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離婚の際に弁護士に依頼する費用の相場はいくらぐらいなのか?​​

セゾンのくらし大研究 編集部

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離婚の際に夫婦の話し合いで解決できれば、円満に離婚が成立します。しかし、お互いの意見が対立してしまうとトラブルに発展する可能性もあるため、弁護士へ相談することも検討しましょう。

弁護士に相談すれば法律に沿った結論が導き出せるため、トラブルのリスクは軽減されますが、弁護士に支払う費用がかかります。弁護士費用としていくらぐらい用意すべきか不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。

今回のコラムでは、離婚における弁護士費用や、弁護士費用を少しでも安くするための秘訣などを詳しく解説します。

弁護士に支払う費用の相場

弁護士に支払う費用は、依頼内容によって異なります。まずは、依頼内容ごとに相場を見ていきましょう。

協議離婚の場合

協議離婚とは、夫婦が話し合って離婚の合意に至る方法です。話し合いがスムーズに進めば弁護士に依頼せずに離婚が成立し、費用もかかりません。しかし、話し合いが難航した場合は、弁護士に相談することで解決することができるでしょう。

協議離婚について弁護士に依頼した場合の費用の目安は以下のとおりです。

項目費用の目安
慰謝料請求請求金額の10%~20%
財産分与回収金額の10%〜20%
養育費の獲得1年間の養育費の10%前後
親権の獲得10万円~20万円

では、上記を基に、弁護士に支払う費用を事例別に計算してみましょう。

慰謝料や財産分与の目安は10%〜20%です。200万円を受け取った場合、20万円〜40万円ほどが相場となります。

養育費の目安は、10%です。1年間にもらえる養育費が48万円の場合は、4.8万円が相場となります。

離婚調停の場合

協議離婚でお互いが主張を譲らず協議が不成立となった場合、裁判所での離婚調停に移行するケースがあります。離婚調停は、裁判所が関与し、調停委員が夫婦間の話し合いを仲介する手続きであり、話し合いにより解決を図る方法です。

離婚調停では、必ず弁護士を立てる必要はありませんが、自分で手続きを進める場合は手間がかかるので注意しましょう。離婚調停を弁護士に依頼した場合の費用は、着手金や成功報酬がそれぞれ20万円〜30万円、それ以外の相談料などを含めると合計40万円〜70万円ほどが相場です。

弁護士には、離婚調停への出席の同伴または代行、必要書類の作成など一連の手続きを依頼できます。

離婚裁判の場合

離婚調停でもお互いが主張を譲らなかった場合、最終手段として行うのが離婚裁判です。離婚裁判では、離婚調停時に依頼した弁護士にそのまま訴訟を担当してもらうことも、新たに弁護士に依頼することも可能です。

調停から引き継いでいる弁護士の場合、着手金が無料になるケースもあり、裁判費用だけをみると20万円〜30万円が相場と考えて良いでしょう。

裁判から弁護士に頼む場合、依頼金や着手金が20万円〜30万円、成功報酬を含めると40万円〜60万円が相場といわれています。慰謝料や財産分与の回収も成功すると、その金額の数%を支払う必要があるため、費用の合計が100万円を超えることも珍しくありません。

離婚裁判は最も高額になり、それに加えて期間も長くなります。1〜2年ほどかかるので、なるべく短期間で済ませたい方は、協議離婚や離婚調停の段階で相手の条件を検討し、合意に至る方法を模索することも有効です。

弁護士の料金内訳

弁護士の料金内訳

ここからは、弁護士に離婚に関する依頼をした場合にかかる料金の内訳を、相談料、着手金、成功報酬、日当や実費に分けて解説します。

相談料

相談料は、弁護士事務所が依頼を受ける前に相談に乗ってくれる際に支払う費用です。

ほとんどの事務所は相談時間の長さによって料金が加算されますが、無料で相談を受け付けているところもあります。相談料の相場は、30分〜1時間につき5,000円〜1万円ほどです。

着手金

着手金は、弁護士への依頼が成立した時点で支払う費用です。着手金は依頼主の希望どおりの結果にならなかった場合や途中で依頼をやめた場合でも、支払う必要があり、返金はされません。

着手金の金額は、離婚の種類や依頼内容によって異なります。慰謝料の請求額が具体的に決まっている場合、その金額の大小によって着手金が変動することもあります。一般的な着手金の相場は20万円〜30万円ほどです。

