美容雑誌のお悩み相談でも、常に上位にランクインするのが毛穴です。「黒ずみが気になる」「開きが気になる」など、毛穴で悩む女性は世代を問わず多いようです。しかし、毛穴ほど一般の人達が正しく理解できていないものはないのかも知れません。本記事では、肌を汚く見せてしまう毛穴の状態や、毛穴の悩みを解消する正しいお手入れ方法についてご紹介します。
印象に差を生む、肌が汚く見える原因は?
美容業界では美肌に欠かせない要素として、うるおい、なめらかさ、ハリ、弾力、血色、ツヤの頭文字をとって「うなはだけつ」と表現します。肌表面の角質層が適度にうるおい、ざらつきや凸凹がなく、引き締まって弾むような弾力があり、自然な血色とツヤがあれば、肌は美しい印象を与えるのです。
では、肌を汚く見せてしまうのはどんな状態でしょうか?「うなはだけつ」の逆を考えれば、乾燥、毛穴の開き、たるみ、くすみ、カサつきなどが挙げられます。
中でもなめらかさを阻害する毛穴の開きは、見た目や肌触りが悪くなるだけでなく、自己流の間違ったケアを繰り返すことで新たな肌トラブルに発展する恐れもあるので注意が必要です。
毛穴を目立たせるのは過剰な皮脂分泌
毛穴が目立つのは「汚れが詰まっているから」と思われがちですが、毛穴はくぼみのため、何も汚れが詰まっていなくても黒く見えてしまうものです。では、なぜ毛穴が目立つ人と目立たない人がいるのでしょうか?
毛穴が目立つのは、その働きに関係しています。毛穴の役割は、皮膚の保護や体温調整です。人間の肌は皮脂を出すことによって皮脂膜を作り、肌の水分蒸散量を調節していますが、何らかの理由で皮脂の分泌量が増えることで、詰まりや開き、黒ずみなどが起こり、目立たせてしまうのです。
また、毛穴の大きさを気にする方も多いですが、毛穴の大きさは遺伝的要素が大きく、男性ホルモンの量が影響しています。男性ホルモンが多めの人は皮脂量が多くなり、必然的に皮脂腺の出口も大きくなるため毛穴も目立ってしまいがちなもの。生まれ持った肌の性質を見極め、適切なスキンケアを続けることが毛穴を目立たせないための近道です。
あなたの毛穴タイプはどのタイプ?
毛穴が目立つのは大きく分けて「開き毛穴」「詰まり毛穴」「たるみ毛穴」の3つの場合が考えられます。
「開き毛穴」は遺伝的要素が強く、皮脂分泌が過剰なオイリー肌の方に多い毛穴です。毛穴に皮脂が詰まって目立っている「詰まり毛穴」、真皮層の弾力が減少し肌がたるむことによって毛穴が広がって見えている「たるみ毛穴」は後天的要素が強いため、適切なスキンケアで予防や改善が期待できます。
まずは遺伝的要素が強い「開き毛穴」なのか、間違ったケアや生活習慣、加齢が主な原因となる「詰まり毛穴」「たるみケア」なのか、自分の毛穴タイプをチェックしましょう。
詰まり毛穴
毛穴に溜まった皮脂が、剥がれ落ちた角質や汚れと混ざり合うことで形成されるのが角栓です。その角栓が毛穴に詰まって蓋をしたような状態になっているのが「詰まり毛穴」です。
原因は角質肥厚と過剰な皮脂分泌で主にTゾーンに多いのが特徴です。若い肌に多く見られますが、無理やり詰まりを取ろうとすると毛穴がさらに広がり悪化します。また、菌の繁殖により炎症を起こし、ニキビになることもあります。だからといって、そのままに放置すると角栓が酸化して黒くなり、より目立つようになるので、毎日のケアで角栓を詰まらせないように気を付けることが大切です。
「詰まり毛穴」かチェック!
