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顔の毛穴を目立たなくするには?生活習慣とスキンケアの両面から解説

顔の毛穴を目立たなくするには?生活習慣とスキンケアの両面から解説
山屋 雅美

監修者

美容皮膚科医

山屋 雅美

美容皮膚科医。美容皮膚科タカミクリニック 副院長。
シミ、しわ、たるみなどのアンチエイジング治療だけでなく、ニキビなどの皮膚疾患まで精通し、肌質改善治療まで一貫して行っている。技術力の高さと親しみやすい人柄、わかりやすく丁寧な診察が評判で、遠方からクリニックに訪れる人も多数。

毛穴の開きや黒ずみは、年齢や性別を問わず多くの人が抱える肌悩みのひとつです。

どんなに丁寧にスキンケアをしていても、食生活の乱れや睡眠不足、ストレスなどの生活習慣が積み重なると、毛穴はさらに目立ちやすくなります。

逆にいえば、毎日の習慣を見直し、肌に合ったケアを続けることで、毛穴の印象は少しずつ変えていくことができるのです。

本記事では、毛穴が目立つ原因を整理し、生活習慣とスキンケアの両面から改善する方法を、専門家の視点も交えてわかりやすく解説します。

毛穴が目立ってしまう原因とは?

毛穴が目立ってしまう原因とは?

毛穴が目立つ原因は、皮脂の過剰分泌や加齢によるたるみだけでなく、生活習慣やスキンケアの方法にも深く関係しています。

まずは、毛穴の役割と構造を正しく理解し、どのような要因で目立ちやすくなるのかを知ることが、美肌づくりの第一歩です。

毛穴の役割と構造を知ろう

毛穴は、皮脂を分泌して肌を保護するという重要な役割を担っています。毛穴の奥には「皮脂腺」があり、ここから分泌された皮脂が肌表面を覆うことで、水分の蒸発を防ぎ、外的刺激から肌を守っています。

毛穴というのは本来、皮脂を分泌して肌のバリア機能を保つための器官なんです。
毛が生えている部分とそうでない部分がありますが、特に皮脂分泌が活発な部分では、毛穴の存在が目立ちやすくなります
つまり、毛穴は悪者ではなく、肌を守るために欠かせない構造。必要以上に“なくそう”とするのではなく、まずはその働きを正しく理解することが大切です。

毛穴が目立つ主な種類(開き・黒ずみ・たるみ)

一口に「毛穴が目立つ」と言っても、その状態にはいくつかのタイプがあります。

代表的なのは、皮脂の過剰分泌によって広がる「開き毛穴」、皮脂や角栓が酸化して黒く見える「黒ずみ毛穴」、そして加齢によるハリ低下で目立つ「たるみ毛穴」です。

開き毛穴は、皮脂の分泌が活発なときや肌のキメが乱れているときに起こりやすく、黒ずみ毛穴は角栓や皮脂が酸化して黒く見えてしまう状態。たるみ毛穴は、加齢でコラーゲンが減少し、肌の弾力が失われることで起こります。
たるみ毛穴は特に、表面よりも深い真皮層でのコラーゲン減少が原因となるため、スキンケアだけでは改善が難しいケースもあります

自分の毛穴タイプを見極め、それに合わせたケアを行うことが大切です。

年齢・生活習慣・スキンケア不足による影響

毛穴の開きや黒ずみ、たるみといったトラブルは、年齢や遺伝だけではなく、日々の生活習慣やスキンケアの方法とも密接に関係しています。

加齢による肌の弾力低下やターンオーバーの乱れ、不規則な生活による皮脂の過剰分泌は、毛穴を開かせたり黒ずませたりする大きな要因です。

また、スキンケアの摩擦が強すぎたり、保湿が不足していたり、逆に油分をつけすぎてしまうことも、毛穴の詰まりや開き、黒ずみを招くことがあります。

つまり、毛穴ケアの基本は「正しいスキンケア」「整った生活習慣」
たっぷりつければいい、強くこすればきれいになる、という誤解を手放し、肌に負担をかけない“続けられるケア”を意識することが大切です。

生活習慣で見直すべきポイント

生活習慣で見直すべきポイント

毛穴の状態は、スキンケアだけでなく日々の生活習慣にも大きく左右されます。食事・睡眠・運動など、基本的な習慣を整えることが、毛穴トラブルを防ぐ土台づくりにつながります。

