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退職願の正しい書き方は?退職届・辞表との違いや押さえておきたいポイントも解説

退職願の正しい書き方は?退職届・辞表との違いや押さえておきたいポイントも解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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退職する時、まず退職願を提出するよう会社側から求められることがあります。その際に「退職願の書き方は?」「退職するまでの流れは?」といった疑問や不安が浮かんでくるのではないでしょうか。そこで今回は、スムーズな退職のために準備しておくべきことをまとめました。また、退職届と辞表の違いや、円満退職のための流れを交えながら、退職願の書き方と押さえておきたいポイントについてご説明します。

1.退職願とは?退職届と辞表との違い

1.退職願とは?退職届と辞表との違い

退職願・退職届・辞表と、それぞれ意味するところは全く異なり、使い分けが大切なのでしっかり理解しておく必要があります。

1-1.退職願

退職願とは、労働者側から会社側に対して退職を願い出るための書類になります。一般的には辞意を伝えた後に退職願を提出しますが、口頭で申し出ることも可能で、書面の退職願は必ずしも必要はありません。

1-2.退職届・辞表との違いは?

退職届とは、労働者側から会社側に対して退職の意志表示するための書類であり、会社の承諾を得て退職することが確定したのちに提出します。退職願と同様に法的には口頭のみの意思表示でも良いとはされていますが、後に揉め事にならないためにも事務手続きの記録として退職届の提出は必要です。

辞表とは、会社側と雇用関係のない社長や取締役など務めている役職を辞める時に提出するものです。また、公務員が組織を辞める時に提出する辞表は、退職届と同じ扱いとなります。

2.退職願の書き方と押さえておきたいポイント

退職の意志を上司や会社に伝えた後、退職準備を進めることになります。上司や会社とのトラブルを避け、円満退職するための退職願を書くポイントをお伝えします。

2-1.書き始める前には就業規則を確認しよう

退職願を書く前に押さえておきたいのが、在籍している会社の就業規則です。「2ヵ月までに退職願を提出する」と就業規則に記載があるにもかかわらず見落としてしまい、退職希望日の1ヵ月前に突然上司に退職願を提出すると、受理されないため退職交渉がスムーズにいかず、トラブルの原因になりかねません。退職願を書き始める前に、就業規則を確認しましょう。

2-2.書く内容は手書きもパソコンも同じ

「退職願は手書きが必須?パソコン作成でも良い?」と疑問に思っている方も多いかと思いますが、法律上決まりはないためどちらでも作成可能です。また、退職願の書く内容は手書きもパソコンも同じなので、不備のない退職願を書いて円満に退職できるようにしましょう。

それでは退職願の書き方を見ていきましょう。まず、一番右の行の上側に「退職願」と書き、次の行の一番下に「私事」もしくは「私儀」と記入します。そして本文ですが、シンプルな一例としては「このたび、一身上の都合により、令和○年○○月○○日をもって、退職いたします。」が挙げられます。後ほど詳しく説明します。

退職理由は大きく分けて「自己都合の退職」または「会社都合の退職」があり、どちらかによって作成する内容・書き方が異なります。自己都合退職の場合、「一身上の都合により」と記入しましょう。また、転職や療養など具体的な理由がある場合でも、自己都合の退職にあたるため「一身上の都合により」と記入することは可能です。

会社都合退職の場合、「一身上の都合により」とは書かずに、「早期退職のため」「事務所閉鎖のため」「事業部門縮小のため」といった具体的な退職理由を書く必要があります。なお、会社都合退職の場合は、退職願を提出するよう求められても断りましょう。

2-3.手書きの場合

2-3.手書きの場合

退職願を手書きにて提出する場合、準備するものとポイントを見ていきましょう。

 準備するもの

手書きの際に準備するものは以下です。

  • 白の便箋(罫線が入った便箋使用可)
  • 白の封筒(無地)
  • 黒のボールペンまたは万年筆

摩擦で消えるボールペンで書いた場合、書いた文章が消えてしまう恐れがあるので、必ず消えない筆記用具で書きましょう。

 ポイント

手書きの際、退職願に記載する内容は以下です。

  • 書き出し:「私事」もしくは「私儀」と書きます。
  • 退職理由:自己都合退職の場合「一身上の都合」といった退職理由を具体的に書きます。
  • 退職日:必ず退職希望日を記載します。西暦や元号どちらか決まりがありませんが、会社の公式書類に合わせるのが良いでしょう。
  • 文末:文末は「~お願い申し上げます。」と願い出る旨を書くのが一般的です。
  • 届出年月日:退職願の提出する日付を記入します。
  • 所属部署および氏名:所属部署と名前は宛名より下に記入し、名前の下に必ず捺印しましょう。
  • 宛名:一般的には、代表取締役社長などを書きますが、最高執行責任者の役職と名前を書き入れましょう。敬称は「~殿」にします。ご自身の名前よりも上に書くことがポイントです。

