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【図解でわかる】NISAと学資保険どっちがいい?子どもの教育費“賢い備え方”徹底比較

【図解でわかる】NISAと学資保険どっちがいい?子どもの教育費“賢い備え方”徹底比較
横山 光昭

監修者

株式会社マイエフピー代表取締役

横山 光昭

株式会社マイエフピー代表取締役。家計再生コンサルタント。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は23,000件を突破。各種メディアへの執筆・講演も多数。著書は85万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は累計340万部となる。個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。

「子どもの進路はなるべく希望どおり叶えてあげたい」というのが親心。そのためにも、教育費は計画的にしっかり準備しておきたいところです。

奨学金や学生ローン、預貯金やNISA、学資保険など備え方はいくつもありますが、どの方法にも向き不向きがあります。ポイントは自分に合った備え方を選ぶことです。

この記事では幼稚園から大学までにかかる学費の総額や、NISAや学資保険の特徴について、比較表なども交えながら解説します。

子どもの教育費はいくら必要?学齢別の目安

子どもの教育費はいくら必要?学齢別の目安

教育費をどれくらい備えればいいのか、まずはおおまかな金額をシミュレーションしてみましょう。

文部科学省の調査によると、幼稚園から大学まですべて公立(大学は国立大学)の場合、学費の総額は8,388,296円、すべて私立なら24,948,243円、大学だけ私立なら11,150,034円となっています。

[図表]進学先別学費シミュレーション
[図表]進学先別学費シミュレーション
参照元:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」 「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」 「国公私立大学の授業料等の推移」

実際にはここに教材費なども加わるため、支払い額はシミュレーションよりも増えますが、少なくとも上記の金額は準備が必要ということです。

では、教育費はどのように用意していけばいいのでしょうか。

選択肢としては預貯金のほか、「学資保険」や「NISA」といった方法があげられます。それぞれの詳細は後述しますが、基本的にはこれらの自己資金を中心に検討していきましょう。

もし不足が発生しそうな場合は「奨学金(経済的な理由などで進学が難しい人に、学費や生活費の給付・貸与を行う制度)」や「教育ローン(学生や保護者がお金を借りられる制度)」を活用する手段もあります。ただし、奨学金の一部や教育ローンは金利がかかるので注意が必要です。

教育費は子どもが1〜2歳のころなど、早くから計画的に準備していくことが大切です。半分は預貯金で貯めることを前提に、残りをほかの方法で備えていくという考え方が基本となります。

奨学金や教育ローンを利用するのなら、子どもや自分の負担を増やさないためにも、借りられる分だけ借りるのではなく、必要な分だけに留めるようにしましょう。また、進学前にお金の大切さや大学に行くことの意味を、家族で話し合っておけるといいですね。

学資保険は貯蓄と保障を兼ね備えた保険!

学資保険は貯蓄と保障を兼ね備えた保険!

学資保険とは、子どもの教育資金を準備するための保険です。

学資保険は支払った保険料の一部が積み立てられ、満期(保険期間が満了する時期)や進学・入学タイミングで満期保険金や祝金を受け取ることができます

また、契約者(保険料を支払う人)に死亡など万が一のことが起きた場合、以後の保険料の支払いが免除され、満期保険金や祝金は予定どおり受け取れるという特徴があります。

このことから、貯蓄と保障の両方の性質を兼ね備えた保険といえます。

ただし、学資保険にはいくつかの注意点もあります。

1つ目は元本割れのリスクです。

基本的には支払った保険料の総額よりも、満期保険金や祝金として受け取れる総額は多くなります。しかし、途中で解約した場合はその限りではありません。

保険料の払い込み期間が十分でないと、受け取れる総額が支払い総額を下回る、元本割れの恐れがあるのです。また医療保障などの特約を付加することで、満期を迎えても受取総額が支払い総額を下回る商品もあります。

なお、支払った保険料の総額に対し、どれくらいの金額を受け取れるかを示した割合を「返戻率」と呼びます。返戻率が100%以下になるのが元本割れです。

2つ目にインフレリスクがあります。学資保険は契約時に満期保険金や返礼率が設定され、以後固定です。そのため、物価の上昇(インフレ)が起こると、価値が目減りしてしまう可能性があります。

学資保険は万が一の場合に備えることができる商品ですが、元本割れを避けるには払込期間満了まで保険料を払い込む必要があり、その期間中はお金が拘束されてしまうことになります。突発的な支出の対応には向いていないので注意しましょう。

学資保険の特徴

  • 学資保険は貯蓄と保障の両方の性質を持つ保険
  • 元本割れやインフレリスクには注意
  • 親の万が一に備えたい人向け

NISAなら税金ゼロで運用できる!

