蒸し暑い日が続くと、「なんとなく食欲がわかない」「冷たいものばかりで栄養が偏っている気がする」そんな風に感じることはありませんか?それは、もしかしたら夏バテのサインかもしれません。そんな時におすすめなのが、旬の夏野菜を使った自家製ピクルス。
見た目にもカラフルでさっぱり食べやすく、暑い季節にもぴったりの一品です。
本記事では、夏野菜ピクルスに期待できる健康効果や、初心者でも簡単に作れるレシピを料理研究家・関口絢子さんにうかがいました。
“おいしい”と“元気”を一緒に取り入れて、この夏を乗り切るヒントにしてみませんか?
なぜ今ピクルスに注目?

保存がきいて手軽につくれるだけでなく、野菜をおいしく、そしてムダなく活用できるのが「ピクルス」です。暑い夏には食欲が落ちやすいので、ピクルスのさっぱりとした酸味がぴったりとフィットします。
さらに、健康志向の高まりとともに、酢の持つ整腸作用や疲労回復効果も注目され、食卓に取り入れる方が増えてきました。簡単に作れて、彩りもきれい。そんなピクルスの魅力をご紹介します。
夏バテに効くさっぱり感と手軽さ
暑さで食欲が落ちやすい夏。冷たくてさっぱりとした味わいのピクルスは、体にやさしく、食べやすいのが魅力です。さらに、漬けるだけで作れる手軽さも人気の理由。冷蔵庫にあると、あと一品欲しいときやおつまみにも重宝します。
意外にサラダ感覚で食べられるのもポイントです。レタスなどの葉物野菜とはまた違ったシャキッとした食感があり、飽きずに食べられ、作り置きしておけば、さっと出せる“あと一品”としても便利です。
また、間食がわりについ手が伸びる、おやつとしてもおすすめです。お菓子をつまむより、ヘルシーなピクルスを…という感覚で活用してみてほしいですね。
彩りの良さで食欲アップを促進
トマト、パプリカ、きゅうり、ズッキーニなど、夏野菜は色鮮やかなものが多く、見た目にも食欲をそそります。
カラフルなピクルスは、食卓に季節感を与えてくれるだけでなく、視覚的にも元気をくれる存在です。
実は色によって含まれている栄養素もそれぞれ違うんです。たとえば、赤・黄・紫といった色の野菜には、それぞれポリフェノールなどの抗酸化物質が含まれています。栄養の豊かさが色の違いや濃さに表れています。
夏野菜には、紫外線対策にも役立つポリフェノールやビタミン類を多く含んでいるので、美容面や健康面でもとてもおすすめ。色とりどりの野菜を組み合わせてピクルスにすると、栄養バランスも見た目の楽しさも自然と整いますよ。
夏野菜ピクルスの健康効果とは?

彩りがよく、さっぱりとした味わいで食欲をそそる夏野菜のピクルス。実は見た目や味だけでなく、栄養面でもうれしい効果がたくさんあります。ここからは、そんなピクルスの健康効果を詳しく見ていきます。
酢の力で疲労回復
酢に含まれるクエン酸や酢酸には、体内に蓄積された乳酸を分解し、エネルギー代謝をスムーズにする働きがあります。これにより、疲労回復やスタミナ維持に役立つとされています。
また、クエン酸はミネラルの吸収を助ける効果もあり、汗をかきやすい夏のミネラル補給にも有効です。野菜のビタミンや食物繊維とともに摂取することで、よりバランスのとれた疲労対策が期待できます。
腸内環境を整えて、免疫力アップ
酢と野菜の組み合わせは、食物繊維と有機酸を同時に摂取できる理想的な組み合わせ。腸内環境が整うことで、夏の体調不良や肌荒れの予防にもつながるとされています。
酢そのものが腸まで直接届くわけではありませんが、胃酸の分泌を促したり、胃腸の働きをサポートしてくれるので、結果的に腸の調子が整います。腸内環境が良くなることで、免疫力を保ちやすくなり、肌荒れや身体の不調の予防にもつながります。
ただ単に酢を飲むよりも、野菜と合わせて“噛んで”食べることで、体に負担をかけず、自然に健康につながるのが魅力です。」
“糖化予防”にもおすすめ
酢には、疲労回復だけではなく「糖化」の予防にも役立つ効果も期待できるとか。糖化とは、余分な糖と体内のたんぱく質が結びついて起こる反応で、体の“焦げつき”ともいわれる現象。これが進むと、肌のくすみや老化、血管のダメージなどにつながるとされています。
ピクルスのようにお酢を使ったものを食事に取り入れると、血糖値の急な上昇を抑えることができ、糖化のリスクも減らせます。酢には消化吸収を助けてくれる働きもあるので、全体の食事バランスが整いやすくなるという意味でもおすすめです。
おすすめの夏野菜と下ごしらえのポイント

