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アパート建築費用はいくらが相場?必要な自己資金の目安

アパート建築費用はいくらが相場?必要な自己資金の目安
セゾンのくらし大研究 編集部

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アパート経営を始める目的でアパートを建設する際、どのくらいの資金が必要になるのでしょうか。特にアパートローンを利用して建設しようと考えている場合、どのくらいの資金調達が必要かをあらかじめ把握しておかなければなりません。

また、アパート経営を成功させるためには建築費用だけでなく、借入金額や利回りの見通しをしっかり立てる必要があります。「どの程度の自己資金を準備すべきか」「融資はどれくらい受けられるのか」そして「ローン返済と家賃収入のバランスは適切か」といった視点も重要です。

今回は「アパートの建築費用」について考えてみましょう。不動産投資でアパートを一棟建てるのにいくらかかるか気になる方は必見です。費用内訳はもちろん、自己資金の目安なども解説していますので、ぜひ参考にしてください。

不動産投資ローン

アパート建築にかかる費用の相場はいくら?

アパートの建設費用は、「坪単価×延べ床面積(㎡)÷3.3」で概算額を求めます。これは坪単価で計算したほうが比較しやすいためです。特に複数社の見積もりを比較する際には、坪単価を用いることで「構造ごとの違い」や「グレードごとのコスト差」を把握しやすくなるメリットがあります。

一般的に坪単価とは、1坪あたりの建築費を指します。1坪あたりは約3.3㎡です。

次項で、構造別の坪単価を解説していきます。

坪単価

坪単価は建物の構造によって価格が異なります。代表的な構造における坪単価の相場は、次のとおりです。

【坪単価相場】

  • 木造:500,000~700,000円程度
  • 鉄骨造:600,000~900,000円程度
  • 鉄筋コンクリート造(RC造):800,000~1,200,000円

各構造のメリットおよびデメリットは、以下の表のとおりです。

構造メリットデメリット
木造建築期間が短く、費用も安く済む
修繕費も比較的安価
建材の劣化が早く、耐用年数が短い
銀行の融資が通りにくい場合がある
鉄骨造木造に比べ、耐震性および耐久性があるRC造に比べ、耐火性および遮音性が劣る
鉄筋コンクリート造(RC造)中高層の物件が建てられる耐震性、耐久性、遮音性がほかの構造に比べて高い
銀行の融資を受けやすい
建築期間が長く、費用も高額になる
修繕費も高くなりがち

建築費

工事費(建築費)はここ10年ほど上昇傾向が続いています。国土交通省が公表している「建設工事費」によると、2023年の建築費は基準年である2015年と比較して23.6ポイントも上昇しています。

2015年100
2016年100.3
2017年102.2
2018年105.4
2019年107.8
2020年107.7
2021年114.1
2022年121.2
2023年123.6
出典:国土交通省 建設工事費デフレーター

建築費の変動を測る指標の1つである「建設工事費デフレーター」は、資材価格や人件費、急激な円安などの影響を受けて数値が変動します。そのため、実際の建築費にも大きな影響を与える要因となるでしょう。特に、建設業界の人手不足や資材価格の高騰が進んでいることから、今後も上昇傾向が続く可能性があります。ただし、地域や建築会社ごとのコスト差も大きいことから、実際の建築費はエリアや施工業者によって異なる点に留意が必要です。

アパート建築費の内訳

アパート建築費の内訳

アパート建築費は、「本体工事費」「付帯工事費」「その他諸費用」の3つに分けられます。それぞれ、どのような費用が当てはまるのかについて解説します。

本体工事費

本体工事費は本体価格ともいわれるもので、アパートの本体部分を構成する工事費が該当します。またこの工事費には資材費も含まれます。

アパートの本体部分とは、基礎部分や躯体のほか、外装・内装、トイレや浴室などを含み、全体の費用の80%程度を占めるのが一般的です。さらに、建築会社の人件費も含まれるケースがあり、建築会社によって内訳が異なる点に注意が必要です。

