江差町は、北海道の南西部に位置する人口約7,000人の町です。東西10km、南北17㎞にまたがる町の西側は日本海に面しており、江戸時代から明治時代にかけてニシン漁で大いに賑わいました。本州と北海道を結ぶ交易船「北前船(きたまえぶね)」の寄港地として「江差の5月は江戸にもない」と謳われるほど、多くの船が入港し、町はモノと人で活気にあふれました。
そんな北海道きっての商都として名を馳せた江差町では、ふるさと納税のお礼品として、海や山から採れる豊富な特産品を揃えています。食べごたえのあるズワイガニや鮮度を重視したいくらの醤油漬け、そしてたっぷり甘みを蓄えた「越冬メークイン」やみずみずしいアスパラガスなど、江差町ならではの「おいしさ」を全国へ発信しています。
町のシンボルである「かもめ島」の整備を進めるとともに、ふるさとの恵みを大切に育てる江差の魅力について、江差町役場まちづくり推進課課長の尾山徹(おやま・とおる)さんにお話を伺いました。
季節ごとに味わえる海&畑の恵み
-その昔江差町は、「北前船」の寄港地としてとても賑わっていたそうですね。やはり海にちなんだ特産品が多いのでしょうか?
そうですね。紅ズワイガニを始め、いくらやエビ、鮭などいくつもの海産物が獲れるんですよ。江差町はニシン漁で大きく発展してきた歴史がありますが、実は大正2年(1913年)頃からニシンの漁獲数は激減してしまい、その姿もほとんど見られなくなってしまったんです。
しかし、2017年2月、104年ぶりにニシンの群来(くき:ニシンが産卵のために海の浅い場所にやってくることで、青い海が白く濁ったように見える現象)が江差で見られ、町は盛り上がりました。江差で獲れたニシンの甘露煮を乗せたニシンそばも観光客には好評です。
それから、春になるとニシンやマス、夏にはウニ、年明けには「シマエビ」や希少な「ガサエビ」が獲れます
その中でも、一年中皆さんにご好評いただいているのは「紅ズワイガニ」ですね。脚のむき身とカニ爪のどちらもたっぷり食べられて味自慢です。
また、獲れたての秋鮭の卵で作る「いくら醤油漬け」も外せません。時間がたってしまうといくらの皮が固くなるので、浜のお母さんたちによって、その日のうちに醤油漬けにしていきます。とにかく鮮度を重視して作業をしているんですよ。
-ニシンに紅ズワイガニ、いくらとどれも新鮮でおいしそうですね!日本海の豊かさをひしひしと感じます。海以外の特産品もあるのでしょうか?
はい。ぜひ味わっていただきたいのが、収穫から一冬越して春に出回る「越冬メークイン」と「春アスパラ」、そしてお米ですね。「越冬メークイン」はとても甘みがあり絶品です。4月頃に旬を迎える「春アスパラ」も、茎がしっかり太く、とてもジューシーでおいしいんですよ!町長も大ファンで、神奈川県在住のご両親に毎年贈っているぐらいです。
また、江差で栽培している3種類のお米(「ふっくりんこ」「ななつぼし」「ゆめぴりか」)も、農家が丹精込めて作ったもので、作り手の顔がよく見えるのが特徴です。ふるさと納税で返礼品としているお米は収穫後いつまでも美味しさを保つため、予冷庫で低温貯蔵をしていますので、味に自信を持っています。
-江差は年中おいしいもので溢れているんですね!他エリアの品と比べてどんな所が魅力だと思いますか?
