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一人暮らしの親が心配…。高齢者の安否確認方法を紹介

一人暮らしの親が心配…。高齢者の安否確認方法を紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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高齢の親が一人暮らしをしている場合、子どもとしてはさまざまな不安を感じます。健康面や安全面など、心配事は尽きません。しかし、適切な安否確認方法を選択し、必要なサポートを提供することで、親の安全と自立を両立させることが可能です。

本記事では、一人暮らしの親に関する主な心配事を紹介し、効果的な安否確認方法や支援サービスについて解説します。また、高齢者の一人暮らしの限界年齢についても考察し、親の生活を支える方法を探ります。

この記事を読んでわかること
  • 一人暮らしの高齢の親は、病気やけが、認知症、栄養不足、犯罪被害、火災、孤独感などのリスクを抱えている。
  • 一人暮らしの高齢の親の安否確認方法として、定期的な連絡、見守りサービスの利用、高齢者向けサービスの利用、親戚や近隣住民への協力依頼などがある。
  • 高齢者の一人暮らしには限界があり、年齢によって対応を考える必要がある。
  • 一人暮らしの高齢の親の安全と健康を確保するためには、適切な支援と見守りが重要。

親が一人暮らしで心配になること

親が一人暮らしで心配になること

高齢の親が一人暮らしをしている場合、子どもはさまざまな不安を感じます。離れて暮らしているがゆえに、日々の様子がわからず、親の健康や安全に関する心配が尽きません。

ここでは、一人暮らしの親に関する主な心配事を6つ紹介し、それぞれ具体的に見ていきます。

病気やけがをしていないか

高齢の親が一人暮らしをしている場合、病気やけがの発見が遅れる可能性があることが大きな心配の種となります。例えば、高熱が出たり、自宅で転倒して骨折したりしたときに、すぐに気が付くことができません。特に、急な体調不良や転倒によるけがは、早期発見・早期治療が重要です。発見が遅れることで症状が悪化し、より深刻な状態に陥る可能性があります。

また、高齢者にとって持病の管理や定期的な通院は負担となることがあるため、薬の飲み忘れや通院の中断によって、健康状態が悪化するリスクも考えられます。

認知症を発症していないか

認知症の発症も、一人暮らしの親を持つ子どもたちにとって大きな不安要素です。認知症を発症すると、判断力や記憶力が低下し、日常生活に支障が出ます。初期段階では、物忘れが増えたり、同じことを何度も聞いたりするといった軽微な症状ですが、進行すると徘徊や家事の放棄などの問題行動も現れてきます。

特に一人暮らしの場合、認知症の初期症状に気づきにくく、適切な診断や治療が遅れる可能性があります。また、認知症が進行すると、詐欺などの犯罪被害に遭うリスクも高まります。

栄養不足になっていないか

高齢者は加齢に伴い、食欲が低下したり、調理が面倒に感じたりすることで、栄養不足に陥りやすくなります。特に一人暮らしの場合、「食事の準備が面倒」「一人で食べるのがさみしい」といった理由から、食事を抜いたり、簡単な食事で済ませたりする傾向があります。

栄養バランスの偏った食事を続けていると、体力や免疫力の低下を招き、病気にかかりやすくなります。また、筋力の低下によって転倒のリスクが高まるなど、健康面での悪影響が出てくる可能性があります。

犯罪被害に巻き込まれていないか

特に一人暮らしの高齢者は、犯罪のターゲットになりやすいという問題があります。オレオレ詐欺や還付金詐欺などの特殊詐欺、不用品の買取や訪問販売を装った悪徳商法など、高齢者を狙った犯罪が後を絶ちません。

特に認知機能の低下が始まっていたり、周囲に相談できる人がいなかったりする場合、被害に遭うリスクが高まります。一度被害に遭うと、貯金を失うなどの経済的損失だけでなく、精神的なダメージも大きくなります。

