日本の未婚率は増加しており少子高齢化が深刻な社会問題となっています。昨今は「結婚が幸せなものではない」と考える人が増え、また女性の活躍が当たり前になり、必ずしも結婚が社会的信用につながる世の中ではなくなっています。結婚をしなくても自由で自分らしい人生を楽しんでいる人は多いものです。
この記事では、結婚したくない人の割合はどのくらい増えているのか、その理由は何なのかを男女別に解説します。
(本記事は2022年12月時点の情報です)
1.結婚したくない人は増えている?
厚生労働省の統計によると、1995年以降、男女ともに結婚をしたくない人の割合が急増をしており、2020年には9%近くのポイント増となっています。同じ統計に記されている推計では未婚率が2040年までに男性は30%女性は20%に及ぶとされ、さらに結婚をしない人は増えていくでしょう。
1-1.生涯未婚率は増加している
50歳までに1度も結婚したことのない割合をあらわす「生涯未婚率」は年々上昇しており、これを裏付ける推計が国立社会保障・人口問題研究所から発表されています。
この調査は5年ごとに実施されており、世帯総数は2023年まで増加し、その後減少が始まりますが、調査をする毎に平均世帯人数は減少し続けており、近年では生涯未婚率の割合は男性が4人に1人、女性が6人に1人となり、結婚をしない人は増加の一途を辿っていると言えます。2025年にはすべての都道府県で単独世帯が最多になるという試算が出されているのです。
厚生労働省の人口動態統計速報によると2021年の出生数は約84万人と6年連続の過去最少と発表。出生数の割合からもわかるように、生涯未婚率は年々増加しています。結婚をしない人が増えている一因に、全体的な所得の減少と社会保障の負担増加が挙げられます。
2.男性が結婚したくないと思う理由
さまざまな生き方や価値観が浸透してくる中で「結婚が自分にとって幸せなものではない」と考える人が増えていることも未婚率を押し上げている一因です。長年付き合っていても結婚の話となると消極的なパートナーをお持ちの人もいるかもしれません。
まず男性の結婚をしたくない3つの理由をみていきましょう。
- 経済的に家族を養えない
- 自由な時間が減る
- 家族に対する責任を負担に感じる
2-1.経済的に家族を養えない
企業の雇用力が弱まり、労働環境の変化で一昔前のように会社に勤めていれば年功序列で年収が増えていくことも少なくなったことで、低賃金化が進んでいます。低賃金化に加えて、派遣社員が増え安定した収入を得られる男性が少なくなっていることが要因です。
自分一人の生活が苦しく、老後の貯金もまともにできないほど追い詰められている層が増加しているのです。結婚願望があったとしても、家族を養えるほど給料が得られず経済的な理由で家族を持てない男性も増えています。
2-2.自由な時間が減る
自分の趣味や、友人と過ごす時間を大切にする、一人が好きで干渉されたくない男性もいるようです。結婚をすると、ときには家族にサービスをしたり、家族のために自分の時間を犠牲にし、行動を共にするなど家族との生活を優先することになり、自分の自由な時間がなくなってしまいます。
一方で独身なら自由に時間を使え、家族に合わせて生活する煩わしさがありません。複雑な人間関係を構築したくない、趣味や自分の時間を大切にしたい男性は、自然と結婚に対して消極的にならざるを得ないでしょう。
2-3.家族に対する責任を負担に感じる
「家族を守る責任」を負担に感じる男性が多いです。妻や子どもの将来や老後のことを考えたら、自分には荷が重すぎると感じ、結婚に消極的になるようです。
本音を言えば経済的に家族を守る自信が持てず、責任を負いたくないと考えているのでしょう。男女共働きの時代とはいえ、男性が一家の大黒柱という風潮も根強く、男性の負担割合はまだ大きいといえます。
他の理由では簡単に離婚できない、浮気をしたときの責任をとるのが嫌という意見もあります。男は本当に心から「この人と結婚したい」と思えないと、行動には移さないでしょう。
3.女性が結婚したくないと思う理由
ある程度の年齢になると、結婚をしたくなくても結婚をするということが、かつての一般的な女性の生き方でした。
しかし、昨今では、働く女性が増え、キャリアアップをしたい女性にとっては子育てや仕事の両立が大変そう、自分にはできないかもしれないと考えることもあ未婚率も上がってきました。
女性の結婚をしたくない主な理由は以下の3つです。
- 自由な時間が減る
