投資についての勉強を始めると、「日経平均株価」や「TOPIX」、「S&P500」といった言葉に出会うようになるはずです。
これらはすべて「株価指数」の種類であり、投資をするうえで欠かせない存在です。
投資の専門家が重要な指標として参照する指数について、基礎から学んでいきましょう。
日本の代表的な指数はTOPIXと日経平均株価

株式投資における指数とは、特定の市場や業界の複数の銘柄の値動きを数値化して表す指標です。さまざまな市場や業界ごとに指数が公表されており、市場動向の把握に役立ちます。
指数によって対象とする市場や業界、算出方法は異なります。そのため、各指数がどのような特徴を持っているのかを理解しておくことが大切です。
指数の推移を確認したい場合は、指数の名称をインターネットで検索すると最新状況がすぐにわかります。
また、投資信託には、指数に連動する成果を目指して運用される「インデックス型投資信託」商品があり、多くの投資家に利用されています。「インデックス」とは英語で指数のことです。
インデックス型投資信託は指数に連動した値動きをするので、指数を見れば大まかに価格の推移を把握することができます。
日本の代表的な指数はTOPIXと日経平均株価

日本国内の株価指数でとくに有名なものが「TOPIX」と「日経平均株価」です。
TOPIXは東京証券取引所の区分で最上位に位置する「プライム市場」に上場する全銘柄を対象としています。「東証株価指数」と呼ばれる場合もあります。
日経平均株価は、日本経済新聞社が算出する指数です。TOPIXと同じくプライム市場の銘柄を対象としていますが、日本経済新聞社独自の選定基準によって流動性が高い225銘柄だけを選定し、その平均株価を指数化しています。
どちらもプライム市場を対象としながら、銘柄の本数や計算方法に違いがあります。日経平均株価は採用銘柄すべての平均株価なので、株価の高い銘柄(値がさ株)の影響を受けやすい指数です。
プライム市場全体の約1620銘柄(2025年7月時点)を対象とするTOPIXは時価総額をベースに算出しており、時価総額が大きい銘柄の影響を受けやすい特徴があります。
ただし採用銘柄が多いぶん、国内株式市場全体の動きをより広く把握したいときは、日経平均株価よりTOPIXのほうが優先されます。
海外にもさまざまな株価指数がある

米国市場は日本よりも規模が大きく、アップルやアマゾンなどの世界的な企業が多く上場している点が特徴です。
米国の代表的な指数には「S&P500」「NYダウ」「NASDAQ」があります。ニュースや新聞で目にしたことがある方も多いでしょう。
S&P500はニューヨーク証券取引所とNASDAQ証券取引所に上場する企業から、500社を選出して計算する指数です。
米国の経済動向を把握するための重要な指標として、日々世界から大きな注目を浴びています。S&P500に連動するインデックス投資信託は、米国株商品のなかでとくに人気が高く、日本でも多くの投資家に支持されています。
NYダウも同じくニューヨーク証券取引所やNASDAQ証券取引所に上場する銘柄を対象としていますが、対象はわずか30銘柄だけとS&P500と比べて厳選されています。
銘柄数が少なく、また30銘柄の平均株価であるため、日経平均株価と同様に株価が高い銘柄の値動きに大きく影響を受けやすい指数です。
NASDAQ100は、NASDAQ証券取引所に上場する金融セクターを除いた上位100銘柄で構成される指数で、構成銘柄にテック系カンパニーを多く含む点が特徴です。S&P500やNYダウよりも値動きが激しい傾向になっています。
日米以外の諸外国にも英国の「FTSE100」、インドの「SENSEX」、ブラジルの「ボベスパ」といったように当該国の市場を代表する株価指数が存在しています。
また、全世界の株式市場の値動きを包括的に示す指数もあります。高い人気を誇る全世界株式インデックス型投資信託の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(オルカン)は全世界の株式市場を対象とする指数「MSCI All Country World Index(MSCI ACWI)」に連動する成果を目指して運用される商品です。
各指数は算出基準にも大きな違いがあります。S&P500とNASDAQ100を比較すると、S&P500の選定銘柄は「米国に本拠地を置く時価総額が205億ドル以上の企業で、4半期連続で黒字を維持している」など、厳格な基準が設けられています。
対するNASDAQ100は、金融業を除くNASDAQ上場企業の上位100社であれば米国企業でなくても対象となります。
なお、NASDAQ100は、研究開発が盛んな革新的企業の銘柄を多く含んでおり、大きな成長に期待が持てます。
投資をするうえで指数をどのように参考にすればいい?

