佐賀県の真ん中に横たわる大町町(おおまちちょう)は、約6,200人が暮らす県内で一番小さな町です。昭和初期から中期にかけて炭鉱業が盛んとなり、町は多くの人で溢れかえりました。一時期は小学校の児童数が日本一ともいわれるほど栄えた町の面影は、現在もあちらこちらに残っています。
そんな大町町は、ふるさと納税のお礼品もユニークです。炭鉱業の名残が残る「炭鉱焼き豚」は根強い人気を集めており、他にも色鮮やかなみずみずしいきゅうりや、中まで真っ赤ないちごなど、新鮮なお礼品に魅了される方も多くいます。
令和に入り二度の水害に見舞われ、いまだ復興途中の大町町。安心して暮らせる町、子育てしやすい町を目指して歩みを進めています。近年は転入者も増えている町の魅力について、企画政策課の大島さんと中島さんにお伺いしました。
旨みが凝縮されたいちご&きゅうり&焼き豚
-現在大町町では、農業に力を入れていると伺いました。町ではどのような特産物が採れるのでしょうか?
米、いちご、きゅうり、ネギなどを収穫しています。そもそも大町町は町の南部が穀倉地帯である白 石平野になっており、気候も穏やかで土壌も栄養たっぷりなんです。ここで米や野菜、果物などを栽培しています。一方、山間部ではみかんやぶどうを育てています。
‐とてもおいしそうですね!大町町のいちごやきゅうりはどのような味なのでしょうか?
佐賀県の「いちごさん」というブランドを栽培しています。普通いちごというのは、中身は白色ですよね。でもこの「いちごさん」は、中まで赤いんです。甘酸っぱく、食べごたえのある大きさですね。きゅうりも水耕栽培を採用しており、みずみずしいのが特徴です。
‐地元の方たちがおすすめする食べ方などはありますか?
「地元だからできる食べ方」としては、よく規格外のいちごをたくさんいただくんですね。そのまま、鍋に砂糖と一緒に入れてぐつぐつ煮込んでジャムを作っています。自家製のジャムは通常の物に比べて、実を切らずにざっくりそのままいちごを入れて作るので、とにかく果肉たっぷりなんです。おいしいですよ!
-朝のパンが楽しみになりそうです!もうひとつ、お酒好きにはたまらない特産品があるそうですね。
「炭鉱焼き豚」です。肉屋さんのオリジナルたれにじっくり漬け込んで、時間をかけて調理しています。もう本当に、お世辞抜きでおいしいです。しっかり中まで味がついているので、そのまま食べられますが、とにかくおすすめは、できるだけ薄くスライスして食べることです。ごはんのおかずやお酒のおつまみ、ラーメンに添えるチャーシューとしても楽しめるので、冷蔵庫にひとつあると便利かもしれませんね。
炭鉱町として繁栄した小さな町
‐ところで大町町は、その昔炭鉱の町だったそうですね。
1929年(昭和4年)に杵島炭鉱(きしまたんこう)が設立されたことで、日本各地から大勢の労働者が詰めかけました。最盛期には24,000人もの人が大町町で生活をしていたんですよ。今の人口は約6,200人ですから、この同じ面積に4倍もの人が住んでいたことになりますね。1960年(昭和35年)には、日本一生徒数が多い小学校として、4,069人もの生徒が在籍していたという記録も残っているんです。当時は運動会が一日で終わらず、春と秋 の二回に分けて行われたと伝えられています。そのくらい大きな炭鉱町だったんですね。
‐そんなに大勢の人が暮らしていたとは驚きですね!町の中には当時の名残が残っているのでしょうか?
当時の建物はほとんどが老朽化してしまいあまり残っていないのですが、現在もいくつか見れるものがあります。
そのひとつが「大町煉瓦館(おおまちれんがかん)」です。別名「杵島炭鉱変電所跡(きしまたんこうへんでんしょあと)」とも呼ばれているのですが、赤いレンガの外観が印象的な建物です。炭鉱にまつわる各施設や炭鉱住宅に送電していた施設ですが、令和3年には「22世紀に残す佐賀県遺産」として認定もされました。
現在は開放されており、さまざまなイベントなどを行うスペースになっています。今ちょうど改修工事をしていますが、11月頃には終わる予定です。年内には綺麗になった煉瓦館を見ていただけると思いますよ。
‐それは楽しみですね。他にはどのようなものがありますか?