- 結婚に良いイメージがない
- 人間関係が不安
3-1.自由な時間が減る
女性も仕事でキャリアを積める時代になり、仕事や趣味に打ち込む女性が増えています。お金に余裕ができ、自分の好きなことを楽しんで充実しているため、結婚をすることで自由な時間やお金を奪われたくないと考える女性が多いです。特に20代での結婚は、まだ独身の自由を謳歌したい女性が多いと考えられます。
結婚をすると家族優先の生活になり、子育ては必然的に女性がメインになることが多く、自分の時間が奪われてしまうのではと考えてしまうのです。
他の理由としては、他人と一緒に暮らすことをストレスに感じる方も多いようです。
3-2.結婚に良いイメージがない
経済的な自立をしている女性が増え「自分の稼ぎで充実した生活をしているので、結婚することでいまの生活を奪われたくない」と考える女性が多いです。周囲の離婚率の高さや、家族や子どもが優先の窮屈な生活が何十年も続くことなど、結婚に良いイメージを持てないことも一因とされます。
また、子どもがいらないと思う女性も多く、育児をしている人を見ると自由がなくなる、自分に務まる気がしないなどと感じ、余計に結婚したくないと考えるのは当然と言えるでしょう。
3-3.人間関係が不安
独身のときは、友人や両親、パートナーと良好な関係を保っていたはずが、結婚するとギクシャクしてしまうことがあります。結婚をするとパートナーに期待しすぎたり、干渉しすぎたりして関係性が悪くなることも。
また、相手の家族や親戚との付き合い・関係性などでストレスが増えるということも考えられます。特に義両親との関係がうまくいかないケースはよく耳にするため、結婚をしたくないと考えてしまう女性は多いでしょう。
4.結婚しないメリット
結婚をしたくない理由を男女別にみてきましたが、結婚をしないメリットはどのようなものでしょうか。以下の3つの理由が挙げられます。
- 時間と自分のお金を自由に使える
- 義両親や親族関係のストレスがない
- 家族に対する責任を負いたくない
男女ともに結婚をしないメリットは、自分だけの自由な時間が作れ、自分の稼いだお金を自由に使えることです。趣味や旅行に好きな時に好きな額を使えるため、自分らしく楽しく生きられる点が大きいでしょう。何にどのくらい使ったかをとがめられることもないのでストレスがありません。年齢に関係なく、自由に新しい人生への挑戦ができることもメリットです。
結婚をしていなければ義両親や親族と関わりがないため、余計な人間関係を考えることもなくなります。男女ともに家族に対する責任を追わなくていいところをメリットに感じる方が多いようです。
5.結婚しないデメリット
結婚をしないメリットをみてきましたが、一方の結婚をしないデメリットはどのようなものでしょうか。以下の3つの理由が多くみられました。
- 老後が一人になる
- 老後資金が不足する
- 親孝行できない
結婚しないということは、老後も一人で生活しなければいけません。兄妹がいたとしてもそれぞれの家庭があるため、体調を崩してしまったりトラブルがあったりしても、すぐに駆けつけてくれない可能性があります。その場合は一人で対処するか、友人や公的機関に頼るしかないため、心細くなることもあるかもしれません。
結婚をしないことの大きなデメリットは、結婚している人に比べると老後の資金が不安定なことです。金銭面も自由に使える反面、自分だけの稼ぎで生活や貯金をやりくりをすることになるため、働けなくなったときやトラブルが起きたときに助けてくれる存在がいません。病気になってしまったときに支えてくれる存在がいないことは、大きな不安要素となります。
親に孫の顔を見せてあげられないことは、結婚しないことの最大のデメリットと言えます。親は孫を見ることを楽しみにしていることも多く、独身でいることに後ろめたさを感じる方も多いようです。
結婚しない選択をする方が多くなったとはいえ、親などの上の年代からは「結婚をしないなんて一人前になっていない」「結婚をしないのはおかしい」などと周囲から言われることもあります。
おわりに
結婚をしたくない人には、さまざまな理由があります。メリットもデメリットも考えた上でどちらを選択するかは自由です。とはいえ、長い人生において結婚をする可能性も視野に入れておきましょう。結婚をして子どもができれば経済的な負担が増えますし、また、独身を貫いたとしても老後のためにマネープランニングが必要になります。
資産運用をして、結婚してもしなくても、お金に困ることがないように準備をしておきましょう。