『人生100年を見据えた資産形成』

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『人生100年を見据えた資産形成』

1.新たな問題提起

現役世代の預貯金偏重志向に対して、2018年に「つみたてNISA」が制度化され「長期・積立・分散」投資が、将来に向けた資産形成の新たな行動規範として普及しはじめています。それに加えて、これまでその促進とは埒外と見られてきたリタイア層のお金に対する行動においても、「ジェロントロジー」という表現で近年、問題提起されています。

「ジェロントロジー」とは老年学と訳され、高齢者の健康にとどまらない、福祉や社会参加、あるいはメンタルケアや年金問題に至る広い範囲での生き方に関する研究を意味します。これは、明らかに高齢層のお金に対する意識改革の必要性に根差したものでしょう。

いまだ1千兆円規模で滞留する生活者の預貯金の6割超を保有するリタイア世代は相変わらず、現預金のまま抱え込んで、取り崩しながら老後人生を維持する行動スタイルが社会通念化しています。故に巷のライフプラン書籍でも専ら60歳までにいくら必要か、といった喧伝が老後の経済的不安を一層煽り、高齢層はより堅牢に現金を溜め込む、といったスパイラルに陥っているのではないでしょうか。

2022年5月からは65歳まで拠出可能になる「iDeCo(イデコ / 個人型確定拠出年金)」も、現状は60歳まで拠出したのち現金化して受け取る仕組みのため、60歳以降は現預金で保有することが当然のことと理解されてしまいます。この国では“60歳が定年で、以降は老後 ”という概念のもと、退職世代は「投資から貯蓄へ」という常識が看過されたままなのです。

2.定年後は低リスク?

60歳からを老後とする固定観念の中で、人生余命をいたずらに短く考えてお金を運用に回すべきでないという考え方が常識化しています。現実に鑑みれば“人生100年時代 ”が謳われる中で、60歳からの平均余命は数十年あります。全く新たな富を生まない現金を取り崩しつつ、年を経る毎に不安を増幅させる人生観は抜本的に改めるべきときでしょう。それが「ジェロントロジー」論議であるはずです。

人はあとどれくらい生きるのかは誰にもわかりません。少なくとも現在健常な方であれば人生100年を見据えて、何歳であろうと時間を味方にした長期資産育成を継続すべきである!これは私がずっと掲げている主張です。

シニア層のお金に対する行動規範がこのようなベクトルに代わってきて初めて、1千兆円規模の眠れる預貯金が雪崩を打って「貯蓄から資産形成へ」とシフトするはずです。抱え込んでいた現金を経済活動の中で元気に活躍する資金にすることでお金は老後も相応に育ち続けると気付くときでありましょう。

3.人生100年を見据えた資産形成

60代・70代の中に「自分にはもう時間がない」 と決めつける方が多いのですが、冷静に日本社会における平均余命を確認してみてください。70歳の時点で平均余命は男性で 16年、女性なら20年もあります。そう、立派に長期投資家でいられる充分な時間があるわけです。

「つみたてNISA」はシニア世代にもふさわしい継続的な資産形成手段を叶える場として、ヤングからシニアまで全世代に参加して欲しい制度であると私は考えており、すべての生活者の行動喚起に向けて積極的に取り組んでいます。

人生は不確実だからこそ、ワクワクするし不安にもなる、そして前向きに頑張ることも過去を振り返って反省することもできるのです。生涯を通じて長期投資を続けることは、世の中の不確実性から未来の進歩・発展を願い、次世代のために自らお金を通じ経済活動に参加するということです。

そうした行動がお金を育み続け、それを実感することで人生の経済的不安を克服できる合理的手段であると気付いて、長期投資の旅をずっと続けていただきたいと思います。 

(「セゾン投信 NEWS LETTER」より)

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