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嫌な人間関係を変えるには?

嫌な人間関係を変えるには?
斉藤 恵一 セルフマネジメントプロデューサー

執筆者

セルフマネジメントプロデューサー/日本心理学協会 認定心理士

斉藤恵一

大学時代に歌舞伎町のホストの世界に飛び込むも半年間売り上げゼロ。そこから心理学を学びセルフブランディングに取り組み、約6年間売上げNO.1となる。現在は企業向けのコンサルティングやメンタリング、人材育成に取り組む一方、「ナカイの窓」や「ダウンタウンDX」等テレビ出演及び書籍やコラムの執筆等で活動中。

今、あなたにも嫌だなと思う方がいますか?僕も過去の職場に「できる限り近付きたくない」と思う方がいました。はっきりいってしまうと「嫌いな人」です。何をいっても否定的だったり、責任転嫁をする―。この方とは価値観が合わないため、一緒に働きたくないと思っていました。

しかし、仕事上どうしても関わり合いを持たなければならないことも多いでしょう。当時はその方と極力接触したくなかったので、コミュニケーションを最小限にし、一緒に行動することを避けていました。その結果その方との関係が改善しましたか?というと、溝は深まるばかりで、どんどん関係性は悪化していきました。

今思えば、もっと歩み寄る努力をすべきでしたし、自分の器もまだまだ小さかったなぁと感じています。だからこそ、あの時に人間関係を良くする方法を知っていれば、どれだけストレスも少なく心穏やかに仕事に集中できただろうかと後悔もしています。


嫌な相手のことばかり気にしながら日々を過ごしていると気分もどんどん沈んで行きます。ご自身の人生はご自身のものです。そんなご自身の人生が嫌いな人に振り回されていいはずはありません。そこから一歩でも抜け出して欲しいと思います。今回のコラムはそのためのポイントをいくつかまとめてお伝えしたいと思います。

めんどうくさい方とどう付き合うか

ただでさえ解決が難しい職場やプライベートでの人間関係トラブルですが、その中でも「こういう方はちょっと気を付けたほうが良い」という「めんどうくさい方」がいます。

例えばどんなタイプの方かというと、

  • 悪口、陰口、不満、愚痴ばかりをいう方
  • すぐにマウントを取ってくる方(自分の優位性を相手や周囲に示す方)
  • ハラスメントをしてくる方
  • 無茶振りをしてくる方
  • 責任を押し付けてくる方

などです。このような方たちが職場にいると、周囲が嫌な思いをするだけでなく、業績も良くないはずです。

私たちは、めんどうくさい方たちに対して「変わってほしい」「その悪いところを直して欲しい」と思いがちですが、「過去と相手は変わらない」という言葉があるように、相手に「変わって」と直接伝えたとしても、相手が変わることはまずありません。時間とエネルギーの無駄になるばかりではなく、最悪の場合、関係が余計にこじれ、さらにあなたが傷つく結果になることもあるわけです。

それでは、どうすれば良いのでしょうか。「相手を変えられないのなら、やっぱり自分が変わるしかないのか?」確かに自分が変わることは大切ですが、その前に重要なのは、相手がどういう方なのかしっかり知っておくことです。

人間は未知のものに対して恐怖心を抱きやすいものです。めんどうくさい方たちは、ただでさえ要注意人物なのに、その方のことが分かっていないと恐怖を感じて頭が真っ白になり、どうして良いか分からず、結果的にうまく対処できません。しかし、過去に同じようなタイプのめんどうくさい方と関わったことがあれば、「またこのタイプか」と精神的な余裕ができるように、相手のことが分かっているだけでもご自身の対処の仕方が変わってきます。

どこが嫌いなのかを分析してみる

相手との付き合いをもっと楽にしていくためには、まずは嫌いな相手のことや、自分との関係を「客観的」に捉えることです。多くの方が、「嫌いな相手の成すことすべてが嫌だ」「存在そのものが嫌いだ」と全否定しがちですが、嫌いになるきっかけは実は相手の「言動」などのほんの一部だったりします。

例えば車が故障して動かなくなったとしましょう。その原因は車そのものではなく、どこか小さな一部が故障しているだけなのに、車全体に影響してしまうこともあります。これと同様に、嫌いな相手との関係も、どこか一部が故障してしまい、それが関係全体に影響してしまっている、と考えることができます。これを修復していくためには故障している箇所や原因を見付けることが先決です。

「あなたはどうしてその人が嫌いなのか?」早速、分析してみてください。

例えば相手の嫌いなところ、理由を以下の3種類に分類してみてください。

  1. 外見(服装、印象、表情など)
  2. 言動(立ち居振る舞い、自分への接し方、相手からいわれたことなど)
  3. 考え方や価値観(仕事のスタンス、方向性、良し悪しの判断基準など)

