現在の歴史的な低水準の預金金利では、銀行にお金を預けても資産の増加は期待できません。一方で、投資で資産を増やしたくとも、元本割れは避けたいという気持ちも理解できます。しかし、リターンの裏には当然リスクがあります。元本割れを恐れるあまり、投資を始められないとしたら、それこそ本末転倒です。
- 「投資はしたいけれど、元本割れで資産がマイナスになるのは嫌だな」
- 「元本割れをしないためには、どうすれば良いだろう?」
このようなお悩み、疑問に対して、このコラムでは、元本割れに関する知識や元本を失わないための行動、不安を抑える対処法などを解説しています。
元本割れの恐怖で今まで投資に踏み切れなかった方も、知識を得ることで投資に前向きになれるでしょう。資産運用で元本割れによる損失リスクを抑えるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
投資をする前に知っておきたい元本についての基本知識
投資を始めるにあたって、ぜひ知っていただきたい基本用語が「元本」です。本項では、投資を始める前に押さえておきたい元本の概念について解説します。
元本とは?
元本とは、株式や投資信託などの金融商品の購入に充てたお金のことです。収益を生み出す元になるお金で、元手と表現されることもあります。
元本割れとは?
元本割れとは、購入した金融商品の価格が購入金額よりも下回ることです。金融商品は日々価格が変動するため、利益を得られることもあれば、元本を下回って損失が発生することもあります。
・元本割れがある金融商品
元本割れがある金融商品は、元本を下回って損失が発生する可能性がある一方で、逆に元本を上回って利益をもたらす可能性もあります。元本割れが起こり得る、具体的な金融商品の例は以下のとおりです。
- 株式
- 不動産
- 投資信託
- 債権(国債や地方債、社債など)
- 金(ゴールド)
- 仮想通貨
・元本割れがない金融商品
元本割れがない金融商品は、預貯金です。預貯金は元本割れの心配がない金融商品です。その一方で、金利はとても低く抑えられているため、資産の増加には期待できないでしょう。
元本保証とは?
元本保証とは、購入した金融商品が運用期間中に元本より減らないことを保証する仕組みです。具体例としては、前述した銀行の預貯金があります。預貯金は元本保証の金融商品ともいえ、元本を割ることがありません。
もし預貯金をしている銀行が倒産した場合でも「預金保険制度」により、1つの金融機関につき、預金者1人当たり元本と利息の合計が1,000万円までは保証されます。
元本割れに関して知っておくべき3つのポイント
誰しも元本を失うのは恐れるものでしょう。そこで、本項では元本割れに関して知っておくべき3つのポイントを解説します。
一度は必ず元本割れをする
株式や投資信託などの金融商品は、必ず一度は元本割れをします。元本割れをする理由は、株式や投資信託などを購入する際に、多くのケースで最初に購入手数料が引かれるためです。そのため、最初は元本割れした状態から開始します。しかし、長期的な資産運用で利益を出せれば、購入手数料により生じた元本割れは解消されるでしょう。
価格は常に変動する
株式や投資信託などの金融資産の価格は、日々変動します。価格の変動が大きい金融商品は、日々の価格変動によって利益を得られることもあれば、元本を下回り損失が発生することもあります。
資産運用において資産価格は常に増減するため、長期的に見ると一時的に元本割れをして含み損を抱えることもあるでしょう。しかし、資産の増減に過剰に反応しないことが、長期運用を行なっていくうえで大切なポイントになります。
含み損は決済することで損失が確定する
含み損を決済することで、初めて損失が確定します。含み損とは、金融商品を取得した価格よりも現在の価格が下回り、損が発生している状態のことをいいます。この含み損の状態になると、資産を失ったように感じるでしょう。
しかし、含み損は未決済の損失であり、保有している株や投資信託などの金融商品の現在の価格を表しているだけです。損失は、含み損の資産を決済したときに初めて確定します。
金融商品の価格は常に変動しますので、含み損がいつまでも含み損のままであるとは限りません。市況次第で、いつでも含み益に転じる可能性はあるでしょう。
参照元:含み損益|証券用語解説集|野村證券 (nomura.co.jp)
元本を失う!暴落時にやってはいけない2つの行動
