「ローソク足」という言葉を聞いたことはありますか?
「ローソク足」とは株価や為替相場を視覚的に表すのに欠かせないツールであり、相場を読み解く上でとても大事です。ローソク足自体はとてもシンプルな形をしていますが、実はチャートの値動きの多くの情報を読み取ることができます。
基本的な見方さえ一度覚えてしまえば、投資判断をする分析まで応用できるようになりますので、覚えておいて損はありません。
このコラムでは、投資を始める前にぜひ覚えておいてほしいローソク足の基礎知識と見方を、初めての方でも分わかりやすいように解説していきます。
1. ローソク足とは
「ローソク足」とはその名の通り、形がローソクに似ていることから名付けられました。
時は江戸時代、1700年代の日本で、本間宗久(ほんま そうきゅう)と呼ばれる相場師がローソク足を発明したといわれています。それだけではなく、今も多くの投資家が愛用している『酒田五法(さかたごほう)』という相場を読み解く手法も確立しました。
今や、日本のみならず世界中の投資家たちの間でも「Candle Chart」という名前で親しまれ使われています。
では、ローソク足は一体何を表すものなのでしょうか?
株価や為替の値動きを確認する際に、以下の画像のようなチャートというものを確認します。一度はどこかで見たことがあるかもしれません。
「ローソク足」はこのチャートの一部です。ローソク足がいくつか連なり、チャートの形を形成しているものを『ローソク足チャート』と呼びます。
ローソク足1本ごとに、取引を設定した時間内の値動きの情報を見ることができます。数字の羅列で表される株価や為替レートを視覚的に、そして過去のデータまで含めて値動きの推移を確認できるのが特徴です。
1本あたりの期間を変えることもでき、1分、5分、10分、30分、1時間などの短期もあれば、1日、1週間、1ヵ月などの長期の設定も可能です。それぞれの時間設定は「足」を付けて呼びます。例えば、「分」は『○分足(ふんあし)』、「時間」は『○時間足(じかんあし)』、「日」は『日足(ひあし)』、「週」は『週足(しゅうあし)』「月」は『月足(つきあし)』となります。
また、1分足のローソク足が5つ並ぶと、5分間分の値動きが分かります。短期の足を合わせると、長期の足と同じ意味を持つのです。設定時間を変えて見ることで、1つのローソク足だけでは見えなかった情報が分かることもあるため、多くのプロ投資家は、さまざまな設定時間でローソク足を観察し、分析に活用しています。
2. ローソク足の見方
ローソク足を構成するものと、その見方についてご紹介していきます。
2-1. 陽線と陰線
チャートを形成するローソク足は基本的に2色で表され、それぞれ「陽線(ようせん)」、「陰線(いんせん)」と呼ばれます。ローソク足で示す期間の中で、ローソク足が形成され始める時より、形成し終わった時の値段が高いか安いかを表現しています。
「陽線(ようせん)」はローソク足で示す期間の間、買いが多く最終的に値上がりしたことを示し、基本的に白抜きや赤色で表示されることが多いです。反対に、「陰線(いんせん)」はローソク足で示す期間の間、売りが多く最終的に値下がりしたことを示し、基本的に黒塗りや青色で表示されることが多いです。
ただ、ローソク足の色分けは自由にできるのでご自身が見やすい色に設定することが可能です。
2-2. 四本値
「四本値」とは『始値(はじめね)』・『高値(たかね)』・『安値(やすね)』・『終値(おわりね)』の4つを指します。
『始値』は、ある期間(分足や時間足、日足など)の最初に取引された価格を指し、「陽線」では実体の下部分、「陰線」では実体の上部分が始値となります。
『高値』は1本のローソク足の中で最も高い値段を指し、反対に『安値』は1本のローソク足の中で最も低い値段を指しています。
そして、『終値』はある期間の最後に取引された価格を指し、「陽線」では実体の上部分、「陰線」では実体の下部分が終値となります。なかでも終値はそのローソク足が完成する値段となるため、ローソク足を分析するうえでは特に注目されます。
2-3. 実体とヒゲ
「実体」とは、始値と終値の範囲を四角く囲んだものを指します。
実体から上下に伸びる「ヒゲ」は「影」とも呼ばれますが、始値と終値を超える値動きを示したもので、高値から実体に引かれたものを『上ヒゲ』、安値から実体に引かれたものを『下ヒゲ』といいます。