なお会社都合退職の場合、退職願を提出する必要はありません。自己都合退職と見なされる可能性があり、会社側から求められても断るようにしましょう。

2-4.パソコンの場合

退職願をパソコンで作成して提出する場合、準備するものとポイントを見ていきましょう。

 準備するもの

パソコンで作成する際に準備するものは以下です。

  • 用紙
  • 白の便箋(罫線が入った便箋の使用可)
  • 白の封筒(無地)
  • 会社ごとのフォーマット

コピー用紙の指定は特にありませんが、ざら紙や再生紙、色付きの紙はビジネスマナーとして不向きなので使用しないようにしましょう。会社によって、退職願などの文面があらかじめ記載された所定のフォーマットが設けられていることがあるので書き始める前に上司や会社に確認しておきましょう。

 ポイント

パソコンの場合でも、ポイントは手書きの場合と全く同じです。パソコンで退職願をスムーズに作成したい場合、Word形式のテンプレートを活用しましょう。

2-5.【疑問1】手書きとパソコンどちらが良い?

基本、退職願は手書きで作成します。パソコンでの退職願の作成はマナー違反ではありませんが、辞意する誠意が伝わりやすいのは手書きであると考えている方が多いです。但し、会社からパソコン作成の指示がある場合は、規則に従い作成しましょう。

2-6.【疑問2】縦書きと横書きどちらが良い?

特に指定がない場合、退職願は縦書きが一般的です。但し、会社から横書きを指定される場合もあるので、事前に確認し規則に従って作成しましょう。

3.退職願に使う封筒の書き方と押さえておきたいポイント

作成した退職願は、必ず封筒に入れてから提出しましょう。ここでは、退職願を入れる封筒の書き方とポイントをお伝えします。

3-1.書き方

封筒の用意ができましたら、表と裏にそれぞれ記入していきます。封筒の表には「退職願」と中央やや上寄りに書き、裏には左下に所属部署の正式名称とフルネームを書きましょう。封入する際、封入口にのりをして「〆」と書きます。なお、退職願と同様に手書きの場合、黒のボールペンか万年筆を使って書くのが基本です。

3-2.ポイント

3-2.ポイント

退職願を入れる封筒は白色で、郵便番号の枠がない無地のものを選びましょう。退職願を封筒に入れた際、中身が透けないように「白封筒」か「2重封筒」を使うと良いです。

封筒は退職願を3つ折りにしたサイズに合うものを用意します。用紙のサイズがB5は長形4号、A4は長形3号に入れて提出しましょう。

4.退職までの流れは?

退職する意思を伝えたら、スムーズに退職に向けて動き出しましょう。ここでは、退職願を提出するタイミングから、退職するまでのスケジュールや必要な手続きなどをまとめました。退職の流れを把握し、円満且つスムーズに進めるために準備しておく必要があります。

4-1.退職の意思を固め、伝える

退職する決意が固まったら、なるべく早く直属の上司へ申し出てください。直属の上司よりもさらに上の立場にある方や、人事部などに直接伝えるのは社会人としてマナー違反です。本人以外から上司に退職したことが伝わると、トラブルの原因になる可能性があります。

退職にあたって、会社都合や周囲への配慮が必要です。一般的には、引き継ぎや後任の手配などを考える必要があるため、退職の約2〜3ヵ月前には意思表示をすると良いとされています。また、就業規則に退職する時期に関して定めがある場合には、会社の規則に従いましょう。

4-2.退職願を提出する

退職の意志を伝えたら、次に退職希望日を記載した退職願を提出します。直属の上司に退職願を直接手渡しで提出しましょう。

4-3.仕事を引き継ぐ

直属の上司より退職の承諾を得たら、速やかに仕事の引き継ぎを開始します。引き継ぎするためのスケジュールを立て、退職1週間〜3日前までには完全に仕事の引き継ぎを完了させておくようにしましょう。同時に引き継ぎ資料も作成しておくと良いでしょう。