元本割れが起きる状況の代表例は、相場の暴落です。そのような暴落時において、決してしてはいけない2つの行動を紹介します。
狼狽売り・解約
狼狽売りや解約は、相場の暴落時にしてはいけない行動の代表例です。狼狽売りとは、保有している資産価格が急激に下落した際に、パニック状態に陥り、保有している資産を慌てて処分(売却)してしまうことです。
相場が暴落した場合、今まで利益が出ていた株や投資信託であっても、元本割れして含み損に転じてしまうかもしれません。そのような状況で、慌てて売ることは避けた方が良いでしょう。
決済を確定させない限り、含み損は含み損のまま維持されます。含み損は確定損失ではありませんから、そのまま持ち続けていれば、含み益に変わる機会は充分にあるでしょう。しかし、含み損の状態で決済をしてしまうと、その時点で損失が確定します。
そもそも、市場が変動するのはごく普通の現象ですから、暴落時に耐えられないのはリスク管理が不足している可能性が高いです。そのような場合、現在の投資額を見直す必要があるでしょう。
参照元: 狼狽売り|投資の時間|日本証券業協会 (jsda.or.jp)
積立投資の停止
投資信託などの積立投資をしている場合、積立を停止することもしてはいけない行動の1つといわれています。積立投資のメリットは、ドル・コスト平均法を活用できる点にあります。
ドル・コスト平均法とは、投資信託などの金融商品を一定の金額で、定期的に継続購入する手法のことです。この手法により、価格が変動する金融商品の平均購入単価を平準化させ、かつ購入にかかる時間の猶予を確保する効果があります。
その結果、長期的な資産形成において非常に有効であると考えられています。このドル・コスト平均法を上手に活用するためには、商品価格が下がった時に狼狽売りなどせず、そのような市況においても淡々と購入を続けることが重要です。
相場暴落時の購入停止は、平均購入価格の上昇につながります。その結果として、利益が出にくくなったり、含み損を抱えやすくなったりするでしょう。暴落時においても、それまでと同様に定期積立の継続をするほうが良いでしょう。
これで安心!元本割れの不安を抑える6つの対処法
元本割れの仕組みや暴落時の対応について理解できても、元本割れの不安はまだ解消しないかもしれません。本項では、元本割れの不安を抑えるための対処法を6つご紹介します。
生活資金を確保する
生活資金をきちんと確保することで、元本割れの不安を抑えられます。
運用資産の価格が下がったときに不安になる場合は「余裕資金」以上の金額を投資に回してしまっている可能性が高いです。日々の生活に必要な「生活資金」まで投資してしまっては、相場が上下するたびに心配になるのも仕方ありません。
少なくとも、3ヵ月〜半年分程度の生活資金は確保しておきましょう。
余裕資金で投資する
生活資金の確保と多少重複しますが、余裕資金で投資することも元本割れの不安を抑える方法の1つです。
誰しも、投資した元本を失うのは怖いものです。しかし、資産運用で利益を得るためには相応のリスクが伴います。万が一、投資金額を失った場合でも、心理的ダメージの少ない「余裕資金」の範囲で投資すると良いでしょう。
自身のリスク許容度に合った商品を選ぶ
元本割れの不安を感じるのは、投資商品がご自身に合っていない可能性があります。しっかり商品内容を理解したうえで、ご自身のリスク許容度に合う金融商品を選択することにより、不安は大きく解消できるでしょう。
金融商品にはそれぞれ特徴があり、リスクとリターンが存在します。リスクは収益の振れ幅のことで、リターンは資産運用で得られる収益のことです。
リスクとリターンは比例するため、リスクの小さい金融商品は、小さなリターンしか望めません。一方で、リスクが大きい金融商品は、大きなリターンが期待できるでしょう。
ご自身の性格やどの程度のリスクを許容できるかによって、投資する商品は変わります。なお、投資のリスクについては、預貯金が最も低く、債券、投資信託、株式の順に大きくなります。
参照元: リスクとリターン|投資の時間|日本証券業協会 (jsda.or.jp)
分散投資する
複数の金融商品を組み合わせることで、元本割れのリスクを抑えられます。例えば、比較的ローリスクの債券とハイリスクの株式を組み合わせるという方法が挙げられます。ローリスクの債券で元本を守りつつ、ハイリスクの株式で資産の増加を期待するという考え方です。
