投資において、ポートフォリオの意味や役割がよくわからないという方は多いのではないでしょうか。ポートフォリオは資産を管理するうえで重要な役割を担うため、丁寧に組んでおくことが重要です。
このコラムでは、ポートフォリオの取り入れ方や注意点について解説します。投資初心者の方でも理解しやすい内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
- ポートフォリオとは、保有する金融商品の組み合わせ
- ポートフォリオは資産の管理に役立つため丁寧に組んでおくのがおすすめ
- 運用目的や目標額に合わせてご自身に合ったポートフォリオを組むことが重要
ポートフォリオとは?
ポートフォリオとは保有する金融商品の組み合わせのことです。どの投資信託にするか、株式を何株持つかなどを検討することを「ポートフォリオを組む」と呼びます。
具体的な商品や銘柄を使って組み合わせを検討するのが、ポートフォリオの特徴です。一方、ご自身が運用する目的や期間に適した大まかな資産配分を、アセットアロケーションと呼びます。
ポートフォリオの重要性
長期にわたって資産を運用すると、資産構成割合のバランスは崩れる可能性があります。ポートフォリオを組むことで、資産運用の状況を視覚的に管理しやすくなるでしょう。
方針からのずれが一目でわかるため、修正までのスピードアップにつながります。家計やライフプランによって適するポートフォリオは異なるため、ご自身に合ったポートフォリオを組むことが重要です。
ポートフォリオの組み方
ポートフォリオの基本的な組み方は、以下の3ステップです。
- 運用の目的や目標額を決める
- リスクとリターンを考慮して資産配分を決める
- 投資先を選ぶ
それぞれ順に解説します。
運用の目的や目標額を決める
まずは、ご自身のライフプランに合わせて運用の方針を明確にしましょう。方針を決める際に検討する項目の例は、以下のとおりです。
- いくら欲しいのか
- 毎月どれくらいの金額を投資にまわすのか
- いつまで投資するのか
- 何のために運用するのか
運用方針が明確になると、リスク許容度に合ったポートフォリオを組めます。
リスクとリターンを考慮して資産配分を決める
年齢を考慮したリスクの許容度を把握し、資産配分を決定してください。リスク許容度は一般的に年齢が若い方ほど大きく、年齢が上がるにつれて小さくなるといわれています。
例えば20代前半で投資を始める場合は、一定のリスクを取って高いリターンを目指す方針が考えられるでしょう。
投資先を選ぶ
配分が決まったら、資産とリスク許容度のバランスの取れた投資先を選びましょう。さまざまな金融商品のなかから、具体的な投資先を見つける工程です。金融商品ごとの具体的な特徴については後述します。
投資先を選ぶ際は地理的な分散を意識してください。例えば特定の国に投資していると、災害や戦争といった地学的なリスクによる影響を受けやすくなります。地域分散できていれば被害を軽減できるため、商品と地域の両方を分散させましょう。
ポートフォリオを組む際のポイント
ポートフォリオを組む際のポイントは以下の2つです。
- 分散投資を意識する
- 資産の特徴を理解する
それぞれ順に解説します。
分散投資を意識する
ポートフォリオを組む際は「分散投資」を意識することが重要です。1つの銘柄にまとめて投資すると、価格が下落した際の損失が大きくなります。
以下の項目を考慮して分散投資することで、価格変動リスクの軽減につながります。
- 銘柄
- 地域
- 時間(時期)
リスク軽減のためにも、分散投資を心がけてください。
資産の特徴を理解する
ポートフォリオを組む際には、選択する資産の特徴やリスクを知っておく必要があります。主な資産の種類は以下の5つです。
- 株式
- 債券
- 不動産
- 商品(コモディティ)
- 現預金
それぞれの商品の特徴について解説します。
株式
株式は資金を出資した方に対して発行する証券です。株主は保有株式数に応じた配当金や売却益の獲得を図れます。上場されている企業の株式は、株式市場で売買することが可能です。
債券
債券は国や企業がお金を借りる際に発行されます。満期までの期間には利子、満期時には額面金額で払い戻される仕組みです。債券は比較的ローリスク・ローリターンの商品といわれています。
不動産
