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コスパ重視で賢く選ぶ!中古パソコンの選び方とチェックポイント

コスパ重視で賢く選ぶ!中古パソコンの選び方とチェックポイント
石本 美紀 (情報処理安全確保支援士・ネットワークスペシャリスト・デジタル推進委員)

監修者

情報処理安全確保支援士・ネットワークスペシャリスト・デジタル推進委員

石本 美紀

コストパフォーマンスの良い中古パソコンの普及を通じ、循環型社会の形成と情報格差の解消に貢献。豊富な講師経験を生かし、わかりやすく丁寧な説明を心がける、パソコン整備士1級のパソコンコンシェルジュ。『パソコン1台で変わる人生があること』を多くの人たちに知ってもらうために活動中。

サブ端末としての活用や、子どもの学習用、在宅ワーク・副業のスタートなど、コストを抑えてパソコンを手に入れたいときに注目されるのが「中古パソコン」。とはいえ、「中古って本当に大丈夫?」「どこを見て選べばいいの?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、中古パソコン選びにおいて失敗しないためのチェックポイントを、初心者にもわかりやすく解説します。

中古パソコンのメリット・デメリットを理解しよう

中古パソコンのメリット・デメリットを理解しよう

近年、中古パソコンの市場規模は1,000億円を超えるとも言われており、個人間取引を含めてその流通はますます拡大しています。今や新品パソコンと並ぶ選択肢となった中古パソコンですが、購入前に知っておきたいメリット・デメリットにはどのようなものがあるでしょうか?まずはメリットから見ていきましょう。

店頭販売における中古パソコンの人気はノートパソコンが圧倒的多数を占めており、来店されるお客様のうち9割以上がノートパソコンを希望されています。デスクトップは2~3%程度で、一体型(オールインワン)を求める声が稀にあります。

価格の安さ

中古パソコンの最大の魅力は、やはりその手ごろな価格です。新品と比べて大幅に安く、限られた予算でもスペックの高いモデルを選びやすいため、個人だけでなく、コストを重視する企業や教育機関などからも高い支持を集めています。

高性能な機種がコストを抑えて入手できる

新品であれば20万円以上するようなハイスペック機種でも、中古なら半額から3分の1程度の価格で購入可能です。性能面で妥協せずにコストを抑えたい場合、中古パソコンは非常にコストパフォーマンスに優れた選択肢といえるでしょう。

環境負荷の低減

中古パソコンを選ぶことは、資源の有効活用にもつながります。新品製造時に発生するCO2排出を抑えられるため、環境負荷を軽減したい方にとっても理想的。サステナブルな消費行動として注目されています。

店舗によってはカスタマイズ可能

販売店によっては、購入時にメモリの増設やストレージの交換といったカスタマイズにも対応しています。使用目的や予算に応じて仕様を柔軟に調整できるのは、中古パソコンならではの魅力です。

気をつけたいデメリット

中古パソコンはコストパフォーマンスに優れた選択肢ですが、購入前に理解しておくべき注意点もあります。新品にはない特有のリスクや制限があるため、事前にしっかり確認することが大切です。

ここでは、中古パソコンを選ぶうえで気をつけたい4つの主なデメリットをご紹介します。

使用感・外観の劣化

中古パソコンは一度誰かが使用した製品であるため、パソコンの外観に細かなキズやスレ、汚れなどがある場合もあります。性能には問題がなくても、見た目の状態が気になる方にとっては満足度が下がるでしょう。

外観の状態は商品ごとに差があるため、購入前に実物を確認するか、写真や説明を丁寧にチェックすることが大切です。

寿命の短さ・パーツの劣化

中古パソコンは新しい製品に比べ、使用年数が長いために内部のパーツが劣化している場合があります。特にバッテリーは消耗品であり、また、HDD/SSDなどのストレージ、冷却ファンなども劣化によって、突然の故障や寿命の短さにつながるリスクもあります。購入時には整備状況や交換履歴の有無、保証内容をしっかり確認することが安心につながります。

見た目やデザインがシンプル

市場に出回っている中古パソコンは、企業向けに提供されていたビジネスモデルが中心です。そのため、見た目はシンプルで装飾性に欠けるものが多く、個人の趣味やスタイルに合わないと感じるかもしれません。デザイン性を重視する方は、外観にも注目して選ぶと満足度が高まります。

スペックが古くて最新OSに対応していない場合もある

中古パソコンは販売店によって品質や整備のレベルが大きく異なるため、購入先の信頼性が非常に重要です。フリマサイトやオークションなど、個人間取引では初期不良やトラブルに遭うリスクが高まります。保証の有無やアフターサポート、整備の内容などを明記した、信頼のおける業者からの購入がおすすめです。

