肌荒れやくすみが気になるとき、スキンケアばかりに注目していませんか?
実は、腸内環境の乱れ、つまり“便秘”が肌トラブルの大きな原因になっていることがあります。便秘が続くと、体内に溜まった老廃物や毒素が血流を通じて肌に悪影響を及ぼし、ニキビや乾燥、くすみといった症状として現れます。
美肌を目指すなら、まずは腸を整えることが近道です。本記事では、便秘を改善しながら肌の調子を内側から整えるためのシンプルな生活習慣と食事のポイントを管理栄養士・インナービューティープランナーの谷口あゆこさんにご紹介いただきました。
肌に自信が持てる毎日のために、スキンケアだけでなく、内側のコンディションを整える“腸活”を今日から始めてみましょう。
どうして便秘が肌トラブルの原因になるの?

肌荒れやくすみ、吹き出物が続くとき、スキンケアや睡眠に気をつけているのに改善しない…。そんな経験はありませんか?実はその肌トラブル、腸内にたまった老廃物が原因かも。
外からのケアだけでは変わらなかった方こそ、内側に目を向けてみることで、思わぬヒントが見つかるかもしれません。
腸内に溜まった老廃物が肌に悪影響を及ぼす
便秘が続くと、腸内に老廃物や悪玉菌がたまり、腐敗物質や有害物質が発生します。そして、腸が栄養を吸収する際に、こうした不要な物質まで一緒に取り込んでしまうことがあります。
それらは血流にのって全身を巡り、結果的に肌のくすみ・吹き出物・乾燥などのトラブルとして表面化してしまうのです。
本来は外に排出されるべき老廃物が体内に残り続けることで、肌にとって“不要なもの”が日々蓄積されていきます。
スキンケアだけではどうにもならない不調の正体が、実は腸内環境にあるケースも少なくありません。
良い栄養だけを吸収できればいいのですが、悪いものまで一緒に取り込んでしまうのが現実。だからこそ、腸を整えることが美肌にもつながるのです。
肌のターンオーバーにも影響を与える
腸内環境が乱れると、代謝が低下し、肌のターンオーバー(細胞の生まれ変わり)が滞りやすくなります。その結果、肌荒れやくすみの原因になることもあります。
通常、肌は約28日周期で新しい細胞へと生まれ変わりますが、便秘によって腸内に老廃物や腐敗物質が滞留していると、代謝が落ち、このサイクルが乱れてしまうことがあります。
便秘が続くと悪玉菌が発生させる有害物質を一緒に吸収してしまい、それが血流に乗って全身を巡ることで、肌の代謝が落ちてしまいます。その結果、細胞は生まれ変わっているように見えても、元気な細胞ではなく、質の低い細胞が作られてしまうこともあるのです。
年齢によってターンオーバーの速度は変化しますが、腸内環境の良し悪しによっても28日で生まれ変わる“中身”が全然違ってきます。同じ年齢でも腸が整っている人ほど、質の高い肌細胞が作られやすく、見た目にも違いが表れてしまうのです。
便秘改善と美肌の両方に効く食生活

腸内環境を整えることは、便秘の改善だけでなく、美肌づくりにも深く関係しています。日々の食生活を少し見直すだけで、腸と肌の両方にうれしい変化が現れることも少なくありません。
ここからは、便秘と肌荒れを同時にケアできる食材の選び方や取り入れ方を、以下のポイントに沿ってご紹介します。
発酵食品と食物繊維で腸内環境を整える
腸内環境を整えるうえで欠かせないのが、「発酵食品」と「食物繊維」の2つの要素です。
発酵食品は、善玉菌(プロバイオティクス)を直接身体に取り入れられる食品です。
さらに味噌・納豆・ヨーグルト・キムチ・ぬか漬けなどの発酵食品には、善玉菌の“エサ”となる成分(プレバイオティクス)や、腸に直接働きかけるバイオジェニクス的な機能も含まれています。
発酵食品は腸内環境を多方面からサポートしてくれる万能な食品群なのです。
一方、食物繊維もプレバイオティクスとして機能し、腸内に存在する善玉菌を育てるうえで欠かせない栄養源です。
旬の野菜や芋類、きのこ、海藻類に多く含まれる“質の良い食物繊維”を意識して取り入れてほしいですね。
レタスやキュウリなど水分の多い野菜は一見ヘルシーですが、実は食物繊維の量は意外と少ないため、繊維質をしっかり取りたい場合は、海藻類や根菜などもバランスよく組み合わせることが重要です。
水分補給で腸の動きをサポート
腸内をスムーズに動かし、排便を促すためには、体内に十分な水分があることが前提条件。
水分が不足すると便が硬くなり、腸の動きが鈍くなるため、毎日のこまめな水分摂取が欠かせません。
「1日2リットルが必要」といわれることも多いですが、重要なのは“こまめに、意識して飲む”という習慣です。特に春先や秋口のように、暑すぎず寒すぎない季節は「喉が渇いた」と感じにくく、知らず知らずのうちに水分不足に陥りやすいのです。
また、「水分補給の質」にも注目を。カフェインを含む飲み物は利尿作用があるため、体内に水分を留めにくい傾向があります。常温の水や麦茶、ハーブティーなど、カフェインの少ない飲み物を選ぶとより腸にやさしいのでおすすめです。
水分補給のコツとしては、「一気に飲まず、1口ずつをこまめに」意識すること。特に朝起きた直後の1杯は、腸のぜん動運動を促し、排便リズムを整える大きなきっかけにもなります。
デスクワークなどで水分補給を忘れやすい方は、目のつく場所に水筒を置いたり、アラームを活用するなど、習慣化の工夫を取り入れてみましょう。
良質な油を摂取しよう
肌や腸の健康には、「良い油」が欠かせません。
細胞の膜は油でできているため、良質な油をとることで肌細胞が元気になります。
特におすすめなのが、オメガ3脂肪酸を含む油(えごま油・亜麻仁油・青魚など)。
腸内環境を整えるだけでなく、肌の炎症を抑える作用もあるため、ニキビができやすい方にもぴったりです。
サラダやスープにひと回しかけるだけでもOK。無理なく取り入れてほしいですね。油=太るというイメージを手放して、肌も腸も喜ぶ“いい油”を日常に取り入れてみましょう。
今日から実践。美肌を叶える生活習慣

