40代の方の中には、老後の生活費について不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。老後を不安なく迎えるためには、40代の貯金がいくらくらいなのか、老後までにいくら貯めれば良いのかを把握しておくことが大切です。
このコラムでは、40代の貯蓄額と貯金額、老後にいくらあれば安心か、上手に貯蓄を増やすコツなどを解説します。40代の貯金額、老後にいくら必要なのか詳しく知りたい方は是非参考にしてください。
40代は収入が増えてお金に余裕が出る年代です。しかし、住宅ローンの返済や教育費の負担など、何かと支出も増える年代でもあるので、資金計画をしっかりと立てることが求められます。また、老後の準備を始める年代でもありますが、明確な目標や基準がなければ継続しにくいでしょう。無理なく余裕を持って老後に備えるためにも、40代がどのくらいの貯蓄額と貯金額を有しているか、老後の備えとしていくらあれば安心なのか事前に把握しておくことが大切です。
気になる【40代の貯金】
老後に向けた資金計画を立てるには、現在の自分が置かれた状況を把握するとともに、老後に必要な資金がいくらなのか、同年代と比べた自分の貯金額を把握する必要があります。
40代とはどのような年代なのか、貯金額を見る際に重要な2つの数値、40代の貯蓄額と貯金額などを詳しく見ていきましょう。
40代はこんな年代
40代は20~30代と比べて収入が増えるため、お金に余裕が出る方が多いです。
しかし、マイホームを購入したことによる住宅ローンの返済、子どもの進学による教育費といった支出も多い時期なので、資金計画をしっかり立てる必要があります。
就職して20年程度、退職まで20年程度と折り返し地点である40代は、老後に向けた準備を進めるのに重要な時期です。
単身世帯と家庭がある世帯では、必要な老後の生活費が異なるため、パターン別に必要な老後の生活費を把握しておきましょう。
貯金額を見る際に参考にしたい2つの数値
40代のリアルな貯金額を知るためには、信頼度の高い公的機関が公表している資料を参考にするのがおすすめです。
公的機関の資料を参考にする際には、平均値と中央値の2つが記載されていることが多いため、事前に両者の違いを理解しておきましょう。
・平均値
平均値とは、合計金額を人数で割って算出した金額です。合計金額の中に大きな数値があった場合、平均値がその数値に引き寄せられるため、実態との差が生じる可能性があります。
・中央値
中央値とは、集計したデータを昇順または降順に並べた場合の中央の数値です。極端な数値の影響を受けにくいため、本当の貯金額を知りたい場合は中央値を参考にしましょう。
40代の貯蓄額と貯金額
貯蓄は金融資産全体を指し、貯金(預金)はお金を預けることを指すといったように、両者は蓄える対象の資産が異なるという違いがあります。
金融広報中央員会が毎年発表している「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると、貯蓄額と貯金額は以下のような結果となりました。
平均値 | 中央値 | |
40代の平均貯蓄額 | 785万円 | 200万円 |
40代の平均貯蓄額 (金融資産保有世帯に絞った場合) | 1,114万円 | 500万円 |
40代の平均貯金額 | 331万円 | - |
40代の平均貯金額 (金融資産保有世帯に絞った場合) | 469万円 | - |
参照元:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」
世帯ごとにチェック【40代単身世帯の貯金額】
単身世帯なのか、2人以上世帯なのかによって40代のリアルな平均貯蓄額と平均貯金額は違います。そのため、正確な40代の平均貯蓄額と平均貯金額を知るためにも、両者の違いを把握しておくことが大切です。
まずは40代単身世帯の平均貯蓄額・平均貯金額を詳しく見ていきましょう。
40代単身世帯の平均貯蓄額
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると、40代単身世帯の平均貯蓄額は以下のとおりです。
平均値 | 中央値 | |
40代の平均貯蓄額 | 657万円 | 53万円 |
40代の平均貯蓄額 (金融資産保有世帯に絞った場合) | 1,045万円 | 374万円 |
参照元:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」
