住宅ローンやマイカーローン、事業資金などの銀行融資。自己資金がない場合にはありがたい存在ですが、融資には返済が付きものです。万一返済が遅れると、今後の利用に影響してしまうこともあります。
この記事では融資の返済が遅れた場合にどうなるのか、どのような対処法があるのかについて解説しています。融資を受けている方や返済に不安がある方は、知識として知っておくと良い内容です。
銀行からの融資にはどのような種類がある?
銀行からの融資には、資金の使用目的がきまっているものから自由に利用できるカードローンまでさまざまな種類があります。ここでは代表的な例をいくつか紹介します。
住宅ローン
住宅の購入や改築、土地の購入などの費用は高額になるものです。自己資金だけでは不足する場合、公的な融資もありますが銀行の住宅ローンを利用することも可能です。住宅ローンで借りた資金の使用は、住宅の購入や建築、改築などに限られ、住宅ローンを利用して購入した物件には抵当権が設定されます。
住宅ローンの特徴は、借入金額が大きく返済期間が長いこと、借り入れ時に諸経費が必要になることなどです。一般的には借り入れの回数は1回で、返済期間は最長35年まで設定可能です。借り入れできる金額は、借り入れする方の収入や担保となる住宅の価格などによって決まります。
住宅ローンを比較する際は、金利・保証料・保障の3つのポイントを押さえるとよいでしょう。金利は変動金利と固定金利の2種類がありますが、その時の状況に応じて慎重に選ぶ必要があります。なぜなら住宅ローンは借入金額が高くて返済期間が長く、金利が0.1%上がるだけでも返済金額に大きな影響があるからです。
住宅ローンを組む場合、借入時に保証料が必要になります。この保証料は、住宅ローンが返済できなくなった場合に代わりに返済してくれる保証会社に支払うものです。ただし、保証料を支払っているからといって、住宅ローンの返済が滞って保証会社が金融機関に返済したとしても、ローン利用者の返済義務はなくなりません。返済先が住宅ローンを組んだ銀行から保証会社へ移っただけなので、勘違いしないように注意が必要です。
その他、万一返済に支障が出るような病気に罹った場合や死亡した場合の保障についても、団体信用生命保険などの保障内容を調べて比較するとよいでしょう。
マイカーローン
マイカーローンは、その名のとおり自家用車や自動二輪車などの購入目的で借り入れできるローンです。借り入れ可能回数は1回のみで、融資期間は1〜10年と短く設定されています。借り入れ可能な金額は、利用者の収入によって決まります。
変動金利と固定金利がありますが、マイカーローンは返済期間が短いため、金利の低い変動金利を選ぶのが一般的です。返済方法は元利均等返済または元金均等返済で、ボーナス払いの設定も可能。銀行によっては繰上げ返済ができます。
銀行カードローン
銀行カードローンは、住宅ローンやマイカーローンなどと違い使用目的を問わない融資です。一般的な借り入れ金額上限は、年収の3分の1以上の貸し付けを制限する総量規制と同水準としています。
銀行カードローンは何かを購入するためのものではないので、限度額内で何度も借りたり返済したりを繰り返すことが可能。融資期間も返済状況やその他審査に問題がなければ、取引可能年齢までローン契約が更新されます。
資金の使途が制限されていないため利用の自由度が高く、ATMやネットバンキングなどで返済や借り入れができるので比較的気軽に使っている方も多いようです。しかし、住宅ローンやマイカーローンに比べて金利が高く設定されています。
個人で融資を受けられるその他のローン
その他、個人で融資を受けられるローンには、教育資金のための教育ローンや結婚式や新婚旅行の費用のためのブライダルローンがあります。また、住宅ローンに似ていますが家のリフォームにはリフォームローンの利用もできます。住宅ローンとの大きな違いは、担保不要であることです。
資金の使途が決まっていても、住宅や自動車などの目的別ローンに当てはまらないケースは、フリーローンを組むこともできます。フリーローンは銀行カードローンと違い、限度額の範囲で何度も借り入れをすることはできません。しかし、銀行カードローンに比べて金利が低く設定されているので、目的があり見積書など必要書類の提出ができる場合は検討してみるとよいでしょう。
事業資金融資(ビジネスローン)
事業資金の融資を受けたい場合、さまざまな方法があります。日本政策金融公庫が行っている貸し付けは、低金利で担保や保証人なしで融資を受けることが可能です。しかし、申し込みから審査を経て融資が実行されるまでに約1ヵ月かかるのがデメリット。
その点、銀行のビジネスローンであれば、金利は高くなりますが最短数日で融資が受けられることがあります。こちらも担保や保証人が不要で利用できるので、急いでいる場合は銀行のビジネスローンを検討するとよいでしょう。
いずれにしても、事業資金としての借り入れには返済能力の審査に通ることが必要。申し込みの際は、確定申告書や事業計画書の提出を求められます。そのため、これから起業をする実績がない方は、銀行からの融資を受けるのは難しいかもしれません。これから起業をする方や創業間もない方は、公的融資が向いていると言えるでしょう。
ビジネスローンは銀行以外でも利用が可能ですが、無担保での借り入れが可能な商品が多く、借り入れ金額の上限が低く設定されています。高額の事業資金が必要な場合は、不動産を担保に事業者向けのローンを利用することもできます。例えば、セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローン。メリットのひとつは、銀行系のビジネスローンとは異なる審査基準です。赤字決算や債務超過、銀行系のローンの返済を繰り延べしているなど、銀行系の審査では通りにくい条件でも融資が受けられることがあります。
不動産担保力を重視した審査基準により、他で不動産担保のローンを利用している場合でも借り入れ可能なケースも。銀行のビジネスローンでは難しい2番抵当の担保不動産の場合も取扱いしているので、該当する場合は相談してみてはいかがでしょうか。
銀行融資の返済が遅れるとどうなる?