成功報酬

成功報酬は、依頼人の希望どおりに離婚が成立し、問題が解決した場合に支払う報酬です。成功報酬は扱う案件によって金額が異なりますが、離婚が成立した場合の基本的な成功報酬は20万円〜30万円ほどが相場となります。

加えて慰謝料や財産分与、養育費などの回収に成功した場合は、概ね回収できた金額の10%〜20%を成功報酬として支払わなければなりません。

また、親権争いの解決を依頼した場合は、成功報酬が加算されることがあります。事務所によって異なりますが、10万円〜20万円ほどが相場です。

日当や実費

弁護士が裁判所への手続きを代行する際、裁判所が事務所から遠い場合や、出頭回数の上限を上回る場合、日当と呼ばれる料金が発生します。日当の相場は、1日33,000円〜55,000円ほどです。

そして、各種手続きで移動の際にかかる交通費、出張費用、裁判の際に必要な手数料、収入印紙代、切手代、通信費などの実費も請求されます。実費は数千円で済む場合もあれば、数万円ほどかかることもあります。

なぜ離婚で弁護士に依頼するのか

なぜ離婚で弁護士に依頼するのか

離婚は一大事ではありますが、弁護士に相談すると費用がかかるし、プライベートな部分を第三者に話したくないから依頼したくないと考える方もいるでしょう。

しかし、離婚では慰謝料など金銭に関わる問題も発生します。曖昧なままにしておくと、離婚後の経済的負担が重くなり、困窮してしまう危険性があります。

夫婦間の話し合いでどうしても解決できない場合は、妥協するのではなく弁護士に相談して解決を図るべきです。

では、離婚において弁護士に依頼すべきケースを紹介します。

慰謝料請求

相手の不倫や浮気といった不貞行為が原因で離婚する場合、配偶者は精神的な苦痛を受けた代償として慰謝料を請求する権利があります。不倫などがあった事実を確定する十分な証拠がなく、相手が慰謝料の支払いを拒否した場合でも、弁護士に依頼すれば解決に近づく可能性があります。

財産分与

離婚時、夫婦ふたりで築きあげた共通の財産を分配することを財産分与といいます。財産は基本的に夫婦それぞれ2分の1ずつ分け合いますが、相手より収入が多い場合や、相手側より明らかにこちらが収入面で努力した場合などは、夫婦間の話し合いだけで解決できないことも少なくありません。

このような場合は、弁護士に相談することで適切な解決を図ることができます。

DVやその他のトラブル

DVやトラブルが原因で早く別れたいのに相手が離婚を認めない場合、助けを求める意味合いで弁護士に相談することも可能です。また、傷害事件に該当するケースでは、警察に連絡するべきでしょう。

弁護士費用を安く抑えるためのポイント

弁護士費用を安く抑えるためのポイント

弁護士に支払う料金は決して安くないので、費用を少しでも抑えたい方は、そのためのポイントを把握しておく必要があります。では、具体的なポイントを見ていきましょう。

無料相談を利用する

弁護士費用を少しでも安く抑えたい場合は、無料相談を利用しましょう。相談する際に30分で5,500円もしくは1時間で11,000円の費用がかかる事務所がある一方で、相談料を無料にしている事務所もあります。

ただし、時間が限られていることや相談回数が制限されていることから、詳しい質問は無料でできない可能性があります。また、具体的な交渉や書類作成などの実務は無料相談の対応業務に入っていないので、有償で依頼する必要があります。

複数の事務所を比較する

離婚に関する一連の手続きが面倒なので、早く片づけたいからと比較検討をせずに弁護士事務所を選ぶと後悔することがあります。例えば、相場より高い費用を提示されたり、料金が安くても対応が十分でなかったりする場合もあるでしょう。弁護士選びで後悔しないためにも、まずはインターネットの口コミなどを参考にして、自分と相性の良さそうな事務所をいくつか比較してみましょう。複数の事務所を比較すれば、相場感も把握できます。

法テラスの利用

離婚をしたいけれど弁護士に依頼する費用の捻出が難しい場合は、法テラスの立替制度を利用すると良いでしょう。

法テラス(正式名称・日本司法支援センター)とは、法務省の管轄のもとに運営されている支援機関です。経済的に困窮している方々のために、無料で弁護士の相談や費用立替を行っています。