中央値の乖離が大きく、金融資産がある方とない方の差が大きいことがわかるでしょう。
40代単身世帯の平均貯金額
続いて40代単身世帯の平均貯金額は以下のとおりです。
平均値 | 中央値 | |
40代の平均貯金額 | 250万円 | - |
40代の平均貯金額 (金融資産保有世帯に絞った場合) | 398万円 | - |
参照元:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」
平均の貯金額・貯蓄額を把握することは、自身の現状を見つめ直すだけでなく、将来の資金計画を立てる際に重要な資料となります。ひとつの目安としてしっかりチェックしておきましょう。
世帯ごとにチェック【40代2人以上世帯の貯金額】
40代2人以上世帯は40代単身世帯と比べて家族が増える分、支出も多くなります。収入面に関しては専業主婦(主夫)なのか、共働きなのかによって違ってくることから、同じ2人以上世帯であっても平均貯蓄額・平均貯金額の差が生じやすい点に注意が必要です。
続いて40代2人以上世帯の平均貯蓄額・平均貯金額を詳しく見ていきましょう。
40代2人以上世帯の平均貯蓄額
40代2人以上世帯の平均貯蓄額は以下のとおりです。
平均値 | 中央値 | |
40代の平均貯蓄額 | 825万円 | 250万円 |
40代の平均貯蓄額 (金融資産保有世帯に絞った場合) | 1,132万円 | 500万円 |
参照元:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」
2人以上世帯の場合は、収入が2人分になる世帯もあることから、平均値・中央値ともに単身世帯を上回りました。中央値の乖離が単身世帯よりも狭くなったため、金融資産がある方とない方の差が縮まったと考えられます。
40代2人以上世帯の平均貯金額
40代2人以上世帯の平均貯金額は以下のとおりです。
平均値 | 中央値 | |
40代の平均貯金額 | 356万円 | - |
40代の平均貯金額 (金融資産保有世帯に絞った場合) | 489万円 | - |
参照元:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」
2人以上世帯は収入が増えることによって単身世帯との差が大きくなると思った方も多いでしょう。しかし、実際の差はあまり大きくありません。専業主婦(主夫)の世帯があることや単身世帯よりも支出が多いことが影響していると考えられます。
実際の平均貯金額・平均貯蓄額を把握することで、自分の置かれている状況がどのような状況なのか把握しやすくなるため、老後に向けた準備がしやすくなるでしょう。
【40代の貯金】老後のためにいくらあれば安心?
老後を不安なく迎えるためには、40代の貯蓄額や貯金額などの平均値・中央値などを確認する他、老後に必要な資金との差を把握し、不足分を確保する必要があります。
老後の備えとしていくらあれば安心なのか目安や算出方法などについて詳しく解説していきしょう。
老後必要なお金の計算方法
老後に必要な貯金額を算出するためには、以下の計算式を使用します。
- (生活費-収入)×12ヶ月×年数【20~25年】
退職後にどのくらいの生活費がかかるのかを算出し、退職後に得られるお金と比較しながら不足する老後の資金を求めましょう。
例えば、生活費が26万円、収入が20万円で定年から25年間老後の生活を送った場合は、「(26万円-20万円)×12ヶ月×25年」で1,800万円の資金が不足することがわかります。
定年から25年間で生活費は6,960万円必要
生命保険文化センターが調査した夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費の結果は23万2,000円となりました。つまり、もし定年から25年間老後の生活を送った場合、「23万2,000円×12ヶ月×25年」で6,960万円の老後資金が必要です。
ただし、あくまでも最低日常生活費であるため、場合によっては上記の金額を老後までに貯めていても全く足りないという事態に陥る可能性があるので注意しましょう。
1億1,370万円あればゆったり暮らせる
老後を不安なく迎えるためには、ゆとりのある生活を送った場合にどのくらいの生活費が必要なのかを把握しておくことが大切です。
