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ROE、ROAとは?知っておくべき違いと計算方法について解説

ROE、ROAとは?知っておくべき違いと計算方法について解説
投資総合スクール The Gavel

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投資総合スクール The Gavel

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企業の収益性がどのくらい高いかを示す財務指標として「ROE(自己資本利益率)」や「ROA(総資産利益率)」などがあります。企業の財務情報などによく出てくる項目で、多くの投資家たちも企業分析をする際に注目する指標です。

名前は似ていますが、計算方法や分析方法は異なるため少し注意が必要です。

そんな企業分析に役立つ「ROE」「ROA」について、今回のコラムでは詳しく解説をしていきます。

1.「ROE(自己資本利益率)」とは?

「ROE(自己資本利益率)」とは?

「ROE」とは「Return On Equity」を略したもので、日本語では「自己資本利益率」と訳されます。自己資本に対してどれだけの利益を上げているかを示すもので、利益を効率良く得られているかを測る財務指標です。「株主資本利益率」とも呼ばれています。

自己資本とは純資産とも呼ばれ、返済不要の資本のことを指します。出資されたお金や蓄積された利益などが含まれます。投資をする際、投資家はその会社が出資に対してどれだけの利益を上げられるかを重視します。そのため、ROEは投資家にとって特に最重視される財務指標といえます。

1-1. ROEの計算式

当期純利益が自己資本の何%に当たるかを示すのがROEです。ROEの計算方法には大きく3つあります。

■当期純利益から算出する方法

当期純利益から算出する方法

この計算方法が一般的によく使われています。

「当期純利益」とは、法人税まで支払った後の企業の最終利益のことを指します。これを自己資本(≒株主が出資したお金)で割ることにより、『投資したお金で、どれだけ効率的にお金を稼げたのか』を表す指標になります。

損益計算書には営業利益や経常利益もありますが、ROEで使われるのは必ず当期純利益です。また、自己資本は、純資産とイコールで考えても良いでしょう。

■売上総利益率から算出する方法

売上総利益率から算出する方法

※売上高利益率=当期純利益/売上高

※総資産回転率=売上高/総資産

※財務レバレッジ=総資産/自己資本

売上高利益率×総資産回転率は、分母と分子の売上高が打ち消しあって当期純利益÷総資産になりますので、ROAと同じ式です。

■ROAから算出する方法

ROAから算出する方法

このようにROEを分解することで、より深い分析が可能です。

2.ROE(自己資本利益率)から何が分かる?

ROE(自己資本利益率)から何が分かる?

ROEは企業が株主資本をいかに効率的に運用しながら利益を生み出せているかを示す指標であるため、ROEからわかることは「経営効率」です。

原則的にはROEが高ければ高いほど、限られた自己資本(純資産)を効率的に運用しながら、利益を生み出していることを意味します。反対にROEが低い場合は、経営効率が悪いことを示しています。

2-1. ROEの分析方法

ROEの分析方法を、具体例を使って見ていきましょう。例えば、純資産が同じ1億円で、当期純利益の金額が異なるA社とB社があるとします。

A社:当期純利益800万円、純資産1億円

B社:当期純利益1000万円、純資産1億円

A社:800万円÷1億円×100=8%

B社:1000万円÷1億円×100=10%

この場合は、当期純利益の金額が多いB社の方がROEは高くなり、より効率的に利益を生み出しているといえるでしょう。 ROEは当期純利益の金額ではなく割合で比較します。

しかし、必ずしも当期純利益の金額が多ければROEが高くなるという訳ではありませんので注意が必要です。

2-3. ROEの目安

日本の企業では、ROEの目標値に10%を掲げるところが多く見られます。そのため、ROEが8〜10%以上であれば優良企業と判断されることが一般的です。ただし、ROEは業種によって異なるため、業種ごとの平均値も確認しておくことは大事です。

3.「ROA(総資産利益率)」とは?

「ROA(総資産利益率)」とは?

「ROA」とは「Return On Assets」を略したもので、日本語では「総資産利益率」と訳されます。会社の持っているすべての資産(総資産)に対して、どれくらいの割合の利益を生み出せているかを示す指標です。総資産とは現金・預金や売掛金、固定資産など、会社が持つ全ての資産のことを指し、自己資本のほか、借入金など返済が必要なものも含んでいます。

ROEと同様に、ROAは会社が効率的に利益を生み出せているかどうかを測るもので、投資家のほかに取引先や金融機関も注目する財務指標となります。

3-1. ROAの計算方法

ROA(総資産利益率)は次の計算式で算定します。

ROA(総資産利益率)は次の計算式で算定します。

4. ROA(総資産利益率)から何がわかる?

ROAからは、「企業が保有している資産を効率的に利益に結びつけられているか」がわかります。会社の経営者の手腕が高い、従業員が効率的に働いている、保有資産を効率的に使えているなどで利益につながるとROAが高くなります。