- 肌を触るとザラザラする
- 白いポツポツが目立つ
- Tゾーンだけがテカりやすい
たるみ毛穴
加齢に伴い、肌のハリや弾力が失われることによって頬やほうれい線のあたりに縦長のしずく形に広がっているのが「たるみ毛穴」です。加齢によってハリや弾力を支えている真皮が弱り、毛穴を支えきれなくなってしずく形に垂れ下がってしまっているのです。
エイジングのサインが気になる40代以降に多い毛穴トラブルですが、間違ったケアによるハリ不足の進行によっては20代で現れることもあります。重度になると毛穴と毛穴をつなぐキメの線が深く濃くなる毛穴小じわが現れて年齢以上に老けた印象を与えてしまうので、毎日の正しいケアで未然に防ぎましょう。
「たるみ毛穴」かチェック!
- 肌に弾力がなく、たるみが気になる
- 頬のあたりの毛穴が特に目立つ
- 頭皮ケアの習慣がない
開き毛穴
遺伝的要素から皮脂量の多い、いわゆるオイリー肌の方に多い毛穴トラブルが「開き毛穴」です。皮脂が過剰に分泌されることで毛穴が押し広げられるため、皮脂腺が発達したTゾーンや鼻、頬の毛穴の開きが目立ちます。年代を問わずに起こり得る毛穴トラブルで、スキンケア不足や環境による乾燥や温度変化も「開き毛穴」を生む原因として考えられています。
毛穴の大きさは変えられませんが、生まれつきと諦めず、正しいケアを継続することで毛穴を必要以上に大きく見せないようにしましょう。
「開き毛穴」かチェック!
- オイリー肌である
- 赤ら顔気味である
- 肌はテカるのに乾燥が気になる
セラピストに聞く!毛穴タイプ別 正しいスキンケア
自分の毛穴タイプを学んだら、次に知りたいのは正しい毛穴ケア。セラピストとして20年以上に渡り、さまざまな女性の肌悩みに向き合ってきた、「ラマーナ」主宰の斉藤真奈さんにお話を伺いました。
全身に毛穴があるのに、なぜ顔の毛穴だけ目立つのでしょうか?
毛穴にも役割があり、皮脂を分泌して皮脂膜を作り、肌を外敵から保護しています。衣服で守られている身体と異なり、常に露出している顔の皮膚は外気の乾燥や紫外線の悪影響を受けやすいため皮脂腺が発達し、その結果、顔の毛穴が目立つようになったと言われています。
どうすれば毛穴が目立たない、なめらかな美肌が手に入るのでしょうか?
“毛穴レス肌”などという表現がよく使われますが、毛穴は誰にもあるもの、なくすべきものではなく今以上に大きくならないようにケアするというのが基本です。目指すべきゴールを間違えると、過剰なケアで肌状態を悪化させてしまうこともあります。適切なお手入れをすれば、毛穴の悩みは解消されますね。
詰まり毛穴は固くなった角質を柔らかくするのが吉
毛穴に悩む方に多いのが肌の洗い過ぎです。毛穴や皮脂が気になるからといって一日何度も洗顔したり、スクラブやゴマージュを頻繁に使う方がいますが、肌のバリア機能の低下や炎症を招いてしまいます。いずれの毛穴タイプにも言えることですが、特に詰まり毛穴の方は、落とすケアの見直しが大切です。
詰まり毛穴の場合、どのような洗顔料を選ぶのが良いのでしょうか?
詰まり毛穴の場合は、固くなった角栓を柔らかく緩ませることが大切です。そのためにはクレンジング剤の選び方が大切です。ジェルやオイルタイプよりも、油分と水分が配合されたミルクやクリームタイプのクレンジングを選んでください。
洗い方にもポイントがあるのでしょうか?
肌は摩擦が大敵。クレンジング剤は適量を使って、肌に指が直接触れないようにすべらせることが大切です。目安としてはティースプーン2杯くらいです。
最近人気の拭き取りタイプはいかがですか?
肌表面の汚れを取り除いて一時的にリフレッシュするという意味では便利ですが、毛穴ケアという意味ではおすすめできません。乾燥を招く原因にもなるので使い方に注意が必要です。
たるみ毛穴は肌の弾力を取り戻す頭皮ケアを
たるみ毛穴は、弾力やハリ不足が主な原因です。年齢とともに毛穴だけでなく、頬やフェイスラインも下がってきたと感じている方に多いのではないでしょうか。肌のたるみには頭皮ケアも効果的です。人間は一枚皮でできているので、頭皮のたるみが顔にも影響を及ぼすのです。
頭皮のたるみは、どのようにケアすれば良いのでしょうか?
