なかなか服が捨てられない、気づけばクローゼットがパンパン。そんなお悩み、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
思い出が詰まっていたり、「いつか着るかも」と思い、なかなか手放せないのが“服”。でも、本当に必要なものだけを残すことで、毎日の支度が楽になり、心も軽くなります。
この記事では、「服が捨てられない理由」と向き合いながら、無理なく進められる片付けのコツをお伝えします。今日から少しずつ、自分らしいスッキリとした暮らしを始めてみませんか?
服を捨てられないのは悪いことじゃない。でも…

服を手放せないのは、決して悪いことではありません。思い出や愛着のある服も多いですよね。
ただし、量が増えすぎると、必要な服が見つけにくくなることも。お気に入りの服を大切にするためにも、「持ちすぎない快適な量」を意識することが大切です。
服を捨てられない方は多いですが、無理に捨てる必要はありません。
まずは捨てるか捨てないかを悩む前に改めて、 “なぜ手放したいと思ったのか”を自分に問いかけてみてください。「誰かに言われた?」それとも「流行に影響されて? 」その理由を整理すると、量を減らす目的やゴールが見えて気持ちが整理されやすくなります。
また、クローゼットの服の量の目安は中身が7~8割、服と服の間に楽に手が入り片手で服が取れるくらいの余裕がある状態。
これが快適に使える量です。人によって適正量は違いますが、どこまで減らせばいいかわからない場合はこの目安を参考にしながら、自分に合った“ちょうどいい量”を見つけてくださいね。
なぜ、服が捨てられないのか?

服を捨てることは、単に「モノを処分する」という作業ではありません。
整理収納アドバイザーの野中幸子さんによると、「どこで買ったか」「いくらだったか」「そのときどんな気持ちだったか」など、服にはさまざまな記憶が結びついているといいます。
その記憶に向き合い、決断して手放すという行為には、想像以上のエネルギーが必要なのです。
思い出が詰まっているから
お気に入りだった服や、特別な日に着た服、誰かにもらった服——。服は単なる衣類ではなく、そのときの気持ちや思い出を宿しているものです。
手に取るたびに、楽しかった記憶や懐かしい感情がよみがえり、簡単には捨てられないのも当然です。
「まだ着るかも」の気持ち
「いつか着るかもしれない」「もしかしたら必要になるかも」と思うと、なかなか手放せません。実際には2〜3年まったく着ていないのに、捨てる決断ができない——そんな経験、ありませんか?未来の可能性に期待する気持ちは、服の整理を一層難しくします。
高かった・もったいないと思ってしまう
「高かったから」「あまり着ていないのでもったいない」——。こうした金銭的な感覚も、服を手放しにくくする大きな要因です。でも、その服が今後も着ないまま眠っているなら、スペースや心のゆとりを圧迫してしまうかもしれません。
捨てることへの罪悪感
「まだ使えるのに捨てるなんて」「環境に悪いのでは?」といった罪悪感も、多くの方が感じています。
特に服は、破損もなくきれいなまま長く保管されていることも多いため、処分するハードルが高くなりがちです。そうした感情を抱くのは自然なことですが、自分を責める必要はありません。大切なのは、「今の自分に必要かどうか」を見つめ直すことです。
私のもとに相談に来られるお客様は、30代後半~40代の女性が多く、家庭や家族を優先し、自分のことを後回しにしがちな世代です。服の整理が後回しになっているのは、まさに“自分自身を後回しにしている”ことの象徴とも言えます。
また、服・バッグ・靴といったアイテムは、女性にとって自己表現や美意識の象徴。心理的にも手放しにくいもので、整理の中でも最後に取り組むほうがスムーズな場合も多いです。
クローゼットがパンパンになる背景には、「残す・手放す」の基準が育っていなかったり明確でないことが多くあります。手放せないと感じる服の整理は、単なる片付けではなく、自分自身の気持ちや過去と向き合う行為です。
整理の際にその服は「着ている?」「活かせている?」「なぜ手放したい?」「なぜ手放せない?」と確認しながら整理を重ねていくうちに「これはもう着ない」と、自ら手放す判断ができるようになっていきます。
服の断捨離®がうまくいく3つの考え方

