ふるさと納税は、基本的に公務員を含めて誰でも利用できますが、実際は批判的な声もあります。特に地方公務員の場合、勤務する自治体と住民票がある自治体が同じであることも珍しくないため、ふるさと納税により他の自治体に税収が流出するのは望ましくないとされるためです。
そこで今回の記事では、ふるさと納税を公務員がすることは可能なのか、具体的な手続きやメリット・デメリットと絡めて解説します。
- 公務員がふるさと納税をすること自体を禁止する法律はない
- ただし、規則において禁止する自治体があったり、禁止こそされないものの否定的な見方をされたりする場合はあるので注意が必要
- 公務員にとってふるさと納税は、他の自治体の政策運営を学ぶことで、自らの公務に活かせる絶好の機会にもなりうる
- 「災害からの復興に役立ててほしい」「自分や家族に縁があった自治体を盛り上げたい」など信念を持って取り組むことが重要
ふるさと納税は公務員でも可能!
結論から言うと、ふるさと納税は公務員であっても利用可能です。前提として、公務員は勤務先の許可がないと副業はできません。無断で副業をしたことが勤務先に発覚した場合、懲戒処分が下される可能性があるため、注意が必要です。
しかし、ふるさと納税は自治体への寄附に過ぎない以上、例え返礼品を受け取ったとしても、それが副業として扱われる可能性は極めて低いでしょう。このような背景を考えると、法律上は公務員でもふるさと納税をすることは特段問題ありません。
公務員のふるさと納税が批判されやすい理由
法律上は問題がないものの、公務員のふるさと納税に対しては批判が集まりやすいのも実情です。
ここでは、なぜ公務員のふるさと納税が批判されやすいのか、以下の2つの理由から解説します。
- 自分が勤務する自治体の税金収入が減る
- 副業や節税だと勘違いされやすい
自分が勤務する自治体の税金収入が減る
まず、ふるさと納税により、自分が勤務する自治体の税金収入が減ることが理由として挙げられます。特に、ふるさと納税の導入後、税収が大幅に減った地方自治体の場合、制度自体に批判的なこともあるため、このような自治体に勤務している場合はふるさと納税をしていることを言い出しにくいかもしれません。
しかし、公務員であっても、自分が勤務する自治体に納付する義務はないうえに、現実的に不可能なケースがあるのが実情です。地方公務員の場合、平常時の業務対応や災害時の緊急対応の観点から、原則として同じ地方自治体への居住を求めることが多くなっています。
しかし、居住、移転の自由は憲法で認められた権利であるうえに、家庭の事情によっては近隣の地方自治体に住まざるを得ないかもしれません。このような場合は当然、住民税は居住地の自治体に納めることになります。
まとめると、例え公務員であっても、自分の勤務する自治体だけに納税できるとは限らない以上、ふるさと納税により自分の自治体の税金収入が減ることを過度に気にする必要はありません。
副業や節税だと勘違いされやすい
副業や節税と勘違いされやすいのも、公務員のふるさと納税に対して批判が集まりやすい理由といえます。しかし、この批判もやや見当違いな部分があるので注意が必要です。
前述したように、ふるさと納税はあくまで自治体への寄附であり、副業とはいえません。また、ふるさと納税は、あくまで「寄附」という形で税金を前払いし、翌年に所得税・住民税の還付・控除として戻ってくる制度といったほうが実態に近いのも事実です。返礼品を受け取れるというメリットはあるものの、節税ではないと考えましょう。
ふるさと納税を公務員が利用するメリット
ふるさと納税を公務員が利用するメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 他の自治体の取り組みを知り知見を広げられる
- 地域の活性化に貢献できる
- 控除を受けつつ返礼品も受け取れる
他の自治体の取り組みを知り知見を広げられる
1つ目のメリットは「他の自治体の取り組みを知り知見を広げられる」ことです。ふるさと納税はもともと税収が多かった自治体にとっては税収減少の原因になるというデメリットがある一方、逆のことも起きています。税収が少なく、優れた政策があったとしても実行に移せなかった自治体が、ふるさと納税による寄附金を財源とし、大胆な施策を打ったことで課題が解決した例は決して珍しくありません。
程度の差こそあれ、すべての地方自治体は何らかの政策上の課題を抱えているはずです。ふるさと納税を通じて、他の自治体のアピール方法や寄附金の使い道を知ることで、自分の公務にも生かせるヒントが見つかるでしょう。
地域の活性化に貢献できる
2つ目のメリットは「地域の活性化に貢献できる」ことです。細かい扱いは自治体によっても異なりますが、返礼品なしでの寄附を受け付けていたり、「子育て支援」「農業支援」など寄附金の使い道を選択できたりすることがあります。
自分や家族が暮らしたことがあるなど縁のある場所を選び寄附すれば、その地域の発展にもきっと役立つはずです。返礼品を受け取るのに抵抗があるという人は、あえて返礼品がない形でふるさと納税をしても良いでしょう。
控除を受けつつ返礼品も受け取れる
3つ目のメリットは「控除を受けつつ返礼品も受け取れる」ことです。公務員がふるさと納税をすると、所得税の還付や住民税の控除を受けられます。前述したように、ふるさと納税の本質は所得税・住民税の前払いですが、手続きをすれば翌年の所得税・住民税の支払いを減らすことができます。
また、返礼品を受け取ることで間接的に生活費の節約に役立てることが可能です。例えば、食べ盛りの子どもがいる場合は、米や肉などの食品を返礼品として受け取ることで、食費の節約効果が見込めます。
セゾンのふるさと納税は簡単でお得!