食生活:糖質・脂質過多は皮脂分泌を増やす

スナック菓子や揚げ物、甘い飲み物などを日常的に摂っていると、皮脂の分泌が活発になり、毛穴の開きや詰まりを悪化させてしまうことがあります。

脂っぽいものや糖質の多い食べ物は、どうしても皮脂分泌を増やしてしまいます。食べたい場合は、成分表示をチェックして油分や糖質が少ないものを選ぶなど、工夫することが大切です。

また、揚げ物に使う油は酸化しやすいサラダ油よりも、オリーブオイルや米油などの酸化しにくい油を選ぶのがおすすめ

皮脂のバランスを保つためには、食材だけでなく“油の質”にも目を向けましょう。

睡眠不足やストレスが毛穴に与える悪影響

睡眠が不足すると、肌のターンオーバー(新陳代謝)が乱れ、毛穴の詰まりや開きが目立ちやすくなります。さらに、ストレスによってホルモンバランスが崩れると、皮脂の分泌量が増え、ニキビや黒ずみの原因にもなります。

肌が生まれ変わるためには、十分な睡眠が必要です。ストレスが溜まると皮脂が過剰に出て、毛穴の開きやニキビの原因にもなります。

毛穴ケアを考えるうえで、スキンケアだけでなく“心と身体を休める時間”を意識することも、美しい肌づくりに欠かせません。

運動不足と血行不良が招く肌トラブル

身体を動かす機会が少ないと、血流が滞りやすくなり、肌の代謝が低下します。血行が悪いと、毛穴の奥まで十分な栄養や酸素が届かず、肌がくすんだり、ターンオーバーが乱れて毛穴詰まりを引き起こす原因にもなります。

血流が悪くなると、どうしても身体の中で優先的に血液が臓器へ回り、肌への栄養や酸素が届きにくくなります

新陳代謝を上げて毛細血管までしっかり酸素を届けるためにも、軽い運動を習慣にすることが大切です。

ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で身体を動かすことが、毛穴の目立ちにくい健康的な肌づくりにつながります。

毛穴ケアに役立つ毎日のスキンケア方法

毛穴ケアに役立つ毎日のスキンケア方法

毛穴を整えるためには、正しいスキンケアを日々の習慣にすることが大切。クレンジングや洗顔、保湿、紫外線対策など、基本のケアを見直すことで毛穴の開きや詰まりを防ぎ、なめらかな肌を保つことができます。

クレンジング・洗顔はやさしく丁寧に

毛穴ケアの基本は「やさしく落とす」こと。汚れをしっかり落とそうと強くこすってしまうと、肌を傷つけるだけでなく、必要な皮脂まで取り除いてしまい、乾燥による皮脂の過剰分泌を招く原因になります。

クレンジングは摩擦をできるだけ避けることが大切です。

オイルやバームタイプのクレンジングは洗浄力が高い反面、肌の皮脂を取りすぎてしまうこともあります。ジェルタイプなど、肌への刺激が少ないものを選ぶとよいでしょう。

また、泡で包み込むように洗う“泡洗顔”も重要。

しっかり泡立てた洗顔料で、泡をクッションにしてなでるように洗うことで、毛穴の奥の汚れまでやさしく浮かせて落とすことができます。

オールインワンタイプなど、手軽なものもありますが、そればかり続けていると肌への影響が出やすくなります。

できるだけ“余分なものは落とし、必要なうるおいを補う”という基本を意識してほしいですね。

また、朝はクレンジングの必要はありません。洗顔料を使用して、寝ている間に分泌された皮脂や汗を落とす程度で十分。ゴシゴシ洗うのではなく、泡で軽く洗うくらいが理想的です。

やさしく丁寧な洗顔こそが、毛穴を守り、肌のバリア機能を保つ第一歩です。

紫外線対策は必須!

紫外線は、毛穴の目立ちに大きく関係しています。UVダメージによって肌のコラーゲンが分解されると、ハリや弾力が失われ、毛穴が縦に伸びたように見える「たるみ毛穴」を引き起こします。

紫外線を浴びると、肌内部のコラーゲンがダメージを受けてしまいます。

日焼け止めは夏だけでなく、年間を通して使用することが重要です。

外出時はもちろん、室内でも窓際で過ごす時間が長い場合にはUV対策を忘れずに。日傘や帽子などの物理的なガードとあわせて、日焼け止めを毎日使うことで、毛穴のたるみを防ぎ、肌全体の透明感を守ることができます。

