シニア活躍社会が日本再生の処方箋に

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シニア活躍社会が日本再生の処方箋に

1.70歳定年時代に

「人生100年時代」が一般化することにより、老後がざっと20年も長くなる。と考えているならそれは従来の概念で、新たな常識は老後が繰り下がると思うべきです。昨年4月に「高年齢者雇用安定法」が改正されました。

その内容は、定年年齢を70歳まで引き上げるか再雇用制度を導入するというシニア層がより長く仕事を続けられる環境を企業に求めるものです。つまりこの制度を産業界に定着させることによって、長寿化社会を老後期間が長くなるのではなく、現役期間を伸ばす方向に、政府は社会構造を変えていこうとしたわけです。

2.年金制度の法改正は政府の意思表示

昭和時代は55年定年、そして平成時代は60歳定年が日本のサラリーマン社会での常識でした。そして人生ざっくり80年と想定して老後が20年余り、というのが平均寿命に鑑みての一般的人生プランだったと思います。

ところが令和時代に入ると共に、「人生100年時代」へと人生の前提期間が変わり始めたことが、2022年4月から施行される年金制度改正法(以下、改正法)の政策動機だといえましょう。企業型DCは70歳までiDeCoは65歳まで加入可能期間が延びるのと同時に公的年金繰り下げ受給年齢の上限も75歳まで延ばす。この改正法は、ひと声70歳まで皆現役社会を新たな社会通念として定着させようとの、政府の明確な意思表示とみなせます。

その主目的は、我が国の社会保障制度の恒久的安定運営を目指したもの。少子高齢人口減少社会の急激な進展が始まった日本社会において、現役世代の概念を70歳まで延ばすことで労働生産人口減少を食い止め、同時に社会保障受給の主役たる高齢者、つまりはお爺ちゃんお婆ちゃんの社会的定義を70歳超にまで引き上げることによって、トータル受給コストを削減できると考えて編み出された政策なのです。

シニア雇用が人件費負担の劇的増大と人材の新陳代謝を損なうとして異議を唱える産業界も、この社会構造大転換に適応していくしかありません。

3.企業はシニア活用モデルが成長戦略に

それが所与となる以上、日本の産業界はいち早く組織構造改革に布石を打つ必要があります。日本は移民政策が当面期待できない限り、若年層は減少を続けて40代以下の雇用確保はどんどん難しくなることでしょう。この国における既成概念では、労働人口は足りなくなる一方であり、だからこそ女性活躍が叫ばれていますが、畢竟これまで窓際族などと企業組織内でお荷物扱いをされてきたシニア層の活用は、人事政策上も焦眉の急だと気付くべきなのです。

世界に前例のない超高齢人口減少社会に入った日本は、ここへの課題先進国トップランナーであり、70歳まで皆現役社会という新常識に産業界が賢く適応できるか否かが、これからの日本経済全体における対外競争力に直結する課題だといっても過言ではありません。

4.生涯長期投資も新常識に

社会の変化に対する適応力と危機感を有するガバナンス(経営統治)が根付いた企業から、シニア層活用を成長戦略に据えたビジネスモデルが勃興してくる、と自身は期待を込めた仮説を立てています。そこで活躍を続ける現役アクティブシニアとなるためにも、私たち生活者は現役時代から人生プラン、生き方の価値観、自らの常識をリセットしなければなりません。

そして70歳といわずできるだけ長く自らを社会に活かせる仕事を続けると共に、その分公的年金の受給開始時期を繰り下げる。75歳まで開始を遅らせたなら、以後生きている限り、65歳から受給する額より1.84倍多い年金が受け取れます。

同時に現役世代を通じて積み上げてきた長期積立国際分散投資の果実を、あの世に行くまで継続するつもりで長期投資のまま保有し続け、100歳迄を目途に計画的に取り崩して活用していく。即ち長期投資の資産を、老後は「殖やしながら遣う」ことによって、「じぶん年金」の資産寿命も長期化できて、繰り下げて増えた「公的年金」も併せれば、充分自らが納得できる相応に豊かな人生を完遂できるはずです。

長期投資は生涯軸で、これも令和以降の生き方新常識となるに違いありません。

(「セゾン投信 NEWS LETTER」より)