ふるさと納税をしてみたいと思っても、ポータルサイトの使い勝手が良くないとおっくうになってしまうかもしれません。
セゾンのふるさと納税は、簡単でお得なのが大きなメリットです。まず、寄附額の1%分の永久不滅ポイントまたはAmazonギフトカードが受け取れます。さらに、対象カードなら最大5%還元となっているので、仮に2万円寄附した場合、永久不滅ポイント200ポイント(1ポイント=最大5円相当)もしくはAmazonギフトカード1,000円相当を受け取ることが可能です。
また、利用に当たって特別な手続きは必要なく、Netアンサー、アットユーネットのID、パスワードがあれば手続き可能です。カード番号の入力も不要であるため、思い立ったときにすぐにふるさと納税の手続きができます。寄附上限額のシミュレーターも公開しているので、まずはふるさと納税により、年間でどれだけ寄附ができるのかさっそく計算してみましょう。
ふるさと納税を行う手順
ふるさと納税を行う基本的な手順は以下のとおりです。
- 寄附金の控除限度額を確認する
- 寄附先と返礼品を選び寄附する
- 税金控除の申請を行う
それぞれの手順について、さらに詳しく解説します。
寄附金の控除限度額を確認する
ふるさと納税は、寄附額から2,000円差し引いた額について寄附金控除が受けられ、所得税の還付や住民税の控除が行われる控除です。ただし、年収や家族構成による控除の上限額があり、それを超えた額を寄附した場合、超えた分の金額はすべて自己負担となります。
なお、給与収入と家族構成による控除の上限額は以下のとおりです。
<例>
給与収入 | 独身or共働き夫婦 | 配偶者に収入がない夫婦 | 高校生の子をひとりもつ 共働き夫婦 |
---|---|---|---|
300万円 | 28,000円 | 19,000円 | 19,000円 |
500万円 | 61,000円 | 49,000円 | 49,000円 |
1,000万円 | 180,000円 | 171,000円 | 166,000円 |
なお、これらの数値はふるさと納税サイトのシミュレーション機能を使って調べることが可能です。セゾンのふるさと納税でも寄附額シミュレーターを公開しているので、ぜひご利用ください。
寄附先と返礼品を選び寄附する
自分の控除限度額を把握できたら、寄附先と返礼品を選び寄附しましょう。基本的にふるさと納税はいつしても構いませんが、1月1日から12月31日の1年間にふるさと納税(寄附)を行った分が当年度の所得税の還付、翌年度の住民税の控除の対象となる点に注意が必要です。
また、人気がある返礼品の場合、途中で在庫がなくなる可能性もあるため、できるだけ早い時期に手続きをしましょう。ふるさと納税のポータルサイトを使うと、欲しい返礼品を効率的に探せるのでぜひ活用してください。
ポータルサイトから手続きを済ませると、寄附が完了します。その後、寄附先の自治体から寄附金受領証明書と返礼品が届く流れです。寄附金受領証明書は、この後の税金控除の申請において必要になるため、大切に保管しましょう。
税金控除の申請を行う
ふるさと納税を行うだけでは、所得税・住民税の控除は受けられません。詳しくは次の項目で説明しますが、ワンストップ特例制度もしくは確定申告のいずれかの手続きを行いましょう。
どちらを利用するべき?ワンストップ特例制度と確定申告
ふるさと納税により、所得税・住民税の控除・還付を受けるためには、ワンストップ特例制度もしくは確定申告制度のいずれかを使う必要があります。ここでは、それぞれの制度についてより詳しく解説します。
ワンストップ特例制度と確定申告の利用条件
ワンストップ特例制度とは、公務員を含めた給与所得者など、ふるさと納税以外の確定申告が必要ない人を対象にした特例です。以下に紹介するように、一定の条件に当てはまれば利用できます。
一方、確定申告とは1年間の所得を計算し、それに応じた納税額を求めて実際に納める手続きのことです。寄附先の自治体が6ヵ所以上になる場合や、医療費控除を受けるなどの理由で確定申告が必要になる場合は、ワンストップ特例制度は使えないので注意してください。
<例>
ワンストップ特例制度の利用条件 | 確定申告が必要な方 |
---|---|
・給与所得者でふるさと納税以外の確定申告が不要 ・ふるさと納税の寄附先が年間5自治体以内 | ・ふるさと納税の寄附先が年間6自治体以上 ・給与収入が2,000万円以上 ・経費を引いた家賃収入が20万円以上 ・住宅ローン控除や医療費控除がある |