中古パソコンは専門店のほか、個人向けのフリマアプリや売買サイトなどでも購入可能です。業者が中古パソコンを仕入れて販売するには「古物商許可」が必要ですが、自分が所有していたものを個人で売る場合にはこの許可は不要です。なお、整備や再販売にあたって特別な資格やライセンスは必要ないため、購入者としては信頼できる業者を見極めることがとても重要です。

スペック&OS選びのチェックポイント

スペック&OS選びのチェックポイント

パソコン選びでまず重要になるのが、スペックとOSの選定です。用途に応じて適切な性能と使いやすいOSを選ぶことで、作業効率や快適さが大きく変わります。ここでは、パソコンのスペックとOS選びのポイントを押さえていきましょう。

CPU(プロセッサー)

CPUはコンピューターの中心的な処理を担当する部品。人間でいうと「頭脳」にあたり、処理速度や作業の快適さに直結します。CPUにはいくつかの種類がありますが、よく使われているのが「Intel(インテル)」という会社の「Core i(コア・アイ)シリーズ」です。このシリーズには、性能に応じて「Core i3」「Core i5」「Core i7」などのランクがあります。

一般的にCore i5以上を目安に選ぶと、ビジネス用途や一般的な作業で十分な性能が得られます。動画編集や3D設計などの重い作業をする場合は、Core i7やそれ以上の上位モデルを検討しましょう。

また、CPUには「世代」という概念があります。これは、同じCore i5でも「新しいモデル」と「古いモデル」があるということです。たとえば「Core i5-8250U」という名前のCPUがあったとします。この「8250U」の最初の数字「8」は第8世代であることを意味しています。

ここで重要なのが、Windows11を使うためには第8世代以上のCPUが推奨されている点です。古いCPUだと、Windows11が正常に動作しない可能性があります。まれに非対応の古いCPUを搭載したパソコンに、無理やりWindows11をインストールして販売しているショップもあります。購入前には、CPUの世代もしっかりチェックしましょう。

メモリ(RAM)

メモリは複数の作業を同時にこなす能力に影響します。最低でも8GBが推奨で、余裕を持つなら16GB以上がおすすめです。メモリ容量が足りないと動作が遅くなりがちです。

ストレージ(記憶容量)

パソコンで作成した文書や画像、アプリケーションなどを保存する場所が「ストレージ」です。人間でいえば「記憶」のような役割を果たします。現在の主流は「SSD(エスエスディー)」というタイプのストレージです。SSDはデータの読み書きがとても高速で、パソコンの起動やアプリの立ち上げがすばやくなります。動作音もなく、衝撃にも強いという特徴があります。

一方、以前よく使われていた「HDD(ハードディスクドライブ)」は、内部に回転するディスクがあり、データの読み書きに時間がかかるうえ、衝撃に弱く故障しやすいという弱点があります。ただし、大容量でも価格が安いというメリットがあります。

日常的な作業であれば、256GB以上のSSDを選べば快適に使えます。写真や書類が中心であれば、この容量で十分です。しかし、動画編集や大量のファイルを扱うような用途では、512GB以上のSSDが望ましいでしょう。

ただし、容量は大きければ良いわけではありません。以前は1TB~3TBのハードディスクも使われていましたが、HDDは故障リスクが高く、データ量が多いほど故障時のダメージも大きくなります。復旧業者に依頼する際は、保存データ量に関わらずドライブ容量に応じた料金がかかるため、大容量すぎるストレージは費用面でもリスクがあります。適切な容量選びが重要です。

OSの選び方

OSは主にWindowsとMacの2種類です。Windowsは汎用性が高く、業務ソフトも豊富。Macはクリエイティブ作業に強く、操作性がシンプルです。業務環境や使いたいソフトに合わせて選びましょう

■Windowsパソコンのスペック早見表

用途家庭用・軽作業ビジネス・学生動画編集など
CPU
※世代に注意!
CeleronCorei3Corei5
メモリ4G8G16G
ゆっくり1つずつ操作するならOK大体の作業は問題なし並行作業でも大丈夫
ストレージSSD 120〜128GSSD 240〜256GSSD 500〜512G
ネット中心、データはほぼなし文書の保存が中心画像や動画が中心
Windows
※Windows10は
2025年10月14日にサポート終了
Windows10はNGWindows11 HomeWindows11 Pro

(提供:石本さん)

■Macパソコンのスペック早見表

用途家庭用・軽作業ビジネス・学生動画編集・クリエイティブ作業
CPU(チップ)Apple M1 / M2 (エントリー向け)Apple M1 Pro / M2 ProApple M1 Max / M2 Max / M2 Ultra
メモリ8GB16GB32GB以上
ストレージSSD 256GBSSD 512GBSSD 1TB以上
macOSmacOS Ventura (最新版推奨)macOS Ventura / macOS MontereymacOS Ventura(最新バージョン必須)
ポイントウェブ閲覧や動画視聴に十分書類作成やビデオ会議も快適高負荷の動画編集や3Dレンダリング対応

