更新日
公開日

夏バテしない体をつくる!予防に役立つ食事のポイントを解説

夏バテしない体をつくる!予防に役立つ食事のポイントを解説
関口 絢子 (料理研究家・管理栄養士・インナービューティースペシャリスト)

監修者

料理研究家・管理栄養士・インナービューティースペシャリスト

関口 絢子

エビデンスに裏付けされた、美と健康に関するお悩み解消レシピが人気。「食を通じて世の中を元気に健康にしたい」をモットーに、すぐに実践したくなるお役立ち情報を発信している。自身のYouTubeチャンネル登録者数は63万人を超え、​シニア世代の健康や美容に特化したレシピや栄養情報も発信中。
公式YouTube

暑さが本格化する季節、なんだか身体がだるい、食欲がない…。その症状、「夏バテ」ではありませんか?

冷房と外気の温度差、寝苦しさ、水分不足など、夏は身体にとって負担が大きい季節。だからこそ、毎日の食事が体調管理のカギになります。

本記事では、夏バテを予防するために意識したい栄養素や食材、食べ方のコツを、料理研究家・関口絢子さんにうかがいました。

 “なんとなく不調”を遠ざけて、元気に夏を乗り切るためのヒントをぜひチェックしてください。

夏バテって何?症状と原因を知ろう

毎年、夏になるとなんとなく身体がだるい、食欲がない、眠りが浅い…。そんな不調を感じていませんか?

それはもしかすると「夏バテ」のサインかもしれません。この章では、夏バテの代表的な症状とその原因について詳しく解説します。

夏バテの主な症状

夏バテは医学的な病名ではありませんが、高温多湿な環境が引き起こす体調不良の総称です。
主な症状には次のようなものがあります

  • 身体が重だるい、疲れが取れない
  • 食欲がなくなる、冷たいものばかり食べたくなる
  • 頭がぼんやりする、集中力が落ちる
  • 下痢・便秘など消化器の不調

どれも日常生活にじわじわと支障をきたす不調です。

高温多湿や冷房が体に与える影響

夏は、外の暑さと室内の冷房との温度差によって自律神経が乱れやすくなります。さらに、汗をかくことで水分とともにミネラルも失われ、徐々に体力が奪われていきます。

加えて、暑さによる食欲不振や、冷たい飲み物・食べ物の摂りすぎが原因で、胃腸の働きが低下しやすくなります。 その結果、栄養がうまく吸収されず、体調不良や夏バテの原因になってしまうのです。

夏の時期は、寝苦しさから十分な睡眠が取れなかったり、水分補給が不十分だったりと、体調を崩す要因が重なりやすくなります。
特に注意したいのが水分補給です。一見、しっかり水分を取っているつもりでも、実際にはお茶やコーヒーなど利尿作用のある飲み物ばかりになっていることがあります。
そうすると、身体にとって本当に必要な水分が十分に残らず、「水分を取っているようで取れていない」状態になってしまうのです。

なぜ“食事”が予防のカギになるの?

夏バテを防ぐには、失われがちなエネルギーや栄養素をしっかり補うことが重要です。

食べることで体力がつくだけでなく、体温調整や疲労回復をサポートする栄養素を摂ることで、内側から夏に強い身体をつくることができます。

夏はどうしても体力を消耗しやすい季節ですし、実は「栄養素をきちんと摂っているつもりでも、足りていない」というケースがとても多いんです。その結果、身体の中でうまくエネルギーが作られず、疲れがたまりやすくなってしまうんですね。
ですからまずは、糖質やタンパク質など、基本となる栄養素をしっかり摂取することがとても大切です。特に夏は、素麺などの“単品メニュー”で食事を済ませがちになりますよね。でもそれだけだと、栄養がどうしても偏ってしまいます。
だからこそ、「不足しがちな栄養素を意識して補う」という視点が必要になってくるんです。

夏バテ予防に欠かせない栄養素とは?

夏の不調を防ぐには、身体の内側からのケアが欠かせません。

この章では、疲労回復や体調維持に役立つ、夏バテ予防に必要な栄養素とその働きについてご紹介します。

エネルギーを補う「糖質・たんぱく質」

夏は気温の高さや寝苦しさなどで体力が奪われやすく、いつの間にかエネルギー不足に陥ってしまうことがあります。そんな時に意識したいのが、「糖質」「たんぱく質」のしっかりとした摂取です。

糖質は、私たちの身体や脳を動かすための主要なエネルギー源。ごはんやパン、麺類などの主食に多く含まれており、日中の活動を支えてくれます
そして、意識したいのがたんぱく質です。筋肉や臓器をつくる材料になるだけでなく、体力の回復や免疫力の維持にも関わるため、夏場の食欲が低下しがちな時期こそ積極的に取り入れたい栄養素です。肉、魚、卵、大豆製品など、手軽に食べられるものをうまく組み合わせましょう。
糖質とたんぱく質をバランスよく摂ることが、夏の疲労を防ぎ、日々を元気に乗り切るための基本となります。

