引っ越しや家を買うなどのタイミングで、家の方位(方角)が気になったり、玄関の位置やインテリア、部屋の色などで迷いが出たりすることがあるのではないでしょうか。せっかくなら運気が良くなる家に住みたい、そう思う方は多くいらっしゃいます。
風水は生活や暮らしを良くする先人の知恵です。これを知れば、ちょっとしたコツで不調な流れを改善できるかもしれません。
そもそも風水とは?
風水とは古代中国発祥の環境哲学で、より良い暮らしをするための知恵として受け継がれてきたものです。一方、日本には古来より家相といって家の隆盛や運を判別する方法があり、現在の風水は中国系の風水と家相などを中心とする日本版風水が合わさったものになっています。そのため、さまざまな風水専門店で同じことを調べても別の結果が出るといった状況があるのです。
干ばつなどの問題があった中国では、生活で必要な水の問題を解消するための知恵として確立された面があり、風水と‟水”という文字がついています。逆に日本は河川が多く、干ばつの問題は中国ほどではなかったため、家自体に特化した家相という考え方が広がったとされます。
玄関の風水にこだわるべき理由とは?
玄関は運気や厄が入ってくる場所
風水では、玄関は良い気も悪い気も、すべての気が入ってくる重要な場と考えています。幸運は玄関からやってくるというのが基本で、玄関がきれいになっていないと金運などの良い運も素通りしてしまうことになるのです。
また、玄関は厄落としの場所でもあり、外から入る厄を最初に落とす場所です。葬儀などの帰り、自宅に入る前に清めの塩で厄を払うという行為も、外から入る悪い気を玄関で落とすために行います。
玄関は家の位を表す
すべての気の入り口である玄関は、家の運気の基を作り、その家の運気を左右すると考えられています。清潔感のある方が好感を抱かれやすいのと同じように、きれいに整えられた玄関は良い気を招き入れます。逆に散らかっていて不潔な印象を与える玄関であれば、悪い気を溜めてしまうことになります。
家の中の各部屋をどんなにきれいに整え、気の流れが良い状況を作っても、入り口から良い気が入らない限りは運気アップをすることはできません。逆に各部屋の状況がいまいちでも、玄関から良い気が流れていれば、全体として運気アップにプラスに働きます。
風水で玄関の気を整えたい!最初に行うこととは
靴をすべて収納する
風水の基本ですが、きれいで清潔な環境を保つことが大事であり、玄関であればまず靴の収納から始めましょう。
風水では、ほこりやゴミに悪い気が溜まるとされ、脱ぎっぱなしの靴が放置されている玄関には、靴だけでなく砂利やゴミも散らかっていたりします。収納にしまえない場合は、きれいに並べ整えるということは最低限行うようにしましょう。
ほこりやゴミを溜めない
先に紹介していますが、ほこりやゴミを溜めないのもポイントです。外出先から帰ってきた時には、どうしてもゴミや砂利などを運んでしまうものです。それをそのまま放置していると、悪い気がゴミやほこりと一緒にそこに溜まると考えられています。
週に1度は掃き掃除をする、月に1度は水拭きするなどして、清潔感ある玄関の状態を継続しましょう。
良い香りをさせる
玄関の運気を上げる簡単な方法には、ルームフレグランスやアロマを使ったり、生花などを飾ったりして、良い香りを漂わせるという方法があります。香りには邪気を払う効果があると考えられています。良い香りを漂わせることで悪い気の流れをストップしましょう。
フレグランスやアロマの香りが苦手な方もいらっしゃいますが、そうした方は生花を飾るのがおすすめです。また、悪臭は逆に悪い気を呼び込むことになるため、玄関に消臭効果を狙って備長炭など置くのも良いでしょう。
玄関マットを敷く
玄関の開運アイテムでは、玄関マットがよく候補に挙がります。玄関マットは、玄関のたたきに落ちた厄が家の中に入るのを防ぐ効果があり、敷くだけで効果のある手軽な開運アイテムです。
白や薄紫系の色は厄落としの効果があるため、玄関マットに最適です。また、金運アップを図るなら、黄色系などの明るめの色や楕円形などの形状もおすすめです。また、スリッパを置く場合、汚れているのはNGですので、きれいに洗濯した物を並べるようにしましょう。
ただ、家の構造上、玄関マットを敷くことで玄関が狭くなるケースもあるため、そうした場合は無理に敷く必要はありません。
盛り塩をする
田舎の古い家で、よく玄関に盛り塩してあるのを見かけます。盛り塩にも玄関マットと同じように厄払い効果があり、悪い気の侵入を防ぎ、良い気だけを家の中に入れる効果があります。
盛り塩を置く場所は、玄関の形状にもよりますが、人の出入りや玄関の開閉に邪魔にならない位置に置きましょう。これも玄関マット同様に必ず行わなくてはならないというものではありません。
同じような厄払い効果では、神社の厄払いのお札を玄関に貼るという方法もあります。
季節に合わせた置物を設置