ワンストップ特例制度の申請手順
ワンストップ特例制度の申請手順は以下のとおりです。
- ワンストップ特例制度の申請用紙を受け取り記入する
- 本人確認書類を準備する
- 各自治体に必要書類を送付する
まず、申請用紙は寄附先となった自治体から受け取るか、総務省のWebサイトからダウンロードして入手します。また、本人確認書類はマイナンバーカードがあれば表と裏のコピーを送付すれば構いません。ない場合は個人番号が記載された住民票の写しと運転免許証など顔写真が付いた身分証明書のコピーを使いましょう。
なお、書類送付は寄附した翌年の1月10日必着で行わなくてはいけないため、年末にふるさと納税をした場合は、書類が準備でき次第すぐに手配するのをおすすめいたします。
確定申告の手順
確定申告による場合は、以下の手順で進めていきます。
- 寄附先の自治体から「寄附金受領証明書」を受け取る
- 源泉徴収票や本人確認書類を用意する
- 還付金受け取り用の口座を準備する
- 確定申告書を作成し提出する
なお、寄附をした翌年の2月16日~3月15日(当日が土日祝日の場合は休み明けの平日)が申告期間であるため、遅れないように手続きを進めましょう。
また「寄附金受領証明書」の代わりに、特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」を添付することもできます。寄附に関する情報が1枚にまとまっているうえに、自分で情報を入力する手間が省けてとても便利です。
なお、特定事業者とは、国税庁に対し所定の登録手続きを済ませたふるさと納税ポータルサイトおよびその運営会社を指します。セゾンのふるさと納税も特定事業者としての指定を受けているため、「寄附金控除に関する証明書」の発行・確定申告での利用が可能です。
参考: 「寄附金控除に関する証明書」発行サービス | セゾンのふるさと納税
ふるさと納税を公務員が行う際の注意点
ふるさと納税を公務員が行う際の注意点について解説します。
特に、以下の3点には注意しましょう。
職場でふるさと納税が禁止されていないかチェック
地方自治体によっては、職員がふるさと納税をすることを規則で禁止している可能性があるので、勤務先の規定を確認しましょう。
また、規則で禁止されていなくても、職場にふるさと納税をすることに対し否定的な人がいる可能性は十分にあります。特に、ふるさと納税により税収が減少した自治体がWebサイトに意見を載せていることもあるため、このような自治体に勤務しているなら特に注意が必要です。
ふるさと納税が職場に知られる覚悟が必要
ふるさと納税をしたことが職場に知られる覚悟が必要です。住民税決定通知書に寄附金について記載されるため、経理担当者などを通じて職場に周知される可能性が高くなります。禁止する規則がなければ堂々としていれば問題ありませんが、否定的な意見をぶつけてくる人はいるかもしれません。
そのような場合は「被災地に寄附したい」「自分(家族)に縁がある自治体の力になりたい」など、明確な理由を伝え、理解を求めましょう。
慎重な行動が求められる
ふるさと納税をしたことが、自分の職務に影響しないよう、慎重な行動を心がけることも重要です。まず、公務員は職務上、特定の自治体との利害関係を持つことが問題になり得ます。寄附先を選ぶときは、自分の職務に関連する、もしくは将来関連しうる自治体は外したほうが無難です。
また、ふるさと納税額次第では、寄附先の自治体に対して特別な影響力を持つことが懸念される可能性があります。公正かつ中立な立場を維持するためにも、あまりに高額の寄附は慎みましょう。具体的にどのように行動すべきか、所属する機関や地方自治体の規定を確認し、それに従ってください。
おわりに
公務員は国民・市民が払う税金の一部から給与を受け取る特殊な立場です。ふるさと納税による税収の減少を危惧していることも自治体もあるため、ふるさと納税をすることに対して否定的な見方をされることがあるかもしれません。
しかし、人口減や災害により税収が少なかったり、復興のために甚大な財源が必要になったりしている自治体は一定数存在します。これらの自治体に対して、無理がなく、組織の規則や公務員としてのモラルに触れない範囲でふるさと納税をするのは、地域の復興や課題解決に役立つはずです。「こういうことに使って欲しい」というビジョンを思い描いたうえで、一度ふるさと納税を試してみましょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。