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10万円以内で「株主」に…1月に権利確定する「株主優待」5銘柄【金融市場のアノマリー“1月効果”に期待】

10万円以内で「株主」に…1月に権利確定する「株主優待」5銘柄【金融市場のアノマリー“1月効果”に期待】

投資の世界に伝わる「1月効果(January Effect)」というアノマリー(経験則)をご存じでしょうか。1月効果とは、1月の株式市場の収益率が他の月よりも高くなりやすい現象のことです。とはいえ、「ではどんな銘柄に投資すればいいのか」と迷う人も多いでしょう。そこでおすすめしたいのが、資産を増やしながら企業からの“贈り物”を受け取ることができる「株主優待銘柄」です。今回は個人投資家からの根強い人気を誇る株主優待銘柄のなかでも、「1月効果」の恩恵が特に期待できる小型株に絞って、10万円以下で購入可能な1月の株主優待銘柄を5つ紹介します。

“おもてなしの心”から生まれた?日本独自の制度「株主優待」

“おもてなしの心”から生まれた?日本独自の制度「株主優待」

株式投資の楽しみのひとつとして、多くの個人投資家に親しまれている「株主優待」。これは、企業が株主に対して、自社製品やサービス、あるいはクオカードなどの金券を贈呈する制度です。

この株主優待、実は「日本独自の制度」であることはあまり知られていません。海外では配当金による利益還元が主流であるのに対し、日本では株主への感謝の印、あるいは自社のファンになってもらうための“おもてなし”として、優待品を贈る文化が根づいているのです。

1月の株主優待を受け取るためには、「権利付き最終日」までに株式を購入し、保有しておく必要があります。2026年1月の権利確定日は1月30日(金)ですが、株式の受け渡しには数日かかるため、実際に株を買っておかなければならない期日(権利付き最終日)は2025年1月28日(水)です。

この日の大引け(取引終了時点)で株を保有していれば、翌日に株を売却しても優待を受け取る権利が得られます。

“おもてなしの心”から生まれた?日本独自の制度「株主優待」
[図表1]2026年1月の優待スケジュール
出典:筆者作成

優待投資のメリット・デメリット

優待投資のメリット・デメリット

優待投資は魅力的ですが、メリットだけでなくデメリットも存在します。株主優待をお得に利用するためには、その両面についてしっかり理解しておく必要があるでしょう。

最大のメリットは、投資で得られる配当金(インカムゲイン)や値上がり益(キャピタルゲイン)に加えて、生活に役立つ品やサービスが受け取れる「実益」がある点です。特に、普段利用している店舗やサービスの優待を受ければ、家計の節約に直結します。

金融市場に伝わる「1月効果」とは

また、1月は相場のアノマリー(※)として「1月効果」が知られています。これは、1月の株式市場の収益率が他の月よりも高くなりやすい現象のことで、特に小型株においてその傾向が顕著です。

(※)アノマリーとは……理論的な根拠はないものの、経験的に観測される「よく当たる相場の経験則」や「市場の規則性」のこと

年末に節税対策で売られた銘柄が1月に入って買い戻されることや、新年になって新規資金が市場に流入しやすいことなどが背景にあると考えられています。

今回紹介する10万円以下の銘柄の多くは小型株に分類されるため、この「1月効果」の恩恵を受けやすい可能性があります。

一方、権利付き最終日の翌日(権利落ち日)には、優待や配当の権利を得た安心感から株が売られ、株価が下がりやすい傾向があります。また、企業の業績悪化などにより、株主優待制度が突然「廃止」や「改悪」されるリスクもあります。

そのため、優待内容だけで判断せず、無理のない金額で分散投資を行うことがリスク管理の基本です。

10万円以内で投資可能なおすすめ5銘柄

10万円以内で投資可能なおすすめ5銘柄

ここからは、10万円以下の少額資金で投資ができ、かつ魅力的な優待を実施している1月権利確定の5銘柄をご紹介します(株価情報は執筆時点、2025年12月16日終値のデータに基づきます)。

1.TOKYO BASE〈3415〉…株価:461円(12月15日時点)

TOKYO BASE〈3415〉は、「STUDIOUS」や「UNITED TOKYO」など、日本発のファッションブランドをセレクト・発信する企業です。100株以上保有すると、グループ店舗やオンラインストアで使える2,000円相当の「買物割引券」が進呈されます。

以前は「10%割引」でしたが、2025年1月権利分より「円割引(2,000円相当)」に変更されました。これにより、例えば3,000円のTシャツを買う場合、以前なら300円引きでしたが、変更後は2,000円引きとなるため、少額の買い物をする株主にとっては実質的な改善(拡充)といえます。