銀行から融資を受けると、当然のことながら返済をしなければなりません。万一返済が遅れた場合は、どのようなことが想定されるのでしょうか。
督促がくる
期日に返済をしていない場合や、返済金の引落しができなかったときは、まずメールやショートメッセージによる確認の連絡があります。その時点で速やかに対応して返済を行えば、何度も厳しく督促を受けることはないでしょう。
しかし、最初のメールやショートメッセージの連絡を無視して対応しなかった場合、ローンの返済の督促を受けることとなります。督促の手段は、電話連絡や書面による督促状など。勤務先に連絡が入ることもありますが、個人名での連絡にするなど第三者にはローンの督促であることが分からないよう配慮されます。
遅延損害金が発生する
期日までに返済ができなかった場合、規定により遅延損害金が発生します。遅延損害金とは、本来の返済期日の翌日から発生する延滞利息のことです。返済期日の翌日から実際に返済された日までの日数分の遅延損害金を、返済金に上乗せして支払う必要があります。
例えば、返済する金額が50,000円で遅延損害金の年率が14.0%の場合、5日返済が遅れた場合の遅延損害金は、50,000×0.14×5÷365で約95円となります。
返済が遅れれば遅れるほど遅延損害金が増え続けるので、万一返済が遅れた場合でも速やかに返済するようにしましょう。
一括返済を求められることに…
督促がきてもそのまま返済が滞ってしまうと、銀行などは保証会社を設定していることが多く代位弁済という方法を取られることがあります。代位弁済は、保証会社などの第三者が代わりに返済を行います。この場合、自身の返済がゼロになるわけではなく、その後は肩代わりとなる第三者に対し返済が必要です。このようなケースでは、第三者から肩代わりした金額の返済を一括で要求されることがあります。
また、返済が滞ると期限の利益を喪失することとなり、借り入れ金残高の一括返済を求められる可能性があります。期限の利益とは、約束の返済期日までに返済すればよいという権利のこと。期限の利益があることで、受けていた融資が200万円とすると、突然「200万円すぐに一括返済してください」と言われることはないはずです。つまり、本来は返済期日に遅れたとしても、支払期日を定めて返済することで一括返済は免れている状態です。 しかし、返済能力が無いとみなされると期限の利益喪失の通知が届き、借り入れ金残高と遅延損害金を一括で返済するよう求められる可能性も考えられます。
担保物件が競売にかけられることも
返済が滞り銀行からの連絡にも応じない場合は、期限の利益の喪失という状態になります。そのような状況になると、担保物件が競売にかけられることも。代位弁済した保証会社に対しても、何も連絡を行わず返済が滞っていると競売になることがあります。
競売とは債権者が裁判所に申し立てを行い、強制的に担保物件を売却することです。競売にかけられると、一般的に本来の価値の6〜7割程度で売却されます。代位弁済された後、保証会社に返済の相談をすると担保物件の任意売却をすすめられることが多いですが、その場合は競売と違って本来の相場での売却が可能です。
銀行融資の返済が遅れたときのデメリット
返済が遅れてしまうと、どのようなデメリットが発生するのでしょうか。そのときに受けている融資だけでなく、その後のローンなどにも影響があるようです。詳しく見ていきましょう。
信用情報に傷がつく
クレジットやローンの申し込み契約の情報は「信用情報」と呼ばれ、銀行融資の申込をすると審査の際に内容がチェックされます。滞納があると事故情報として登録されて信用情報に傷がつき、その後のクレジットなどの利用にも影響します。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)に加盟している金融機関から登録された、クレジットの利用情報や車のローン情報は、基本的に延滞解消後5年間保存されています。他の金融機関で融資を受ける際にも過去の滞納履歴を確認することができるため、審査に影響する可能性があります。
信用情報機関は、借り入れた金融機関によって登録される先が異なり、下記の3つが挙げられます。また各信用情報機関に登録された信用情報の一部はCRINというシステムによって共有されます。
