安価で健康的な食材として注目を集めているのが、オーツ麦から作られる「オートミール」です。食物繊維が豊富で、癖が少なく食べやすいオートミールは、ダイエット中の方にも適しています。しかしオートミール自体の味や風味は少ないため、おいしく食べ続けるにはアレンジレシピを活用するのがおすすめです。
このコラムでは、オートミールの健康効果と基本的な食べ方、おいしくオートミール習慣を続けるためのアレンジレシピについてご紹介します。
オートミールとは?素材の特徴と歴史
オートミールという言葉は知っていても、具体的にどんな食材なのかよくわからない方も多いでしょう。まずはオートミールの原料や素材としての特徴について詳しく解説します。
オーツ麦を加工したもの
オートミールは英語で”Oats Meal”と表記する食材で、Oatsは「オーツ麦」、Mealは「食事」という意味の言葉になります。オーツ麦は日本では「燕麦(えんばく)」と呼ばれ、これまではあまり一般的な食材ではありませんでした。しかし欧米では、朝食のメニューとして古くから親しまれており、その栄養素の高さが判明してからは大きな注目を集めるようになっています。
海外では長い歴史を持つ健康食材
オーツ麦は、およそ5,000年前から欧州で栽培されてきた穀物であり、当初は家畜のエサとして使われてきた歴史があります。しかし19世紀に入り、現在のようなフレーク状に加工する技術が開発され、欧米を中心に朝食に食べられるようになりました。日本にも明治時代にはオートミールが伝来しており、小麦や大麦などと同様に長い歴史を持つ穀物であるといえます。
オートミールの種類
市販されているオートミールには、加工方法によっていくつかの種類が存在します。それぞれの種類の特徴と調理方法について、下記でご紹介しましょう。
オートミールの種類 | 加工方法 | 調理方法 |
スティールカットオーツ | 脱穀したオーツ麦を小さく砕いたもの | 充分に加熱し、煮込んで食べる |
ロールドオーツ | 蒸したオーツ麦を伸ばして乾燥させたもの | 5分ほど加熱調理して柔らかくしてから食べる |
クイックオーツ | ロールドオーツを細かく砕いたもの | そのままでも食べられる他、軽く火を通してもOK |
インスタントオーツ | ロールドオーツを加熱して味付けしたもの | そのままでも食べられる他、牛乳をかけてもOK |
日本で一般的にオートミールとして売られているのは、短時間の加熱が必要な「ロールドオーツ」です。ヨーグルトや牛乳をかけて食べることもできますが、やや硬い食感が残るため、おかゆ・リゾットのように加熱して食べるのがおすすめです。
その他にも、プロテインバーやグラノーラ、シリアルに含まれる素材としてオートミールが使われていることもあります。
オートミールに含まれる栄養素と健康効果
オートミールは、その高い栄養価でダイエット食材・健康食材として注目を集めています。ここではオートミールに含まれる栄養素と、期待できる健康効果についてご紹介しましょう。
オートミールの糖質・カロリー
オートミールに含まれるカロリーは、100g当たり350kcalとなっています。たんぱく質は13.7g、炭水化物は69.1g、食物繊維が9.4g含まれています。炭水化物から食物繊維を差し引いたものが糖質と考えると、糖質は約59.7g含まれることとなります。
参照元:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
白米や玄米、食パンなどと比べると、鉄分・カリウム・マグネシウム・カルシウムといったミネラルが豊富に含まれており、不足しがちな栄養素を効率的に補給できる食材です。
白米の約20倍の食物繊維、玄米の2倍以上のたんぱく質
オートミールの特徴として、白米の約20倍の食物繊維を含んでいる点が挙げられます。水溶性・不溶性のどちらの食物繊維もバランス良く含まれていることから、便秘解消にも役立つ食材です。近年注目されている「腸活」にも効果的な食材のため、腸内環境を整えたい方にも向いています。下記の記事では、オートミールの効果を実際に検証しているため、併せてチェックしてみてください。
関連記事:【腸活チャレンジ】新米の管理栄養士が尿検査で「腸内環境」を調べてみた!