疲労回復を助ける「ビタミンB群・クエン酸」

夏に感じるだるさや疲れを和らげるには、エネルギー代謝を助ける栄養素を意識的に摂ることが大切です。なかでも、ビタミンB群クエン酸疲労回復に役立つ代表的な成分です。

ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変換するために不可欠な栄養素で、豚肉・うなぎ・大豆製品などに多く含まれています。このビタミンB1が不足していると、せっかく糖質を摂ってもエネルギーとしてうまく活用されず、疲れやすくなってしまうことがあります。
つまり、糖質とビタミンB1はセットで摂ることがポイントなのです。
さらに、クエン酸も夏場に意識したい栄養素のひとつ。疲労物質の分解を助ける働きがあり、レモン汁や酢、梅干しといった身近な食材に含まれています。
日々の食事にも取り入れやすく、たとえば豚しゃぶに梅干しを添えるそうめんにお酢を少し加えるといった簡単な工夫でも、しっかりと疲労回復につなげることができます。
こうした食材の組み合わせは、夏バテ対策としてとても理にかなっていると言えるでしょう。

体調を整える「ミネラル・水分補給」

夏は汗をかく量が増えることで、ナトリウムやカリウムといったミネラルが体外に流れ出やすくなります。そのため、水分補給の際には、単に「水を飲む」だけではなく、「ミネラルの補給」も意識することが大切です。

ナトリウムは塩分から摂取できるため、日々の食事の中では味噌汁や梅干しといった日本の伝統的な食材が非常に有効です。
一方、カリウムは生の夏野菜や果物に多く含まれており、代表的なものとしてトマトやキュウリ、バナナ、スイカなどが挙げられます。これらの食材は調理の手間も少なく、暑い時期でも手軽に取り入れやすい点が魅力です。
特にバナナは、ミネラルだけでなくビタミンB群も含まれており、エネルギー代謝を助けてくれる優秀な食材です。何気なく口にしている夏の果物や野菜も、実は身体の中からコンディションを整えてくれる大切な栄養源。
気づかないうちにミネラル不足になりがちな時期だからこそ、意識して取り入れていきたいものですね。

夏に積極的に摂りたい食材&おすすめメニュー

夏の不調を防ぐカギは、旬の食材を味方につけること。この章では、夏にこそ取り入れたい栄養豊富な食材と、手間がかからず、ぱぱっと作れる関口さん考案のおすすめメニューを紹介します。

夏バテに効くおすすめ食材

暑さで食欲が落ちやすい夏こそ、身体に必要な栄養素を含む食材を意識的に取り入れることが大切。代表的な食材としては、以下のようなものがあります。

  • 豚肉:ビタミンB1が豊富で、疲労回復に効果的
  • 酢・梅干し:クエン酸を含み、胃腸の働きをサポートする
  • 納豆・豆腐:植物性たんぱく質とビタミンB群が同時に摂れる
  • トマト・きゅうり:水分・ミネラルが豊富で火を通さずに食べられる
  • オクラ・モロヘイヤ・なめこ:粘り成分(多糖類)が胃粘膜を保護してくれる

夏の果物、スイカは特におすすめです。スイカは水分が豊富なうえカリウムも含まれているため、脱水予防や体内のミネラルバランスの調整に役立ちます。また、トマトと同じくリコピンをたっぷり含んでいることも注目ポイントです。
リコピンは強い抗酸化作用を持ち、紫外線によるダメージのケアや、肌の健康維持・美容効果も期待できます。暑さが厳しい季節だからこそ、手軽に取り入れやすく、身体にやさしいスイカを、日常的に上手に活用していきたいですね。

簡単に作れる!夏バテ予防の時短メニュー

忙しい日々の中でも、手軽に用意できて、しかも栄養バランスのとれたメニューは、夏の体調管理にとても役立ちます。

ここでは、暑い時期でも食べやすく、疲労回復や水分・ミネラル補給にもぴったりな簡単メニューを2品ご紹介します。

豚肉とピーマンのガリうま炒め

材料はたったの3つ。でも、一度食べたら止まらない!ピーマンは“ちぎる&つぶす”ことで旨みが染み込みやすく、にんにくの香ばしさと豚肉の旨みがごはんにぴったり。

疲れた日にも、免疫力アップにもうれしい、簡単&滋養レシピです。

【材料(2~3人分)】

  • ピーマン…7個
  • 豚肉(切り落としなど)…250g
  • にんにく…1玉
  • ごま油…大さじ2
  • 醤油…大さじ2

作り方】

  1. ピーマンは丸ごと手でぎゅっと押しつぶします。こうすることで繊維が壊れ、火の通りが早く、味もしみやすくなります。 そのまま手で半分に割り、ヘタと種を取り除き、さらに食べやすい大きさにちぎっておきます。※種が気になる場合はさっと水洗いしてください。
  2. にんにくは薄皮をむき、根元を切り落とします。包丁の背でしっかり潰し、芽があれば取り除きます。大きいものは、さらに手でちぎって使ってもOK。
  3. 豚肉は切り落とし肉ならそのままで、大きければ食べやすい大きさにカットします。
  4. フライパンにごま油とにんにくを入れ、弱火~中火でじっくり加熱します。焦げないよう時々返しながら、香ばしくふっくらするまで火を通します。
  5. にんにくの香りが立ったら豚肉を加え、中火で炒めます。火が通ったら、ちぎったピーマンを投入。つぶしてあるので、通常より火の通りが早く、シャキッと仕上がります。全体に火が通ったら醤油を加えてさっと炒め合わせ、完成!