火災が起きていないか

一人暮らしの高齢者の場合、火の不始末による火災のリスクもあります。料理中にガスコンロの火をつけっぱなしにしてしまったり、暖房器具の近くに燃えやすいものを置いてしまったりするなど、不注意から火災が発生する可能性があります。

特に認知症の症状が出始めている場合、火の管理がおろそかになりやすく、火災のリスクが高まります。また、火災が発生した際に初期消火や避難が遅れる可能性も高く、より深刻な事態につながる恐れがあります。

孤独感を抱えていないか

一人暮らしの高齢者にとって、孤独感の問題は深刻です。家族や友人との交流が減少し、人と接する機会が少なくなることで孤独を感じやすくなります。この孤独感は、単なる寂しさだけでなく、心身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。

孤独感が長期化すると、うつ病などの精神疾患につながることがあります。また、外出の機会が減ることで、身体機能の低下や認知機能の低下を招く恐れもあります。社会とのつながりを失うことで、生きがいを感じにくくなり、生活の質が低下する可能性があるのです。

一人暮らしする高齢親の安否確認方法4選

一人暮らしする高齢親の安否確認方法4選

一人暮らしをしている高齢の親の安否を確認することは、離れて暮らす子どもたちにとって大きな課題です。しかし、現代ではさまざまな方法で安否確認を行うことができます。

ここでは、一人暮らしの高齢親の安否を確認するための効果的な方法を4つ紹介します。これらの方法を組み合わせることで、より確実に親の安全を見守ることができるでしょう。

定期的に電話やSNSで連絡を取る

最も一般的な安否確認の方法は、定期的に電話やSNSで連絡を取ることです。毎日決まった時間に電話をかけたり、LINEなどのメッセージアプリで連絡を取り合ったりすることで、親の状況を把握することができます。

最近では、高齢者向けの安否確認アプリも登場しています。例えば、「ピースサイン」というアプリでは、設定した時間に親のスマートフォンに通知が届き、親が「元気です」などの簡単な返信をするだけで安否を知らせることができます。このようなアプリを利用すれば、スマートフォン操作に不慣れな高齢者でも簡単に安否を伝えることができます。

また、ビデオ通話を活用するのも効果的です。顔を見ながら会話することで、表情や様子から健康状態を確認することができます。

見守りサービスを利用する

見守りサービスは、専門のスタッフや機器を使って高齢者の安否を確認するサービスです。さまざまな種類があり、ニーズに合わせて選ぶことができます。

以下、代表的な見守りサービスの例を紹介します。

サービス名概要
訪問型定期的にスタッフが訪問して安否確認を行う。直接対面で状況を確認できる。
宅配・配食型食事や日用品の配達時に安否確認を行う。生活必需品の補給と安否確認を同時に行える。
カメラ見守り型室内に設置したカメラで遠隔から様子を確認できる。プライバシーに配慮した設置が必要。
センサー型動きや温度を感知するセンサーで異常を検知する。24時間体制で見守りが可能。
緊急時通報型緊急時にボタンを押すと通報できる。急病や事故の際に迅速な対応が可能。

これらのサービスを利用することで、親の安全を見守ることができます。また、緊急時には迅速な対応が可能となり、見守る側の安心感も高まるでしょう。

高齢者向けサービスを利用する

自治体や民間企業が提供する高齢者向けサービスを利用するのも、安否確認の一つの方法です。例えば、以下のようなサービスがあります。

  • ごみし訪問収集:自治体が提供するサービスで、ごみ出しが困難な高齢者宅を訪問してごみを回収します。この際に安否確認も行います。
  • 介護保険サービス:要支援・要介護認定を受けた方が利用できる公的サービスです。訪問介護や通所介護などのサービスを利用することで、定期的に専門家が関わることになり、安否確認にもつながります。
  • 配食サービス:民間企業や自治体が提供する食事の宅配サービスです。配達時に安否確認を行うことができます。
  • 電話訪問サービス:定期的に電話をかけて安否を確認するサービスです。自治体や社会福祉協議会などが提供していることがあります。

