
1,276万2,810円
(276万2,810円)

※()内は累計利益

5年目までは複利のほうが多くの利益を得られます。が、6年目に20%の暴落が起こった場合、資産額は以下のように計算することになるので、複利のほうが累計利益が減少するのです。

単利の資産複利の資産
6年目1,000万円×0.8(80%)+250万円=1,050万円
(50万円)
1,276万2,810円×0.8(80%)=1,021万248円
(21万248円)

単利で運用した場合、6年目までの累計利益と元本の合計は1,050万円(元本1,000万円+利益50万円)となります。一方、複利運用後の資産は1,021万248円と、単利のケースを下回るのです。

このように複利運用では、運用中の利益を確保しておくことができないため、常に暴落による資産価値が減少するリスクがつきまといます。

複利効果は長期投資でこそ真価を発揮する

複利運用では、運用期間が長くなればなるほど、利益の増加率が高くなるのが特徴です。反対に、運用期間が短いと、元本の増加率が低くなるため、複利運用の効果を実感しにくくなります。

例えば、老後資金を目的として資産形成を始める場合は、若いうちから始めておけば、少ない投資元本でも目標額を達成できるかもしれません。

毎月5万円を積み立てて、年利5%で運用する場合の運用期間30年と5年のシミュレーション結果は以下のとおりです。

運用期間30年:将来の資産額は約4,000万円以上

出典:金融庁のシミュレーションサイト

運用期間5年:将来の資産額は約340万円

出典:金融庁のシミュレーションサイトより試算

複利効果を得るための3つのポイント

投資による資産運用で複利効果を得るために知っておきたい3つのポイントを解説します。

資産運用を長期間継続する

資産運用を長期間継続することは、複利効果を得るための最重要ポイントです。複利の効果を得るためには、長期的目線で時間を味方にするという大前提があります。運用期間が長ければ長いほど資産は雪だるま式に増えていき、複利の効果を実感しやすくなるでしょう

この先、ご自身の環境の変化や暴落などにより一時的に成績が悪化することもあるかもしれません。しかし、解約したり途中で辞めたりすると、複利効果を得られなくなってしまいます。どんな相場環境になってもなるべく同じように投資を続けることが重要です。

再投資する

複利効果を得るためには、資産運用で生じた分配金や運用益などを再度投資することが重要です。なぜなら、分配金や運用益を毎回手元に残すよりも再投資したほうが元本を増やせるため、運用資産を増やしやすくなるからです。

しかし、忙しさのあまり再投資を忘れてしまったり、相場環境により再投資をためらったりしてしまうこともあるでしょう。

そこで、おすすめしたいのが再投資型の投資信託です。再投資型の投資信託は、運用益から支払われる分配金がありません。その代わり、分配金に相当する金額の投資信託を自動で購入する仕組みになっています。

ご自身での操作や手続きは必要なく、自動で再投資されるため手間がかかりません。相場環境が悪いときに再投資をためらうことも減るので、リターンを増やせる可能性があります。再投資型の投資信託について詳しくはこちらもご覧ください。

手数料を削減する

複利効果を得るためには手数料の削減も重要です。手数料を削減することで、結果的に運用できる元本を増やせるでしょう。投資信託を購入する場合にかかる手数料は以下の4つです。

  • 購入手数料
  • 売却手数料
  • 保有中の手数料(信託報酬)
  • 利益にかかる税金

上記のうち、購入手数料と利益にかかる税金については削減の余地があります。

まず、購入手数料は、投資信託を購入する際にかかる手数料です。再投資型の投資信託の場合、原則として自動再投資で追加購入する分については購入手数料がかかりません。また、再投資以外に追加で購入していくことを考えると購入手数料がかからないノーロード型のファンドかつ再投資型の商品を選んでも良いでしょう。次に、運用益や分配金などの利益にかかる税金は、新NISAやiDeCoを活用することで非課税にできます。新NISAの場合、年間の非課税投資枠は、成長投資枠が最大240万円、つみたて投資枠が最大120万円です。さらに、恒久的に非課税で保有できるので、いつ売却しても税金がかかりません。

iDeCoも新NISAと同じように投資によって得られる分配金や運用益が非課税になります。どちらの制度を活用しても、本来支払うべき20.315%の税率が非課税になるため、節税効果が高いでしょう。まだ活用されていない方は、ぜひ利用を検討してみましょう。

新NISAについて詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

また、iDeCoについては下記の記事をご覧ください。

銀行預金と投資信託の30年後の比較

銀行と投資信託の利回りで長期運用した場合、どの程度の差が生じるのかを計算してみましょう。今回は元本100万円、月々3万円を積み立てていく場合を想定しました。

1年5年10年15年20年30年
銀行預金
(年利0.002%)
1,360,0182,800,1624,600,5046,401,0268,201,72811,803,672
投資信託
(年利3%)
1,395,9313,101,7375,538,1548,362,62411,636,95519,833,223
投資信託
(年利5%)
1,419,9673,319,7586,280,20810,058,57614,880,83628,890,334

※単位は円。手数料や税金等は考慮していません。

例えば、20年後の運用別の成績は、銀行預金で820万円、年利3%の運用で1,163万円、年利5%の運用で1,488万円です。30年後の運用別の成績は、銀行預金で1,180万円、年利3%の運用で1,983万円、年利5%の運用で2,889万円です。

利回りの差により大きな差がつき、さらに期間が長いほどその差が大きくなります。加えて、新NISAやiDeCoなどの節税対策をすることで、その差はより拡大するでしょう。

おわりに

複利の効果を得るためのポイントは、「長期間投資を継続する」「運用益や分配金を再投資する」「手数料を抑える」の3つです。下落相場であっても、途中で投資を辞めずに継続すれば、複利の効果をより得やすくなります。また、新NISAやiDeCoと組み合わせて非課税の恩恵を受ければ、複利効果をさらに高めることが可能です。

複利の効果はすぐには現れませんが、時間と共に資産を増やしやすくなります。時間を味方につけるために1日でも早く投資を始めてみましょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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