株価指数は、値動きの推移がわかるようにチャートの形式で表されます。簡単にいえば、チャート内の指数の数値が上昇していれば好調、下降していれば不調となります。

例えば、このTOPIXのチャートでは「2025年4月ごろに、急落し、そのあとに再び元の水準まで復活しているので、4月ごろに一時的に株価が大幅下落するような大きな出来事があったようだ」と推測できます。
2008年にリーマンショックが米国で起きた際、その影響は米国内だけに留まらず、全世界の市場へと波及しました。
当時の指数をみれば、各市場や業界がどの程度の影響を受けたのかを確認できます。
ただし、株価指数の動きは世の中のさまざまな出来事の影響を複合的に受けているので、一時の急激な動きに焦って短絡的な判断をしないように注意しましょう。
歴史あるNYダウは、一時的な下落はありながらも100年以上の年月に渡って、右肩上がりで成長を続けています。
NYダウだけでなく、ほかの多くの国々の指数が長期的には右肩上がりで上昇しており、多くの金融専門家が長期積立投資を有効な投資手段と考える根拠となっています。

相場が大きく下落したときに、慌てて売却してしまうのは、投資経験が浅い方に多く見られる行動です。
逆に積立投資を長く続けている方には、暴落時に追加購入する傾向も見られます。
積立投資を始めたら暴落が起きても焦らずに、淡々と続けることが堅実に資産を築く鍵です。
商品選びで指数をどのように活用すればいい?

インデックス型投資信託は、指数に連動した値動きを目指して運用されます。そのため、気になる指数があれば、その指数に対応する商品を探してみるといいでしょう。
同じ指数を対象としていても、手数料に差がある商品もあります。指数が同一である以上、運用成果に大きな差は出ないので、最安値の商品を探すようにしましょう。
50代以上の方が投資信託を選ぶ際に注目していただきたいのは、「高配当」「増配」銘柄を対象とする指数です。
これらの商品は運用中に分配金をもらえるので、収入が減少する老後において嬉しい定期収入となるでしょう。
具体的には以下のような指数と商品があります。
- 日経平均高配当株50指数
「Tracers日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)」[信託報酬:0.10725%] - 日経連続増配株指数
「iFreeNEXT日経連続増配株指数(年4回決算型)」[信託報酬:年0.451%] - ダウジョーンズ配当100指数
「SBI・S・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)」[信託報酬:年0.1238%] - FTSEハイディビデンド・イールド指数
「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)」 [信託報酬:年0.1238%]
分配金を定期的に得られることで、食事や旅行などのレジャーにお金を使いやすくなるため、老後の生活を豊かに過ごす助けとなるでしょう。
また、株式相場の変動に備えて金(ゴールド)への投資を検討している方は、下記のような指数と商品が挙げられます。
- LBMA金価格指数
「GLD」「GLDM」「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)(サクっと純金(為替ヘッジなし))」
金市場へも投資信託を通じて投資が可能です。ご自身のポートフォリオ全体を見ながら投資を検討しましょう。
おわりに
指数は投資をする際に無視できない重要な指標です。指数によって国や対象とする業種などの条件が多種多様なので、どの市場や業界をどんな条件で表しているのかを理解し、知りたい情報にあわせて見る指数を変えましょう。
まずは身近な国内指数であるTOPIXや日経平均株価、世界的に注目度の高いS&P500などの指数の値動きを観察するところから始めてみましょう。
日々の値動きに一喜一憂する必要はありませんが、指数を見ることで、投資対象の市場の温度感や景気の概観をつかむことに役立つはずです。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。