これらのサービスを利用することで、日常生活のサポートを受けながら、同時に安否確認を行うことができます。

親戚や近隣住民に協力を仰ぐ

実家の近くに住んでいる親戚や近所の方に協力を求めるのも効果的な方法です。定期的に様子を見に行ってもらったり、何か異変があった場合に連絡をもらったりすることで、離れて暮らすども子たちでも親の状況を把握することができます。

この方法のメリットは、地域のコミュニティの中で親を見守ることができる点です。日々の些細な変化に気づきやすく、緊急時にも迅速な対応が可能です。また、親にとっても地域とのつながりを維持できるため、孤立を防ぐ効果も期待できます。

ただし協力を依頼する際は、相手の負担にならないよう配慮することが大切です。具体的にどのような協力を求めるのか、緊急時の連絡方法などを明確にしておくとよいでしょう。

高齢者の一人暮らしは何歳までが限界?

高齢者の一人暮らしは何歳までが限界?

高齢者の一人暮らしの限界年齢について、明確な基準や一律の答えはありません。なぜなら、個人の健康状態、生活能力、環境などによって大きく異なるからです。しかし、一つの目安として「健康寿命」という概念が参考になります。

健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を指します。2019年の厚生労働省の調査によると、日本人の健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳となっています。この年齢を過ぎると、何らかの形で日常生活に制限が生じる可能性が高くなります。

ただし、健康寿命はあくまで平均値であり、個人差が大きいことに注意が必要です。実際には、80代や90代でも元気に一人暮らしを続けている方も少なくありません。一方で、70代前半でも健康上の問題で一人暮らしが難しくなる方もいます。

一人暮らしの継続可能性を判断する際には、以下のような要素を考慮することが重要です。

  1. 身体的健康:慢性疾患の有無、移動能力、日常生活動作の自立度など
  2. 認知機能:記憶力、判断力、問題解決能力など
  3. 生活管理能力:食事の準備、掃除、金銭管理などの能力
  4. 社会的つながり:家族や地域とのコミュニケーション、社会活動への参加など
  5. 住環境:バリアフリー化の状況、交通の便、医療機関へのアクセスなど

これらの要素を総合的に評価し、必要に応じて適切なサポートを導入することで、より長く安全に一人暮らしを続けることができます。例えば、身体機能の低下が見られる場合は介護サービスの利用を検討したり、認知機能の低下が心配な場合は見守りサービスを導入したりするなどの対策が考えられます。

健康寿命を過ぎると、徐々に日常生活に影響が出てくる可能性が高まり、例として以下のような変化が現れることがあります。

  • 家事や身の回りの管理が徐々に困難になる
  • 外出や社会活動への参加が減少する
  • 健康管理(服薬管理や通院など)が難しくなる
  • 転倒や事故のリスクが高まる
  • 認知機能の低下により、判断ミスや詐欺被害のリスクが増加する

これらの変化が顕著になってきた場合、一人暮らしの継続可否について再検討する必要があるかもしれません。ただし、適切なサポートやサービスを利用することで、これらの課題に対処し、より長く安全に一人暮らしを続けられる可能性もあります。

重要なのは、高齢の親の状況を定期的に確認し、必要に応じて柔軟に対応していくことです。一人暮らしの継続か、サポート付きの生活への移行かを判断する際は、本人の意思を尊重しつつ、安全性と生活の質のバランスを考慮することが大切です。

おわりに

高齢の親の一人暮らしは、子ども世代にとって大きな不安要素となります。しかし、適切な安否確認方法を選択し、必要なサポートを提供することで、親の安全と自立を両立させることが可能です。

電話やSNSでの連絡、見守りサービスの利用、地域のサポート体制の活用など、さまざまな選択肢を組み合わせることで、親の生活状況に合わせた最適な見守り体制を構築できます。

親の健康と安全を守りつつ、お互いの生活の質を維持するためにも、適切な安否確認とサポート体制の構築が重要です。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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