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退職金をうまく運用する方法は?押さえておきたいポイントから注意点まで分かりやすく解説

セゾンのくらし大研究 編集部

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退職金を老後の資金にしようと考えている方も多くいるでしょう。しかし、退職金をもらって普通預金に預けたままでは、利息も微々たるもので資産が増えることはありません。むしろ簡単に引き出すことができるため、使い過ぎてしまうこともあるでしょう。

このコラムでは、退職金を運用する重要性について解説していきます。退職金の運用にはどのような方法があるのか、運用する際のポイントや注意点を詳しく見ていきましょう。

退職金を運用することの重要性

厚生労働省発行の令和2年簡易生命表によると、男性の平均寿命は81. 64年、女性の平均寿命は87. 84年です。男女とも、年々平均寿命が上がっており、日本の医療制度の充実がうかがえます。長生きできるようになった一方で、定年を60歳に定める企業が多く、再雇用制度があったとしても給料は半減してしまうという厳しい現実が待ち構えているのも事実です。

定年で退職したくても、年金受給の年齢は65歳に引き上げられ、退職してから年金受給までの間は手許資金で生活しなければいけません。できる限り節約をすれば、ある程度の資金の流出を防げますが、節約にも限界があるでしょう。

ゆとりある生活をするためには、資金の流出を防ぐことばかりに注力するのではなく、資金を増やしていく必要があるのです。では、定年後も汗水流して働かないといけないのかというと、そうではありません。働かずに不労所得を得られるよう、退職金を運用して資金を増やしていく必要があるのです。

参照元:厚生労働省|令和2年簡易生命表 厚生労働省

代表的な退職金運用方法

まずは、退職金の代表的な運用方法についてご紹介します。

投資信託

投資信託(ファンド)とは、複数の投資家から資金を集めていくつかの投資先で運用し、運用成果を投資額に応じてそれぞれの投資家に分配する仕組みの商品です。ファンドはご自身で決める必要がありますが、投資銘柄は運用の専門家が選択するため、専門家のノウハウを活用できます。投資信託は少額から購入も可能なので、運用が初めてで不安を感じている方でも始めやすいでしょう。

株式投資

運用と聞くと多くの方が「株式投資」をイメージするかもしれません。株式投資とは、企業が発行する株式を売買して、配当金や値上がり益などの利益を得ること。配当金とは、企業の利益のうち何%かを投資家に分配することです。

値上がり益は、株価が安い時に株式を購入し、高くなった時に売却をして得られる利益のことをいいます。ほかにも、自社商品や割引券がもらえる株主優待制度を取り入れている企業もあるので、お得感を感じるでしょう。株式投資は投資信託と異なり投資対象は1銘柄で、銘柄は自分で好きに選べます。

株式投資は投資の醍醐味を味わえるので、すでに投資したい企業が決まっているのであればおすすめです。株式投資の売買単位は基本100株であり、1株1,000円の場合、単純計算で100,000円が必要になります。

不動産投資

不動産投資は、マンションやオフィスビルなどの不動産を購入し、入居者に貸し出して家賃収入を得ることが主な目的です。空室なく入居者が安定すると長期的に収入が見込まれるため、幅広い世代から注目されています。他には売買益により利益を得る方法もありますが、現在は土地の下落や低迷が続いており、なかなか地価の上昇は見込まれません。

不動産投資をする時に大切なのは、好立地の物件を購入して適切に管理・運営をすることです。家賃収入が安定して収益性が出ていれば、投資家からのニーズがあり、売却しても利益を得られることがあります。しかし、知識がなければ好立地・好条件の不動産を見つけるのは難しいでしょう。不動産投資を始めようと考えている方は、専門家に相談しながら運用することをおすすめします。

ファンドラップ

ファンドラップとは、投資家の資産運用の考え方をもとに「投資一任契約」を結び、投資先のファンドの選定や資産配分、運用状況の報告など資産運用の一連のサービスを提供する商品です。投資信託は、国内外のどのファンドに投資するのか選ぶ必要がありますが、ファンドラップは投資一任契約を結んでいるので、投資のプロがファンド先を選んでくれます。

投資家の考え方や投資期間、金融資産額に応じて、それぞれの投資家に合わせたリスク水準や資産分配をしてもらえるメリットがあります。投資の知識がない方や、管理や見直しをする時間がない方にもおすすめです。

円定期預金

円定期預金は、預入期間の決まっている預金で、普通預金に比べると金利が高い点が特徴です。元本保証されているので、リスクもなく安心して預け入れることができます。しかし、満期が到来するまでは原則引き出すことはできず、途中解約する場合は定期預金の金利で受け取れないケースもあるので注意しましょう。