付帯工事費

付帯工事費とは、アパートの本体部分の工事とは別に発生する工事費用を指します。具体的には次のような費用が含まれます。

項目概要費用の目安
地盤改良工事費地盤が弱い場合の補強工事1坪あたり約25,000円
外構工事費駐車場やフェンスなどの工事最大約3,000,000円
電気やガスなどの整備費電気・ガス・水道の引き込み工事ガス:約200,000円
水道:約500,000円
電気:約10,000円
仮設工事費工事のための足場・養生・仮設トイレの設置建設規模によって異なる
解体費用既存建物の撤去一戸建て:約2,000,000円

※電気整備費用は工事範囲や地域によって数万円以上かかるケースもあります。

これらの付帯工事費は、合計するとアパート建築費用全体の10~20%程度になります。ただし、地盤改良やインフラ整備の条件によっては、想定よりも建築費が高額になるケースもあるため、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。

その他諸費用

その他諸費用には、アパート経営の際に利用するアパートローンの手数料や、登記費用、保険料などが当てはまります。これらの費用は、建設費用全体の5〜10%程度を占めるため、資金計画を立てる際には考慮しておきましょう。

具体的には以下のような費用が含まれます。

  • アパートローンの手数料(金融機関の手数料や保証料)
  • 登記費用
  • 設計費
  • 建築確認申請費
  • 管理費
  • 保険料
  • 不動産取得税
  • 印紙税
  • 固定資産税

登記費用には司法書士への報酬が含まれるため、事前に相場を確認しておくとよいでしょう。また、不動産取得税は取得後すぐではなく、課税通知が届いてからの支払いとなります。

アパート建築費にかかる構造別シミュレーション

アパートを建築する際のコストは、規模や構造によって大きく変わります。特に、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造では費用に差があるため、ここでは各構造の建築費をシミュレーションして比較します。

アパート建築費を試算する際には「坪単価×坪数」というシンプルな計算式を用いるのが一般的です。

建築費=坪単価×坪数

この建築費に加えて、付帯工事費とその他の諸費用が発生します。

木造アパート

木造アパートの建築費について、以下の条件で試算していきます。

  • 坪単価:70万円
  • 坪数:60坪

計算式は以下のとおりです。

坪単価(70万円)×坪数(60坪)=4,200万円

木造は他の構造に比べて建築コストを抑えやすく、比較的短期間で施工できるのが特徴です。

鉄骨造アパート

鉄骨造アパートの建築費を、以下の条件で試算します。

  • 坪単価:90万円
  • 坪数:60坪

計算式は以下のとおりです。

90万円×60坪=5,400万円

鉄骨造は木造に比べて耐震性・耐久性に優れ、大規模な建物にも適しています。建築コストは高めですが、火災や地震に強い構造が特徴です。

鉄筋コンクリートアパート

鉄筋コンクリート造(RC造)アパートの建築費を、以下の条件で試算します。

  • 坪単価:110万円
  • 坪数:60坪

計算式は以下のとおりです。

110万円×60坪=6,600万円

鉄筋コンクリート造は耐震性・耐火性・遮音性に優れており、長期間にわたって高い資産価値を維持できるのが特徴です。建築コストは木造や鉄骨造より高めですが、耐久性が高くメンテナンス頻度が少ないため、長期的に安定した賃貸経営を実現しやすいでしょう。

アパート建築に必要な自己資金の目安は建築費の10%~30%

アパート建築に必要な自己資金の目安は建築費の10%~30%

一般的にアパート建設に必要な自己資金の目安は、建築費の10〜30%程度といわれています。アパートの建築費が5,000万円の場合、必要な自己資金の目安は500万〜1,500万円です。

ただし、実際の自己資金の割合は、物件の立地(担保価値)や施主の属性(収入や信用力)によって増減するため、一律ではありません。例えば、都心部の高い担保価値を持つ物件や、施主が高収入で資産を多く持つ場合は、自己資金を抑えられることもあります。

