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EPSとは?株式投資をする上で必ず知っておくべき指標を徹底解説!

EPSとは?株式投資をする上で必ず知っておくべき指標を徹底解説!
投資総合スクール The Gavel

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投資総合スクール The Gavel

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株式投資で投資先を決める際に、企業の収益性や成長性を知っておく必要があります。そこで使われるのが「EPS」という指標です。

「EPS」とは、1株当たりの純利益(当期利益や当期純利益)のことを指し、企業分析をする際に使用される指標のひとつで「1株当たりの利益がどれだけあるのか」ということを表します。

今回のコラムでは、株式投資をする上で必ず知っておきたい指標のひとつ、「EPS」の仕組みから計算方法などを初心者でもわかりやすく解説していきます。

1.「EPS」とは?

株価が高いか低いかを判断するのに「PER」という代表的な指標がありますが、会社全体の利益ではなく、1株当たりどれくらいの利益を出しているのかを知る財務指標に「EPS」があります。EPSが何かを理解しないと、株式を購入する時に用いるPERを理解することは難しいです。

EPSとは、「Earnings PER Share」の略で、『1株当たりの純利益』のことを指します。企業が1株当たりどれくらいの純利益を生み出しているかを見る財務指標となり、収益力を判断したり、EPSから株価を予想したりすることができる数値です。

基本的にはEPSが高ければ高いほど株価は上昇し、少なくなればなるほど低くなる傾向にあります。そのため、EPSの推移によって、企業の株価が割高か割安か判断ができるのです。

2.EPSの計算方法

EPSは「当期純利益」と「発行済株式総数」を使用して計算ができます。計算方法は以下です。

EPSの計算方法

このとき、当期純利益は税引き後の純利益であることと、発行済株式総数には自社株が含まれないことに注意が必要です。

例えば、A社とB社のふたつの会社がそれぞれ1億円の純利益を出した場合と仮定して、計算式に当てはめて比較していきます。

【A社】

発行株式数:10万株

当期純利益(1億円)÷発行済株式総数(10万株)=1,000円

【B社】

発行株式数:20万株

当期純利益(1億円)÷発行済株式総数(20万株)=500円

上記のように計算すると、A社の方がB社より利益が高いことがわかります。このように、ESPの計算をすることで、一株で会社がどれだけ利益を生み出したか判断することができます。

2-1. 計算で用いるのが当期純利益の理由

「当期純利益」とは、損益計算書上の当期純利益から法人税や住民税、事業税などの法人税などの調整額を差し引いた利益のことです。

企業の利益には、経常利益や営業利益といった利益もありますが、EPSはあくまでも当期純利益で計算します。なぜかというと、株主への配当の原資は経常利益や営業利益からではなく当期純利益であるためです。

2-2. 計算で用いるのが発行済株式総数の理由

「発行済株式総数」とは、会社があらかじめ定款(※)に記載した株式数(授権株式数)のうち、すでに発行している株式数のことを指します。つまり、企業が発行しているすべての株式を合計した数です。

しかし、自社株を含めて計算してしまうと発行済株式数が変わってくるため、EPSを計算する際には自社株を含めずに計算を行う必要があります。自社株とは、企業が自社の株式を買い戻して保有することを指します。

また、当期純利益が大きく伸びているからといって、単純に一株あたりの当期純利益が増えるわけではありません。前述したA社B社の例にあるとおり、例えばB社が増資で発行済株式総数を増やした場合、EPSはかえって下がる場合もあります。基本的には、発行済株式総数が増えればEPSは下がり、発行済株式総数が減ればESPは上がります。

※【定款(ていかん)】とは

定款とは、会社を設立する時に必要な書類です。会社設立時に発起人全員の同意のもとで定める企業の根本原則が記載された「会社の憲法」とも呼ばれています。 定款には、会社の名前や事業内容、住所といった会社の基本情報に加えて、会社の指針となるさまざまな規則を記載する必要があります。

2-3. より厳密な計算式

「当期純利益」と「発行済株式総数」を用いた計算式は簡易的なEPSの計算式であり、さらに厳密にEPSを計算する際には、下記の要素を用いる場合もあります。

期中平均株式数を利用

潜在株式の存在

■期中平均株式数を利用した場合

より厳密にEPSを計算する場合、発行済株式総数ではなく「期中平均株式数」が利用されることもあります。理由としては、株式数が期中で変動した場合に、その変動を適切に反映するためです。

通常、企業の株式数は新株の発行や株式分割などによって会計期間中に変動することがありますが、このような場合、期末の株式数だけを使ってEPSを計算すると、実際の株式数の変動を反映することができません。

そこで、「期中平均株式数」を用いることで、会計期間中の株式数の変動を反映したEPSを算出することができます。期中平均株式数は、「期首株式数」と「期末株式数」の合計を2で割ることで求められます。

例えば、ある年の4月1日を期首で1,000株として次の年の3月31日の期末を3,000株とした場合に、(1,000+3,000)÷2=期中平均株式数は2,000株となります。

EPS(1株当たりの純利益)

これにより株式数の変動があった場合でも、EPSをより正確に計算することができます。

■潜在株式を利用した場合

また、「潜在株式」を調整することで、より厳密にEPSが算出される場合もあります。潜在株式調整後ベースのEPSは、発行済みの株式数だけではなく、潜在株式(新株予約権、転換社債など)を含めた全ての株式を考慮したEPSとなります。

