正しい資産運用の考え方

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正しい資産運用の考え方

日本人では「資産運用」の意味を正しく捉えている方は少ないでしょう。でもそれは金融教育が遅れている日本では仕方ないことかもしれません。 

近年老後2,000万円問題が話題にされるようになり、将来の年金に対して不安を持つ方も増えてきた今、そろそろ私たちも積極的に資産運用と向き合う必要があるのではないでしょうか。 

1.老後2,000万円問題の捉え方 

老後を正しく設計する

1-1.老後は2,000万円で足りるのか 

老後2,000万円問題という言葉が一人歩きして、不安に感じる方も多いでしょう。この2,000万円という数字はそもそもどこから出てきたのでしょうか。 

金融庁の報告書を単純に読み解くと、高齢夫婦無職世帯の毎月収入から毎月支出を引くと、毎月約55,000円が不足していて、これが20年間続くと約1,300万円の赤字、30年間続くと2,000万円の赤字というものです。毎月の収入も支出も各家庭によってさまざまですので、これはあくまで平均値のため、全ての家庭が2,000万円足りなくなるわけではないでしょう。 

高齢夫婦無職世帯の平均貯蓄額は約2,500万円なので、足りなくなることはないという説もありますが、これもあくまで平均値の話です。貯蓄が少ない家庭も多い家庭もあるわけですから一概にはいえません。 

では、2,000万円問題は心配しなくて良いのか。それとも、もっと悲惨なことになる可能性があり、2,000万円の赤字どころではないのか。 

私が地方の企業や公務員として働いていた80代の親世代を見ていて感じることは、年金だけでは決して生活が楽ではないということです。 

「旅行に行きたい」や、「そろそろ冷蔵庫を買い替えたい」など、大きな臨時支出に対応するのが大変な家庭が多いように感じました。 

そして、そのような臨時支出に対応するためにその都度、預金を切り崩して生活をしています。高齢者が困るのは、将来のためにいくらお金を残しておけば良いのかが分からないことでしょう。人生80年だと分かっていたら、未来に使うお金の配分もできますが、そういうわけにもいきません。 

人生100年時代といわれる現代では、90歳、100歳と長生きできる方が増えていくと思われます。その間の生活費や臨時支出のためのお金を残しておかなくてはいけないと思うと、むやみに預金を使うことはできないでしょう。 

今後、40〜50代の方々が将来貰う年金額が現在の年金受給者の額以上に増えることは考えにくいです。年金受給開始年齢が延びる傾向にあり、60歳定年の場合は再就職して収入を得るか、貯蓄を切り崩して生活するしかありません。 

そして年金額が今後減っていくようだと、老後足りない額は2,000万円以上になる可能性もあります。あくまでも予想の話にはなりますが、老後に充分な蓄えがあり、悠々自適な生活を送れる家庭はごくわずかではないでしょうか。

1-2.老後を正しく設計する 

老後のお金の設計については、年齢ごとに異なります。ただし、その備えを始めるのは早ければ早いほど良いわけです。資産運用というのは、長期運用が基本であり、時間の力を借りて徐々に増やしていくものだからです。 

20代から老後を見据えて資産運用を始めた方は、老後2,000万円問題に悩むこともなく、孫の代までお金を残せるくらいの資産を築けるはずです。この時期は、安全な商品を選び、コツコツと積立をしておくだけで安心です。 

30代になれば、積立だけでなく貯めたお金を一定額まとめて運用するのも良いでしょう。 

40代は一番支出が多い時期といわれているので多くのお金は残せませんが、副業するなどして、赤字会計にならない工夫が必要です。 

50代になれば、時間を活用する余裕はありませんが、それでも70代までにはまだ20年間あります。 

できるだけ資産運用をすると共にリスク分散して、ハイリスクハイリターンの商品にもお金を入れると大きく増える可能性もあるでしょう。年代と家族構成により資産運用に回せるお金と種類は変わるので、ご自身の未来をしっかりと見据えて商品選びをすることが大切です。 

