自転車保険の加入義務化が広がり、通学などで自転車を使うことが多い高校生でも自転車保険の重要性が高まっています。高校生にとって最適な自転車保険を選ぶには、いくつかの比較検討ポイントを押さえる必要があります。
今回の記事では自転車保険の補償の種類や内容、選び方のポイントを詳しく解説します。この記事を読めば、自転車に乗る高校生がどのようなリスクに備える必要があるのか、自転車保険の必要性とその補償内容がわかります。
(本記事は2024年8月2日時点の情報です)
高校生が自転車保険に入るべき3つの理由
高校生が自転車通学をするなら、自転車保険には加入すべきです。最初にその理由を解説します。
高校生は自転車の交通事故で加害者となるリスクが高いため
高校生が自転車保険に加入すべき1つ目の理由は、高校生が自転車の交通事故で加害者となるリスクが高いためです。
自転車は車両の一種であり、法律違反で事故を起こすと高校生の子どもでも刑事上の責任を問われます。さらに、相手を死傷させた場合は民事上の損害賠償責任も発生します。
警察庁のデータによると、2023年の歩道で起きる自転車と歩行者の死亡・重体事故における加害者の年齢層は以下のような分布になっています。
- 15歳~19歳:30.5%
- 10歳~14歳:9.9%
- 20歳~24歳:9.2%
参考:警察庁の「令和5年における交通事故の発生状況等について
上記のとおり15歳~19歳の高校生世代が最多で、全体の約3割を占めているのです。この数字は、高校生が自転車事故の加害者になる可能性が高いことを裏付けています。
高校生は、通学や部活動などで自転車を利用する機会が多く、また、危険認知能力がまだ十分に発達していないことが事故リスクを高める要因と考えられます。万が一、高校生が自転車事故の加害者になった場合、多額の損害賠償を請求されるおそれがあります。自転車保険は、そのようなリスクに備えるための重要な手段です。
全国的に自転車保険の加入義務化の動きが広がっているため
高校生が自転車保険に加入すべき2つ目の理由は、全国的に自転車保険の加入義務化の動きが広がっているためです。自転車保険の加入の義務化には、自転車事故の被害者救済の目的があります。
都道府県別の自転車保険加入の義務化・努力義務化の状況は以下のとおりです(2023年4月時点)。
自転車保険の加入を義務化している都道府県 | 宮城県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、新潟県、静岡県、岐阜県、愛知県、三重県、石川県、福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、広島県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
自転車保険の加入を努力義務化している都道府県 | 北海道、青森県、岩手県、茨城県、富山県、和歌山県、鳥取県、徳島県、高知県、佐賀県 |
出典:国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について」
上記のように全国のほとんどの都道府県で自転車保険加入の義務化・努力義務化が進んでおり、今後さらに広がっていくことが予想されます。
加害事故で高額請求されるケースがあるため
高校生が自転車保険に加入すべき3つ目の理由は、加害事故で高額請求されるケースがあるためです。
自転車保険の加入が義務化されている自治体でも、未加入に対する罰則はありません。しかし、過去には高校生が起こした自転車事故で高額な損害賠償請求がなされたケースもあり、自転車事故への備えは非常に重要です。
高校生が高額請求された自転車事故の例として、以下のようなケースがあります。
事故の概要 | 損害賠償額 |
---|---|
自転車で走行中の男子高校生が職務質問中の警察官(25歳)と衝突し、警察官が頭蓋骨骨折等で約2ヶ月後に死亡 (高松高裁2020年7月) | 9,330万円 |
男子高校生が自転車で車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突し、男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った (東京地裁2008年6月) | 9,266万円 |
これらの事例からわかるように、自転車事故による損害賠償額は数千万円にも上ることがあります。高校生やその家族にとって、このような高額な請求は大きな負担となるでしょう。
自転車保険は、このような万が一の事態に備えるために欠かせない手段なのです。
自転車保険の補償の種類とは?
