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孫の大学費用はどれくらいかかる?

孫の大学費用はどれくらいかかる?
セゾンのくらし大研究 編集部

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セゾンのくらし大研究 編集部

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小中学校とは違って大学に進学するには高額な入学金や授業料が必要になることが一般的です。近年、大学教育費を祖父母が援助するというケースがあり、そこには税法上の知識があることで有利に利用できるということもあります。このコラムでは、大学の進学に必要となる費用の概算と、祖父母がその費用を出す場合の方法について紹介していきます。

1.大学にはどれくらいの費用がかかるのか

大学に係る主な費用は、学費や受験料、そして生活費が該当します。1つひとつ見ていきましょう。

1-1.大学の学費とは

大学の学費は国立、公立、私立によって違ってくるほか、大学によって、学部によっても違ってさまざまです。在学中の平均的な合計金額(授業料・入学料)について文部科学省の調べによると、以下のとおりです。

・国立大学は「約243万円」

・公立大学は「約255万円」

・私立大学は文科系「約398万円」、理系は「約542万円」、医歯系は「約2,357万円」

特に医学部、歯学部、薬学部薬学科などでは6年間通うことに加えて、高額な授業料となっているため注意が必要です。また、これらの学部は国立と私立の差が大きいので、それも合わせて知っておくと良いでしょう。

初年度の費用は授業料の他に入学金が必要となるため2年次以降よりも少し高くなります。文部科学省の調べによると、以下のとおりです。

・国立大学は「約82万円」

・公立大学は「約93万円」

・私立大学は文科系「約117万円」、理系は「約154万円」、医歯系は「約482万円」

1-2.大学の学費の支払いのタイミングは

大学の学費については金額も重要ですが、支払うタイミングも重要となります。特に注意しなければならないのが最初の支払いです。多くの大学が合格発表から1~2週間のうちに入学手続きをすることとなっており、その期間を過ぎると合格が取り消されてしまうということがあります。この入学手続きと同時に「入学金」「前期の授業料、施設設備費、同窓会費」などを支払うのが一般的です。

一般入試で合格した場合は入学直前の2~3月くらいが支払いの時期となりますが、AO入試や指定校推薦、公募推薦などによって年内に合格が決まる場合には支払いも11~12月までの年内となるため注意が必要です。このタイミングで国公立大学であれば「60万円前後」、私立大学であれば「80~100万円前後」の費用が必要になるといわれています。

また後期授業料は10月頃に支払うことが多く、それ以降は前期の授業料が4月、後期の授業料が10月頃の支払いということを繰り返していくことになります。

この時に特に注意しなければならないことは、「合格のキープ」というものがあります。例えば、11月ごろに公募推薦で本命のA大学と滑り止めのB大学を受けたとします。この時、A大学が不合格でB大学だけ合格したとします。これでB大学に進学すると決めた場合は特に問題はないのですが、一般入試でA大学に再び挑戦するという時に注意が必要になります。

一般入試でA大学を受けるという場合に、B大学の合格をキープしておきたい場合にはB大学に入学の手続きをする必要があります。つまりこの時点で80万円前後のお金が必要となるのです。

そして生徒が一般入試でA大学に合格し、A大学に進学することになるとA大学の入学手続きでさらに80万円前後のお金が必要となってきます。B大学に入学辞退の手続きをすれば授業料は戻ってきますが、入学金については基本的に戻ってきません。また、戻ってくる授業料もすべての手続き終了後に戻ってくるため、時間がかかります。

この「合格のキープ」を行う場合には多額の費用が短期間のうちに必要となりますので、より注意が必要となるのです。もしこの方法での受験を考えているのであれば、念頭におきましょう。

1-3.大学の学費以外に必要となる費用

まず受験をする際には「受験料」が必要となります。国公立大学の場合はほとんどが「約17,000円」、私立大学の場合は約「約35,000円」が1つの出願あたりで必要となってきます。入学すると「教科書、参考書」の代金が必要となってきます。

