新年度が近づく3月は、株式市場にとっても特別なお祭りシーズンのようなものです。なぜなら、多くの日本企業が決算を迎え、株主優待の権利が確定する月だからです。
「投資には興味があるけれど、まとまった資金がない」「株主優待をもらってみたいけれど、どの銘柄を選べばいいかわからない」——そんな投資初心者の方に向けて、今回は10万円以下の少額資金で投資ができ、かつ生活に役立つ株主優待がもらえる銘柄を厳選して5社紹介します。
株主優待制度の基本と3月が狙い目な理由

株主優待とは、企業が株主に自社製品やサービス、金券などを贈り、日頃の応援に感謝を伝える日本独自の制度です。海外では配当金による還元が一般的ですが、日本ではこの「贈り物」のような仕組みが個人投資家から絶大な人気を集めています。
3月が狙い目な理由は、対象銘柄の多さにあります。日本企業の多くは3月末を決算期としており、食料品や外食券、日用品、カタログギフトなど優待のバリエーションも豊かで、自分好みの銘柄を見つけやすい時期です。
優待をもらうには「権利付き最終日」までに株を購入する必要があります。株式は購入から受け渡しまでに2営業日かかるためです。2026年3月の場合、権利付き最終日は3月27日(金)、権利落ち日は3月30日(月)、権利確定日は3月31日(火)です。
3月27日までに株を買い、翌週月曜まで持ち越すことが優待獲得の条件となります。
株主優待投資のメリット・デメリット
株主優待のメリットとしては、まず外食券や日用品がもらえることで生活費の節約に直結する点が挙げられます。配当金と優待の価値を合わせた「総合利回り」で考えると、配当単独よりお得になるケースも多くあります。さらに、配当金には約20%の税金がかかりますが、優待品の受け取り時にその場で課税されない点もメリットです。
一方、デメリットも認識しておきましょう。まず、権利付き最終日に向けて株価が上がり、権利落ち日に急落して優待の価値以上に損をするリスクがあります。また、業績悪化による優待の改悪・廃止の可能性や、「1年以上継続保有」などの条件を設ける企業が増えている点にも注意が必要です。
10万円以内で投資可能なおすすめ5銘柄

3月に権利確定する銘柄の中から、10万円以下の予算で購入可能な厳選5銘柄をご紹介します。通信大手から健康関連、隠れた実力派まで、初心者でも手に取りやすい銘柄をピックアップしました。
※各銘柄の株価は2026年2月中旬(2月16日時点)のデータを基にしています。実際の購入時は最新の株価をご確認ください。
NTT(日本電信電話)〈9432〉…株価:約154円
最低投資金額 約15,450円(100株)
優待内容はdポイント付与です。言わずと知れた国内通信のガリバー企業で、2023年の株式分割により、なんと1万円台から投資可能になりました。配当利回りは約3.4%と高水準※1 で、安定した収益基盤を持つディフェンシブ銘柄としても知られています。
ただし優待の受け取りには「2年以上保有」という条件がある点※2 には注意が必要です。2年以上3年未満保有で、500ポイントが付与されます。すぐに優待はもらえませんが、新NISAなどを活用して長期保有し、毎年の配当を受け取りながら将来のポイント付与を楽しみに待つ——そんな「じっくり投資」の入門株として最適な一銘柄です。
※1 株式会社NTTの配当情報(Yahoo!)
※2 株式会社NTT「株主優待」
ソフトバンク〈9434〉…株価約215円
最低投資金額 約21,500円(100株)
優待内容はPayPayポイント1,000円相当※1 で、1年以上の継続保有が条件です。NTTと並ぶ通信キャリア大手であり、2万円台という少額から投資できる手軽さが魅力です。
最大の注目点は、生活インフラとして定着した「PayPay」のポイントがもらえること。コンビニやスーパー、飲食店など日常のあらゆる場面で現金同様に使えるため、無駄なく家計の足しにできます。
さらに配当利回りは約4.0%と携帯3社の中でも最高水準を誇り、配当+優待を合わせた総合的な還元力は非常に強力です。通信料金という安定した収益源を持つ企業ですので、長期保有にも向いています。
※1 株式会社ソフトバンク「株主優待」
※2 株式会社ソフトバンクの配当情報(Yahoo!)
ヤマダホールディングス〈9831〉…株価約550円
最低投資金額 約55,000円(100株)

出典:ヤマダホールディングス
ヤマダホールディングスの優待内容は、店舗で使えるお買物優待券(割引券)です。家電量販店最大手のヤマダデンキを展開する企業で、3月末に100株以上保有していれば優待券が届きます※。ヤマダデンキは近年、家電だけでなく日用品や食料品、インテリアまで取り扱う総合生活店舗への転換を進めている最中です。
優待券を使って洗剤や飲み物、食品といった生活必需品を安く購入できるため、主婦層や節約志向の投資家から根強い人気を集めています。5万円台という手頃な資金で、毎日の家計防衛に直結する優待が手に入る点が最大の強みといえるでしょう。
※ヤマダホールディングス「株主優待」
RIZAPグループ〈2928〉…株価約223円
最低投資金額 約22,300円(100株)
優待内容はコンビニジム「chocoZAP(チョコザップ)」の利用料割引です。「結果にコミットする」でおなじみのRIZAPグループですが、近年は月額制コンビニジム「chocoZAP」が全国で急拡大し、話題を集めています。
3月末に100株保有していると、chocoZAPの利用料が6ヵ月間半額になります(2026年3月末実施分)。
月額約3,000円の半額×6ヵ月で約9,000円相当の価値※ があり、投資金額が2万円強であることを考えると、優待利回りだけで約40%(優待利回り=9,000円÷22,300円(223円×100株)×100=40.3%)という驚異的な水準に達します。
今年こそ運動習慣を始めたいと考えている方や、すでにchocoZAPを利用中の方には、投資と健康の一石二鳥を狙える非常に魅力的な銘柄です。
※RIZAPグループ「株主優待」
TBK〈7277〉…株価約390円
最低投資金額 約39,000円(100株)

優待内容はQUOカード500円分(100株以上500株未満)、山形県産お米「つや姫」(500株以上)で、1年以上の継続保有が条件※ です。トラックやバス向けのブレーキ・ポンプ部品を製造する独立系メーカーで、知名度は前述の4社に劣るかもしれませんが、堅実な優待銘柄として投資家の間で知られています。
QUOカードの最大の魅力は、有効期限がないことです。コンビニや書店、ドラッグストアなどで幅広く使え、財布に入れておけばいつでも活用できます。「企業の自社製品をもらっても使い道に困る」という方には、こうした金券系の優待がおすすめです。
※TBK「株主優待」
日常を豊かにする「優待」という選択肢

今回は、3月に権利確定する10万円以下の株主優待銘柄を紹介しました。長期保有でポイントが育つNTT、高配当とPayPayが嬉しいソフトバンク、日用品の節約に強いヤマダホールディングス、ジム代が劇的に安くなるRIZAP、使い勝手抜群のQUOカードやお米がもらえるTBK、いずれも数万円から投資を始められ、魅力的な特典が用意されています。
株主優待投資の第一歩は、自分が「欲しい!」「使いたい!」と思える優待を見つけることです。ただし「1年以上の継続保有」が条件の銘柄もあるため、冷静に条件を確認したうえで、余裕を持った投資計画を立てましょう。新NISA制度も活用しながら、今年はお得な「株主ライフ」をスタートさせてみてはいかがでしょうか。