やっぱり手間暇かけて、漁師や浜の母さんたちが直接手作りしている点ですね。「紅ズワイガニ」は町外の加工場の手を借りていますが、それ以外の返礼品は、地元のお母さん方の手でこしらえたものです。
-食品以外の特産物があれば教えてください。
「あすなろ福祉会」が作る備蓄食料も人気があります。この会は江差に本部を置く、障がい者の就労支援施設を運営している団体です。今から30年ほど前、「北海道南西沖地震」で被害を受け、食の大切さを経験したこともあり、ご飯、パン、ビスケット、おもちとバラエティに富んだ備蓄品を開発しています。
この団体は、備蓄食料の製造では20年以上の実績があります。大手企業のOEM生産や防衛関係の業務なども受注しているぐらい、信頼できる製品です。製造に携わる障がいを持つ方々にとっても、一社会人として大切な就労の機会であってかつ自分の生活を支える場となっています。彼らの生産活動を支援するためにも、今後も積極的にアピールしていきたいと考えています。
町が沸く3日間!370年続く北海道最古の祭り
-ニシン漁で繁栄した江差町では、その漁にちなんだ伝統的な夏祭りがあるそうですね。
はい。370年あまり昔から続いている、「姥神大神宮渡御祭(うばがみだいじんぐうとぎょさい)」という大きな祭りがあります。毎年8月9~11日の3日間で行われています。江戸時代、ニシン漁の豊漁を姥神様に感謝して始まったのが、この夏祭りの由来とされています。この祭りのみどころは、なんといっても豪華絢爛な13台の山車(ヤマ)です。初めて見た方はまず驚きますね!昼間は絢爛豪華に、夜は一転エネルギッシュな姿で観光客を魅了します。
残念ながら、コロナ禍で今年を含め3年間中止となりましたが、例年であれば人口約7,000人の町が、決して大げさではなく、何倍にも膨れ上がるんですよ。江差で生まれ育った「江差人」たちが、正月や盆休みよりもこの祭りを目指して里帰りして来るからでしょうか。みんな、この日が待ち遠しくて仕方がないんだと思いますよ。例年、祭りが行われる3日間は、大人から子どもまで全関係者の情熱が、周りで見ていてもヒシヒシと伝わってくるんです。「江差人」として育ってきた方々のお子さんも祭りの魅力に取りつかれ、「江差人2世」として山車の綱を引いている姿もよく見ますね。
-大人から子どもまで、みんなが夢中になれる魅力があるんですね!
はい。本物は人を惹きつけます。夜遅くまで太鼓を叩く子どもたちの真剣な顔や、この祭りにかける「江差人」の熱い思い、そして、江戸時代から受け継がれた町民文化を守っていこうとする姿に感動して、町には宿泊施設があまりないにもかかわらず、この祭りを一目見るために、毎回たくさんの方々が訪れてくれるんです。
-地元の方でなくても参加できるのですか?
はい。これまでは、「江差観光コンベンション協会」という団体で事前申し込みすると、観光客でも半天を着て、山車の引手を体験できるプログラムがありました。祭りの再開が決まりましたら、来年7月頃にでも当協会に尋ねてみてくださいね。
―当日はどんな様子なのでしょうか?
当日は、山車を引っ張る間の休憩時間などに、知人宅を何軒も回るのですが、どの家も訪れた人を接待するための、お母さん方の手料理がすごいんです。それぞれの家に昔から伝わる郷土料理でもてなしますから、この家はクジラの素麺、あちらの家では煮しめやクジラ汁、刺身など、海の町ならではの食材が並びます。そのもてなしっぷりは、とても言葉では伝えられません。
また、江差生まれでなくても、大切な「江差人」として参加してくれる方々もいます。実はこの町は、国や北海道庁、企業の出先機関が多いんです。そのため、転勤で数年住まわれた方々やそのお仲間で祭りを体感した方々が、当然のように参加してくださっている姿も見ることができます。
こんな小さな町でこれだけの祭りを維持できるのは、誰かにやらされているのではなく、本心から江差を誇りに思っているからでしょう。「俺たちの祭り」として熱く盛り上げている町民の姿を、ぜひ一度見に来てくださいね!
「北前船」の寄港地となった天然の良港「かもめ島」
-ところで「北前船」の寄港地となっていたのは、江差町の沖合に浮かぶ「かもめ島」だそうですね。この島はどんな所でしょうか?
「かもめ島」は、名前の通り、かもめが羽を広げた形をしています。海抜30m、島の周囲2.6kmほどの島で、1周2時間ほどで散策できます。檜山(ひやま)道立自然公園の特別区域に指定されており、美しい景色が広がる小島です。ここは、日本海の荒波をよける防波堤の役割を果たしていたので、「北前船」の寄港地としてぴったりでした。今でも船の係留跡が残っていたり、航海の安全を祈願した「厳島神社(いつくしまじんじゃ)」がまつられており、江戸時代に賑やかだった江差の様子が垣間見えます。
-町民の方々にとって、「かもめ島」はどのような場所ですか?
町民たちは島でウォーキングや散歩、海水浴を楽しみ、海風にあたりながらゆったりした時間を過ごしていますね。毎年7月には「かもめ島まつり」が開催されるので、多くの子どもたちも遊びにやってきます。岩場でのカニ釣りも人気ですね。とにかく夕日が美しい所なので、多くの方の憩いの場となっています。
-かもめ島は魅力的な場所なんですね!