約5万円という手頃な資金で投資でき、優待利回りだけでも約5%と非常に高いため、ファッション好きの人にはおすすめです。

1.TOKYO BASE〈3415〉…株価:461円(12月15日時点)
[図表2]TOKYO BASEの株主優待内容
出典:株式会社TOKYO BASE

2.ブラス〈2424〉…株価:677円(12月15日時点)

ブラス〈2424〉は、東海地方を中心に、完全貸切型のゲストハウスウェディングを展開する企業です。100株以上保有すると、AmazonギフトカードやPayPayマネーライトといったさまざまな電子マネー等と交換できる1,000円相当の「デジタルギフト」が進呈されます。

こちらも「継続保有期間半年以上」という条件がついている点に注意が必要です。1月に購入した場合、最短で優待がもらえるのは次回以降となりますが、1月と7月の年2回優待のチャンスがあるのが嬉しいポイントでしょう。

また、2026年1月と7月には上場10周年記念として、優待額が通常の2倍になる記念優待も予定されています。今のうちから仕込んでおき、記念優待を待つのもひとつの戦略です。

2.ブラス〈2424〉…株価:677円(12月15日時点)
[図表3]ブラスの株主優待内容
出典:株式会社ブラス
2.ブラス〈2424〉…株価:677円(12月15日時点)
[図表4]ブラスの上場10周年記念特別優待内容
出典:株式会社ブラス

3.コーセーアールイー〈3246〉…株価:755円(12月15日時点)

コーセーアールイー〈3246〉は、福岡を拠点にマンション分譲や不動産賃貸・管理を行う企業です。100株以上保有する場合、コンビニや書店など幅広く使える「QUOカード(500円相当)」が進呈されます。

使い勝手のいいQUOカードは大きな魅力ですが、「継続保有期間1年以上」という条件に注意が必要です。つまり、今回株を購入してもすぐに優待はもらえず、来年の1月まで持ち続けなければなりません。

しかし、これは裏を返せば「短期的な売りが出にくい」というメリットでもあります。予想配当利回りも3%台と高水準であるため、NISA口座などでじっくり長期保有して配当を受け取りながら、来年以降の優待を楽しみに待つ「育てていく銘柄」としておすすめです。

3.コーセーアールイー〈3246〉…株価:755円(12月15日時点)
[図表5]コーセーアールイーの株主優待内容
出典:コーセーアールイー

4.アクシージア〈4936〉…株価:400円(12月15日時点)

アクシージア〈4936〉は、中国市場を中心に成長している化粧品メーカーで、「目元用シートマスク」などが人気を博しています。200株以上を保有すると、自社公式オンラインショップで使える6,000円相当の優待買物割引券が進呈されます※2

単元株数は100株ですが、同社の優待を受け取るためには200株が必要である点に注意が必要です。ただし、株価が400円前後のため、200株買っても8万円台で収まります。8万円台の投資で6,000円相当の化粧品割引券がもらえるため、優待利回りは7%超と非常に高い水準です。

さらに、1年以上の長期保有で額面がアップする制度もあり、美容に関心の高い人にとっては満足度の高い銘柄といえます。

4.アクシージア〈4936〉…株価:400円(12月15日時点)
[図表6]アクシージアの株主優待内容
出典:株式会社アクシージア

5.タカショー〈7590〉…株価:414円(12月15日時点)

タカショー〈7590〉は、ガーデニング・エクステリア用品の大手メーカーです。100株以上保有すると、自社商品などを特別価格で購入できる「株主優待特別販売カタログ」が年2回もらえます。

同社には「プレミアム優待倶楽部」のポイント制度もありますが、そちらは500株以上が必要となるため、10万円以下の予算では「特別販売カタログ」が対象です。

ガーデニング用品が割引価格で購入できるため、春に向けて庭いじりを計画している人には実用的な優待でしょう。また、7月の権利確定ではオリジナルカレンダーも贈呈されます。少額で投資でき、趣味と実益を兼ねられる銘柄です。

5.タカショー〈7590〉…株価:414円(12月15日時点)
[図表7]タカショーの株主優待
出典:株式会社タカショー

リスクを抑えて、少額で「株主」に

リスクを抑えて、少額で「株主」に

今回は「1月効果」のアノマリーに期待しつつ、10万円以下で投資可能な1月の株主優待銘柄を5つ紹介しました。いきなり大きな資金を投じるよりも、まずは今回紹介したような「少額で投資可能な銘柄」の保有をおすすめします。

ただし、コーセーアールイーやブラスのように、優待獲得には「継続保有」が条件となる場合もあるため、事前によく確認するようにしましょう。

新しい年のスタートに、将来の自分へのプレゼントとして「株主優待」のある暮らしを始めてみてはいかがでしょうか。

山下 耕太郎(金融・投資ライター)

執筆者

金融・投資ライター

山下 耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社で営業・マーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。保有資格は証券外務員一種。

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