貯蓄型保険

貯蓄型保険とは保障機能と貯蓄機能を持ち合わせた保険のことで、終身保険や養老保険、個人年金保険などが該当します。掛け捨て保険と比べると保険料は高めになりますが、掛け捨て保険では受け取ることができない満期保険金や解約返戻金を受け取れる点が特徴です。

貯蓄型保険の中でも退職金の運用先として選ばれているのが終身保険で、一定の期間が経過したあとに解約すると、支払った保険料を上回る解約返戻金を受け取れることから人気があります。貯蓄型保険は定期預金より高い利回りが期待でき、生命保険料控除の対象にもなるため、所得税や住民税の節税にもつながる可能性があるのです。

NISAやiDeCoなどの非課税制度

NISAやiDeCoなど、非課税制度を利用して運用するのも一つの方法です。通常であれば金融商品に投資をした場合、売却益や配当金に約20%の税金がかかります。しかし、NISA口座内で購入した金融商品は、毎年一定金額の範囲であれば利益が非課税になるのです。

成人が利用できるNISAは一般NISAとつみたてNISA。一般NISAは年間120万円まで金融商品を購入でき、最大5年まで非課税で保有できます。つみたてNISAは、一定の投資信託を1年間で40万円まで購入でき、最大20年間非課税となるのです。これから株式や投資信託を始めようと考えている方は、NISAを開設して取引を行うと良いでしょう。

iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、ご自身で老後資金を備えるための私的年金制度です。投資商品は投資信託と元本確保型商品の2種類から選べ、掛金は毎月5,000円から設定できるので始めやすいのが特徴です。

iDeCoもNISAと同様に運用益が非課税になるうえ、掛金の全額が所得控除の対象になるため、所得税と住民税の支払いを減らすことができます。ただし、60歳まで引き出せないことには注意しましょう。

国債

国債は国が発行する債券です。国債を購入するということは、一定期間国にお金を投資することになるため、半年ごとに利子が支払われます。元本割れするリスクがなく、満期になればお金が戻ってきます。普通預金に預け入れるよりも金利は高く設定されているため、普通預金に預けたままの余裕資金があるのであれば、リスクのない国債を購入するのも一つの方法でしょう。

ただし、満期は3年、5年、10年と比較的長い期間を要するため、全ての退職金を預け入れず、旅行資金やリフォーム代金、住宅ローンの返済など資金を確保したうえで、購入するようにしましょう。

退職金を運用する際のポイント

ここからは、退職金を運用する際のポイントをご紹介します。

資産が減らないよう低リスクの運用法をチョイス

退職後は収入が減るため、資産ができるだけ減らない運用方法を選ぶことが大切です。定年後に再雇用で働いたとしても、これまでと同等の水準で給料が支払われるとは限りません。そのため、資産が減らないよう、リスクが低く確実に利益が期待できる商品を運用しましょう。

リスクの高い商品はハイリターンが期待できる代わりに、大きく元本割れをして大損する場合もあります。投資をギャンブルのように扱わず、余裕資金で運用するようにしましょう。

長期的な目線で運用を行う 

退職金は長期的な目線で運用するようにしましょう。短期間で大きな利益を求めすぎると、ハイリスクとなる場合があります。特に、定年で退職してから年金受給までの間は働かない限り収入がないことは念頭に置いておきましょう。

退職金が一度に減ってしまわないように、ローリターンでもリスクの低い商品を長期的に運用するようにしましょう。もちろん、長期的な運用でも投資に回せば損失がでる場合がありますが、ローリスクローリターン商品は長期的目線で行うのが最も有効だとされています。

投資先はできるだけ分散するのがおすすめ 

退職金は一つの金融商品につぎ込むのではなく、複数の商品に分散させましょう。退職金を全額株式投資の購入に充ててしまうと、株価が下落した時に退職金も同時に減ってしまいます。一方、定期預金や国債は元本割れするリスクがない代わり、金利が低いため預け入れたとしても退職金はあまり増えていきません。

そのため、さまざまな金融商品に分散して投資するのがおすすめです。ただし、投資信託や株式投資などのリスク商品の購入は、退職金の3割程度に抑えましょう。

ライフプランにマッチした運用を実践する 

退職金を運用する場合、後先考えずに投資をするのではなく、ライフプランに応じて運用することが大切です。退職金が入ったら、「住宅ローンの返済に充てよう」「3年後にはキッチンのリフォームをしよう」「孫が大きくなった時の援助資金にしよう」など人それぞれライフプランがあると思います。

