「株式投資」と聞くと、どのようなイメージを思い浮かべますか?多くの人が、株式投資に対して「難しそう」「怖い」というイメージを持ちますが、きちんと知っていくと私たちにとても身近なものなのです。
そもそも「株式」というものがどういうもので、どんな仕組みなのか?という部分をあまりよく知らない、という方も多いのではないでしょうか。今回のコラムでは、そんな株式投資の基礎の基礎の部分を、初心者の方向けに解説していきたいと思います。
1.「株式」とは?
私たちの生活は、周りを見渡すと多くのサービスや商品に囲まれていますよね。そのサービスや商品をより良くするために、企業は日々努力をしています。ですが、新製品を研究・開発するための資金や、工場を作ったり従業員を雇ったりするために企業は多くの資金が必要になります。
こうした事業資金を調達するための方法の1つが、『株式の発行』です。資金の調達は銀行からの借り入れや社債の発行などもありますが、それらはいわゆる“借金”となり返済が必要です。一方で、株というのは人々が企業の成長や将来性に“期待”をして購入するものであるので、返済の義務はありません。
その代わりに、資金を出した人は「株主」となり、その会社の所有者の1人として、利益の一部を配当金という形で分配されたり、一定の権利がもらえたりします。また株式投資において、企業の業績が良好で株式を購入した時よりも価値が上がった際に、その株式を売却して利益を得ることも可能です。株式の発行は、企業にとっても出資者にとってもお互いにメリットのある仕組みなのです。
2.「株主」になるとできること
株主になるということは、会社の持ち主の1人になるということなので、会社に対してさまざまな権利を持つことになります。お金を通じてその会社を応援することができるだけでなく、出資した金額に応じて配当金や株主優待がもらえたり、会社の経営者に対して意見を言うこともできるのです。
2-1.株主の主な権利
■議決権
株主総会に参加して、企業に対して意見を言ったり、重要な決議への投票で賛成・反対の意思表示ができたりと会社の経営に参加する権利がもらえます。
■剰余金配当請求権
会社が事業活動によって利益を出した場合、利益の一部を「配当金」として受け取る権利がもらえます。企業の業績や経営方針などにより、必ずしも受け取れるとは限りませんが、これが貴重な収入の1つになります。
■残余財産分配請求権
企業が解散した時に残った財産の分配を受け取る権利がもらえます。ただし、企業の財産よりも借金の方が多く財産が残らない場合は、株主への分配はありません。
2-2.株主の責任
株主は出資した金額以上の責任を負わないとする「株主有限責任」という原則があります。
例えば、100万円を出資した会社が多額の負債で倒産した場合にその100万円は取り戻せませんが、出資した100万円以上の責任を負うことにはなりません。
3.株式投資のメリット
株式は運用する上で、次の利益を得られる可能性があります。
3-1.配当金
配当金とは、先ほどの「株主」になるとできることでも解説しましたが、株式を所有している期間中に、企業の事業活動によって出た利益の一部を株主に還元するもので、インカムゲインともいいます。一般的には年1,2回、決算後に「1株あたり〇〇円」という形で支払われますが、利益が出ていても配当のない企業があったり、額や回数は業績や方針によっても異なるため、必ずしも配当金があるとは限りません。
3-2.売買差益
株式は自由に売買できる金融商品になるため、自身が購入した時よりも株価が値上がりしたタイミングで売却すれば、差額の「売買差益」を得ることが可能です。売買差益のことを値上がり益、キャピタルゲインともいいます。例えば30万円で購入した株式を40万円で売却した場合、差額の10万円が売買差益(キャピタルゲイン)となります。(※手数料や税金を除きます。)株主は、株式を発行した会社から直接払い戻してもらうことができない代わりに、株式を買いたい人と売りたい人の間で売買が成立します。
3-3.株主優待
株主に対して、企業が自社の商品やサービスの割引券などを提供する「株主優待」があります。各企業でさまざまな種類があるので、優待内容で銘柄を選んでみるのも1つのやり方です。しかし、全ての企業が実施しているわけではなく、保有する株式数でも優待内容が変わったり、業績によっては株主優待を廃止することもあるので注意が必要です。
4.株式投資のデメリット
株式の運用にはメリットだけではなく、もちろんデメリットもあります。株式投資の主なデメリットについて解説します。
4-1.投資金額が比較的高い
100円から始められる積立投資や投資信託と比べて、株式投資は最低売買単位(単元)が決められています。原則として、最低売買単位は100株となっていますので、株式を購入するのに必要な最低投資金額は、株価(現在値)×1単元(100株)で計算することができます。
例えば、株価が1,500円の株式を購入するために必要な最低投資金額は、1,500円×100株=150,000円となり、ある程度まとまった資金が必要になります。
4-2.倒産する可能性もある
株式は企業が発行するものになるので、業績が悪化して売却する人が増えると、株価は下がり続け最悪の場合倒産してしまうというリスクもあります。企業が倒産すると株式の価値がなくなってしまう可能性があり、投資資金が戻ってこない場合もあります。
4-3.元本の保証はない
株価はさまざまな要因で変動します。株式を購入した時よりも安い株価で売却した場合は損失が発生し、最悪の場合、投資資金をすべて失う可能性もあります。株式投資は、預貯金などとは違い元本保証がないということを念頭に置きながら取引をしましょう。
5.株式投資を始める前に
株価の値動き次第で大きな利益を手に入れられる可能性のある株式投資ですが、取引を始める前には仕組みやメリット・デメリットをしっかりと理解しておきましょう。リスクを理解し自身でコントロールを行うことで堅実な運用ができるという事につながります。堅実な運用ができ、安定して利益を取り続けることができれば単なるギャンブルにはなりません。また、株式投資を始める際には、身近な企業のものから選ぶのがおすすめです。自身が好きな業種や得意な業種、興味のある業種など、自身の生活に身近な企業であれば親近感があるだけでなく、ユーザー視点での商品やサービスの良し悪しが分かり、情報も手に入りやすいでしょう。まずはニュースなど身近なところから情報を得る習慣を身に付けていくことで、徐々に銘柄を見る目を育てていくことができます。
おわりに
資産形成の1つの方法として、余剰資金の中から少額で株式投資をスタートしてみてはいかがでしょうか?
「投資はお金が減ってしまいそうだから怖い」と思うかもしれませんが、これからの時代、貯金だけしていてもお金は増えることはなくむしろ減っていく一方です。初めは小さな一歩でも、将来の資産額が大きく左右されるかもしれません。
まずは「知る」、そして「始めてみる」ことをおすすめします。今後の記事では実際にどのようにして株式投資で利益を得ることができるのか等についてもお届けしていきたいと思います。今回のコラムが、「株式投資は難しそう…」という“思い込み”に気づくきっかけになり、少しでも株式投資を身近に感じていただけたら幸いです。