自転車保険は、主に相手に対する「個人賠償責任補償」と自分に対する「傷害補償」で構成されています。それぞれの補償について解説します。
相手に対する補償の「個人賠償責任保険」
個人賠償責任保険は自転車運転中の事故で他人にケガをさせたり、他人の財物を壊したりした場合に法律上の損害賠償責任を補償する保険です。自転車事故のほか日常生活における事故も補償対象となります。高校生の自転車事故は高校生側が加害者となる ケースが多いため、この補償は特に重要です。
自転車事故が発生した際、個人賠償責任保険で補償されるのは、以下のような費用です。
- 相手にケガをさせた場合の治療費や慰謝料
- 相手の自転車や車両を破損させた場合の修理費用
- 事故の示談交渉に要した弁護士費用
- 訴訟になった場合の訴訟費用
ただし、以下のような場合は補償の対象外となります。
- 契約者・被保険者の故意による損害賠償責任
- 被保険者と同居する親族に対する損害賠償責任
- 地震、噴火、津波が原因の損害賠償責任
加害者としての責任を果たすためにも、個人賠償責任保険の加入は必須といえます。
自分に対する補償の「傷害補償」
傷害保険は自転車運転中の事故で自分がケガをした場合に、治療費などをカバーする保険です。高校生は自転車事故に遭うリスクが高く、ケガの治療費や後遺障害が生じた場合の補償も必要です。
傷害保険の主な補償内容は、以下のとおりです。
- ケガにより骨折した場合などの補償(通院保険金・入院保険金・手術保険金など)
- ケガにより死亡した場合の遺族への補償(死亡保険金)
- ケガにより後遺障害が生じた場合の補償(後遺障害保険金)
補償額は保険会社や契約内容によって異なります。たとえば、入院日額は3,000円~10,000円程度、通院日額は1,500円~5,000円程度が一般的です。
ただし、以下のような場合は補償の対象外となります。
- 契約者、被保険者、保険金受取人の故意による事故
- 被保険者の自殺行為・犯罪行為・闘争行為
- 地震、噴火、津波による事故
傷害保険は、高校生自身のケガに備える保険です。治療費だけでなく、事故による後遺障害にも備えられるため、万が一の事故のために加入を検討するとよいでしょう。
自転車保険を比較検討するときのチェックポイント
高校生の保護者の中には、子どもの自転車保険の選び方がわからない人もいるのではないでしょうか。ここでは、高校生に必要な自転車保険を選ぶ際のチェックポイントを解説します。
現在入っている保険の内容に重複するものがないか
自転車保険を検討する際は、まず現在加入している保険に自転車事故の補償が含まれていないかチェックしましょう。なぜなら、個人賠償責任補償特約といった、自転車事故などで法律上の損害賠償責任を負った場合の補償が付帯されている保険商品があるからです。重複して加入すると一方の契約から保険金が支払われない場合があります。
また、個人賠償責任保険の補償を受けられる範囲には、被保険者と生計を共にする同居の親族が含まれます。 つまり、保護者が加入していれば、子どもも補償を受けられるわけです。
具体的には、以下のような保険商品をチェックしましょう。
- 自動車保険の任意保険
- 傷害保険
- 住宅の火災保険
- 共済(自動車共済、火災共済など)
これらの保険商品に個人賠償責任補償特約が付いている場合、自転車保険と補償が重複します。
自転車保険に加入する前には、現在加入している保険に補償の重複がないか確認し、ムダな保険料の支払いを避けましょう。
補償の範囲や期間、保険料は適切か
自転車保険にはさまざまな補償タイプがあるため、補償対象者の範囲や期間、保険料が適切かどうかを確認しましょう。
自転車保険の補償対象者の範囲は、個人や家族など様々です。
(例)
- 個人プラン:本人のみが補償対象
- 家族プラン:本人と家族が補償対象
家族プランを選ぶと、一人ひとり保険に入らなくても1つの契約で家族全員の事故をカバーできます。
※補償対象となる家族の範囲は、保険商品によって異なります。
また、保険期間も重要なポイントです。自転車保険には自動更新されるタイプと、更新手続きが必要なタイプがあります。高校生の場合、在学中に保険期間が切れてしまわないよう、卒業時期までの補償の確保が必要です。