「ボタ山わんぱく公園」と炭鉱長屋があります。「ボタ山わんぱく公園」はもともと炭鉱を掘る時に出るボタ(捨石や質の良くない石炭などを指す)を積み上げてできたもので小高い山になっているのですが、その高低差を利用して草スキーができるなどお子さまに人気の公園です。
また炭鉱長屋とは、炭鉱で働く人の家族が住む住宅で、1つの長い屋根の下に2~3 軒ずつ家が連なっているんです。こうした長屋は大町町内の至るところに残っているんですよ。空家になっているところもありますが、まだ多くの人が住んでいますね。
もうひとつ「大町町民グラウンド」という場所がありますが、ここもその昔、杵島炭鉱の野球部が練習場として開いた場所なんです。野球部自体は全国対抗試合などで輝かしい成績を残しており、このグラウンドは「日本野球聖地・名所『150選』」 にも選ばれているほどです。佐賀県ではここと「さがみどりの森球場」(佐賀市久保田町)の2か所のみ選ばれています。昔、炭鉱の野球部が練習していた場所だと思うと歴史を感じますね。
町民に人気!夏の「納涼まつり」と秋の風物詩「おくんち」
‐現在、住民の方たちが楽しみにしている魅力的な町のイベントとは何でしょうか?
夏の「ふるさと納涼まつり」と、秋に行われる「おくんち」ですね。
「ふるさと納涼まつり」は、先ほど触れた「大町町民グラウンド」で行われるのですが、予算不足もあってしばらく打ち上げ花火ができないままでした。しかし、おかげさまでふるさと納税での寄付金により、今年は規模を縮小したものの、無事開催できました。町民だけでなく、町外の方やお盆に帰省された方にとっては本当に楽しみにしていたものだけに、とてもありがたかったですね。
町民は町花である「三色すみれ」にちなんだ歌に合わせて、輪になって盆踊りを踊るのですが、みなさん、毎年とても楽しんでくれています。また、秋には毎年10月19日に行われる「おくんち」という行事があります。
‐あまり耳慣れない言葉ですが、「おくんち」はどのようなことをするのでしょうか?
神様に五穀豊穣の感謝を捧げるための行事なのですが、当日は太鼓を叩きながら、子どもたちと一緒に各家庭を一軒一軒回っていくんです。大町町南部に広がる農業地帯ならではのイベントなのですが、五穀豊穣へのお礼と共に各家庭の健康祈願をしていきます。
面白いのは、地区ごとに太鼓の叩き方や笛の音色が異なっていることです。もちろんベースは似ているのですが、耳をすませるとどの地区の一行なのかが分かり面白いんですよ。10月19日は大町町内の小中学校はお休みとなります。大人たちも休みをとって皆で「おくんち」を楽しむようにしています。当日は笛の音が聞こえ始めると、「ああ秋が来たな」と感じますね。
恋愛成就のパワースポットと「情報プラザ館」で味わうB級グルメ
‐炭鉱町としての影響があちこちに見られる大町町ですが、ぜひ足を運ぶべきスポットがあれば教えて下さい。
おすすめしたいのは「おおまち情報プラザ」と「聖岳神社(ひじりだけじんじゃ)」にある恋愛成就のパワースポットですね。「おおまち情報プラザ」」は現在改修中ですが、令和5年1月にリニューアル後の姿をお披露目できると思います。
このプラザでは、町で栽培している野菜や食品などを扱っているのですが、ここでしか手に入らない地元ならではの商品も売っています。見るだけでも楽しいと思いますので、大町町にいらした際はぜひ一度行ってみて下さいね!
特に試していただきたいのが、館内併設の「福母食堂(ふくもしょくどう)」が作る「大町たろめん」です。「たろめん」とは、炭鉱で働く労働者が冷えた体を温めるために好んで食べたといわれる、大町町のソウルフードです。キャベツや豚肉、エビなどたっぷりの具を炒め、生姜が効いた牛骨スープでいただくのですが、これが身体をぽかぽか温めてくれるんです。現在町内には「大町たろめん」を味わえるお店が3店舗あります。まさに大町町でしか食べられないB級グルメですので、いつか皆さんにも食べていただきたいですね。私たち大町の人間は、飲み会のあとによくシメとして食べているんですよ。
牛骨スープに生姜なんて珍しいですね。確かに疲れが吹き飛びそうです。もうひとつのパワースポットとはどんなところなのでしょう?
大町町の北部にある「聖岳神社(ひじりだけじんじゃ)」です。弁財天を祀っているのですが、神社の一角にハート形の水鉢があるんです。それが日の入りや日の出の時、水鉢の水に日が差して赤く見えます。
これを見たカップルは、恋愛が成就するといわれ、ひそかなパワースポットになっています。若い世代の間ではSNSに上げたりするなど人気ですね。
町で取り組む子育て
‐大町町では、子育て世帯を応援し、町全体で子どもを育んでいこうとしていますね。県内初の小中一貫校「大町ひじり学園」の運営や、各種子育てにまつわる補助金が手厚いですが、子育てについてどのようにお考えでしょうか?
