資産運用を始めようと考えても、失敗が怖くて一歩を踏み出せない方は、ぜひこのコラムをご参照ください。よくある失敗のケースや原因について解説し、それらを回避する方法もご紹介します。すでに資産運用をしているものの、なかなかうまくいかないかたもぜひ参考にしてください。
資産運用は、商品ごとに特性やリスクに違いがありますが、これらの特性や商品ごとのリスクを知っておくことで、大きな失敗を避けることができます。逆に、何の目標もなく資産運用を始めてしまうと失敗しやすいでしょう。いつまでにどれくらい貯めたい、など明確な目標を立てることは失敗しない第一歩です。分散投資や長期投資を心がけ、自身で学び商品を選ぶことも大事です。資産運用は必ず余剰資金で行い、短期間で売却する投機的な取引はやめましょう。
資産運用のリスクとは
資産運用のリスクにはどのようなものがあるか、解説していきます。
- 価格変動リスク
- 金利変動リスク
- 為替変動リスク
- 流動性リスク
- 信用リスク
- カントリーリスク
価格変動リスク
資産運用商品には、価格変動リスクがあります。価格変動リスクの分かりやすい例は株式投資です。株価は常に変動しているため、1日の中でも振れ幅が大きいことがあります。
午前中と午後だけでなく、たった数分のうちに大きく株価が変わっていることも少なくありません。
価格が変動する要因はさまざまありますが、どの資産運用商品かによってその内容が違います。前述の株式投資のような株価変動が要因の場合だけでなく、海外の金融商品では為替変動やその国の情勢の変化によるものなどさまざまです。
金利変動リスク
金利の変動によって資産の価値が変動するリスクを金利変動リスクといいます。
金利の変動によって資産の価値が変動するため、金利が上がると債券価格は下がりますが、逆に金利が下がると債券価格は上がるという主に債券投資で考えられるリスクです。
そのため、特に債券投資では金利変動リスクも把握したうえでより安全に投資を進める必要があります。
為替変動リスク
外国の金融商品に投資した場合、外貨建て資産の価値が上下するリスクが為替変動リスクです。為替変動リスクでは、日本の円と海外の通貨(ドルやユーロなど)の為替変動が不確実なことで発生すると考えられます。特に海外の資産に大きく影響が生じる点が特徴です。
一方で、投資対象が日本だけである場合は為替変動のリスクはほぼないか少ないといえます。しかし、世界的に影響のあるような大きな事柄が生じた場合には、投資対象が日本である場合でも多少影響を受けることがあるため注意が必要です。
つまり、これらのリスクは投資対象が「日本だから」「海外だから」ということだけでは区分できません。円安や円高になることで、日本にも何かしらの影響があると考えると、為替変動リスクは日本の投資対象では一切関係ないと言い切るのは危険です。あらゆるリスクを想定し、安全な資産運用をしましょう。
流動性リスク
流動性リスクとは、金融商品を売買したいときにマーケットでの売買取引量が少なくなることで取引が成立せず売ることができない、もしくは不利な価格で取引せざるを得なくなるリスクのことです。
株式投資を例に考えてみましょう。株式投資で利益を出す方法のひとつとして「安く買って高く売る」という売却益を求める方法があります。
この場合、保有していた株が企業の不祥事などで大暴落してしまった場合、これ以上保有していても株価が下がり続けるとしたら、より早い段階で売却するのが賢明です。しかし、すでに株価は下がり続けていて、大きな損をするとわかっていても手放さざるを得ない状況があります。株価が下がる状態とは、その株を購入する投資家が少ない状態であるということです。
このほか、不動産投資でも流動性リスクには注意しましょう。
信用リスク
国や企業が財政難・経営難によってデフォルトに陥ってしまうリスクを信用リスクといいます。信用リスクで、国が破綻するとは想像がつかないかもしれません。
しかし、海外では実際に財政破綻した国もあります。信用リスクを避けるためには、購入する予定の国や企業の状況をしっかり調査し、指標となる格付けなどがあればより安心できるでしょう。
カントリーリスク
投資先の国・地域の政治・経済状況などの変化が原因で、金融商品の価値が変動するリスクをカントリーリスクといいます。前述の信用リスクと類似していますが、カントリーリスクでは国や地域などを対象として考えるリスクです。
財政が安定している国の債券価格は、落ち着いている傾向にある一方、財政状況や経済状況が不安定でリスクの高い国の債券は、高いリターンが見込めます。言い方を変えると、リターンを大きくしないと債券が売れないため資金調達ができないということです。
資産運用でありがちな失敗例
資産運用でありがちな失敗例についてご紹介します。
- 資金をすべてつぎ込んでしまう
- 自分で調べずに商品を買う
- 短期間で売却する
- 1つの商品だけに集中して投資する
資金をすべてつぎ込んでしまう
特に初心者のうちは、手元にある現金をすべて投資につぎ込んでしまい、いざという時に使えるお金がなくなるという失敗が起こります。
投資資金は、あくまでも生活費や支払うべきお金以外の資金のみにしましょう。手持ちの資金をすべてつぎ込んでしまうのは、投資ではなく投機に近い状態です。同時に、借金をしてまで投資するのは絶対にやめましょう。
自分で調べずに商品を買う
商品の特徴やリスクなどを調べず、ただ提案された商品を購入するのは避けましょう。必ず自分で調べ、納得のいく商品を購入することが大切です。