ピクルス作りに使える野菜は、実はとても幅広く、季節の野菜をうまく取り入れることで、彩りも味わいもグッと引き立ちます。中でも夏野菜は、さっぱりとした酸味と相性が良く、暑い季節にぴったりの一品に仕上がります。
ここでは、ピクルスに向いているおすすめの夏野菜と、切り方のポイントをご紹介します。
ピクルスに向いている夏野菜とは?
<定番&おすすめの夏野菜>
・キュウリ
定番中の定番。歯ごたえがよく、味のなじみも早い。
・ミニトマト
丸ごと漬けられて手軽。甘みと酸味のバランスが絶妙。
・パプリカ
色合いが鮮やかで、甘みもあり、見た目にも楽しいアクセントに。
・ズッキーニ
意外と生でも食べられるのでピクルス向き。
・ミョウガ
香りが良く、色もピンク色にきれいに染まる。少し大人向けの味わい。
・ナス
漬け込むと程よい食感が残り、和風の漬物とはまた違った仕上がり。
・オクラ
変色しやすいが、独特の食感で変化球として楽しい存在に。
<その他のおすすめ野菜>
・にんじん
ピクルスの定番。ほんのり甘みがあって彩りも良い。
・大根
シャキシャキとした食感がアクセントに。乱切りや短冊切りがおすすめ
・ブロッコリー・カリフラワー
生のままではなく、軽く火を通すと程よい食感が残って美味しい。
切り方の工夫でおいしさアップ
ピクルスづくりでは、野菜の「切り方」によって、仕上がりの食感や見た目に大きな違いが出ます。
同じ野菜でも、スティック状にしたり輪切りにしたり、いろいろな形で漬けてみると、見た目の印象も食感も変わります。そうすると、瓶の中にいろんな表情が出てきて、見た目にも楽しいですよね。スティックにこだわらず、自分の食べやすいサイズや、使う野菜の特徴に合わせて切り方を工夫してみるといいと思います。少しずつ形を変えて漬けるだけでも、ぐっと雰囲気が変わるのでおすすめです。
おすすめ!基本の夏野菜ピクルスレシピ

ここでは、はじめての方でも簡単に作れる「基本の夏野菜ピクルス」のレシピをご紹介。ピクルス液の分量やちょっとしたコツをおさえることで、野菜の美味しさがより引き立ち、日々の食卓に彩りと健康をプラスしてくれます。
<材料>
・好みの野菜300~500g
ピクルス液
・酢・・・150mi
・水・・・100ml
・はちみつ(または砂糖)・・・大さじ2~3(お好みで調整)
・塩(塩味が欲しい場合)・・・小さじ1
※お好みでローリエやローズマリー、唐辛子、ホールのブラックペッパーなどを香り付けに入れるのもおすすめ。
<作り方>
・野菜は好みの形・サイズにカットしておく。
・ピクルス液の材料を全て鍋に入れ、煮立たせる。
・煮立ったあと、固い野菜(にんじんやブロッコリー、大根など)があれば鍋に入れ、軽く火 を通す。火を消し、ピクルス液が熱いうちに残りの野菜も鍋に入れなじませる。
・ガラス容器などの容器に冷める前に移し替える。
ポイント:野菜によって加熱のタイミングを調整しよう
野菜の種類によって火の入れ方を少し調整すると、仕上がりがぐっと良くなります。たとえば、にんじんやブロッコリーのように固めの野菜は、ピクルス液を煮立てた鍋に入れて、軽く火を通してあげるとちょうどいい歯ごたえに仕上がります。完全に火を通さなくてもOKです。
キュウリやミニトマトなど火を入れすぎたくない野菜は、火を止めたあとに最後に加えるといいですね。ピクルス液が熱いうちに野菜を入れた方が、味のなじみが良くなりますよ。冷蔵庫で保存し、1週間から10日ほどで食べ切るようにしましょう。
ピクルスをもっと楽しむ!アレンジアイデア

ピクルスはそのまま食べてももちろん美味しいですが、ちょっとしたひと手間を加えるだけでアレンジメニューに様変わりします。
・ポテトサラダに加えて
刻んだピクルスをポテトサラダに混ぜると、程よい酸味と食感がアクセントになった、普段とはひと味違うサラダに大変身。つぶしたじゃがいもと一緒に混ぜて、マヨネーズを加えるだけで簡単に仕上がります。
・自家製タルタル
・刻んだピクルスとマヨネーズを混ぜれば自家製タルタルソースに。ゆで卵を加えてもおいしく仕上がります。ピクルスの食感がしっかり残った、食べ応えのあるタルタルソースです。
・マリネにも合う
茹でたエビやイカなどの魚介と一緒に、刻んだピクルスをオリーブオイルで和えると、さっぱりとしたマリネ風になります。彩りもきれいで、ちょっとおしゃれな副菜になります。
まとめ|夏野菜ピクルスで、食欲のない日も元気に!

冷たくてさっぱり、見た目も鮮やかで栄養満点な夏野菜ピクルスは、夏の疲れた体をやさしくサポートしてくれる存在です。
簡単で作り置きもできるので、忙しい日々の味方にもなります。
ピクルスは、余った野菜や使いきれなかった食材をおいしく活用できる、とても便利なレシピです。冷蔵庫にちょっと残っている野菜も、ピクルス液に漬けるだけで、彩りも味もぐっと引き立ちます。
保存もきくので、あと一品欲しいときや、食欲がない日の箸休めにもぴったりです。野菜をムダなく使い回す“賢い常備菜”として、そして健康づくりのサポートとしても、ぜひ気軽に試してみてくださいね。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。