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ふるさと納税の仕組みを解説!申請の流れから税金が控除されるまで

セゾンのくらし大研究 編集部

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豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

お得な制度であると注目を集めている「ふるさと納税」。気になっている方も多いのではないでしょうか。しかし、実際には何がどれだけお得で、どのようなメリットがあるのか知らない方も多いはずです。

そこで今回は、ふるさと納税の仕組みや得られるメリットなどを紹介していきます。併せて、ふるさと納税の申請方法もお伝えしていきますので、やり方がわからなくて一歩を踏み出せていない方は、ぜひ参考にしてくださいね。

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1.ふるさと納税とは?

初めに、ふるさと納税が何のために作られた制度か、どのような仕組みの制度かについて紹介していきます。

1-1.何のために作られた制度?

そもそも、ふるさと納税は何のために作られた制度なのでしょうか。地方で生まれ、教育や医療などの行政サービスを受けて育ち、進学や就職をきっかけに都会へ移住しそこで納税を行っている方も多いでしょう。

しかしそれでは、さまざまなサービスを受けてきた生まれ故郷に何も恩返しができません。そこで、今は都会に住んでいるけれど、自分の意思で、応援したい地域やふるさとに何か恩返しができないかと考え、生まれたのがふるさと納税制度です。

1-2.ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税は、ご自身で選んだ自治体に寄附をし、そのお礼として地域の特産品や税金の還付や控除が受けられる仕組みです。寄附する自治体は自由に選択できるため、ご自身の生まれ故郷はもちろん、これから応援したい地域に寄附するのも良いでしょう。

寄附すると寄附金受領証明書が届き、手続きを行うことで、2,000円以上の寄附金については所得税の還付と住民税の控除が受けられます。

2.ふるさと納税のメリット

ふるさと納税の利用者は年々増加しています。その理由はふるさと納税のメリットにあるようです。以下では、ふるさと納税のメリットについて紹介していきます。

2-1.お礼の品がもらえる 

ふるさと納税で1番大きなメリットともいえるのが、返礼品を受け取れることでしょう。ふるさと納税をすると、寄附金の3割以内に相当する返礼品の受け取りが可能です。例えば、50,000円を寄附した場合は、15,000円分の返礼品がもらえます。

さらに、寄附金から2,000円を引いた額は税金が還付・控除されるため、実質2,000円で返礼品を受け取れるのです。返礼品はその地域の特産品や名産品である場合が多いため、ふるさと納税をきっかけにその地域の魅力を知ることができます

コロナ禍で旅行をしにくいという方は、ふるさと納税で地域に貢献しつつ、名産品を楽しんで旅行気分に浸ってみてはいかがでしょうか。

2-2.応援したい自治体を選べる

応援したい自治体を選べるのも、ふるさと納税のメリットです。ご自身の生まれ故郷はもちろん、災害で困っている地域や旅行をしてお世話になった地域など、自由に寄附先を選ぶことができます。

どこに寄附をしようか悩んでいる方は、いくつか自治体のWebサイトを見てみるのもおすすめです。Webサイトではふるさと納税で集まった寄附金の使い道や考え方を知ることができるため、共感できる地域を選ぶと良いでしょう。

2-3.寄附金の用途を指定できる

ふるさと納税は、寄附したお金の使い道を自ら決めることができます。ふるさと納税の使い道を決めることで、普段はあまり気にかけない税金の使い道について考えるきっかけになるでしょう。

ふるさと納税の使い道として、文化財保護や環境保全、子育て・医療支援などが挙げられます。また、地域が抱える課題の解決を目的に掲げられたプロジェクトの一覧が見られるWebサイトもありますので、活用してみるのもおすすめです。

2-4.税金の控除・還付が受けられる 

ふるさと納税をすると、税金の控除や還付が受けられます。控除される上限はありますが、寄附金から2,000円引いた額が所得税の還付や住民税の控除の対象になるのです。

3.ふるさと納税の流れ

ふるさと納税はどのように手続きをすれば良いのでしょうか。ふるさと納税の流れについて見ていきましょう。

3-1.控除額を把握する

まずは、税金の控除額(限度額)を把握しましょう。税金の控除額には上限があり、家族構成や収入によって異なります。また、年収が低くそもそも所得税や住民税がかかっていない方は、税金の還付・控除が受けられないため注意が必要です。税金の還付・控除額は、収入や家族構成を入力するだけで計算できるツールもあるので、ぜひ利用してみましょう。

3-2. 寄附する自治体と返礼品を決める

控除額を把握したら、どの自治体に寄附して、どの返礼品を受け取るかを決めましょう。基本的に寄附する自治体は自由に選べますが、住民票登録のある自治体は返礼品を希望できない場合やそもそも寄附ができない場合もあるため、注意が必要です。

返礼品を決める際は、返礼品が載っているふるさと納税のサイトから決めるのも良いでしょう。クレディセゾンでも「セゾンのふるさと納税」というサイトがあり、返礼品のランキングやおすすめ特集など、ご自身の欲しいものが見つかりやすい工夫がされているため、ぜひご活用ください。