定期的な角質ケアで詰まりを防ぐ

角質に特化したケアを取り入れる場合、摩擦を与えるスクラブのようなタイプよりも、やさしいピーリングジェルや酵素洗顔などを定期的に取り入れるのがおすすめです。

ただし、毎日のように行うと必要な角質まで取り除いてしまい、肌の乾燥やバリア機能の低下を招くことも。

刺激の少ないタイプなら日常のケアに取り入れても構いませんが、パワーのあるものは週に1〜2回程度を目安にしてください。

そして、角質ケアの後は、必ず保湿を。化粧水や乳液でしっかりうるおいを補うことで、毛穴の開きや詰まりを防ぎ、なめらかな肌をキープできます。

やりすぎず、肌のリズムに寄り添うことが、美しい毛穴レス肌への第一歩です。

専門家に相談するという選択肢

専門家に相談するという選択肢

自己流のケアで改善が難しい場合は、専門家に相談することも選択肢のひとつです。肌の状態に合わせた的確なアドバイスや治療を受けることで、より根本的な毛穴ケアにつながります。

自己流ケアでは限界を感じるとき

スキンケアや生活習慣を見直すことで、多くの毛穴トラブルはある程度改善が見込めます。しかし、「頑張ってもなかなか変化が見られない」「一時的に良くなっても、また元に戻ってしまう」という場合は、自己流ケアだけでは限界があるかもしれません。

間違ったケアを修正すれば、元の肌状態に近づけることはできますが、それ以上の改善を求める場合は、専門的な治療やケアが必要になることがあります。毛穴は、皮脂分泌や肌を保護するという本来の機能を持つため、完全になくすことはできません。

そのため、セルフケアと専門的なサポートをうまく組み合わせ、“整った毛穴”を維持することを目指すのが現実的です。

状態が長く続く、または原因が分からない場合は、早めに専門家へ相談するのが安心です。

市販コスメとクリニックのケアの違い

ドラッグストアなどで購入できる毛穴ケア用品やコスメは手軽で便利ですが、やはり限界もあります。

市販の製品は安全性を重視してつくられており、成分や濃度に制限があります。一方、クリニックでは機器を使った治療や、肌の状態に合わせた薬剤の調整など、より深いケアが可能です。

例えば、毛や皮脂が原因の毛穴目立ちにはレーザー治療、コラーゲンの減少によるたるみ毛穴には真皮層に働きかける施術など、状態に応じて最適なアプローチを選ぶことができます

ただし、治療を受けたあとも日々のスキンケアを続けなければ、再び毛穴が目立ってしまうことも。

クリニックでのケアは“リセット”ではなく、“整えた状態を維持するためのサポート”と考えることが大切です。ホームケアと専門ケアを両立することで、毛穴悩みはより安定していきます。

相談先を選ぶときのポイント

毛穴ケアを専門家に相談する際は、「どこで」「誰に」相談するかを見極めることがとても大切です。

皮膚科といっても、一般的な皮膚疾患(アトピーや湿疹など)を中心に診ている先生と、美容施術に詳しい先生とでは得意分野が異なります。

逆に、美容クリニックのなかにも皮膚の基礎をしっかり学んでいない先生がいて、毛穴のタイプを正しく見極めずに“とりあえず治療をしましょう”と勧められてしまうこともあります。

そのため、まずは複数のクリニックを比較検討することが大切。カウンセリングでしっかり肌を診てくれるか、説明が丁寧か、自分が納得して安心できるかを確認しながら、信頼できる医師や施設を選びましょう。

価格や広告の印象だけで決めずに、“自分の肌をきちんと見てくれる場所かどうか”を重視しいくつか回ってみることが、結果的には一番の近道になります。

焦らず、信頼できる相談先を見つけること。それが、毛穴悩みと上手に付き合う第一歩です。

まとめ:毛穴と上手に付き合うために

まとめ:毛穴と上手に付き合うために

毛穴は誰にでもあり、決して「なくす」ことはできません。
しかし、毎日の生活習慣やスキンケアを見直すことで、毛穴の状態は確実に変わっていきます。

毛穴は皮脂を分泌し、肌を守る大切な器官です。すぐに改善するものではありませんが、丁寧にケアを続けていけば、肌は必ず応えてくれます

食事・睡眠・運動といった基本的な生活リズムを整え、やさしい洗顔と適切な保湿を続けること。そして、必要に応じて専門家に相談し、自分の肌に合った方法を見つけることが、健やかな肌への近道です。

日々の小さな積み重ねが、毛穴の印象を変えていきます。「整える」意識を持って、無理なく自分らしいケアを続けていきましょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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