腸内環境を整えるには、食事だけでなく毎日の生活習慣も大きなカギを握っています。排便リズムや水分の摂り方、運動の有無など、日々の小さな行動の積み重ねが、腸にも肌にも大きな変化をもたらすのです。
ここからは、誰でもすぐに始められる、美肌と腸活に効果的な習慣をピックアップ。今日から無理なく取り入れられる“腸と肌を育てるコツ”をご紹介します。
毎朝の排便リズムを整えよう
便秘改善の第一歩として意識したいのが、「朝の排便リズム」を整えること。
コップ一杯のお水を飲んだり、朝ごはんを食べることで「総蠕動(そうぜんどう)」が起こります。
総蠕動とは、腸を一掃するような強い蠕動運動のことです。
この動きが起こるのは主に朝。朝の刺激によって総蠕動が起こり、寝ている間に腸でつくられた便が直腸に送られ、直腸の壁が押し広げられると脳に「排便のサイン」が伝わるのです。
朝食を抜かず、しっかりとることも重要です。
前日の夕食から朝食までに10時間程度の空腹時間を作ることで、腸が自然に動き出しやすくなります。夜遅くに食べる習慣がある方は、まずは食事の時間を見直すこともポイントです。
腸は、私たちがリラックスしている時や眠っている間も活動していて、朝に向けて排便の準備をしているため、朝の時間を活かし、決まった時間にトイレに座る習慣をつけることで、腸に“リズム”を教えることができます。
適度な運動で腸を刺激
腸内環境を整えるためには、食事や水分に加えて「適度な運動」も非常に重要な要素です。特にデスクワーク中心の生活や、暑さ・寒さで外出が減る季節には、無意識のうちに活動量が落ち、便秘が悪化しやすくなります。
暑さや寒さなど、季節の影響で便秘になる方が多いようです。
また、朝晩のウォーキングや買い物でいつもより多めに歩くなどの軽い運動でも、腸が刺激されて外出時に“自然に出た”という声もよく聞きます。
特に腸のぜん動運動を促すには、お腹まわりや下半身の筋肉を使う動きが効果的。腰まわりを意識したストレッチや、腹筋・骨盤まわりの軽いトレーニングもおすすめです。
さらに、お腹を冷やさないことも重要。腸は冷えると動きが鈍くなり、便秘を悪化させる原因に。夏でもお腹周りは冷えやすいので、腹巻きや温かい飲み物などを活用して、内側からじんわり温める習慣を取り入れましょう。
スキンケアだけでは足りない?腸から整える美肌戦略

肌トラブルがなかなか改善しない…。そんなときは、身体の“内側”に目を向けることが大切です。便秘や腸内環境の乱れは、肌の代謝やターンオーバーに影響を与え、ニキビやくすみの原因になることも。美肌を目指すなら、スキンケアだけでなく“腸活”も戦略に加えてみましょう。
肌に出る不調は“内側”からのサイン
スキンケアにどれだけ力を入れても肌の調子が整わない…。そんなときは、「身体の内側」に目を向けてみましょう。
肌に現れるニキビやくすみ、乾燥などの不調は、腸内環境や生活習慣など“内側の乱れ”が表面化したサインであることが多いのです。
実際、食事改善を指導した生徒さんの中には、「食物繊維や発酵食品、水分、良質な油などを意識的に取り入れたことで、3週間ほどで肌に触れたときの感触が変わった」と語るケースも少なくありません。
腸内環境が整えば、肌のターンオーバーもスムーズに行われ、栄養もしっかり届くようになります。肌の不調は、身体からの“やさしい警告”。外からのケアと同じくらい、内側を整えることも意識してみましょう。
腸内環境が整うと化粧ノリも変わる
腸内環境が整うことで感じられる変化のひとつが、肌の質感や化粧ノリの変化です。便通が安定し、老廃物がきちんと排出されるようになると、肌のターンオーバーが正常に働き、肌表面の状態もなめらかに整っていきます。
肌に化粧品を“のせる”ケアだけでなく、内側からのケアで「肌そのものの質」を底上げすることが、結果的にメイクの仕上がりにもつながる。そんなリアルな変化が、腸活の大きな魅力のひとつです。
まとめ:腸活で美肌を手に入れる第一歩を踏み出そう

便秘が続くと老廃物が腸にたまり、肌のくすみや荒れなどの原因になることもあります。逆に腸内環境が整えば、肌のターンオーバーもスムーズになり、化粧ノリや肌触りにも変化が現れます。
発酵食品や食物繊維、水分、良質な油をしっかりとって腸を整えることが、美肌への近道。
食べちゃダメではなく、どう楽しく取り入れるかを意識してみてください。
腸を整えることは、スキンケア以上に肌を育てるケア。まずは今日から、無理のない“腸活習慣”を始めてみましょう!
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。