・CIC :主にクレジットカード会社が加盟
・JICC :主に消費者金融会社が加盟
・KSC :銀行や信用金庫、信用保証協会などが加盟
追加融資を受けられなくなる
銀行のカードローンは、限度額内であれば何度も借りることができますが、返済が遅れた場合は利用が停止されます。停止のタイミングは銀行によりますが、早い場合は支払期日の翌日に停止になることもあるようです。
一度停止されてしまうと、遅延損害金も含めて返済するまではカードローンの利用はできません。基本的には、返済をすれば利用が再開されます。返済を銀行側が確認し、カードローンの利用が再開されるまで、数日かかる場合もあります。
新規のクレジットカードやローン審査に通りにくくなる
返済が遅れた事実は、信用情報に事故情報として登録されています。クレジットカードやローンを新規で申し込みした場合、事故情報がある方は審査に通りにくくなるので注意が必要です。また、カードやローンの他、マンションの入居の申し込みでも信用情報が見られることがあるので、審査に通りにくいケースがあります。
事業資金の場合は口座凍結のリスクもある
事業資金の返済が遅れた場合、口座を凍結されてしまうことがあります。口座が凍結されると、その口座への入金はできますが、出金はできません。返済が遅れてどれくらいの期間で口座凍結されるのかは、金融機関の判断によります。
返済が遅れているのに銀行に連絡を入れていない、銀行からの連絡に応じない、何度も返済が滞っているなど、債権回収ができないリスクがありそうな場合には即座に凍結されることもあるようです。
銀行融資の返済が遅れそうなときの対処法
銀行融資の返済は遅れないに越したことはありませんが、万一遅れそうになったとき何か対処法はあるのでしょうか。
まず大切なことは、遅れそうなことが分かっている場合は速やかに銀行に連絡を入れること。そして「うっかり忘れていた」という場合は、銀行からの連絡を受けたら速やかに返済の手続きを取ることです。銀行からの連絡を放置すると遅延損害金がどんどん増え続けるとともに、一括返済を求められることになります。銀行からの連絡は、放置しないようにしましょう。
その他にも対処法がありますので、万が一のために確認しておきましょう。
借入金を管理して支出の見直しをする
まずはお金に関して、自分自身で管理できるようにしましょう。目的別ローンの場合は借り入れ金額や返済計画が明確ですが、銀行カードローンの場合は限度額内で借り入れと返済を繰り返すことが多く、実際に今どれくらい借りているのか分からないケースも多いようです。
日頃から必要以上に借り入れをしないことを心がけるとともに、完済時期を決めて返済計画を立てると良いでしょう。また、生活費などの支出の見直しを行い、返済が遅れないようにすることも大切です。
銀行へ相談する
どうしても返済が遅れそうなときには、銀行へ早目に連絡を入れましょう。返済できない事情を説明し、リスケジュール(返済計画の見直し)ができないか相談してみます。返済期日の延長や返済額を一時的になくしたり減額したり借入条件変更することをリスケ(リスケジュール)と呼びますが、銀行側にリスケを承認してもらえば一括返済や競売など最悪の事態は避けられます。
また、何らかの事情で一時的に支払いが困難な場合は、利息分だけ支払うなどの方法が取れることもあります。いずれは元金の返済も必要となりますが、時期や金額などの返済計画を含めて一度相談してみるのもおすすめです。
おわりに
今回の記事では、銀行融資の概要や返済が遅れた場合について詳しく解説しました。ATMやインターネットで気軽に借りられる時代になったとは言え、あくまでも借金であることや返済に遅れると大変なことになるということは忘れてはいけません。返済が遅れそうな場合は早目に連絡を入れ、遅れてしまった場合には速やかに返済を行うことが大切です。
しかし、全てを自己資金で賄うのは難しいこともあります。特に高額になる事業資金は、資金を貯めてから創業しようとするとビジネスチャンスを失いかねません。そのようなときには、セゾンファンデックスの不動産担保ローンなどを便利に利用してみるのもひとつの方法でしょう。