大町町も少子高齢化がとても進んでいます。しかし、町の活性化には子どもが不可欠だと考え、子育てしやすい環境を積極的に整備しており、それを目当てに県外からの転入者も増えています。
例えば出産祝い金として、1人出産するごとにお祝い金をお渡ししているのですが、第3子の場合は40万円、第4子の場合は50万円、第5子以降については60万円が支給されます。
また県内で初めて、小中一貫教育を行うための「大町ひじり学園」を開設し、1~9年生までを通じてしっかり学べる環境を整えており、さらに大町町公民館にて無料の算数学習塾を開き、小学3~6年生のお子さまが講師の指導のもと、算数に取り組める機会も設けています。こうした子育て支援は、県内トップレベルであり、全国規模から見ても決して引けを取らないと自負しています。
そもそも大町では、子育ては親だけがするのではなく、「町で一緒になって全面的にサポートするもの」と考えているんですよ。その過程で子どもたちに郷土愛を育んでもらい、いつか大町を離れる時がきてもまた戻りたい場所だと思ってもらえるような町づくりを、普段から意識していますね。
‐なるほど。そんな子どもたちが使う施設の充実や、災害マップの作成、妊婦の方への助成金や高齢者への食事提供など、大町町ではふるさと納税の使い道をとても詳しく外に発信されていますね。どうしてでしょうか?
実は大町町は、令和元年と令和3年に水害に遭いました。その時、復興支援として返礼品なしでの寄付を募ったところ、本当に多くの方から寄付や温かいコメントをいただいたんです。
お恥ずかしながら、それまでふるさと納税をする目的というのは、皆さん節税のためにするものなんだと強く思っていました。しかし、返礼品がないにもかかわらず、こうして多くの方が大町町のために寄付してくださったのを見て、考えが変わりましたね。純粋に大町町の復興を願ってくれる気持ちがありがたいと思いました。
実際に現場で町民からも感謝を言われたりする中で、担当者として一人ひとりの寄付者にお礼を伝えるのは難しいけれど、皆さんから集まった寄付がこのような形で使われていますというご報告を、感謝の気持ちを込めてこまめに配信していこうと考えました。
-そうだったんですね。町の復興の様子はいかがでしょうか?
いまもまだ復興については道半ばですね。元年に大規模な土砂崩れが起きた「ボタ山わんぱく公園」も工事中ですし、その他進めなければならない復旧作業も残っています。それでも町民の生活自体は落ち着き始めており、ようやく新しい家が建ってこれからという方もいますね。
‐大変な経験をされましたね。こういう時こそ寄付者の方の心遣いが胸にしみますね。
こうした経験もあり、大町町では寄付に対して感謝の気持ちを忘れずに、一品一品丁寧にお礼品に向き合っています。そもそも県内で一番小さな町なので、返礼品の数も他の自治体と比べると少ないのですが、それでもお礼品に対してのクレームがほとんどないのはありがたいですね。
ふるさと納税に対しては、少しでもイメージと違うものを出さないようしっかり話し合いながら、専門の事業者と生産者とともに返礼品を作っています。皆さんからいただいた寄付を、できるだけ大切に使っていけるよう今後も力を入れていきたいと思っています。
「ふるさと納税」で大町町を応援しませんか?
今回は昭和時代、炭鉱の町として大きな繁栄を見せた佐賀県大町町をご紹介しました。
いまだ町のあちらこちらに残る炭鉱時代の風景の中、町全体で子どもを大切にし、ふるさとへの愛着をじっくり育てている大町町。夏には町の中央にあるグラウンドで納涼祭りを楽しみ、秋には笛と太鼓の音とともに五穀豊穣と健康祈願をして回る風習がとても印象的です。
木枯らしの吹く寒い季節には、野菜たっぷりの「大町たろめん」で身体をじんわり温めるのも魅力的ですね。
現在「セゾンふるさと納税」では、そんな大町町を応援する「ふるさと納税」を受付中です。寄付を通じて、大町町を応援してみませんか?「ふるさと納税」で自治体に寄付してくださった分は、「寄付金控除」として所得税や住民税から控除されるメリットがあります。
さらに、「納税のお礼品」として自治体イチオシの特産品を送ってもらえるので、ご自宅にてふるさとの味をじっくり堪能できるチャンスです!人口減少が進みながらも、手厚い子育て支援で再び活力を取り戻そうとしている大町町への応援を心よりお待ちしています。