お金が必要になるのはいつなのかを考え、すぐに使うお金は手元に残して置きつつ、2、3年後に使う資金は普通預金よりも利息の高い定期預金に預けて、すぐに引き出せないようにするのもおすすめです。すぐには使わない子どもや孫への援助資金は、保険や投資信託などで長期的に運用すると、退職金が増えて戻ってくる可能性が高くなります。

定期的に運用内容を見直す

ある程度計画を立てて退職金を運用していても、定期的な見直しが必要です。子どものマイホーム購入資金を援助したり、車の調子が悪くて車を買い替える必要があったりと、想定外のことも起こり得ます。1年に1度見直しの時期を決めて、運用内容を見直すようにしましょう。

退職金を運用する際の注意点

ここからは、退職金を運用する際の注意点についてご説明します。

退職金に税金が課せられる可能性がある 

退職金には、税金が課せられる場合があります。国税庁のWEBサイトによると、勤続年数20年以下と20年超えで控除額に違いがあり、控除された後の課税金額により所得税率が異なるのです。課税対象になるかどうかの判断は、国税庁のWEBサイトを確認してみましょう。

ハイリスクハイリターンの投資は避ける

退職金を運用する際、ハイリスクハイリターンの投資は避けましょう。退職金は投資資金ではなく、老後の生活資金です。ハイリスク商品で老後の生活費を減らしてしまえば、今後の生活が苦しくなってしまいます。できるだけリスクを回避しながら投資をするようにしましょう。

担当者に任せきりにしない 

投資の運用は担当者に任せきりにせず、ご自身である程度の知識を付けることが必要です。投資初心者には、専門家の知識が参考になるのは確かですが「よく分からないけれど専門家がすすめるから良い商品なのだろう」と判断を他人任せにするのはおすすめしません。

担当者にも金融商品を販売するノルマがあり、顧客にすすめる割に本人は保有していないケースも多くあります。もちろん本当に良い商品を提案している場合もありますが、全て担当者に任せきりにせず、ご自身でも知識を身に付けておくことが大切です。

担当者の助言があっても元本が確約されるわけではありません。未来は誰にも予想できないため、退職金が増えるのも減るのも、最終的にはご自身の選択により決まってくるのです。

退職金運用に関する詳しい知識を身に付けるには?

ここでは、退職金を運用するための知識の身に付け方を4つご紹介します。

セミナーに参加する

退職金の運用について知識を身に付けるには、専門家にアドバイスをしてもらえるセミナーに参加することをおすすめします。投資初心者は、退職金の運用で失敗してしまうケースも少なくありません。リスクを抑えて安定した退職金の運用を行うには、プロの講義を聞いて知識を深めてから資産運用を始めると良いでしょう。

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本を読む

現在はWEBサイトで投資関連の情報を簡単に調べることができますが、本は1冊で体系的に退職金の運用について学べるためおすすめです。投資初心者であれば、まずは金融商品の基礎知識やリスクとリターンの関係などから学ぶと良いでしょう。

投資の本は難しいイメージがあり、読み切れるか心配になるかもしれませんが、難しく書かれている本だけでなく、初心者でも分かりやすいようマンガになっているものもあります。ストーリーを楽しみながら学べるため、本に苦手意識のある方はマンガから知識を得るのもおすすめです。ご自身の投資の目的や読みやすさから本を選ぶようにしましょう。

プロに相談するのもアリ

投資経験の少ない方は専門家に相談するのも良いでしょう。プロに相談をすれば、知識がない状態で運用するよりもリスクを減らすことができます。まずはご自身に合った投資プランを提案してもらい、知識を付けたうえで専門家のアドバイスを活用するようにしましょう。

先輩などの先駆者に学ぶ

すでに運用を始めている先輩や知人など、先駆者から運用について学ぶのもおすすめです。成功事例だけでなく、失敗事例も含めて参考にすると、今後の退職金の運用で失敗するリスクが軽減するでしょう。ただし、周りがやっているから自分もやるのではなく、実際にどんな金融商品なのかご自身で理解することが大切です。

おわりに

今後の老後生活を豊かに暮らしていくために、退職金を運用して増やしていくことも大切です。ただし、目先の利益だけを考えてハイリスクハイリターンの金融商品に投資することは避けましょう。短期的には利益がすぐに出なくても、リスクの低い商品を長期的に運用することがポイントです。

運用についてある程度知識を持つためにも、セミナーに参加したり本を読んだりするなどして、ご自身のお金はご自身で守りましょう。

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