純利益洗剤株式調整後ベースのEPS

調整済み発行済み株式数は以下のように計算します。

調整済み発行済み株式数

潜在株式数とは、企業の発行済み株式数以外に発行している「新株予約権」、「転換社債などの株式」を含めた数を指し、通常では企業の決算書の注記欄などで開示されています。

潜在株式調整後の株式数を用いたEPSは、潜在株式を含めた全ての株主に対して1株あたりの利益を示すため、より正確なEPSとされています。

3.EPSの仕組み

会社全体の利益だけでなくESPが上がることで、企業にとっても投資家にとってもメリットがあります。そのため、投資をする場合はESPの仕組みを理解する必要があります。

企業の経営状態や株の安定感を見るためには、当期のEPSだけではなく過去のEPSを見て比較します。EPSが増減する仕組みは主に以下になります。

3-1. EPSが増加するケース

EPSが増加する理由として「自社株買いをしたとき」と「株式併合によって発行株式が減少したとき」が挙げられます。

◾︎自社株買いをしたとき

「自社株買い」とは、企業が自社の発行済株式を自らの資金で買い戻すことを指します。自社株買いをすることにより市場に出回る株式の数が減少するため、株主に配当として支払う金額を減らせるのです。

買い戻した株は取締役会の決議によって消滅させられるため、発行済株式総数が減り、EPSが増加します。

◾︎株式併合によって発行株式が減少したとき

「株式併合」とは、複数の株式を一株に統合して、発行済株式総数を減らすことを指します。株式会社は複数の株式を併合したり、反対にひとつの株式を分割したりして株式数を変えることができますが、株数が変わったとしても会社の純利益は変わりません。そのため、併合比率によってEPSが変化することもあるのです。

3-2. EPSが減少するケース

自社株買いや株式併合によってEPSが増加する一方で、EPSが減少する場合として「株式分割」と「純利益の減少」が挙げられます。

■株式分割

「株式分割」とは株式併合と逆のパターンで、すでに発行されている株を分割することを意味します。たとえば元々100株あったものを200株や300株などに分割します。分割数は整数倍に限らず、100株につき1.5倍や2.5倍といった分割が行われる場合もあります。

株式分割によってEPSは減少しますが、株式の流動性は高まります。株式分割をすることで買いやすさが増し、個人投資家の数を引き上げられます。

■純利益の減少

EPSの増減は純利益に比例するため、純利益が減少すればEPSも減少します。純利益の減少によってESPが減少した場合、減少の原因に注目する必要があります。

減少の理由が新規事業の立ち上げや大規模な設備投資などであれば、長期的な回復やそれ以上の増加が見込まれる可能性もあります。

4.EPSを活用できる場面

EPSを活用できる主な場面として以下が挙げられます。

4-1. 株価の適正価格の確認

株価の適正価格を計算する式は、「EPS×PER」です。株価の上昇と下落がどの程度になるかを予想する際にもEPSを活用します。

4-2. 資金活用のチェック

増資した銘柄のEPSが上昇していれば、上手な資金活用ができていると判断できます。一般的に、増資は新株の発行によって行われるものであり、新株を発行すると発行済株式数が増えるので、増資によってEPSが一時的に下がる可能性もあります。

4-3. EPS成長率にも注目

EPSの値が大きければ大きいほど良いと判断することができますが、EPSは単年度の数値だけでなく、成長率も大切になってきます。単年度の数値だけでなく前年との比較、過去からの推移を見ることは大切です。

EPS成長率は、以下の計算式となります。

EPS成長率

0%を超えていれば成長、0%未満であれば後退していると判断できます。基本的には、利益が増加し続ける企業はEPSも増加します。EPSの推移を見ることで、今後の企業の成長見込みを判断するひとつの材料になります。

5.EPSを見る時の注意点

EPSを見る時にはいくつかの注意点があります。注意点について理解をしていないと、思いもよらぬことで損をする可能性があるので気をつけましょう。

5-1. EPS=会社の利益ではない

EPSにおいて注意しなければならないのは、EPSが上がったからといって会社の利益が上がったとは限らないことです。EPSには、会社の利益以外にもEPSが上がる方法がいくつかあります。例えばその企業の業績は向上していなくても、自社株を購入することでESPが上がります。ですので、EPSが上昇したからといって投資判断をするのではなく、なぜ上昇したのか理由を考えてから投資を行う必要があります。

5-2. 株式分割や株式合併により影響を受ける

3章でもお伝えした通り、株式分割や株式併合によって、EPSが上下する場合があります。株式分割や株式併合によって、EPSが上昇する可能性もありますが、減少する可能性があるため、EPSの動きを必ず確認しましょう。

5-3. EPSやPER以外にも参考にする指標がある

今回のコラムで紹介したEPSや代表的な指標であるPER以外にも、「BPS」、「PBR」、「ROE」、「ROA」といった株式や株価にまつわる指標が存在します。BPSは「1株当たり純資産」、PBRは「株価純資産倍率」、ROEは「自己資本利益率」、ROAは「総資産利益率」のことを指します。

これらの指標を理解しておけば、企業の安全性や収益性を判断する際の参考になります。それぞれの計算方法や活用方法についてはまた別のコラムで紹介していきますのでぜひ楽しみにしていただければと思います。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

今回のコラムでは、企業分析をする際に使用される指標のひとつである「1株当たりの利益がどれだけあるのか」が分かるEPSについて解説しました。

投資総合スクールThe Gavelの公式YouTubeチャンネルでは、EPSの見方や実際の活用方法など実践的な部分を動画で分かりやすく発信していますので、ぜひ気になる方はこちらも合わせてご覧になってみてください。

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