2.資産運用を世界と比較して考える 

2-1.海外の資産運用事情 

各家庭における金融資産合計に占める割合を見てみると、アメリカ、ユーロエリアでは株式の占める割合が多いのに比べ、日本では現金、預金が多いといわれています。 

国名  株式等  現金・預金 
アメリカ  37.8%  13.3% 
ユーロエリア  18.2%  34.3% 
日本  10.0%  54.3% 

参照元:日本銀行調査統計局 

アメリカ、ユーロエリアの人々が株式にお金を多く投資する理由は、子どもの頃から金融教育を受けられる環境が整っているからです。各国の政策として、早期からの金融教育が推進されていることで、知識や情報に大きな差ができているのです。 

日本人は農耕民族なので、危険な挑戦を好まないという説もありますが、それよりも知識や情報の違いが行動の違いを生んでいるのでしょう。最近は日本でも仮想通貨を保有する人が増えてきて、一見投資ブームのような気配も感じます。 

ただ、諸外国ほど金融教育の基盤がないので、投資というよりも投機に手を出してしまう傾向にあるのではないでしょうか。アメリカ、欧州のように小学校〜高校と長い期間をかけて学び、マネーリテラシーを身に付けていく人達と比べるとまだまだ知識不足が否めません。 

老後2,000万円問題という言葉が広がってきた現在、海外のように金融教育の場を広げていくタイミングが来ているのではないでしょうか。 

2-2.日本のお金教育の現在とこれから 

最近、金融教育を実施している方や企業も増えました。ただ、そういう活動をする人たちを見てみると、保険会社を筆頭に個人的なビジネスにつなげている方がほとんどです。それが悪いわけではありませんが、まだまだ行政の取り組みとしては遅れているのが現状でしょう。 

日本においては、「お金を儲けるのは良くないこと」「子どもたちの前ではお金の話をしない」という道徳心のようなものがあり、そんな考え方が金融教育を妨げる風潮でもありました。近年では、日本の金融教育に対する遅れに対して危機感を感じる声も多くなってきています。 

今後は、保険会社等の金融教育だけでなく、行政主導の教育コンテンツも広がっていくことを期待しています。 

3.資産運用を楽しむ 

資産運用を楽しむ

3-1.まずは学びの習慣をつけよう 

資産運用の本質は、ただ単に個人がお金を儲けるためだけに行う行為ではありません。例えば、会社は株式を発行して資金を調達し、会社の利益を出すために活動していきます。会社が利益を出すことも、ただ会社がお金を儲けるためだけの行為ではなく、社会に価値を提供し、人々の生活の向上に貢献し、社会をより良くするための活動です。その会社の経営に大きく影響を与えるのが、株式による出資ではないでしょうか。 

そう考えると、会社や国がその成長を目的として資金を集め、対価として投資家が利益を受け取ることは社会全体にとって有益なものといえます。そういう背景を含めて、私たちはまず資産運用を学ぶ習慣をつけることが大切だと思います。できるかできないか、するかしないかは二の次です。 

まずは知識を得ることで、ご自身の選択肢を広げることを意識してみてください。リスクもメリットも知った上で資産運用をやってみようと思ったら、まずは証券口座の開設でもしてみると良いかもしれません。株式に興味を持つと会社の仕組みも分かり、より経済にも関心が増すでしょう。 

そのような知識の広がりが、未来への備えを強固にすることにもつながり、老後2,000万円問題へのアクションが可能になると思います。 

3-2.小さく始めて生活に取り入れる 

20代の人達が仮想通貨で「億り人(おくりびと)」になったというニュースを聞いたことがありませんか?「億り人」とは、株式投資や暗号資産取引(仮想通貨取引)などで億単位の資産を築いた投資家のことで、2008年公開の映画『おくりびと』のタイトルをもじった造語です。 

逆に一攫千金を狙って財産を失ってしまう方もいます。資産運用はギャンブルではないので、全財産をハイリスクの商品に注ぎ込むことはやめましょう。 

まずは学びを深め、知識を増やし、小さな金額で試すことから始めてください。株式や投資信託は預金と違うので、元金を割ることもあるかもしれませんが、日本円を預金していてもインフレと共に価値は下がっていきます。大切なことは、資産を長期で増やす計画を立て、リスクを分散してなるべく安全な資産運用をすることです。 

まずは親世代がお金に対する考え方を変えることが先決で、そうすることで次第に家族間での会話が変わっていくでしょう。親から子どもへとお金の知識や価値観を伝えていくことで次世代の資産形成の環境は少なからず進歩していくような気がしています。