自転車保険の加入方法としてはインターネットやコンビニで手軽に加入できる商品もあり、手頃な保険料で補償を得られます。ただし、補償内容をしっかりチェックし、適切な商品を選ぶ必要があります。
以上の点を踏まえ、自分や家族のニーズに合った自転車保険を選びましょう。
その他サービスが充実しているか
自転車保険選びの際は補償内容だけでなく、付帯サービスや特約の充実度もチェックしましょう。特に高校生に役立つ付帯サービスとして、以下のようなものがあります。
- 示談交渉サービス:事故の際、保険会社が示談交渉を代行
- ロードサービス:事故や自転車の故障時に自転車を運搬
- 弁護士費用特約:被害事故発生時に弁護士費用を補償
これらのサービスや特約は、事故やトラブル発生時に心強い味方となります。
自転車保険を選ぶ際はこれらのサービスが充実しているかを確認し、補償内容とのバランスを考えて選ぶようにしましょう。付帯サービスを上手に活用することで、自転車事故の経済的なリスクの軽減が可能になります。
子どもの自転車保険ならセゾンの「自転車トラブル安心保険」
高校生向けの自転車保険をお探しの方におすすめしたいのが、セゾン自動車火災保険の「自転車トラブル安心保険」です。この保険は手頃な保険料設定と簡単な手続きが魅力です。
- 本人コースと家族コースから選べる
- 月々400円からの手頃な保険料
- インターネットで簡単に加入手続きが可能
- LINEで事故連絡ができる
本人コースは月々400円、家族コースは月々800円という手頃な保険料で、充実の補償を提供しています。
コース別の主な補償内容は以下のとおりです。
本人コース | 家族コース | |
---|---|---|
個人賠償責任保険の対象者 | 本人+家族 | 本人+家族 |
個人賠償責任保険の保険金額 | 最高2億円 | 最高2億円 |
ケガの補償の対象者 | 本人のみ | 本人+家族 |
ケガの補償の保険金額 | 入院日額3,000円、通院日額1,000円など | 入院日額2,250円、通院日額1,000円など |
加入手続きは、ウェブサイトから簡単に申し込めます。保険料は月々のクレジットカード払いなので、初期費用の負担も少なく加入しやすい点が魅力です。また、もしもの事故の際は、LINEを使って簡単に事故連絡ができるので、スムーズに保険金請求のプロセスを進められます。
高校生の子どもを持つ保護者の方は、「自転車トラブル安心保険」へのご加入を前向きに検討されてはいかがでしょうか。
自転車保険に関するQ&A
自転車保険に関するよくある質問を、Q&A形式でまとめました。
自転車保険に加入しているかわからないときは?
まずは自転車に「TSマーク」のステッカーが貼られているかを確認してみましょう。緑・赤・青のいずれかで「TS」のロゴがあるステッカーの「点検基準整備日」をチェックします。点検基準日から1年間であれば、TSマーク付帯保険が有効です。また、緑・赤・青で賠償責任補償の内容や限度額も変わるため、TSマーク付帯保険加入書を確認してみましょう。
次に、加入している自動車保険や火災保険といった損害保険の保険証券を見て、個人賠償責任保険の特約がないか確認してみましょう。保険証券がなくても、オンラインサービスで契約内容を確認できる保険会社もあります。
また、クレジットカードに損害賠償責任保険が付帯されている場合があります。カードの付帯保険については、カード会社のウェブサイトなどで確認できます。
自転車保険はどこで入れる?
インターネットを通じての申し込み、自転車販売店やコンビニ、保険代理店を窓口として加入できます。
おわりに
自転車保険の加入義務化が進む中、自転車通学の高校生にとっての自転車保険の加入は必須といえます。高校生は自転車事故で加害者になるリスクが高く、損害賠償も高額となる可能性があるためです。
最近ではインターネットを通じてすぐに加入でき、保険料も手頃な自転車保険もあります。自転車事故への備えができていない人は、すぐにでも自転車保険に加入したほうが安心でしょう。