セゾンのふるさと納税の詳細はこちら

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3-3.自治体に寄附をする

寄附する自治体と返礼品を決めたら、早速寄附をしましょう。寄附する際は、自治体への電話や書類の郵送で申し込みが可能です。その他、Webサイトの寄附申し込みフォームからも簡単に申し込むことができます。

その際、「ワンストップ特例制度」の利用を考えている方は、ここで利用申請をすることが必要です。寄附申し込みフォームの「ワンストップ特例制度を利用する」の箇所に忘れずチェックを入れましょう。この「ワンストップ特例制度」については後項で詳しくご紹介します。

3-4.お礼の品を受け取る

申し込みが終わったら、お礼の品を受け取りましょう。ご自身で楽しむことはもちろん、お中元やお歳暮、プレゼントとして利用する方もいらっしゃいます。ただ、ふるさと納税は自治体からの善意のお返しなので、転売はやめましょう。

3-5.寄附金受領証明書を受け取る

寄附先の自治体から、寄附金受領証明書が送られてきます。寄附金受領証明書は、お礼の品と一緒に送られてくる、お礼の品とは別に寄附後1〜2ヵ月後に郵送される、確定申告が始まる2月中旬までに発送されるなど、届くタイミングはバラバラです。寄附金受領証明書は、確定申告の際に必要となるため、大切に保管しておきましょう。

3-6.税金の控除を受ける

住民税と所得税の控除を受けるために、ワンストップ特例制度を利用しない方は、確定申告が必要です。また、寄附先が6自治体以上の方や、ふるさと納税とは別に、医療費控除などを適用する方、個人事業主などの元々確定申告が必要な方など、ワンストップ特例制度を利用できない方も確定申告をする必要があります。送られてきた寄附金受領証明書を添えて、確定申告をしましょう。

4.税金の控除・還付を受けるために必要な申告

ふるさと納税をしただけでは、税金の控除や還付はされません。控除や還付を受けるためには確定申告やワンストップ特例制度が必要です。ここでは、2つのやり方を紹介していきます。

4-1.確定申告

確定申告とは、1月1日~12月31日まで1年間に生じた所得に対する所得税などを計算し、税金の過不足を精算する手続きです。ふるさと納税を行った方は、翌年3月15日までにご自身が住んでいる所轄の税務署に確定申告を行います。

確定申告をする時は、ふるさと納税を行った自治体から送付される「寄附金受領証明書」が必要です。寄附金受領証明書が届いたら必ず無くさずに保管をしておきましょう。

4-2.ワンストップ特例制度

ワンストップ制度とは5つの自治体までのふるさと納税であれば、確定申告をしなくても控除が受けられる制度です。

所得税からの還付はありませんが、寄附金上限額内で寄附した金額から2,000円を引いた額が、住民税から控除される仕組みになっています。利用する時はWebサイトでふるさと納税をする際に、「ワンストップ特例制度の利用する」にチェックを入れましょう。そうすると寄附先の自治体から「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」が届きます。

この申請書を本人確認書類と一緒に寄附を行った自治体に送るだけで手続きは完了です。ただし、ふるさと納税をした自治体によっては申し込み方法が違うこともあるため、事前に自治体に確認することをおすすめします。

4-3.所得税の還付・住民税の控除時期

所得税の還付・住民税の控除時期はそれぞれ以下の通りです。

所得税還付時期

前年の1~12月にふるさと納税を行い、翌年の2~3月に確定申告をすると、1~2ヵ月後の4~5月頃に所得税が還付されます。その頃に、指定した口座に還付金が振り込まれているか確認することで、還付されたことが実感できるでしょう。

住民税控除適用時期

住民税は、前年の収入に対して、翌年の6月から1年間かけて支払います。そのため、1〜12月のどの時期に寄附をしても、確定申告をすると翌年の6月以降の給料から引かれる住民税が控除の対象となるのです。

その頃に職場から受け取れる「市町村民税決定通知書」の「税額控除額」を確認するとふるさと納税で調整された金額が記されています。このように寄附してすぐに住民税が控除されるわけではないため、年収の見込みがある程度分かってからふるさと納税を行うようにしましょう。

5.ふるさと納税で住民税はいくら安くなる?(確定申告の場合)

ふるさと納税を行うことで、税金はいくら控除されるのでしょうか。ここでは、確定申告をした際の所得税・住民税からの還付額・控除額の計算方法を解説します。ここでは、年収500万円(独身)で所得税率20%の場合を例に解説いたします。

5-1.所得税からの還付額の計算方法

所得税からの還付額は、「(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率(復興等区別所得税を加算)」で決まります。なお、ふるさと納税に適用される所得税率には復興特別所得税(所得税率×2.1%)が加算されます。

復興特別所得税を加算した所得税率は、税率が5%の場合は5.105%、10%なら10.210%、20%なら20.420%となります。なお、所得税の還付の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限です。

50,000円をふるさと納税すると、(50,000円-2,000円)×20.42%で所得税からの還付額は9,802円です。

5-2.住民税からの控除額(基本分)の計算方法

住民税からの控除には、「基本分」と「特例分」の2種類があります。まずは、基本分の計算方法を確認しましょう。

住民税からの控除額(基本分)は「(ふるさと納税額-2,000円)×10%」で求められます。控除の対象となる、ふるさと納税額には上限があり、上限額は総所得金額等の30%です。