分類してみると見えてくると思いますが、元は相手の「自慢話ばかりする」言動が嫌で、それが転じて「あの人は高慢な人だ」と相手そのものを嫌いになっていませんか?元は相手の「仲間を大切にしない」スタンスが嫌で「あの人は冷たい人だ、仲間じゃない」と相手そのものを嫌いになっていることがありませんか?このように、嫌いなのは相手の一部なのに、だんだんとその方のやることなすことが嫌に思えてきてしまうわけです。

相手の良いところ分析してみる

3.相手の良いところ分析してみる

次は逆に相手の良いところを探すように意識を向けてみましょう。相手に対して、例えば「高慢なところが嫌い」や「仲間を大切にしない」という意識を持っていると、私たちはどうしてもそのことばかりが目につくようになります。これは人間の脳の機能が関係していて、特定のことを意識していると、無意識にその特定のことにフォーカスして情報を集めてしまうのです。

例えばこんな経験ありませんか?「ポルシェが欲しいな」と思っていると、街中でポルシェを見かければ目で追ってしまったり、ポルシェの情報がやたらと耳に入ってきたり。子どもが生まれると、赤ちゃんを連れたママばかりが妙に目に入ってしまったり。

こういった現象のことを心理学では「カラーバス効果」といいます。人の脳は特定のことを意識すると、その物事や関連した情報を積極的に認識する機能があります。自分がより強く意識していることを積極的に探してくれているだけなのですが、それが、自分にとって好きか嫌いかまでは判別できません。だからこそ、嫌いな人のことを避けようとか、嫌いな部分にフォーカスするほど、本当は遠ざけたいことを、引き寄せてしまうのです。

そうと分かれば、わざわざ自分で嫌な気分を増幅させてしまうのではなく、脳の機能をもっとプラスに使って、相手との関係や相手への捉え方を良いものに変えると良いのではないでしょうか。ぜひ「相手の良いところを見つけてみよう」と、ご自身に指示を出してあげてください。

接点を持たない、増やさない

嫌いな相手の前では、嫌な緊張感やストレスを感じるかもしれません。そこで無理に「何とか好きになろう」というように嫌いな感情を解消しようとするよりも、割り切った付き合い方に徹することもひとつの方法です。

どうしてもコミュニケーションを取らなければならない時以外は、その嫌いな方とあえて関わらなくても良いのかもしれません。コミュニケーションには相手との信頼を築く方法もあれば、その逆もあります。敢えて嫌われる必要はありませんが、接する機会を最小限にする方法をいくつかご紹介します。

会話を引き延ばさない

会話を必要以上に延ばさないためには、相手の話を促さないことです。相づちを打ったり、頷くことをしない。相手の話に共感を示さない(「わかる」「そうですよね」などの言葉を使わない)。上記の方法は相手が話を続けづらくなる状況を作ります。相手の話に全く無反応というのは当然ながら失礼にあたりますので、相手との関係性を充分踏まえたコミュニケーションを取ってみてください。

共通点・共通の話題を持たない

できる限り、共通の話題に触れない、持ち出さないことも重要です。「共通点」が多ければ多いほど、相手との親近感が増加します。ですから適度に距離を保ちたい場合には、共通点を極力持たないようにすることです。そうすれば相手との接点が増えることもありません。

自己開示をしない

自己開示をし合うことで、人と人は信頼関係を深めることができます。例えばプライベートの悩みを打ち明ける相手は、ご自身にとって信頼のおける方でしょう。一方気を許していない方にプライベートな部分へ踏み込まれると不快に感じることもあります。個人的な話や踏み込んだ話はせず、そして相手にも尋ねないことで、ご自身にとって適度な距離感を保つことができます。

精神的な距離をおく

先ほど、めんどうくさい方とは距離をとるのが最も効果的とお伝えしましたが、相手を客観的に見ることで、精神的な距離をおくことも非常に重要です。そして、相手の言動に反応しすぎないことです。

少しハードルが高いと感じられるかもしれませんが、まずは無茶振りをされたり、責任を押し付けられても、できるだけ動じないように努めましょう。動揺していていることが相手に伝わってしまうと、めんどうくさい方の思うつぼです。話せば話すほど、揚げ足をとられ、ご自身を利用させるヒントを与えてしまい、結果として相手に有利な状況に持ち込まれてしまいます。

また、普段からニコニコしすぎないことも効果的です。例えば、ご自身の周りで「あの人、顔は笑っているようでも目が笑っていないな」と感じる方と出会ったことはありませんか?めんどうくさい方と言葉を交わす時は、そのイメージを思い出して接してみてください。ニコニコして楽しそうに話したりすると、めんどうくさい方たちに「この人は利用できるのでは」と思われてしまいます。

兎にも角にも一番大切なのはご自身が傷つかないようにすることです。ご自身をしっかり防衛できるよう、まずはできることから少しずつ練習していくと良いでしょう。

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