Windows10は2025年10月14日にサポートが終了するため、Windows11を選択しましょう。この他にも大切なのがサイズ選びです。「持ち運び重視ならB5サイズ」、「作業効率重視ならA4サイズ」を基準に選ぶと失敗が少ないでしょう。使うシーンを想像しながら、自分に合ったサイズを選んでくださいね。

中古パソコン選びで見落としがちなチェックポイント

中古パソコンを選ぶ際、スペックや価格に注目しがちですが、実はそれ以外にも見逃せないポイントがあります。ここでは、意外と忘れがちなチェック項目をまとめました。購入後に後悔しないためにも、ぜひ確認しておきましょう。

テンキーの有無

テンキーとは、キーボードの右側にある数字入力専用のキーのことです。経理やデータ入力など、数字を多く扱う業務にはテンキーがあると作業効率が格段に上がります。一方で、持ち運びを重視したい方や数字入力が少ない方は、テンキーなしのコンパクトなモデルを選んでも問題ありません。

ウェブカメラの有無

リモート会議やオンライン授業など、カメラを使うシーンは増えています。旧型のパソコンには内蔵カメラが付いていないモデルもあるため、必要な場合は必ず事前に確認を。カメラが無くても後から外付け可能ですが、追加コストや接続の手間を考慮する必要があります。

光学ドライブ(CD/DVD)

CDやDVDを使いたい場合は、光学ドライブの有無を確認しましょう。読み取り専用のもの、書き込みも可能なものなど種類があり、最近のパソコンでは搭載されていないことも増えています。必要な場合は外付けのUSBドライブを使うことも可能ですが、こちらも事前に確認しておくと安心です。

ネットワーク接続

薄型パソコンでは、有線LANポートが省略されていることがよくあります。安定したネット接続が必要な環境では、有線接続が可能か確認しましょう。必要ならUSB経由の有線LANアダプターを用意する必要があります。

また、Wi-Fi機能が意図的に省かれている機種も稀にあるため、無線接続を前提にしている場合はWi-Fi搭載の有無も忘れずチェックを。

Officeソフトの有無

WordやExcelなどが使えるMicrosoft Officeは高額なため、中古パソコンには付属していないことが一般的です。代わりに「WPS Office」などの互換ソフトを使えば、機能的にも十分でコストも抑えられます。ただし、「Microsoft Office付き」と書かれている格安パソコンの中には、正規ライセンスでない違法ソフトが使われているケースもあるため、販売元の信頼性を確認することが重要です。

バッテリーの劣化具合も要チェック

ノートパソコンの場合、バッテリーの劣化具合も重要なチェックポイントです。長時間使いたい場合は、バッテリーがどの程度劣化しているかを確認しましょう。店舗で実機を見られるなら稼働時間をチェックし、オンライン購入の場合は、バッテリーの状態に関する情報を公開しているショップや、質問に答えてくれる販売者を選ぶと安心です。

保証や返品対応も忘れずに確認

中古パソコンの購入では、万が一のための保証や返品対応が重要です。最低でも1ヶ月以上の保証があると安心でき、できれば初期不良への対応期間がしっかり設定されているショップを選びましょう。逆に、保証が1週間未満など極端に短い場合は、慎重に検討する必要があります。

中古パソコンを購入する際に、スペックや価格と同じくらい大切なのが「信頼できるショップを選ぶこと」です。たとえ価格が安くても、購入後にトラブルが発生したり、品質に問題があったりすれば意味がありません。
そこで注目したいのが、「MAR(Microsoft Authorized Refurbisher)」という認定制度です。これは、マイクロソフトが認定した再生PC事業者に与えられるもので、一定の品質基準や再生プロセスを満たした業者のみが取得できます。MAR認定を受けた業者、またはMARプログラム経由でパソコンを仕入れている再販業者であれば、WindowsやMicrosoft Officeのライセンスが正規のものである可能性が高く、安心して購入できるでしょう。さらに、こうした業者は製品の再生過程においても、厳格な品質管理を実施しているため、一定以上のクオリティが担保されている点も大きな安心材料です。

まとめ:失敗しない中古パソコン選びのために大切なこと

まとめ:失敗しない中古パソコン選びのために大切なこと

中古パソコン選びでは、スペックや価格だけでなく、使用目的に合った機種を選ぶこと、そして信頼できるショップを見極めることが何より重要です。テンキーの有無やウェブカメラ、バッテリーの状態、ライセンスの正規性など、細かいポイントまでしっかり確認することで、満足度の高い買い物ができます。目的に合った端末をしっかり見極めて、失敗しない賢い買い物をしましょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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