提案した方が営業マンや専門家であったとしても、必ずしも利益が約束できるわけではありません。特にセールスでは、その営業マンの営業成績につながるような商品だけを提案してくることもあります。
そのため、必ずその場で即決するのではなく、いったん資料などを持ち帰り熟慮したうえで返答しましょう。
短期間で売却する
値上がりしたらすぐに売却してしまうのは危険です。短期間での売買を繰り返すのは、投資ではなく投機であり、ギャンブル的な要素が強くなります。
また、短期間で利益を出すために一日中資産運用に時間を費やすとなると、仕事や学業に影響するでしょう。
さらに、海外の商品では売買時に為替手数料も発生するため、短期間での売買は手数料分の損失を被っている状態です。
1つの商品に集中して投資する
1つの商品だけに投資していると、損失が出た時に資産が減ってしまいます。失敗しないためには、長期的な分散投資を心がけましょう。
また、一度に一括購入するのではなく、積立投資のほうがよりリスク分散になるためおすすめです。
資産運用に失敗しやすい方の特徴
資産運用に失敗しやすい方の特徴として、次のようなタイプが挙げられます。
- 自分に合わない投資プランを組む方
- リスクを理解していない方
- 目標を決めていない人
- 商品について理解していない方
- ルールを決めていない方
- 専門家に任せっぱなしの方
自分に合わない投資プランを組む方
資産運用に関する書籍や雑誌、インターネット上の情報を多く目にする機会は少なくないでしょう。しかし、その通りにしても失敗する原因になりかねません。
ご自身の年齢、家計収支の状況、ライフプラン、ストレス耐性を考えずに投資するとストレスが溜まってしまい、結果的に失敗につながりやすくなります。
リスクを理解していない方
前述のとおり、金融商品にはさまざまなリスクがつきものです。また、金融商品によってどのようなリスクがあるのかも多岐にわたります。
このような金融商品の内容やリスクを理解せずに、話題性や人気だけで購入を決める人は失敗する確率が高いでしょう。
まずは商品の概要やリスクをよく確認し、リスクヘッジについても考えていく必要があります。
目標を決めていない方
周りの方が資産運用を始めたと聞いたから、負けずに自分も始めてみよう!などと勢いだけで投資を始めると、失敗する可能性が高いでしょう。
資産運用を成功させるコツは、具体的な目標を持つことです。何年後にいくらまで増やしたいなど、より具体的な数字で目標を決めると効果があります。
商品について理解していない方
営業マンなどに提案されたまま商品を購入した場合など、自身の知識不足のまま目先の利益だけを求めて購入すると失敗しがちです。
商品のセールスを受けた場合でも、いったん持ち帰って検討しましょう。ご自身の家計からいくらまでなら捻出できそうか、その商品にはどのようなリスクがあるのかなど、さまざまな方面から検討することが大切です。
購入を急かされたから購入するのではなく、自身が納得したタイミングで購入しましょう。
ルールを決めていない方
どのくらいの損失が出たら損切するというように、ご自身の資産運用のルールを決めていない場合は失敗しやすいです。
特に損切りは勇気が必要ですが、いつまでも保有し続けることで大きな損失が出る場合があります。そのため、具体的に「〇〇円になったら売る」と決めておくなど明確にしておきましょう。
専門家に任せっぱなしの方
投資の結果はすべて自己責任であり、依頼した専門家に任せっぱなしでタッチしないというのは失敗の原因になります。自分の資産なので、自分で責任をもって資産運用をしていきましょう。
資産運用を失敗しないコツ
資産運用を失敗しないコツについて解説します。
- ルールを決める
- 分散・長期投資をする
- 投資は余剰資金で行う
- 知識を身につけておく
ルールを決める
事前にルールを決めて投資を始めましょう。損切りのタイミングや、年間投資額の範囲を決めるなど、具体的な時期や金額を決めておくとより失敗しにくくなります。
分散・長期投資をする
資産運用のリスクを軽減させるためには、分散投資と長期投資を心がけることが鉄則です。さらに積立投資も加わると、より安定した投資結果が期待できます。
投資は余剰資金で行う
まず、生活費を確保して余剰資金のみで投資しましょう。生活費に影響があるような範囲での投資は、利益の有無にかかわらずおすすめできません。必ず生活費や支払うべきお金の確保をしたうえで、長期的な目線で投資をしていきましょう。
知識を身につけておく
資産運用に失敗しないためには、自身でも投資についての知識をつけておくことが大切です。お金のプロから知識を学びたいという方は、マネーセミナーに参加するのがおすすめです。
マネーセミナーは、ファイナンシャルプランナーが保険内容の見直しポイントやお金の増やし方など、お金に関するあらゆることについて講義してくれます。対面セミナーだけでなく、オンライン上で開催されているものもあり、気軽に参加できるのも特徴です。ただし、セミナーによっては講師の質が異なるのが難点です。
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自身の家計の状況を客観的に確認してもらうこともできるので、まずは気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
おわりに
資産運用は、特に初心者は失敗することが多いかもしれません。しかし、自身で一定のルールを決め、商品特性やリスクを確認し、長期投資や分散投資を心がけていくことで失敗の影響を低減させることができます。日頃から資産運用に関する学びを深め、余剰資金で資産運用をしていきましょう。