しかし、ご自身で行う分散投資は、金融商品の選択から購入まで1人で行うという点に難しさがあります。分散投資は債券、株式、不動産、コモディティ、現金などの金融商品に、ご自身が取れるリスクに応じて適切な割合で投資する必要があります。また、株式と一口にいっても、先進国や新興国、ハイリスクやローリスクなどさまざまです。
これらをご自身で網羅するには、かなりの時間と労力を要するでしょう。そこでおすすめしたい方法として、資産運用をすべてプロに任せられる「投資信託」があります。
投資信託のメリットは、100円といった少額から始められるにもかかわらず、株式や債券など複数の金融商品に分散投資ができる点です。さらに、プロが投資先を選定し運用までを行うため、初心者の方にも始めやすい点が魅力です。
定期積立する
積立投信などの金融商品の定期積立も、元本割れのリスクを抑えた投資のため比較的安心感があります。
定期積立では、ドル・コスト平均法の活用により平均購入単価を平準化できます。ドル・コスト平均法を利用した積立投資の特徴は、値動きに変動のある金融商品に投資をする場合、投資のタイミングや期間などの「時間」の分散により、リスクの低減とリターンの平準化ができる点です。結果として、元本割れのリスクを抑えた投資が可能です。
長期運用で市場の回復を待つ
長期の資産運用を前提に、目先の相場に一喜一憂せず、市場の回復を待つという投資方法も、不安を解消するための方法の1つです。株式などの投資の世界では、年に数回暴落が起こるといっても過言ではありません。暴落後すぐに回復する場合もあれば、回復まで年単位で時間がかかる場合もあります。
例えば、比較的最近起きた暴落としては、2016年11月9日の米国大統領選挙で、ドナルド・トランプが勝利したことに起因するトランプショックがあります。
11月9日の日経平均は暴落し、下げ幅が一時1,000円を超え、8日の終値より919円安い1万6,251円で終えました。それにもかかわらず、翌日には急騰し、9日の終値より927円高い1万7,178円と前日の暴落を帳消しにするような相場となりました。
この例は極端かもしれませんが、場合によっては暴落の翌日に元の価格に戻るということも起こり得ます。長期運用を前提にしていれば、慌てることなく市場の回復を待つという考え方ができるでしょう。
参照元: 金融市場、駆け巡った「トランプ・ショック」: 日本経済新聞 (nikkei.com)
積立投信が購入できる!おすすめの2つのサービス
元本割れを防ぐために、積立投資や分散投資、長期運用などの投資手法を解説しました。そのような投資手法を簡単に網羅できるのが、投資信託(ファンド)です。本項では、投資信託を購入できる2つのおすすめサービスを紹介します。
分散投資で元本割れのリスクを抑える!セゾンポケット
セゾンポケットで購入できる投資信託は2つのみで、選びやすいのが特徴です。両方とも、分散投資でリスクを軽減しながら長期の資産形成に適した金融商品になっています。
1つ目のセゾン・グローバルバランスファンドは「世界の株式と債権」に、2つ目のセゾン資産形成の達人ファンドは「世界の株式」にそれぞれ分散投資しているため、リスクを抑えて投資できます。
セゾンポケットでは積立投資ができ、毎月1,000円からと始めやすいサービスです。さらに、セゾンカード・UCカードで積立ができ、支払いで得た「永久不滅ポイント」も投資信託の購入に充てられるお得なサービスでもあります。
毎日積立で元本割れを回避!アプリ証券の大和コネクト証券
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投資信託の種類も豊富で、国内やアメリカの株式に投資できる銘柄や債券、複数の金融商品を組み合わせたバランス型も取り扱っています。
さまざまな金融商品に分散投資することで、元本割れのリスクを軽減できます。さらに、様々な賞で受賞歴のある優秀な投資のプロが、資産運用を担います。
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おわりに
資産運用にはリスクとリターンがあり、期待する利益に応じたリスクが伴うため、元本割れの可能性をゼロにすることはできません。しかし、時間を分散する、投資信託を購入するなどの対策を取ることで、リスクを抑えることは可能です。
元本割れによる損失の不安は残りますが、その一方で資産が大きく増大する可能性もあるでしょう。まずはご自身が受け入れられる範囲の余裕資金で、小さな一歩から投資を始めてみてはいかがでしょうか。