年末になると、テレビやWebなどのメディアで「ふるさと納税をするならお早めに!」と言っているのを聞いたことがある人はいるかもしれません。しかし、ふるさと納税には「いつまでに済まさないといけない」という期限はないため、いつでも申し込みはできます。ただし「いつ、税金の控除、還付を受けたいか」によって期限が異なることに注意が必要です。この記事では、ふるさと納税の申し込みと税金の関係について解説します。
- ふるさと納税に特段申し込み期限はないが、「いつ、税金の控除、還付を受けたいか」によって申し込みをすべき期限が異なる
- 1月1日から12月31日の一年間にふるさと納税を行った分が、当年度の所得税の還付、翌年度の住民税の控除の対象となる
- ふるさと納税による税金の控除・還付は年末調整で受けることはできない
- 例え会社員であっても確定申告またはワンストップ特例制度に基づく手続きが必須となる
ふるさと納税の申し込み期限はいつまで?
結論から言うと、ふるさと納税に特段の申し込み期限はありません。しかし「いつ、税金の控除、還付を受けたいか」によって申し込みをすべき期限が異なることに注意してください。
そもそもふるさと納税とは
前提となる知識として、そもそもふるさと納税がどのような制度かについて解説します。ふるさと納税とは、全国の好きな自治体に寄付ができ、寄付金額に応じて返礼品が受け取れる制度です。寄付を行うと、自己負担額2,000円を除く金額について所得税、住民税から還付・控除が受けられます。
例えば、5万円を寄付した場合、2,000円を差し引いた48,000円について、所得税・住民税からの還付・控除を受けることが可能です。ただし、控除が受けられる寄付の上限額は、収入や家族構成によって決まるため、上限額を超えた分は自己負担となる点に注意してください。
ふるさと納税の申し込みはいつでも可能
ふるさと納税の申し込みは、24時間365日いつでもできます。ただし、1月1日から12月31日の一年間にふるさと納税を行った分が、当年度の所得税の還付、翌年度の住民税の控除の対象となる点には注意が必要です。
例えば、2024年度の所得税の還付、および2025年の住民税からの控除を受けたい場合、2024年1月1日~12月31日の間に手続きを完了させなくてはいけません。
ふるさと納税をしたら年末調整で申告する?しない?
ふるさと納税をしただけでは、所得税の還付と住民税の控除を受けることはできません。そのため、確定申告を行うか、ワンストップ特例制度を利用するかの選択が必要となります。
なお、会社員の場合、年末調整の時期が近付くと、生命保険料控除など一定の控除に関する書類を提出しなくてはいけません。しかし、ふるさと納税に関しては特段書類を出す必要はありません。年末調整でふるさと納税にかかる所得税の還付と住民税の控除を受けることはできないためです。
以下、年末調整とふるさと納税の関係について詳しく解説するので、参考にしてください。
年末調整とは
年末調整とは、毎月の給与から源泉徴収(天引き)した1年分の所得税と本来支払うべき所得税の過不足を調整するための制度です。毎年11月~12月になると勤務先の担当部署から、書類を提出するよう求められた経験がある人もいるでしょう。
年末調整で受けられる控除の例は以下のとおりですが、ふるさと納税により受けられる寄附金控除を含め、年末調整には対応していない控除もあるので注意してください。
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 扶養控除
- 配偶者特別控除
- 社会保険料控除
- 地震保険料控除
- 生命保険料控除 など
会社員が年末調整でふるさと納税の控除を受けられない理由
会社員などの給与所得者が、年末調整によりふるさと納税にかかる控除を受けることはできません。これには、年末調整が行われる時期が深く関係しています。
ふるさと納税により所得税の控除、住民税の還付が受けられる総額が確定するのはその年の12月31日です。しかし、一般的に企業が年末調整を行うのは12月の給料日です。時期にずれが生じている以上、年末調整によりふるさと納税にかかる控除を受けるのは事実上不可能になります。
ふるさと納税は会社に迷惑がかかるのか
ふるさと納税をしても、特段会社に迷惑がかかることはありません。年末調整によりふるさと納税の控除を受けられない以上、自分で確定申告をするか、ワンストップ特例制度を利用すべく動くしかないためです。会社に申告をしてもらったり、書類を作ってもらったりする必要はありません。
ふるさと納税の寄付金控除はどのように申告すればいいの?