3. 覚えておくべきローソク足の種類
ローソク足にはさまざまな種類があり、それぞれ相場の流れを示すサインとして使われます。ここでは、代表的なものをいくつかご紹介していきます。
3-1. 大陽線・大陰線
ローソク足の実体が、他のローソク足の実体に比べて明らかに大きく、チャート上でも目立つ陽線を「大陽線」といい、買いの勢いが続くことを示します。反対に、他のローソク足の実体に比べて明らかに大きい陰線を「大陰線」といい、売りの勢いが続くことを示します。
また、ヒゲの状態により以下の3つに分けられます。
<①丸坊主>
ヒゲが全くない状態を「丸坊主」といいます。
ヒゲがないということは、陽線であれば「始値=安値、終値=高値」の関係が成り立っており、
この大陽線のことを『陽の丸坊主』と呼びます。また、陰線であれば「始値=高値、終値=安値」の関係が成り立っており、この大陰線のことを『陰の丸坊主』と呼びます。
<②寄り付き坊主>
「陽の寄り付き坊主」とは、下ヒゲのない陽線のことを指し、始めは買われていたものの、最後は少し売られて終わったことを示します。
また、「陰の寄り付き坊主」とは上ヒゲのない陰線のことを指し、始値から大幅に下落するものの、最後に少し買いが入ったため、終値が最安値より少し上昇して確定されたことを示しています。
<③大引け坊主>
「陽の大引け坊主」とは、上ヒゲのない陽線のことを指し、始値から一時は値を下げたものの、最後は始値より高い値段をつけて終わったことを示します。
また、「陰の大引け坊主」とは、下ヒゲのない陰線のことを指し、始値から少し買われたものの結局は押し戻され安値と終値が同じになったことを示します。
3-2. 小陽線・小陰線
「小陽線」、「小陰線」はどちらも大陽線と大陰線に比べて実体部分が小さく、やや買いに傾いたか、やや売りに傾いたことを示します。
実体が小さく、ヒゲが伸びている形から「コマ」と呼ばれることもあり、相場が上がるのか下がるのかの迷いや停滞を表しているともいわれています。
3-3. 上影陽線・上影陰線
上ヒゲが長い陽線を「上影陽線」、上ヒゲが長い陰線の場合を「上影陰線」と呼びます。
「上影陽線」は値段が大幅に上昇するものの、終値が始値よりやや高いところで終わったことを示し、「上影陰線」は値段が大幅に上昇するものの、始値より安い値段で終わったことを示します。
3-4. 下影陽線・下影陰線
下ヒゲが長い陽線を「下影陽線」、下ヒゲが長い陰線の場合を「下影陰線」と呼びます。
「下影陽線」は値段が大幅に下がったものの買い戻されて始値より高い価格で終わったことを示し、
「下影陰線」は値段が大幅に下がったものの、その後買いが強くなったことを示します。
3-5. 寄引同事線(よりひきどうじせん)
始値と終値が同じで上ヒゲと下ヒゲの長さが同じくらいであるローソク足を「寄引同事線(よりひきどうじせん)」と呼び、「十字線」とも呼ばれます。
始値と終値が同じ価格だった時に現れ、停滞のサインとされています。
おわりに
相場の分析方法は「ファンダメンタル分析」と「テクニカル分析」の2種類があります。「ファンダメンタル分析」は主に経済指標などを用いて景気動向や金融政策が市場にどんな影響を及ぼすかを分析する方法です。一方、「テクニカル分析」とは過去の値動きをチャートで表し、過去のパターンを
把握することで、今後の相場の動きを予測するものになります。
そのテクニカル分析で欠かせない指標のひとつで、相場を読み解く土台のようなものが『ローソク足』です。まずは、今回のコラムをきっかけに、ローソク足の基礎の知識を知るきっかけになれば幸いです。
今回は、ローソク足の基本と見方、代表的な種類についてをテーマにお届けしました。紹介した基本形を用いて1本でも相場の動きを読み解くことも可能ですが、複数のローソク足を組み合わせることで、相場の流れを読み解く分析の精度が上がります。
ご紹介しきれなかったローソク足の組み合わせパターンと分析のポイントは、次回のコラムで解説をしていきますので、ぜひそちらも合わせてご覧いただければと思います。
また、投資総合スクールThe Gavelの公式YouTubeチャンネルでは、ローソク足の基礎から実践で使える分析の考え方などをシリーズ化して動画で分かりやすく解説していますので、ぜひご興味のある方はそちらもご覧になってみてください。