4-4.取引先などに挨拶回りをする

退職する1~2週間前は、担当していた取引先などに挨拶回りを始めましょう。但し、挨拶回りは会社の意向に沿って行います。また、後任者が決定していれば同行を求め、取引先に後任者の存在を立てて紹介しましょう。顔合わせすることでお互い安心し、その後の取引もスムーズに進めやすくなります。

4-5.備品の返却、事務手続きを行う

退職する際、制服や健康保険証、社員証、名刺、パソコンなど会社からの貸出や備品などは最終出社までに返却しましょう。また、会社で作成した企画書や資料、書類、会社の費用で購入したものなども原則会社の備品になります。

退職日までに社内で行うべき事務手続きは、退職届の提出です。退職届は一般的に上司に退職の意志を伝え、退職日を確定させてから提出する書類です。退職する1ヵ月~2週間前に提出をしましょう。

6.退職時のトラブル事例

退職時に起こり得るトラブル事例と解決策を3つにまとめました。参考にしてみてください。

6-1.退職願が受理されない

6-1.退職願が受理されない

直属の上司に辞める1ヵ月前以上に退職願を提出しても、受理されなかったというケースです。退職する時期に関して定めがある場合もあるため、原則として就業規則に従いましょう。しかし、今回のように退職届が受理されない場合には、受理されない理由を明確にしましょう。

退職日に問題がある場合ややむを得ない事情がある場合を除き、基本的には退職することは可能です。退職願が受理されずに退社できない場合でも、民法上では退職届を出してから2週間経過すれば、今の会社を退職することができます。直属の上司との話し合いで解決できない場合は、「労働基準監督署」へ相談する方法もあります。

6-2.退職金が支払われない

退職金がいつまで経っても振り込まれないというケースです。このケースでは、以前勤めていた会社へ問い合わせても対応してもらえない、などということも少なくありません。退職金が支払われない場合、「内容証明郵便」を利用しましょう。

発送日や退職金請求の書面内容が郵便局にて管理されるため、後日裁判になった場合でも、証拠として提出することが可能です。また、ご自身だけで対処するのが難しい場合は、第三者に助けを求めましょう。「労働基準監督署」や厚生労働省に委託された「労働条件相談ほっとライン」へ相談すると、トラブル解決に向けて力を貸してくれます。

6-3.有給休暇が認められない

退職日より前に有給休暇を申し出たら、直属の上司や会社に拒否されて有給休暇を取得できないというケースもあるようです。会社が許してくれないからと曖昧な返事や態度を取ってしまうと、ますます有給休暇が取りづらくなり、退職日も延びてしまう可能性もあります。まずは、退職日までに会社や後任者への充分な引き継ぎ期間があるかを再度確認が必要です。

そのうえで、会社や直属の上司に、辞意と後任者へのスムーズな引き継ぎスケジュールを伝え、諦めずに説得しましょう。直属の上司と相談しても解決しなかった場合は、さらに上の上司や人事部、総務部へ相談してください。それでも解決しないような時は、労働基準監督署へ相談するのも手段のひとつです。

7.退職願はいつ提出するのがベスト?

7.退職願はいつ提出するのがベスト?

円満な退職をするために、退職願を提出するタイミングは大切です。正社員とパート・アルバイトの場合で分かれますので、会社や直属の上司と揉めないようにベストなタイミングで提出しましょう。

7-1.正社員

どんな状況であれ、いきなり退職願を提出してはいけません。退職願を提出する前に、まず直属の上司に退職したい旨を切り出し、退職に向けて交渉を行いましょう。直属の上司と相談のうえ、退職の合意を得た後に退職願を提出します。退職願の提出に関しては、就業規則に記載されている場合もあるので、確認が必要です。

7-2.パート・アルバイトも退職願は必要?

パートやアルバイト契約の場合、基本的に退職願を提出する必要はありません。直属の上司に口頭で退職する旨を伝えるのは、法律的にも問題ないとされています。ただし、会社側から退職願の提出を求められる場合もあります。作成した後に直属の上司へ直ちに提出する、もしくは入社時に交わした雇用契約書などに提出期日が記載されている場合には期日を確認してから提出をしましょう。

おわりに 

退職する際、必要になる退職願の書き方など退職するまでの流れについて解説してきました。直属の上司に退職したい旨を申し出る前に、まず退職するための関連の知識や常識を知っておくことは大切です。退職願の書き方や提出するタイミングを間違えてしまうと退職がスムーズに進まない可能性も考えられます。無用なトラブルを起こさないように、会社や直属の上司としっかりと話し合い、最後は円満な退社で会社に見送ってもらいましょう。

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