法テラスに依頼すれば、経済的に苦しい方であっても法的サービスの利用が可能です。ただし、以下の条件を満たす必要があります。

  • 家族2人で財産(所有している預貯金、不動産、有価証券など)の合計額が250万円以下
  • 家族3人で財産の合計額が270万円以下
  • 家族4人で財産の合計額が300万円以下

また、月収や加算上限額の基準もあるため、まずは基準を満たしているか確認しましょう。

なお、基準を満たしていなくても、医療費などの出費がある場合は法テラスの制度対象になる可能性があるので、相談してみましょう。

参照元:法テラス

自宅から近い事務所に相談

自宅から近い場所にある事務所を選ぶことも大事です。自宅から遠い事務所を選ぶと、通うまでの交通費や時間の負担が大きくなります。

また、弁護士事務所と裁判所の距離が遠いと、弁護士の交通費を実費として請求される可能性もあります。

なるべく早く依頼する

離婚に関する問題は長引けば長引くほど、離婚調停から離婚裁判と複雑化して費用も高額となります。時間と手間も多くかかるので、精神的にも疲弊するでしょう。

このような問題を回避するためには、離婚の問題が浮上した段階で弁護士に依頼しましょう。早い段階であれば問題も複雑化しにくいので、弁護士に相談するだけ、あるいは協議離婚だけで解決する可能性があります。弁護士費用をも抑えることができれば、慰謝料や財産分与で費用を賄える可能性もあります。

弁護士に離婚について依頼する際の注意点

弁護士に離婚について依頼する際の注意点

弁護士に離婚について依頼する際は、いくつか注意点があります。依頼をしてから後悔しないために、それぞれ理解しておきましょう。

調停と裁判でそれぞれ費用がかかる場合がある

弁護士事務所によっては、調停離婚と裁判離婚の両方で着手金と成功報酬を設定している場合があります。

その理由は、調停と裁判を別の手続きとみなしており、それぞれの費用を請求するからです。

加えて、慰謝料や親権、財産分与などの同時に解決すべき問題がある場合は、それらの調停や裁判についても別途着手金と成功報酬が発生することが多いので注意しましょう。費用について気になる場合は、相談の際に確認しておくべきです。

弁護士費用は固有財産から支払う必要がある

夫婦間で揉めていて、片方だけが弁護士に依頼するケースも考えられます。このようなときは、弁護士に依頼する側の固有財産から費用を支払うべきです。手持ちの現金がないといった理由で勝手に夫婦の共有財産から費用を支払うとトラブルの原因になります。また、共有財産から支払われた費用は、財産分与の際に減額対象となることがあります。

弁護士費用を用意できない場合は、法テラスの弁護士・司法書士費用等の立替制度の利用を検討しましょう。

費用を支払うタイミングに注意する

弁護士に支払う費用は、以下のように各費用によって支払うタイミングが異なるので注意が必要です。

  • 相談料:相談後に支払う
  • 着手金:依頼時に支払う
  • 成功報酬・実費・日当:事件解決後に支払う

特に着手金や成功報酬は高額になりやすいため、負担が重くなるかもしれません。

金銭面の不安がある場合は、事前にこれらの費用をいつまでに支払わなければならないのか確認しておきましょう。

また、弁護士事務所によっては、着手金の分割払いなど柔軟に対応してもらえる可能性もあります。

弁護士に依頼する前に費用を確認しておこう

弁護士に依頼する前に費用を確認しておこう

離婚に関する問題で夫婦間の話し合いが円滑にいかない場合は、弁護士に解決を依頼する方法があります。しかし、高額な費用がかかるため、依頼を迷っている方もいらっしゃるでしょう。

実は、無料で相談できる弁護士事務所もあるので、利用のハードルは意外と低めです。また、弁護士に依頼する際の費用や、安く抑えるためのポイントを事前に知っておけば、負担は想像しているほど大きくならない可能性もあります。離婚の問題で悩んでいる方は、まずは弁護士事務所への相談をおすすめします。

そして、離婚後の生活に不安がある方は、クレディセゾンが運営する「セゾンマネースクール」を利用してみてはいかがでしょうか。資産運用や老後の資金など、今後の人生において重要な問題であるお金に関して、わかりやすく情報を提供してくれます。オンラインでも受講可能なので、気軽に参加できるのも特徴です。

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