季節の花や観葉植物は風水上では厄を弱めると考えられており、玄関の位置や形状で問題がある場合には、こうした物を置くことでその凶作用を弱めることができます。
また、古い家では、玄関にダルマが置いてあるお宅もあるかもしれません。ダルマは祈願成就の縁起物であり、厄払いの置物でもあります。なお、後者として置くのなら分かりますが、前者の意味合いで玄関に置いてもあまり意味がありません。
それ以外には、玄関にぬいぐるみや動物の陶器なども置かれている方もいるでしょう。特にぬいぐるみは気を吸ってしまったり、ほこりが付いたりするので避けるべきです。厄を払う場である玄関では、ぬいぐるみに悪い気が溜まってしまいます。逆に動物などの陶器は問題ありません。
風水で玄関の運気を高めるなら方角や色も重要
北の玄関:ピンクやオレンジ
北の玄関は、家族関係が良好になったり、夫婦仲が安定したりします。ただし、日当たりの面では悪く、暗く冷える玄関になるため、照明などを明るくして温かみをだすなど工夫が必要でしょう。
冬場は、玄関に向かって風が吹くのでドアを開けにくいことや、雪が多い地域では日当たりが悪いことで玄関の雪が解けないといったデメリットもあります。しかし、逆に日当たりの良い場所をリビングなどにできるメリットもあるため、ご自身の住んでいる地域の環境によって、北向きの玄関の有り無しを判断すべきでしょう。
- ラッキーカラー:ピンク、オレンジ
北東の玄関:白や黄色
北東の玄関は、鬼門と呼ばれる大凶方位です。ここに玄関を置くと悪い運気を招いてしまうことになるため、もし東北に玄関がある場合は、できるだけ緩和する対策が必要になるでしょう。
例えば、玄関を頻繁に掃除しきれいな状態に保つ、盛り塩をする、サボテンなどのとげとげした観葉植物を置くといった対策で、凶作用を緩和することができます。自宅が大凶方位の場合、その方位に玄関がかかる部分が小さければ、影響を抑えることができるでしょう。
- ラッキーカラー:白、黄色
東の玄関:白や赤
東の玄関は、対人関係が良好になるでしょう。家庭は明るく賑やかになりますし、仕事面でも周囲との関係が良好になるのでプラスに働きます。
例えば、仕事では上司に恵まれるとか、取引先から紹介が増えるなど、人の縁を活かすことができるようになるでしょう。逆にデメリットを挙げるならば、朝は日差しがきついくらいで、玄関ポーチに屋根を付けるお宅も多いです。
- ラッキーカラー:白、赤
南東の玄関:花柄やオレンジ
南東の玄関は、商売繁盛や社会的信用を得られる吉方位です。すでに仕事を引退したシニアの方よりも、むしろ働き盛りの方にとっては、最も良い方位といえます。信用を着実に築ける方位ですので、商売にかかわらず、仕事面ではプラスに働きます。
この方位に玄関があっても薄暗い印象を受ける場合は、ライトやインテリアを変更してみましょう。明るく暖かい印象の空間になるよう変更することで、良い気の流れをより高められます。
- ラッキーカラー:オレンジ
南の玄関:ベージュや白
南の玄関は、社交性が活発になる方位であり、社会的な成功や恋愛面の充実などが図れる方位といえるでしょう。この方角の玄関は日当たりが良いので人気ですが、直射日光でドアの劣化も激しくなるため、玄関ポーチに屋根やひさしを付けた方が良いでしょう。
絵画やインテリアの色焼けなどがある場合、本来の開運効果と逆の影響を及ぼすことになりますので、そうしたことがないように注意が必要です。
- ラッキーカラー:ベージュ、白
南西の玄関:ラベンダーや緑
南西の玄関は、一般的には裏鬼門と呼ばれる大凶方位です。風水と家相で若干意味合いが異なりますが、どちらも女性に影響が出る方位です。奥さん次第で良くも悪くも変わるとか、健康面の問題が生じやすいとされます。そうした凶作用を和らげる対策として、例えば盛り塩を置くとか、とげのある観葉植物を置くなどがおすすめの対策です。
- ラッキーカラー:ラベンダー、緑
西の玄関:黄色やピンク
西の玄関は、お金の問題が出る凶方位です。お金の出入りが多くなるなど、金運が不調になるでしょう。ビジネスで成功し、羽振りが良かったのに一気に落ちるといったことも、こうした方位の玄関では出る場合があります。良い面では、人の出入りが多い楽しい家になるでしょう。
金運不調の対策として、こまめに掃除をし、いつもきれいな状態にしておくこと、「張り」を設けることでそうした不調和な要素を緩和することができます。
- ラッキーカラー:黄色、ピンク
北西の玄関:茶色や緑
北西の玄関は、仕事の面に良くも悪くも影響が出る方位です。家相では、主人の仕事運が向上するとされ、吉方位とみられますが、風水では奥さん次第でその状況が変わるとされます。しっかり者の奥さんの場合、旦那さんの仕事運が上がることになるでしょう。
観葉植物や丸い物をインテリアに置くと、旦那さん側への奥さんのあたりが軽減されるので、夫婦関係が円満になります。
- ラッキーカラー:茶色、緑
さらに玄関の運気を高めたい場合は?