自己資金で賄えない部分は、金融機関からの借り入れで準備する必要がありますが、借入金額を設定する際には必ず建築会社とシミュレーションを行いましょう。

シミュレーションにおいては、賃料収入からローン返済額を差し引いた額でアパートの維持管理費をきちんと用意できるかを考えることが大切です。

建築費用に利用できるアパートローンについて解説

アパートの建設には多額の資金が必要となるため、多くの方が金融機関からの融資を利用します。その際に活用されるのがアパートローンです。ここでは、アパートローンの仕組みや主な借入先について詳しく解説します。

アパートローンの特徴

アパートローンとは、収益不動産の建築や購入に利用できる融資制度です。住宅ローンとは異なり、賃貸経営を目的とした不動産の資金調達に特化しており、金融機関の審査基準も異なります。

アパートローンと住宅ローンの違いは、以下のとおりです。

アパートローン住宅ローン
目的収益不動産(アパート・賃貸住宅)の建築・購入自己居住用の住宅の建築・購入
金利固定金利:2.0%~5.0%
変動金利:1.5%~4.0%
固定金利:1.0%~2.5%
変動金利:0.3%~1.5%
返済期間15年~35年(物件の構造・耐用年数による)10年~50年
審査基準物件の収益性・担保価値・借入人の資産状況を重視契約者の年収・勤務先・信用情報を重視
借入対象者個人・法人個人
融資対象物件賃貸アパート
賃貸マンション
戸建て賃貸
賃貸併用住宅
自宅戸建て
マンション(自宅用)
賃貸併用住宅

なお、アパートローンは個人事業主として借りる場合と法人として借りる場合で、審査基準や融資条件が異なります。個人の場合は借入可能額が個人の年収や資産状況に左右されるのに対し、法人の場合は会社の財務状況や事業計画が審査のポイントとなるのが特徴です。

アパートローンの主な借入先

アパートローンは、銀行・信用金庫・ノンバンクなどの金融機関で取り扱われています。それぞれの借入先には異なる特徴やメリット・デメリットがあり、契約者の状況や目的に応じて選択することが重要です。

メリットデメリット
銀行・金利が比較的低い(1.5%~3.0%)
・融資額が大きい
・長期間のローンを組みやすい
・審査が厳しい
・融資実行まで時間がかかる
信用金庫信用組合・地元の不動産投資に融資しやすい
・比較的柔軟な審査
・融資額が銀行より小さい
・対象エリアが限定される
ノンバンク・審査が比較的柔軟
・スピーディーに融資が受けられる
・金利が高め(2.5%~6.0%)
・融資期間が短めのケースが多い

低金利で大きな融資を希望するなら銀行のアパートローンが向いています。一方で、地域密着の融資を受けたい場合は信用金庫や信用組合が選択肢となるでしょう。地元の不動産投資であれば、柔軟な対応が期待できます。

もし融資スピードや審査の柔軟性を重視するなら、ノンバンクのアパートローンが向いています。審査に通りやすく、自己資金が少なくても利用できる可能性があります。

アパート建築費の支払い時期と流れ

アパート建築費の支払い時期と流れ

アパートの建築費は、「着工時」「上棟時」「完成時」の3回に分けて支払うのが一般的です。支払う費用の割合は、建築会社との話し合いによって決まりますので、資金繰りのタイミングとあわせて、余裕を持った時期および割合に設定し、支払い条件もあわせて確認しておきましょう。

なお、着工前に建設会社と「請負契約」を締結し、契約時に何割かの支払いをするケースもあります。一般的な目安として、以下のような支払いスケジュールが設定されることが多いです。