また大学に自宅から通う場合の「交通費」の他、一人暮らしをする場合には家賃に加えて、食費などの「生活費」なども必要です。合わせて、入学式に着るためのスーツや靴、カバンをはじめ、レポートの作成やオンライン授業を受けるためにパソコンなども購入する必要があるでしょう。

1-4.多くの学生が利用している奨学金制度

このように大学への進学には少なくとも数百万円単位のお金が必要となってくるため、経済的な理由で大学進学が困難な生徒が出てきます。そういった生徒たちを救う制度として、「奨学金制度」が活用されています。

もっとも多くの学生が利用しているのは「日本学生支援機構(JASSO)」のものであり、他にも地方自治体のもの、民間の団体のもの、大学が独自に行っているものなどがあります。奨学金には返済する必要が無い「給付型」、「利息あり貸与型」、「利息なし貸与型」といった方式があります。どの方式を利用できるかは「生徒の学力」「世帯収入」などによって異なってくるため、希望する方式を必ず利用できるわけではありません。

利用するには高校3年生の時点で申し込んでおく「予約採用」と大学に入学してから申し込む「在学採用」があるのですが、予約採用をしていても大学入学後に正式な手続きをする必要があります。

また、予約採用で申し込んでいても実際に奨学金を受け取ることができるのは大学に入学してからになるため、入学手続きの際の初期費用の支払いには間に合わないことになります。初期費用の支払いのお金が不安な場合は国や民間の「教育ローン」に申し込んでおくと良いでしょう。

実際に大学に通っている学生の約半数が利用しているといわれる奨学金ですが、給付型でない限りは奨学金や教育ローンは将来的に借り入れとして残ることとなります。それを考慮に入れて利用するのが良いでしょう。

2.教育費に生前贈与を活用

このような教育費などを支払うために、生前贈与を活用するのも1つの選択肢かもしれません。これは、平成25年4月1日から発令された「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度」(教育資金の一括贈与制度)に基づき行う生前贈与です。当初2019年3月末日までとなっていましたが、2023年3月末日までに延長されています。

この制度は、教育資金としての資金使途を目的に、親や祖父母から30歳未満の子や孫など受贈者1人につき、1,500万円まで非課税で贈与できる制度です。

この制度を利用するためには金融機関で手続きが必要になります。親や祖父母は贈与金の管理契約を金融機関と締結し、子や孫名義の口座に一括で振り込みます。子や孫は教育資金の領収書や請求書等の資金用途を提出することで、贈与税がかかることなく非課税でお金を引き出すことができるというものです。なお、目的外の引き出しもできますが、その場合には贈与税がかかるので注意が必要です。子や孫が未成年の場合、親などの保護者が手続きを代行できます。

贈与を受ける孫が30歳に達するなどによって教育資金口座に関わっている契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額があると、その残額は契約終了時に贈与があったとみなされます。

ただ、こうした祖父母から孫への教育資金の贈与はどういったものに対しても適用されるわけではなく、国税庁で教育資金として認める範囲が規定されています。

2-1.教育資金の範囲

国税庁が定める教育資金として認められる範囲は以下のとおりです。

①学校に直接支払われるもの

1)入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など

2)学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など

ここでいう「学校等」に該当するのは、学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専修学校及び各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園又は保育所を指します。

②学校等以外に対して直接支払われる次のような金銭で教育を受けるために支払われるものとして社会通念上相当と認められるもの

1)教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など

2)スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など

3) 1の役務の提供又は2の指導で使用する物品の購入に要する金銭

4)通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費

となっています。この制度は非常に便利な制度です。利用する前には国税庁のWEBサイトにて詳細を事前に確認した後に利用するのが良いでしょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。大学進学には多額の費用が必要となってきます。しかし、こうした教育資金については、うまく非課税制度を利用することで、祖父母が孫の大学進学費用を非課税で贈与することが可能になります。ぜひこの制度をうまく利用することで、効率的に贈与を行っていきましょう。

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