不動産に投資することで、家賃収入や売却益などのリターンが見込めます。ただし、家賃相場の変動や空室率の高さによっては収入が減少するリスクがあるため注意が必要です。
一定以上の所得がある場合、節税効果が見込めるため、税金対策として不動産に投資するケースも見受けられます。
商品(コモディティ)
コモディティ投資とは、商品先物市場で取引されるコモディティ(商品)に投資する手法を指します。コモディティの例は以下のとおりです。
- エネルギー資源(原油、ガソリンなど)
- 貴金属(金、プラチナなど)
- 穀物(大豆、トウモロコシ)
投資信託を利用すると、新たな口座を開設することなく簡単にコモディティ投資ができます。商品先物取引を直接する場合、レバレッジを大きくするほどリスクは高くなるため注意が必要です。
現預金
現金・預金は身近な資産といえるでしょう。金融機関にお金を預けることで、預貯金額や利用するサービスに応じて利息を受け取ることが可能です。普通預金のほか、入出金を制限するかわりに比較的金利の高い定期預金などのサービスがあります。
現預金は価格変動リスクが少ない一方で、リターンは少ない資産です。ただし、円安が進行した場合は円の価値が相対的に目減りするリスクがあります。
【タイプ別】ポートフォリオの具体例
適したポートフォリオは、投資スタイルやリスク許容度によって異なります。ここでは、タイプ別にポートフォリオの具体例を3つご紹介します。
- 基本形
- 安定した運用タイプ
- 積極運用タイプ
それぞれ順に見ていきましょう。
ポートフォリオの基本形
ポートフォリオの基本形は、複数銘柄を組み合わせたバランスの良い分散投資です。特定の銘柄の価格変動リスクを抑えながら、リターンを見込めます。
基本形の例として、日本国民の年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」のポートフォリオが参考になります。2020年からの5ヵ年における基本ポートフォリオで定められた資産構成割合は、以下のとおりです。
国内株式 | 外国株式 | 国内債券 | 外国債券 | |
資産構成割合 | 25% | 25% | 25% | 25% |
GPIFは「年金財政上必要な利回りを満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオを選定した結果」上記の割合を基本ポートフォリオに決定したとしています。初心者はまず基本形から始めると良いでしょう。
安定した運用タイプ
ローリスク・ローリターンの運用を目指すケースの例は以下のとおりです。
国内株式 | 外国株式 | 国内債券 | 外国債券 | |
資産構成割合 | 25% | 5% | 65% | 5% |
国内債券の割合が最も多く、全体の70%を債券が占めています。比較的値動きの小さい組み合わせで、リスクの少ない着実な運用を見込めるでしょう。
積極運用タイプ
ポートフォリオの基本形からさらに大きいリターンを図る例は、以下のとおりです。
国内株式 | 外国株式 | 国内債券 | 外国債券 | |
資産構成割合 | 15% | 55% | 5% | 25% |
「安定した運用タイプ」の例とは反対に個別株がポートフォリオ全体の70%を占め、うち55%は外国株式となっています。債券に比べると個別株は比較的値動きが大きいため、ハイリスク・ハイリターンを目指したポートフォリオといえるでしょう。
ポートフォリオは定期的な見直しが必要
ポートフォリオは、運用成績によって資産構成割合のバランスが崩れるため、定期的な見直し(リバランス)が必要です。短期では3ヵ月、長期では1年のサイクルでの見直しが望ましいでしょう。
ポートフォリオを見直す際のポイントは以下の4つです。
- 資産構成割合のバランスが崩れていないか
- 投資目的が変わっていないか
- リスク許容度が変化していないか
- 経済状況に変化がないか
複数のポイントに該当する場合は、必要に応じて資産配分そのものの見直しを検討しましょう。
おわりに
ポートフォリオとは、保有する金融商品の組み合わせを指します。長期にわたって資産を運用すると、資産構成割合のバランスは崩れる可能性があります。ポートフォリオを組んで資産運用の状況をしっかりと管理することが重要です。金融商品ごとの特徴を理解し、資産形成にポートフォリオを活用してみてください。