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アートが難しいと感じる方へ【アートの学び方】

アートが難しいと感じる方へ【アートの学び方】
石田 高大 現代美術家

執筆者

現代美術家

石田 高大

作家・ライター。パフォーマンス・ハプニング作品を中心に現代美術の制作をしている。制作の中でリサーチした知識を発信していきたいと思い、2021年よりライターとして活動を開始。現在、美術や美術史を中心に執筆。著書に『自分らしい生き方が見つかる現代アートの始め方』がある。

ゴッホやピカソなど有名な画家の作品を見て、どこが良いのだろう?現代アート作品はよく高値で売られているとニュースで流れているけど何が良いのか分からない・・・ 

もちろんよく分からないまま「なんとなくかすごいかも」と楽しむこともできますが、本当に楽しむためには勉強が必要です。教養がないと楽しめないのがアートです。 

このコラムではこのような方向けにそもそもアートや現代アートって何なのか、どのようにアートを学ぶと良いかについてお話します。 

1.アートは難しい  

都道府県には必ず美術館があり、近年では新潟の大地の芸術祭や、瀬戸内国際芸術祭などアートフェスティバルも盛んになっています。その中には、ゴミを積んだものや、ただ袋を膨らませたようなものなどもあり、「何が良いのか分からない」という方も多くいるでしょう。これは意味が分からないものがアートということではなく、アートを観るには知識が必要だということです。 

アートや美術は欧米主流で発展してきたもので、その欧米の歴史などと関連して理解しないと分かりません。日本人のアート作品も、欧米のアート史の影響を受けたものです。 

例えばこちらの有名な作品を紹介します。 

ジャン・フランソワ・ミレーの《落穂拾い》(1857年)

フランスの画家ジャン・フランソワ・ミレーの《落穂拾い》(1857年)という作品です。 

一見農村の穏やかな風景にも見えますが、実は広大な土地で貧しい農民たちが労働をしている様子です。右奥には馬に乗っている方がうっすら描かれていますが、これは地主による小作人の支配が表現されています。 

19世紀の近代化が進むフランスの中、農村でも貧富の差が拡大したことを伝えています。つまり、単に「綺麗だ」「美しい」と味わうだけでは作品の本質が見えないということです。 

何がどのように、どんな構図で描かれているかという物理的な側面に加え、いつ誰によって作られた作品か、どんな意味があるのかという歴史的側面、精神的な意味合いを読み解かなくてはいけません。 

2.アートと現代アートは違う  

2-1.アートとは何か 

みなさん、そもそも「アート」とは何かご存知でしょうか? 

これはかなり難しい問題で、大学の美学科の授業で1単位分、半年以上の授業として扱われることもあります。 

アートは時代によって宗教画がメインになったり、風景画がメインになったりと変化しています。過去の作品や文献を見ながら、今のアートって何だろうとひたすら研究している方もいます。 

アートは辞書で引くと「技」「芸術」と出てきますが、「どんな技や芸術をアートとするかは時代や人によって違うもの」といえます。 

そして、その時代や人の感じ方により「アートは宗教を教えてくれる」「自身のお店のブランドになる」「時代を批評する問いをくれる」「ダイナミック」「写実的」「抽象的」など、さまざまな特徴があります。 

2-2.「現代アート」と「アート」は違う 

「現代アート」という言葉も聞いたことがありますか?実は「現代アート」と「アート」は異なるものです。 

現代アートはアートの中でも、第二次世界大戦後にアメリカを中心に作られていったアートのことを指します。 

画像でご紹介すると…

抽象度が高く、ダイナミックですが、シンプルなものが多い特徴があります。 

しかし、こうした絵は何を意味してるのでしょうか…?絵だけでは、何を描いてるものかいまいち分かりにくいものです。 

2-3.現代アートは特に意味が分かりずらい 

現代アートは戦後アメリカで育ったアートです。 

第二次世界大戦後に、世界の覇権国になりロシアと冷戦状態になったアメリカですが、宇宙開発など研究や文化面でも一位になろうとしていました。芸術にも力が入り、自国独自のアートとして作られていったのが現代アートです。つまりアメリカ人だからこそのアートなので、日本人が初見で理解できるものではありません。 

アメリカでは、歴史的な新しさやこれまでにない批評性のあるものが求められていました。筆で丁寧に描くのではなく、絵具を垂らして絵を描いたり、宗教や自身の親しい人の絵ではなく有名人の絵を描くなど・・・ 

そのような新しさやダイナミックさの中身を知ることが、現代アートの本質的な楽しみ方です。 

2-4.第二次世界大戦前のアートはヨーロッパの文化 

第二次世界大戦前はヨーロッパがアートの主要な場でした。そちらでは誰に向けてアートが作られたかということが時代により大きく変わってきました。 

教会に対して作る宗教画がメインな時代、貴族や富裕な商人に対して人物画や風景画、風俗画がメインの時代、そして市民に対して絵が作られ、多様化した時代もあります。 

やはり欧米の歴史や文化、宗教を知っていくなかで絵の理解が深まり、楽しくなります。 

3.アートの学び方  

美術館・ギャラリーに行く

3-1.本やインターネットを使って学ぶ 

アートは見方や歴史を学ばないと分からない絵が沢山あります。まず学んでみましょう。 

アート初心者の方へのおすすめの書籍を以下でご紹介します。 

「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考 

アート思考 ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法 

より分かりやすいのは『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考」』の方ですが、ビジネスマンの教養としてアートの思考方法やアートビジネスを知りたい方は「アート思考 ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法」がおすすめです。 

また、ゴッホについて知りたい、ピカソについて知りたいなど興味のある画家さんがいる場合はネットで調べて人生や作風について知ってみる、図書館で画集を借りてみることがおすすめです。 

3-2.美術館・ギャラリーに行く 

やはり作品の醍醐味は直接鑑賞することです。 

美術館やギャラリーに行ってみて、何が良いのか分からないとなることもありますが、後から振り返って、あれはこういう意味もあったのかな…などと気付くこともあります。 

また、アートの知識がついてから美術館に行ってみると、今までとは違った見方で作品を見ることができます。アートを知れば知るほど美術館は楽しくなるはずです。 

3-3.自身でアートについて考える、学ぶ 

もちろん知られた作品には評価されている理由があり、それを楽しむのがアートです。しかし、やはり自身が特に惹かれる作品はあるものです。 

アートについて学び、自身で美術館などに行った後に、「あの作品は特に好きだったな」などと振り返って見ましょう。あの作品に作者はどんな気持ちを込めたのだろう。自身があの作品に惹かれる理由は何だろう。そのようなことを考え、調べていくことが楽しさです。 

そして、一緒に美術館に行った方や、同じくアートが好きな方と、語りあってみるとさらに楽しいでしょう。 

おわりに  

アートは単に綺麗さだけを見るものではなく、学ぶほど歴史や人の生き方などが分かってきます。つまり時代の中でどう生きていくかを知るヒントを得ることができます。 

このコラムでお話したように、世界的にはアートは欧米を中心として展開してきました。しかし、日本を含めアジアや他地域の美術も知って見ると面白いものなので、気になったときには同じく本やネットなども見つつ、学び考えてみましょう。 

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