スイカと赤い野菜のサラダ

スイカやトマトのリコピン、カリウムが摂れる、夏にぴったりのさっぱりサラダ。

水分やミネラル補給にもおすすめです。

【材料(2〜3人分)】

  • スイカ(果肉部分)…400〜500g
  • トマト(小さめ)…2個
  • パプリカ(赤または黄)…1/4個
  • 玉ねぎ…1/4個
  • 塩…小さじ1/3
  • こしょう…適量
  • オリーブオイル…大さじ1〜2

【作り方】

  1. スイカは皮から果肉をそぎ取り、一口大に切ります。大きめの種はあらかじめ取り除いておきます。
  2. トマトも一口大にカット。パプリカと玉ねぎは薄切りにします。
  3. ボウルにすべての具材を入れ、塩・こしょう・オリーブオイルを加えてやさしく混ぜ併せて完成!
    ※調味料は味を見ながら、お好みに合わせて加減してください。

夏バテを防ぐ食べ方や生活習慣の工夫を

夏の体調不良を防ぐには、食事だけでなく、日々のちょっとした習慣の見直しも大切です。

この章では、内臓を冷やしすぎない食べ方や、朝食の重要性など、夏を快適に過ごすための工夫をご紹介します。

冷たいものの摂りすぎに注意

生活習慣の中でもうひとつ気をつけたいのが、冷たい飲み物や食べ物の摂りすぎです。暑い日にはつい冷たいものを取りたくなりますが、必要以上に身体を冷やすことで、胃腸の働きが弱まり、消化機能が落ちてしまうことがあります

特に、冷たい水やアイスクリーム、氷入りのドリンクを一度にたくさん摂るのは控えめにしたいところです。食事の前には、できれば温かい汁物や白湯などを少し取って、胃腸を温めてから食べ始めると、消化吸収がスムーズになります

また、身体がほてっているときは、冷たいものが欲しくなるのは自然なことですが、冷えすぎると内臓の働きが鈍くなるだけでなく、自律神経にも影響を与えやすくなります。冷たい飲食物は「量」と「タイミング」を見ながら、うまく取り入れることが大切です。

こまめな水分補給を

喉の渇きは実際よりも遅れて感じるため、「喉が渇いていないから大丈夫」と思っていると、知らず知らずのうちに脱水が進んでしまうことも。特に暑い日は、意識的に水分を摂ることが重要です。

また、麦茶やスポーツドリンクなど、ミネラルを含む飲み物を上手に取り入れるのもポイントです。スポーツドリンクの糖分が気になるようであれば、水で薄めて摂取するのもよいでしょう。

朝ごはんをきちんと食べよう

朝食を抜いてしまうと内臓がしっかりと目覚めず、体内時計も乱れやすくなります。結果として、1日のリズムが崩れ、だるさや疲労感を引きずってしまうこともあります。とはいえ、朝からしっかりと食べるのは難しいという方も多いかもしれません。そんなときは、まずは少量でも良いので何か口にすることが大切です。

たとえば、ヨーグルトに果物を加えたり、スムージーにしてビタミンやミネラルを摂れる工夫をすることで、胃腸への負担を減らしつつ必要な栄養素を取り入れることができます。
また、朝にタンパク質をしっかり摂ることで、午前中の集中力や身体のエネルギー代謝を高める効果も期待できます。卵料理や豆腐、納豆などは手軽に取り入れられるタンパク源としておすすめです。
忙しい朝でも、少しの意識と工夫で栄養バランスを整えることは可能です。朝食は夏バテを防ぐ第一歩。無理のない範囲で、朝の食習慣を見直してみましょう。

まとめ:食事で夏バテ知らずの毎日をつくろう

夏バテを防ぐためには、特別なことをするよりも、日々の食事や水分補給を少し意識することが重要です。

夏バテは、一度陥ってしまうと、食欲不振・睡眠不足・体力低下といった悪循環に入りやすいのが特徴です。だからこそ、「なんとなく調子が悪い」と感じる前に、予防的なケアを心がけることが大切です。
まず基本となるのは、こまめな水分補給と、栄養バランスの整った食事
特に、夏の野菜や果物には、その時季の身体に必要な栄養素が自然と含まれています。「旬のものを、無理なく、日々の食事に取り入れる」。それだけでも、夏を快適に乗り切るための身体づくりの第一歩になります。
暑さに負けず、元気に夏を過ごすために、 食べることを通じて、自分の身体とやさしく向き合っていきましょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

よく読まれている記事

みんなに記事をシェアする