凝り固まった頭皮を動かすということが大事です。 頭を5本の指で掴むように持ち、指の腹で頭皮を動かします。仕事の合間や気付いたときに30秒ほど、やさしく行いましょう。最近では入浴中に使える頭皮ブラシも多くあります。頭皮のマッサージにおすすめです。
スキンケアも見直しが必要なのでしょうか?
保湿に加え、美容液を使うことは、たるみ毛穴には有効です。また、スキンケア効果を高めるためにも蒸しタオルも効果的です。毛穴が開いて美容成分が浸透しやすくなります。
開き毛穴は引き締めつつ保湿も怠りなく
開き毛穴はオイリー肌の方に多く、比較的肌が強いので、週に一回のスペシャルケアとしてゴマージュなど剥離効果(はくりこうか)のあるケアを取り入れるのがおすすめです。
開き毛穴は生まれもった肌質によるそうですが、肌質は変えられないのでしょうか?
生まれ持った肌質は変えられませんが、適切なケアを続けることでベストな肌に導くことができます。開き毛穴には収斂作用(しゅうれんさよう)のある化粧水などの使用を習慣にすると気にならなくなりますよ。
オイリー肌の方が、皮脂が気になるからといって保湿を簡略化することも、毛穴を目立たせる原因になっています。保湿が行き届いていないと皮脂が過剰に分泌されてしまい、ベタつきやテカリが余計に気になってしまいます。肌表面で水分と油分が混ざり合い、保護膜のような状態にすることが必要です。
開き毛穴の場合、どのような保湿がいいのでしょうか?
化粧水で与えたうるおいを閉じ込めるという意味ではクリームがおすすめです。クリームが重くて苦手という方がいますが、最近はさまざまなテクスチャーの製品が発売されているので自分好みの一品をぜひ見つけてみてください。皮脂でうるおっているというのは勘違い、ベタつきが気になる季節も「しっかり保湿」を習慣にしましょう。
毛穴の悩みQ&A
- 気温が高くなると毛穴が目立つのはなぜ?
- 気温の上昇によって皮膚温が上がると皮脂の分泌量が増えます。そのためで穴が広がり目立ってしまうのです。
- 生活習慣も毛穴トラブルを招く原因になりますか?
- 寝不足やストレス、食生活の乱れなどは皮脂分泌に影響を与え毛穴の開きを加速させます。
- 毛穴は冷やすと小さくなりますか?
- 毛穴は暑いと開き、冷たいと閉じる性質があります。しかし、あくまで一時的な変化であり、根本的な改善にはなりません。
- 夏の終わりに毛穴が目立つ気がします。
- 紫外線ダメージも肌のハリや弾力を低下させ、たるみ毛穴の原因になります。夏の間の紫外線対策と保湿は必須です。
- 美顔器は毛穴ケアには適していますか?
- セルフケアで手が届くのは肌表面の角質層までなので、美顔器を用いてもっと肌の深部までケアすると毛穴を目立たなくさせる作用も期待できます。
- 毛穴ケアにおすすめのサプリはありますか?
- 皮脂分泌を抑えるという観点から、ビタミンB1、B2はおすすめですが、美肌づくりにはマルチビタミン、ミネラルなどバランス良く栄養素が必要です。
- 男性の場合、どのような毛穴ケアが必要でしょうか?
- 一般的に男性は、男性ホルモンの影響で女性よりも皮脂量が多く、毛穴も大きめです。洗顔、化粧水、保湿を習慣にすることで、肌表面の水分、油分量のバランスが整い、毛穴の目立ちも軽減されます。
まとめ 毛穴ケアの第一歩は、自己流ケアを脱することから
骨格や髪質に個人差があるように、毛穴にも生まれつきの要素が関係しています。まずは自分の毛穴タイプを見極め、今以上に大きくならないことを目標に、正しいスキンケアを取り入れ、継続することが大切です。それと同時に、食生活を見直す、十分な睡眠をとる、ストレスを溜め込まないよう心がけるなど、生活習慣を改善し、体調や肌のコンディションを根本から整えることも有効です。
くれぐれも誤った自己流ケアを続けて肌に負担をかけないように、正しい知識を持って自分に合う対策を見つけましょう。