服を減らしたい、クローゼットをすっきりさせたい——そう思っても、いざ手をつけようとすると「何を捨てるべきか」迷ってしまうものです。
そんなときは、いきなり“捨てる”を目標にしないで、段階的に整理を進めるのがコツ。ここでは、服の断捨離がうまくいく4つのステップをご紹介します。
捨てる・捨てないの「中間」をつくる
まずおすすめしたいのが、“保留期間”をつくることです。すべての服を即断即決できるわけではありません。
「捨てるか、捨てないか」の2択にすると決断が重くなり、整理が進まなくなることも。どうしても手放せない服は、あらかじめ枚数やスペースを決めて「ここまでは置いておいていいよ」と自分に許可を出すことも大切です。
そこで、すぐには手放さず、様子を見るための「検証ゾーン」をクローゼットの一部に作ってみましょう。
たとえば、朝の身支度の際に手に取ったけれど結局着なかった服や、なんとなく気分が乗らなかった服を左端に寄せていくと、自然と“着ていない服”が見えてきます。しばらくして「なくても困らなかったな」と思えたら、その服は手放す候補です。
私自身もかつては、服を減らさず収納用品を買い足してなんとかしようと詰め込んでいた時期がありました。
けれども、「物が少ないほうが、日々の暮らしがずっとラク」と実感してからは、「これは本当は“いらない”のではなく、“なくても何とかなるかも”」と考えるようにして手放していきました。
無理に捨てようとせず、少しずつ手放すことに慣れていく——その柔軟な考え方が、服との上手な付き合い方につながります。
引き出しや収納の中も“検証”してみる
引き出しやタンスの中も、同じように整理の「検証期間」を取り入れることができます。
「あまり着ないかも」「新しい服のほうが着心地がいい」と思うものを専用の“保留ボックス”にまとめて入れておきましょう。
そうしておけば、リサイクルショップに行くときにサッと持ち出せたり、時間ができたときに手放すかどうか改めて判断できます。このひと手間で、日々の選択がぐんと楽になり、スペースにも心にも余白が生まれます。
保留期間は、その服を着る季節の間が理想的です。たとえば夏服なら、涼しくなる秋まで様子を見て、着なかったものを手放す検討対象にすると判断しやすくなります。
気候が不安定な時期の合服も含めて夏の終わりと冬の終わり、年2回だけ見直すサイクルでもOKです。
捨てられない気持ちを書き出してみる
服を手放すのが難しいのは、「捨てたい気持ち」と「捨てたくない気持ち」が心の中で混ざり合っているからです。
この感情のもつれを解くために、まずは「なぜ捨てたいのか」「なぜ捨てたくないのか」それぞれについて、思いつくことを全部書き出してみましょう。最低でも3つ以上書くのがおすすめです。文字に起こすことで感情と事実を切り離し、客観的に自分の気持ちを見つめることができます。
私も自身の服の整理やお客様とお話しするときにメモを取り、どちらの気持ちが強いか確認しながら進めることが多いです。
「片付け=物を捨てること」だけでなく、自分と向き合う時間、心を整えるプロセスとして取り組むことも大切です。そうすると納得して手放せるため服の量がリバウンドすることもなくなります。
手放す方法は「捨てる」だけじゃない
「まだ着られるのに捨てるのはもったいない」——そう感じるのは、ごく自然なことです。
日本では“モノを大切にする文化”が根付いており、捨てることに罪悪感を覚える方が多いのも事実。そこで、「売る」「譲る」「寄付する」といった“第3の選択肢”を用意しておくと、気持ちのハードルが下がります。たとえ100円でも、誰かに使ってもらえたと思えば納得して手放せるはずです。
このように「捨てる前の検証ステップ」を用意しておくことで、気持ちに余裕が生まれ、後悔なく着実に進められる片付けができるようになります。
親の服の片付けはどうすればいい?

子どもの服は成長に伴って自然とサイズが合わなくなり、手放しやすいですが、親世代の服となると判断が難しく、本人もなかなか捨てる決断ができないことが多いものです。
片付け(整理)は基本的に持ち主本人が行うべきで、勝手に捨ててしまうとトラブルの原因になります。
そこで、着ていない服や昔のコートなどどうしても手放せないものは、普段過ごす部屋とは別の空いている部屋やクローゼットにまとめて保管し、「このラックに収まる分だけ持っていてよい」とルール(上限枠)を決めることをおすすめします。
こうして「生活空間=よく使うもの」「寄せた場所=使っていないけれど手放すか迷っているもの」と区別することで、暮らしがぐっと楽になり、自然と「なくても問題ない」と感じられるタイミングが訪れます。
特に親世代は「物を捨てる」ということに敏感で、「捨てる」「いらない」といった直接的な言葉を言うと喧嘩になりがちです。
私の母の場合も、最初は服を捨てることに抵抗がありましたが、分けて生活し思い入れが強い物を少量持つことを許すことで徐々に服の整理ができるようになり、今では自分で整理はもちろん、引き出し購入の際の計測や収納も工夫できるようになりました。
時間はかかりますが、こうした段階を踏むことが大切です。
まとめ:「捨てられない気持ち」の整理こそ、心地よい暮らしへの第一歩

服を捨てることは、ただ物を減らすだけではありません。「今の自分にとって本当に必要なもの」を見極める、心の整理でもあります。
無理に捨てようとせず、一着ずつ気持ちに向き合いながら選ぶことで、自然と心地よい空間ができていきます。断捨離は完璧を目指すものではなく、暮らしを少しずつ整えていくプロセス。
「捨てるか、捨てないか」の2択で考えてしまうと、かえって自分を追い詰めてしまいます。「今日中に全部捨てなきゃ」と焦るあまり、余計に苦しくなってしまうことも。
時間がかかっても大丈夫です。服を通して、自分自身とも丁寧に向き合う時間を大切にしていきましょう。
服に限らず、物を捨てるという行為は本来とても難しいことです。
スムーズに手放せる方もいる一方で、「捨てるのが苦手」という方にとっては、判断するまでにたくさんの“心のハードル”を越える必要があります。捨てられないのは、あなたの中に“思い出”や“気持ち”がたくさん詰まっているから。迷ってしまうのは当然なのです。
無理せず、自分のペースで、でも確実に減らしていきましょう。そして手段が目的にならないように、「減らす目的」も見失わず少しずつ進んでいきましょう。
※断捨離®はやましたひでこ氏の登録商標です。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。