ROAもROEと同様に、高ければ高いほど効率良く利益を生み出せているといえます。会社の資産をうまく使っている場合は数値が高くなるため、経営状況を読み取るのにも役立つ指標のひとつです。

4-1. ROAの分析方法

当期純利益と総資産がそれぞれ違うA社とB社を例にROAを計算してみます。

A社:当期純利益1000万円、総資産2億円

B社:当期純利益1200万円、総資産4億円

A社:1000万円÷2億円×100=5%

B社:1200万円÷4億円×100=3%

A社に比べてB社の方が当期純利益も総資産も多いですが、A社の方がROAが高くなっています。A社の方が総資産は少ないものの、効率的に利益につなげられていることがわかります。

4-2. ROAの目安

ROAの目安は業種別によっても異なりますが、一般的には5%がひとつの目安とされています。

工場など大きな設備が必要になる業種ではその分多くの資産が必要です。大きな資産が必要な業種もあれば、大きな設備の必要がないIT産業のように少ない資産で事業を回せる業種もあります。総資産は業種によって大きく異なるため、業種ごとのROAの数値を確認しておくことは大事です。業種別の平均値を知ることで、企業に求められるROAの目安がわかります。

ROAは同業他社と比較して優劣を判断したり、同じ会社の年度別の推移を見るなどして、改善の状況を確認する、といった使い方をします。

5.ROEとROAの違い

ROEとROAの違い

ROEは自己資本を用いて算出しますが、ROAは分母が総資産なので、「会社の資産を使って、どれだけ効率的にお金を稼いだか?」を意味します。株主だけではなく、利害関係者全てが利用する指標です。

ROEとROAは、いずれも経営効率を表す指標です。どちらも分子を当期純利益としているため、収益性を改善して当期純利益を増やせば指標の向上につながる、という点では似ています。

しかし、ROEは分母が「自己資本」、ROAは分母が「純資産」という違いがあります。

ROEは自己資本がどれだけ利益につながったかを表す指標のため、自己資本の元手である株主や投資家にとって特に関心の高い指標です。一方、ROAは企業の全ての資産がどれだけの利益につながったかという、企業戦略そのものを表している指標です。そのため、ROAは投資家だけではなく取引先や銀行といったあらゆる関係者が注目する指標といえます。

6.ROEとROAの使い分け

ROAとROEは、どちらも企業の経営状態を判断するうえで重要な指標となります。いずれの指標も、主に以下のことができます。

ROEとROAの使い分ける指標

  • 同業種におけるその企業の位置づけを判断できる。
  • その企業の過去推移を比較し、改善傾向・悪化傾向とその理由を理解できる。
  • 業種別に比較し、業種による特徴や違いを理解できる。

ROE、ROAどちらが重要かは、その企業の合併買収(M&A)を検討している人、その企業への株式投資を検討している人とで違ってきます。しかし、どちらかだけを見ておけば良いというものではありません。まずはそれぞれの意味と違いを理解することが大切です。

株式投資や合併買収を検討するに当たり、正しい判断を下すことが最重要となるので、ROAとROEに他の指標も組み合わせて検討しましょう。その企業とどのような立場で関わろうとしているのか、それによってどちらの指標を重視すれば良いのかを整理して、使い分けをすることが大事です。

7.一緒に覚えておきたい「ROI」

ROE、ROAに似た指標に「ROI」という指標があります。

7-1. ROI(投下資本利益率)

「ROI」とは、「Return On Investment」の略で日本語では「投下資本利益率」と訳されます。ROIは投資に対してどの程度の利益を上げられたのかを示す指標です。

7-2. ROIの計算方法

ROIの計算方法

ROIの計算式で用いる「利益」とは、売上から売上原価を引いた「売上総利益」から、投資額を差し引いて計算した金額のことを指します。その金額を投資金額で割ることでROIを算出することができます。ROIは企業全体だけでなく、事業別の収益率などを見る際にも役立ちます。

【事業A】

投資金 1,000万円

利益  60万円

【事業B】

投資金 1,000万円

利益  100万円

事業A:60万円÷1000万円×100=6%

事業B:100万円÷1000万円×100=10%

例えば、事業Aのために1,000万円を投資し、60万円の利益が得られた場合、ROIは6%です。ほかの事業のROIが10%だった場合、事業Aは投資に対して効率の良い利益を上げられていないということが考えられます。立ち上げたばかりで初期投資が必要といった理由がないのであれば、事業の見直しをすべきと判断することができます。

おわりに

いかがでしたでしょうか?今回は、会社の経営状態を把握するひとつの指標として役に立つ「ROE」「ROA」について解説しました。このコラムをきっかけに、理解を深めることができれば幸いです。

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