鏡を設置する
玄関に鏡を飾る場合には、玄関のドアを開けて左か右かに置くと良いでしょう。風水では玄関のドアを開けると左が金運アップ、右が出世運といって、仕事へのプラスの影響が出てきます。
ただし、玄関のドアの正面に鏡を置くことはおすすめできません。これは鏡に気を反射させる効果があり、正面に鏡があることで、せっかく入った良い気をはねつけてしまうためです。
また、どんなに良い位置に鏡を置いても、鏡が手垢などで汚れていると開運効果を弱めてしまうことになるため、鏡をきれいな状態に保つようにしましょう。
絵を飾る
玄関に絵を飾る場合は、風景や花などの絵を選ぶようにしましょう。家族の似顔絵や写真なども含め、人物画は風水上タブーです。玄関においては、その画に描かれた人物を追い返すという意図が働いてしまい、家の中でのいざこざを招く原因になりかねません。
また、動物の絵や写真もおすすめできません。例えば縁起物とされる龍や虎、十二支などの画を飾る方もおられます。たしかに運気を本来上昇させるアイテムとされていても、飾る位置を間違えると逆効果になってしまいます。これらは運気を良くも悪くも大きくしてしまう物なので、リスクが大きいです。
観葉植物を置く
玄関の運気を高めるために観葉植物を置くのもおすすめです。先に紹介したとおり、葉先がとげとげした観葉植物やサボテンなどは、邪気の侵入を妨げる効果があります。玄関の方角が悪い場合などには、そうした効果を狙って、とげとげした観葉植物を置くのが良いでしょう。
また、観葉植物や生花には、悪い気を吸って良い気を吐き出す浄化作用の効果も見込めます。玄関のスペースによっては設置しにくいお宅もあるでしょうし、絶対に置かなくてはならない物ではありません。
玄関風水で絶対にやってはいけないこととは
家族写真を飾る
玄関に家族写真を飾るのは止めましょう。先にも触れていますが、家族などの人物の写真を飾ると、家族関係で問題やひずみが生じやすくなります。これは写真に写っている方の良い気を追い返すとか、逆に悪い気を写真の中に留めてしまうと考えられるためです。
写真以外に、子どもが描いた家族の似顔絵なども同じことがいえます。円満な家庭を崩す要因にもなりかねませんので、家族や人物の写真は玄関に飾るのを避けましょう。
死を連想する物を置く
玄関に剥製やドライフラワーなどを飾るのも避けましょう。風水では陰陽の考え方を基本とし、陰のものには陰の気を呼び込み、陽のものは陽の気を呼び込みます。剥製やドライフラワーなどは陰のものであり、それが玄関に飾ってあると、玄関に陰の気を溜めこんでしまいます。陰の気はそれ自体が悪い気というわけではないのですが、陰の気がこもると悪い気の滞留にもつながってくるので、避けるべきです。
剥製を玄関に飾っている家を見かけます。伝承や慣習などでそうした物を設置することもあるので、一概にだめだとはいえません。もともと陽の気を弱めるために陰の気を持つ物を置くケースもあります。しかし、マンションやアパートなどの集合住宅の多くでは、基本的に置かない方が無難でしょう。
玄関の正面に鏡を置く
玄関の正面に鏡を置くのは避けましょう。鏡のところでも触れていますが、正面に鏡を置くと、せっかく気の出入り口である玄関から入る良い気を跳ね返すことになります。良い気が入る流れを止めるというのは、運気が滞留し、のちに低迷していくことにつながってくるのです。
ですから、鏡を置くのであれば正面を避け、左右のいずれかに置きましょう。鏡の大きさは、全身が映る物であれば、その影響や効果はほぼ変わることがありません。
おわりに
風水において玄関は気の出入り口とされ、家の運気を左右する要です。玄関を開運すれば家全体の開運につながっていくという風水師もいるほどです。今回紹介した開運のポイントを押さえ、ぜひ幸運体質を手に入れてください。方角が凶作用でだめなら、それを打ち消す対策をすれば、凶を吉に近づけることもできます。逆に玄関の方角は大吉なのに置物の効果で凶作用になるケースもあり、不調を招くなら置き場所を移動するなどの柔軟性を持つと良いでしょう。