なんといっても、かもめ島周辺の海は、水の透明度がとても高いんです!そんなきれいな海で過ごす時間は、町民の方だけでなく、外からいらした方にとっても、きっと大いに癒される時間になると思いますよ。おすすめしたいのは、まるで海の上を歩いているような、通称「かもめの散歩道」です。かもめ島には、島を1週できる約2,400mの遊歩道が伸びているのですが、その一部が海の上に「橋」のように設置されているんです。その上を歩くと、まるで海の上を直に歩いているような気分になれます。まさに絶景の一言に尽きますね。
またここでは、キャンプ道具一式をレンタルしてバーベキューができたり、真っ白なドーム型のマリンテントに宿泊する「グランピング」も人気があります。実は今、この「かもめ島」をより過ごしやすいスポットにしたいと計画を進めているところです。「北の江の島構想」と銘打ち、町長の出身地神奈川県にある江の島をモデルにして、島の自然や資源を活かしながら、現地でできる「遊び・癒し・健康」の体験を増やし、町民はもちろん、外からも多くの観光客が訪れやすい場所にしたいと考えています。
-具体的にはどのように開発されるのでしょうか?
かもめ島のすぐ近くに「海の駅えさし」として登録されている「開陽丸(かいようまる)青少年センター」管理棟があります。こちらをリニューアルし、道の駅機能を加えながら、地域住民はここで憩う、観光客はここを拠点として町歩きしていただく、そんな施設の整備を予定しています。具体的には、北海道ですが積雪がなく風が強い江差町は、子ども達にとって冬場は外遊びが厳しい環境です。四季を通じて天候に左右されることなく、子ども達が走り回れる室内の遊び場を、また、子育て世代が日常的に集い、交流し、憩える機能を中心に施設を整備することとしています。
また、大きな駐車場を用意しますので、ここへ車を置いて、自然と景観が自慢の「かもめ島」、あるいは往時の江差を偲ばせる長さ1kmほどの「いにしえ街道」を散策していただけます。この通りは、江差の歴史の深さを感じてもらえる場所として人気ですし、道路沿いにはスイーツのお店も多いです。こういった町歩きの拠点にもしていただく施設を目指します。
照井町長にも江差町の魅力についてお伺いしました
江差町の一番の魅力は、「こんなふるさとに生まれたかった」と思えるほど、地域のつながりが強く親密な点です。町では年に1度の祭りを大事にしており、それによって子どもから高齢の方までのネットワークがしっかり保たれています。祭りを通じて、日々のつながりが広がっていく。町民はそんな江差に愛着を持って暮らしています。 この地域には、春夏秋冬がはっきりした美しい自然もあり、そんな中で漁業や農業が盛んに行われています。中でもイチオシなのが、新鮮なアスパラガスですね!焼いてもゆでてもおいしく、その瑞々しさは江差産ならではの魅力だと自負しています。
また、北前船の停泊所として、江差繁栄のきっかけになった「かもめ島」も自慢のひとつです。360度日本海を見渡せて、夕日がとても美しいスポットです。夕日の撮影目当てに島を訪れる人も多くいますね。さらに、手ぶらで来てキャンプができるような施設も展開していますので、ぜひ都会にはない、海の自然を感じにいらしてくださいね。江差町へのアクセスは、函館駅から路線バスで2時間ほどかかりますが、その分このエリアでしか体験できない「良い物」が残っていると感じています。地元出身ではないにもかかわらず、私が深く魅せられた江差の「ふるさとの良さ」を、ぜひ皆さんにも感じていただけたらうれしいです。
「ふるさと納税」で江差町を応援しませんか?
今回は、江戸時代、ニシン漁で繁栄した跡を色濃く残す、江差町についてご紹介しました。お話を伺った尾山さんからは、「かもめ島の整備は、2026年度とまだ先ですが、現時点でもとても魅力的な場所です。ぜひご友人、ご家族で連れ立って遊びに来てください」との温かいメッセージもいただきました。現在「セゾンのふるさと納税」では、江差町を応援する「ふるさと納税」を受付中です。寄付を通じて、江差町を応援してみませんか?「ふるさと納税」で自治体に寄付してくださった分は、「寄付金控除」として所得税や住民税から控除されるメリットがあります。
さらに、「納税のお礼品」として自治体イチオシの特産品を送ってもらえるので、ご自宅にてふるさとの味をじっくり堪能できるチャンスです!「北前船」の寄港地として、さまざまな物資や文化が往来した歴史ある江差町への応援を、心よりお待ちしています。