NISAなら税金ゼロで運用できる!

NISAとは投資で得た利益が非課税になる制度です。投資の利益には、金融商品の購入価格と売却価格の差額が利益となる「値上がり益」や、定期的に支払われる「配当金」や「分配金」などがあります。通常、これらの利益には約20%の税金がかかります。もし10万円の利益があったとしても、手元に残るのは約8万円です。

しかし、NISAでは投資の利益に税金がかかりません。10万円の利益が生じた場合、10万円がそのまま手取りとなるのです。

投資は運用期間が長いほど利益が安定する傾向にあるため、子どもの教育資金など長いスパンで準備する費用との相性がいいといえます。

例えば、毎月15,000円を積み立てて、年利4.0%で18年間運用した場合の運用成果をシミュレーションしてみると、

  • 積み立てた総額:324万円
  • 最終的な運用額:473万円
  • 運用で得た利益:149万円

となります(※)。

※上記シミュレーションは過去の実績に基づいて試算したもので、実際の数値とは異なる場合があります。また、将来の結果を予測し、保証するものではありません。実際には相場の変動により、元本割れする可能性もあります。

参照元:金融庁『つみたてシミュレーター』

NISAは学資保険よりも大きな利益を得られる可能性がありますが、将来の値動きによっては元本割れするリスクもあります。長期的に運用することでリスクを抑えることはできますが、可能性がゼロではないことには注意が必要です。

NISAでの投資先に悩んだら、1つの商品で実質的に世界中の株式にまとめて投資できる、全世界株式型のインデックスファンド(特定の指数に連動した運用成果を目指す投資信託)から検討してみましょう。「いつ現金化すればいいの?」という悩みもつきものですが、教育費のような数百万円前後の運用資金であれば、必要なときにまとめて引き出す想定でいいでしょう。

NISAの特徴

  • NISAは非課税で投資できる制度
  • 値動きによって元本割れのリスクがある
  • 運用しながら教育費を備えたい人向け

運用するなら「NISA」、リスクが心配なら「学資保険」

運用するなら「NISA」、リスクが心配なら「学資保険」

あらためて、「学資保険」と「NISA」の特徴について比較してみましょう。

[図表]学資保険とNISAの比較
[図表]学資保険とNISAの比較

学資保険は万一の保障が欲しい人や、慎重派でとにかくリスクを抑えたいという人に向いています。また、中途解約にリスクがある分、貯蓄が苦手な人でも強制的に続けやすいというメリットがあります。

一方のNISAは万が一の場合に備えることはできませんが、学資保険よりも資産を増やせる可能性があります。預貯金や学資保険の返戻金だけでは不安な人、子どもの将来のためになるべく多くの額を備えたいという人に向いています。

教育費は「NISA+預貯金」で準備していくのがおすすめです。預貯金で毎月、毎年の細かい出費に対応しつつ、NISAでじっくり大学用の資金を積み立てていけるといいですね

預貯金とNISAの積立先の割合は1:1が理想ですが、資産や家計に不安があるときは預貯金多め、少し余裕が出てきたらNISAを多めなど、状況に応じて変えていきましょう。

おわりに

将来の教育費は「無理なく・分散して・計画的に備える」ことが重要です。そのうえで、子どもの将来のためにゆとりを持って教育費を準備するのであれば、まずはNISAの検討を。1日でも早く始めることが、計画を成功に導くポイントです。

もし、今の生活や将来に不安を感じているのであれば、国や自治体、民間のFP(ファイナンシャル・プランナー)などに相談もできます。ぜひ、以下も参考にしてみてください。

日本政策金融公庫 | 予約相談

奨学金相談センターオンラインFPショップ「セゾンのマネナビ」

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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