例えば、50,000円ふるさと納税したとすると、(50,000円-2,000円)×10%で、4,800円の控除を受けられます。

5-3.住民税からの控除額(特例分1)の計算方法

住民税からの控除額(特例分)は、「(ふるさと納税額 – 2,000円)×(100% – 10%(基本分) – 所得税率(復興等区別所得税を加算))」で求められます。

例えば、50,000円ふるさと納税したとすると、(50,000円-2,000円)×(100%-10%-20.42%)で、33,398円の控除を受けられます

この場合、住民税からの控除の特例分は、この特例分が住民税所得割額の20%を超えない場合に限ります。

5-4.住民税からの控除額(特例分2)の計算方法

上記の計算方法で、住民税所得割額が20%を超えた場合、「(住民税所得割額)×20%」で、住民税からの控除額を求めることになります。要するに、20%を超えた部分については、差し引くものがないため住民税から控除されません。

そのため、特例分の金額と所得税からの還付額、住民税からの控除額(基本分)の合計が控除額を超えてしまい、(ふるさと納税額-2,000円)では全額が控除できなくなるのです。よって、実質負担額が2,000円を超えてしまいます。

5-5.控除額の合計額の計算方法

確定申告をした場合、所得税と住民税のそれぞれから税金の還付・控除が行われるため、それらの合計金額を求める必要があります。

還付・控除の合計額の計算方法は、「【所得税の還付】(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率(復興等区別所得税を加算)」+「【基本分の控除】(ふるさと納税額-2,000円)×10%」+「【特例分の控除】(ふるさと納税額 – 2,000円)×(100% – 10%(基本分) – 所得税率(復興等区別所得税を加算))」です。

上記例では、合計:9,802円+4,800円+33,398円=48,000円です。

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6.ふるさと納税で住民税はいくら安くなる?(ワンストップ特例制度の場合)

次に、ワンストップ特例制度を利用した場合の住民税控除額の計算方法を解説します。ここでは、年収500万円(独身)で所得税率20%の場合を例に解説いたします。

6-1.ワンストップ特例制度を使った場合の控除額の計算方法

ワンストップ特例制度を使った場合は、住民税から控除額の全額が控除されます。ワンストップ特例制度の計算方法は以下のとおりです。

住民税からの控除額(基本分):

(50,000 円-2,000 円)×10%=4,800 円

住民税の特例控除額: ※特例控除額は住民税所得割額の 2 割が上限

(50,000 円-2,000 円)×(90%-20.42%)=33,398円

住民税の申告特例控除額 :

住民税の特例控除額33,398円×20.42%÷(90%-20.42%)≒9,802円

上記例では、合計:4,800円+33,398円+9,802円=48,000円です。

7.ふるさと納税をする時の注意点

ふるさと納税は、正しく利用すればメリットを受けられる制度です。正しく受けるためにも、ここでは、注意点を3つ紹介します。ふるさと納税をする前に、確認しておきましょう。

7-1.住民税の控除が適用されるのは翌年分から

ふるさと納税を行うと住民税がすぐに控除されると思っている方もいるのではないでしょうか。住民税は、前年の所得に対して課税され、6月に改定されます。つまり、2022年に行ったふるさと納税による住民税控除の効果は、2023年6月から適用される住民税に反映されます。

7-2.確定申告をするとワンストップ特例制度の控除は無効になる

ワンストップ特例制度の利用を考えている方は、事前にご自身が対象かどうか確認をしましょう。ワンストップ制度は、ふるさと納税を行った自治体が6つ以上の場合や、住宅ローン控除や医療費控除のために確定申告をする場合には利用できません。

なお、ワンストップ特例制度を申請していても、その後確定申告に切り替えた場合は確定申告が優先されます。もしワンストップ特例制度の申請書を自治体が送付した後に確定申告が必要と分かった時は、各自治体が発行する「寄附金受領証明書」が必要になるため、自治体に問い合わせをしましょう。

7-3.控除上限額を超過すると自己負担になる

控除が受けられる金額には上限があり、ふるさと納税を行う際に上限を超えて寄附をするとその分は実質自己負担になってしまいます。控除限度額の上限に関しては、ご自身の年収や家族構成等によって変わるため、事前にシミュレーションできるツールを利用して確認しておくと良いでしょう。

また、ふるさと納税をした金額に関わらず2,000円は自己負担となるので、還元率やお礼の品を考慮して、寄附を行うことをおすすめします。

おわりに 

ふるさと納税のメリットや手続きの流れ、注意点を紹介しました。所得税の還付や住民税の控除が受けられ、実質2,000円で選択した自治体の返礼品を受け取れるふるさと納税。さまざまなメリットがありますが、正しく理解して利用しないと控除を受けられなかったり、寄附分が自己負担になったりと損をしてしまう場合もあります。

今回紹介した内容を参考に、ご自身が育った地域や応援したい地域に寄附することができるふるさと納税にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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