支払い時期支払割合の目安
請負契約時(着工前)10~20%
着工時10~20%
上棟時40~50%
完成時残額

金融機関から融資を受ける際には、各支払いのタイミングできちんと支払えるよう、逆算して融資時期を設定し、それに間に合うように申し込むことがポイントです。

アパートの建築費用を安く抑える3つのコツ

アパート建築費を安く抑えるコツ

アパート建築費を安く抑えるコツはいくつかありますが、そのなかでも効果的なものは以下の3つです。

  1. 建築するアパートの構造を得意とする建築会社を選ぶ
  2. 部屋のグレードを標準的なものにする
  3. 建物や部屋の形状をシンプルにする

それぞれの内容について順にみていきましょう。

建築するアパートの構造を得意とする建築会社を選ぶ

アパートの建築費は、同じ間取りや仕様であっても、建築会社によって異なることがあります。これは、建築会社ごとに得意とする工法や施工方法が異なるためです。

そのため、建築するアパートの構造を得意とする建築会社を選ぶことが、建築費を安く抑えるポイントになります。建築会社を選定する際は、以下の点をチェックすると、コストを抑えつつ品質の良い工事ができる会社を見つけやすくなります。

  • 見積書の内訳が明確か
  • 過去の施工実績が豊富か
  • アフターサポートや保証内容は十分か
  • 建設プランの自由度はあるか

複数の建築会社を比較し、自分のアパートの規模や構造に合った会社を選ぶことが、コスト削減につながるでしょう。

部屋のグレードを標準的なものにする

アパートの入居者募集では、一定の設備を充実させることが重要ですが、過度にグレードを上げすぎると建築コストが膨らみ、投資回収に時間がかかるリスクがあります。そのため部屋のグレードは標準的なものを選びつつ、入居者に魅力を感じてもらいやすい設備を適切に取り入れることが、コストを抑えるポイントになります。

例えば、防音性を高める施工や無料インターネット設備の導入は、コストを抑えつつも入居者の満足度を上げ、競争力のある物件づくりにつながります。こうした点を踏まえ、コストと費用のバランスを考慮しながら設備を選ぶことが重要です。

ほかにもエリアのニーズを調査し、ターゲットに合った設備を厳選することで、コストを最小限に抑えつつ高い稼働率を維持できます。

建物や部屋の形状をシンプルにする

アパートの建築費を抑えるためには、建物や部屋の形状をできるだけシンプルに設計することも有効です。建物の形が複雑になるほど、使用する資材の量や施工の手間が増え、建築費用が高くなる傾向があります。

例えば2階建ての賃貸アパートでは、1階と2階の床面積をほぼ等しくしたシンプルな形にすることで、基礎工事や屋根工事のコストを抑えやすくなります。反対に入り組んだ間取りや吹き抜けなどを採用すると、施工が複雑になり建築費が増加してしまいます。

ただし、形状をシンプルにすることにもデメリットがあり、デザイン性が乏しくなることで外観の特徴が少なくなり、競合物件との差別化が難しくなる場合もあります。このためシンプルな形状を保ちつつも、外壁のカラーやバルコニーのデザイン、エントランスの工夫などで魅力を高めることが重要です。

おわりに

おわりに

アパートを建設する際の建築費用は高額になるため、全てを自己資金で賄うのは難しいでしょう。その際に利用できるのがアパートローンです。住宅ローンは自身が住むための住宅を購入する目的のローンです。アパートのような投資用物件の建築費用には向いていません。

セゾンファンデックスの不動産投資ローンは、投資用の不動産を購入もしくは建築する費用を調達するためのローンで、返済の原資は家賃収入です。

不動産投資ローンは多くの金融機関で提供していますが、審査基準は金融機関ごとに異なります。特に銀行は審査基準が厳しめであることが多いため、希望する借入額に達しない場合も考えられます。

セゾンファンデックスの不動産投資ローンは独自の基準で審査を行っていますので、銀行などで融資を受けることが難しい方でも利用できる可能性があります。「融資審査に不安がある方」や「銀行などで断られた方」も、まずはご相談ください。経験豊富なスタッフが、お客様の状況に合わせた最適な資金調達プランをご提案いたします。

セゾンファンデックスの不動産投資ローンの詳細はこちら

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※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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