生命保険文化センターが調査した夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費の結果は37万9,000円となりました。つまり、もし定年を迎えてからの老後生活が25年だった場合、「37万9,000円×12ヶ月×25年」で1億1,370万円の老後資金が必要ということです。
あくまでも上記は老後の支出の合計ですが、上記の支出額から退職後に受け取れる年金といった収入を差し引けば、老後に不足する金額が見えてきます。最低でもその不足額を貯金していれば安心して老後を迎えられるでしょう。
上手に貯蓄を増やすコツ
40代から老後に向けて貯金額を増やしたいと考えている方に押さえていただきたいコツは以下のとおりです。これらのコツを押さえることで効率良く貯金額を増やせるでしょう。
- 無駄な支出を減らす
- 固定費を見直す
- 用途別に口座を管理する
- 先取り貯金をする
- 資産を運用する
それぞれのコツについて詳しく見ていきます。
無駄な支出を減らす
貯金に回せるお金は収入から支出を引いて残ったお金です。そのため、支出を減らすことができればその分だけ貯金に回せるお金が増えるので、まずは無駄な支出を減らしましょう。
安いと思ってセール品を購入したものの、結局使わなかったという方もいるのではないでしょうか。そのような無駄な支出を減らせば、効率良く貯蓄額を増やせるでしょう。
固定費を見直す
無駄な支出を減らす方法として、固定費の見直しは効果的です。固定費は毎月発生するものなので、見直しで費用を抑えられれば支出に回せるお金を大きく増やせます。
固定費の見直しとして挙げられるのは、電気代、ガス代、スマホ代の見直し、利用頻度の低いサブスクの解約などです。毎月5,000円削減できれば、1年で6万円も削減できるので積極的に固定費の見直しを進めましょう。
用途別に口座を管理する
貯金用の口座と支払用の口座が一緒になっている場合は、お金に余裕があると強気になってしまい、無駄遣いしやすくなってしまいます。
しかし、用途別に口座を分ければ、いくらまで使って良いのか明確にわかるため、無駄遣いを減らせるでしょう。
先取り貯金をする
先取り貯蓄とは、給与が支払われた際に、貯金に回すお金を先に引いて、残った金額を生活費として使用するという方法です。
収入から支出を引いて余った金額を貯金に回すという方法は、貯金に回せる金額が月によって変動する、支出が優先されるので無駄遣いしやすいという欠点があります。
しかし、先取り貯蓄は先に貯蓄するので一定額を毎月貯金でき、残った金額しか使えないため無駄な支出を減らせるでしょう。
資産を運用する
預金の金利はかなり低い状況なので、預金しても効率良く貯金を殖やすことはできません。そこで、資産を運用することで貯金を効率良く殖やすことが期待できます。
40代の場合、定年までの期間は約20年です。目標金額を設定し、20年かけて資産を長期運用すると、リスクを抑えながら効率良く貯金を増やせるでしょう。
心配事はプロへ相談を
人によって老後に必要な貯蓄額や最適な貯蓄方法は異なります。自身の置かれた状況を踏まえながら資金計画を立てることが大切ですが、何をどうすれば良いかわからない方も多いでしょう。
老後に不安を抱いている方には、お金のプロへの相談をおすすめします。オンラインFPショップ「セゾンのマネナビ」は、将来のお金に関する悩みをオンラインでファイナンシャルプランナーに無料で相談できるサービスです。
例えば、退職金を運用するにあたって、老後資金がいくら不足しているのかもわからない方もいるでしょう。漠然とした将来の不安を抱えている方もいるかもしれません。
そこで、「セゾンのマネナビ」を活用すれば、何回でも無料でファイナンシャルプランナーに相談できるためお金に関する不安や悩みを解決できます。担当のファイナンシャルプランナーをご自身で選ぶことも可能です。相談はオンラインで行えるため、将来のお金に関する不安を抱いている方は是非お気軽にご相談ください。
おわりに
40代は就職してから20年程度、退職まで20年程度とちょうど折り返し地点です。老後に向けて準備を進めていかなければ老後の生活費が不足する可能性が高いため、現状把握と資金計画をしっかり立てる必要があります。
しかし、人によって老後に必要な生活費、最適な資金計画は異なるため、老後を不安なく迎えるには自身の置かれた状況を踏まえながら資金計画を立てることが大切です。
何をどうすれば良いかわからないという方は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しましょう。