ふるさと納税をし、寄付金控除を受けたい場合は、確定申告もしくはワンストップ納税の手続きが必要になります。
両者の比較のために簡単な表を作ったので、ぜひ参考にしてください。
制度名 | 確定申告 | ワンストップ特例 |
---|---|---|
メリット | ・寄付した自治体が6以上になっても対応可能 ・比較的時間に猶予が持てる | ・確定申告に比べ用意すべき書類が少ない |
デメリット | ・慣れていないと準備が大変 | ・翌年の1月10日までに手続きを完了させないといけない ・寄付の都度申請書の提出が必要 ・寄付できる自治体は5つ以下になる |
以降において、それぞれの制度について、具体的な手続きも含め詳しく解説します。
確定申告でふるさと納税の控除を受ける
まず、確定申告によりふるさと納税による所得税の還付・住民税の控除を受ける場合、翌年の3月15日までに手続きが必要になります。
確定申告とは
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算して確定させる手続きです。以下に当てはまる方は、確定申告をしなければいけません。
- 自営業や個人事業主(フリーランス)の方
- 医療費控除を申請する方
- 住宅ローン控除をうける方(初年度のみ)
- 副業による所得が20万円を超えるサラリーマンの方
- 年収2,000万円を超えるサラリーマンの方
- 2ヶ所以上から一定額の給与をもらっている方 など
なお、ふるさと納税と医療費控除は併用が可能です。ただし、控除上限額は収入や家族構成によって異なるため「セゾンのふるさと納税」など、シミュレーションサイトから事前に確認しましょう。
参考:控除額シミュレーションページ | セゾンのふるさと納税
また、より詳しく、精密な情報を知りたい場合は、税務署や税理士に相談していただくのをおすすめします。
確定申告でふるさと納税の控除を受ける流れと必要書類
確定申告により、ふるさと納税での所得税の還付、住民税の控除を受ける場合、以下の書類を用意したうえで、所定の期日までに手続きを済まさなくてはいけません。
申請期日 | ふるさと納税を行った翌年の3月15日 |
必要書類 | 寄付金受領証明書 源泉徴収票 本人確認書類(マイナンバーカード等) 還付金受取り用の口座番号 印鑑 |
また、確定申告を行う場合、次のいずれかの方法を選択することになります。
- 申告書を手書きで作成し、税務署に持参もしくは郵送する
- 国税庁公式Webサイト「申告書作成コーナー」を使って申告書を作成し、印刷したものを税務署に持参もしくは郵送する
- 国税庁公式Webサイト「申告書作成コーナー」を使って申告書を作成し、e-Tax(電子申告)で送信する
このうち、国税庁公式Webサイト「申告書作成コーナー」を使って申告書を作成し、印刷したものを税務署に持参もしくは郵送する場合の手順は以下のとおりです。
- 国税庁公式Webサイト「申告書作成コーナー」にアクセスし、「印刷して書面提出」を選択する
- 適用を受ける控除で「寄附金控除」を選択し、源泉徴収票の詳細を入力する
- 寄附金控除欄の「入力する」を選択し、「寄附金控除、政党等寄附金等特別控除の入力」画面で「入力する」を選択する
- 「寄附金の種類」で「都道府県、市区町村に対する寄附金(ふるさと納税など)」を選ぶ
- 画面の指示に従って必要事項を入力し、確認画面で問題がないか確かめる
- 最後にマイナンバーを入力し「帳票表示・印刷」ボタンを選択する
- ファイルがPDFデータとして出力されるので印刷して持参もしくは郵送する
ワンストップ特例制度を利用する
ワンストップ特例制度とは、一定の条件を満たす場合は、確定申告を行うことなくふるさと納税に関する寄附金控除を受けられる制度です。便利な制度ですが、ふるさと納税を行った翌年の1月10日までに各自治体へ申請(郵送の場合必着)しなければいけません。
ワンストップ特例制度を利用できる3つの条件
ワンストップ特例制度を利用できるのは、以下の条件をすべてクリアしている人です。
- 1月1日から12月31日までの1年間に行ったふるさと納税の寄付先の自治体の数が5以下である
- もともと確定申告や住民税の申告が不要
- ふるさと納税以外に確定申告をするものがない
裏を返すと、これらの条件のうち1つでも当てはまらない場合は、例え会社員であっても確定申告が必要になります。
ワンストップ特例制度を申請する流れと必要書類
ワンストップ特例を利用する場合の申請期日と必要書類は以下のとおりです。
申請期日 | ふるさと納税を行った翌年の1月10日 |
必要書類 | 申請書(寄付金税額控除に係る申告特例申請書) マイナンバーカードなどの本人確認書類 |
ワンストップ特例を利用するための申請は郵送でもできますが、自治体が対応していればオンライン申請を行うとさらに便利です。基本的な手順は以下のとおりですが、自治体によっても導入しているシステムが異なるため、事前に確認しておきましょう。
- 自治体に寄付を行う
- 寄付先の自治体で採用しているシステムに従い、アプリ等をインストールして手続きを行う
- 寄付した翌年の6月頃に住民税決定通知書が届くため確認する
「セゾンのふるさと納税」ならオンライン申請対象自治体がわかる
会社員かつ1年間で寄付した自治体の数が5以下など、所定の条件を満たすなら、ワンストップ特例制度を積極的に使いましょう。ただし、郵送で書類を送るとなると、年末ぎりぎりにふるさと納税をした場合、手続きが間に合わない可能性も出てきます。間に合わせるという意味では、オンライン申請に対応している自治体を選んで寄付するとさらに効果的です。
「セゾンのふるさと納税」ならオンライン申請対象自治体であることを基準に寄付先を探せて非常に便利です。また、ふるさと納税をしたくても寄付先が決まらない場合に使える「おまかせガチャ」や、年間寄付額が30万円以上の方を対象とした「セゾンのふるさと納税コンシェルジュ」など、ユニークなサービスも設け、さらに便利にお使いいただけます。
これまでにふるさと納税をした経験がある方も、これからチャレンジしてみたい方も、ぜひセゾンのふるさと納税を利用してみてはいかがでしょうか。
おわりに
ふるさと納税自体には、特段期限は設けられていません。しかし「その年に発生した税金について控除・還付を受けたい」場合は、その年の12月31日までに手続きを行う必要があります。さらに、ふるさと納税をしただけでは所得税の還付、住民税の控除は受けられない以上、確定申告もしくはワンストップ特例制度による手続きが欠かせません。ワンストップ特例制度が利用できる条件を満たし、寄附先の自治体が対応しているなら、ぜひオンライン申請で手続きを済ませましょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。