また、オートミールに含まれるたんぱく質は、玄米の約2倍に相当します。たんぱく質は筋肉を作る原料となり、不足すれば基礎代謝が下がる原因となります。美しい肌や髪を保つためにも欠かせない栄養素のため、豊富に摂取できるのは嬉しいポイントです。
オートミールの1日の目安量と食べ過ぎのリスク
オートミールの1食あたりの目安量は、約30gとなっています。これは乾燥させたオートミールでの重量のため、お湯で戻したり調理に使ったりすることで、ボリュームが大きく増加します。そのため初めてオートミールを食べた方の中には、「意外とすぐにお腹が膨れる」という声もあります。オートミールは食物繊維も豊富なため腹持ちが良い食材ですが、物足りないと感じる場合は50g程度まで増やしても良いでしょう。
オートミールは栄養価が豊富な健康食材ですが、食べ過ぎるとすぐに満腹感を抱いてしまい、他の食べ物が入らなくなる可能性があります。その結果、栄養バランスが偏ってしまい、体調不良を引き起こすことが考えられます。特に少食な方の場合には、最初はオートミールの量を少なめにして調節すると良いでしょう。
オートミールの基本的な食べ方
オートミールは基本的に生で食べることは少なく、加熱してふやかしたり、シリアル感覚でヨーグルト・牛乳と一緒に食べたりすることが一般的です。ここではオートミールの基本的な食べ方として、次の3つをご紹介しましょう。
- 加熱しておかゆとして食べる
- ヨーグルトや牛乳と一緒に食べる
- オーバーナイトオーツにして食べる
一つひとつ詳しく解説していきます。
加熱しておかゆとして食べる
オートミールの量に対して約5倍の水を加えて加熱し、鶏ガラスープの素やコンソメなどで味付けすると、おかゆのような感覚で楽しむことができます。鍋で加熱しても良いですが、材料を入れて電子レンジで3分加熱するだけでも、手軽にオートミールのおかゆが楽しめます。好みに応じて、ネギや温泉たまごなどを加えても良いでしょう。
ヨーグルトや牛乳と一緒に食べる
ヨーグルトや牛乳に混ぜてふやかし、シリアル感覚でオートミールを楽しむこともできます。素材そのままのオートミールを使う場合には、甘みや塩気が足りないと感じる可能性があるので、フルーツやはちみつ、食塩を加えるとバランスの取れた味になるでしょう。
オーバーナイトオーツにして食べる
ヨーグルトや牛乳に浸しただけでは硬いと感じる場合には、「オーバーナイトオーツ」を試してみると良いでしょう。オーバーナイトオーツは、オートミールを牛乳に浸し、冷蔵庫で一晩寝かせてから食べる調理方法です。オートミールがほどよい硬さになって食べやすくなるため、オートミールの生の食感が苦手な方におすすめです。
オートミール生活をおいしく続けるためのアレンジレシピ
最後に、オートミールをおいしく続けるためのアレンジレシピについてもご紹介しましょう。ここで取り上げるのは、以下の5つのレシピです。
- オートミールチャーハン
- オートミールグラタン
- オートミールお好み焼き
- オートミールクッキー
- オートミール入りグラノーラ
オートミールはお米の代わりにも使える他、オーツ麦が原料なので小麦粉の代わりとしても相性が良い素材です。ご自身でもさまざまなアレンジレシピを試してみて、おいしく続けられる調理方法を探してみてください。
オートミールチャーハン
オートミール60gに対して120mlの水を加え、電子レンジで1分30秒ほど温めてから、お米でチャーハンを作る時と同じようにフライパンで炒めます。レンジで温める際に、水に鶏ガラスープの素を溶かしておくと、味が染み込んでおいしい一品に仕上がります。市販のチャーハンの素を利用してもおいしく作れるので、気軽に試してみてください。
オートミールグラタン
オートミールを使ったグラタンでは、オートミールにとろみがついているため、ホワイトソースなしでおいしく作ることができます。作り方も普通のグラタンとほぼ同じで、マカロニの代わりにオートミールを使って調理するだけでOKです。玉ねぎやベーコンなどと一緒に電子レンジで加熱してからトースターで焼くと、手軽にオートミールグラタンが作れます。
オートミールお好み焼き
オートミール30gに120mlの水を加えてレンジで2分加熱したものを生地として使い、小麦粉の代わりにお好み焼きを作ることもできます。具材にはキャベツ・豚バラ・天かすなどを加え、通常どおりのお好み焼きのレシピを真似するだけで簡単に作ることができます。小麦粉で作るよりもヘルシーで、ふんわりとした仕上がりになるのが特徴です。
オートミールクッキー
通常のクッキーを作るレシピの薄力粉を半分オートミールに置き換えることで、ザクザク食感が楽しめるクッキーにアレンジできます。レーズンやチョコレートなどの具材との相性も良いので、自由な組み合わせで作ることができるでしょう。薄力粉を使わず、細かく砕いたオートミールを100%使ったクッキーも、一味違った風味を楽しめます。
オートミール入りグラノーラ
グラノーラは、オートミールと薄力粉をベースに、ナッツやドライフルーツを自由にミックスして作るおやつです。分量の目安は、「オートミール4に対してオイル1、シロップ1」の割合です。この比率で材料を混ぜてオーブンで焼き、ナッツやドライフルーツを混ぜるだけで手作りグラノーラが完成します。朝食やおやつとして1週間以内に食べ切ると良いでしょう。
おわりに
オートミールはオーツ麦を加工した健康食材で、低カロリーかつ食物繊維・たんぱく質が豊富なことが大きな特徴です。おかゆ・リゾットのように調理して食べられる他、牛乳に一晩浸してオーバーナイトオーツにして食べるのもおすすめです。また、チャーハンの白米やグラタンのマカロニといった食材の代替として使うこともできるので、ご自身でも自由にアレンジレシピを楽しんでみてください。