50代になると平均収入が最も高くなり、子育ても終わって、老後の資金のために貯金や投資を意識する方が増えてくるでしょう。そこで今回は、50代から始める資産運用について紹介していきます。併せて、年代別の貯金額や投資をしている方の割合も紹介していくので、貯金や投資に興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
1.貯金か投資か?資産運用が増えている理由とは
お金を増やす方法として、貯金や投資が挙げられます。この投資について、以前は「お金持ちがするもの」というイメージがありましたが、最近では誰でも気軽に行なえるものとなっているのをご存じでしょうか。
株式会社クレディセゾンが実施した調査によると 、給与の不安や生活費の足しなどを目的として、投資などの資産運用をする20・30代が増えています。携帯で投資ができたり、お小遣い程度のお金で始められたりすることから、投資はより身近な存在になりつつあるのでしょう。
また、50代以降も、資産運用をする方の割合が多いです。具体例としては、勤務先の退職金制度変更により、これまで企業年金によって運用されていた退職金をご自身で運用を始めたり、家のローンや教育費の支払いが終わり余裕が出てきたお金を資産運用に回したりといった理由が挙げられます。
参照元:セゾンポケット 若年層の半分以上がスマホで支出監理・資産運用を実施!ポイント運用ユーザーのお金・資産形成に関する調査
2.年代別の貯金と投資の割合は?
貯金と投資について、どのくらいの年代の方がどれくらい行なっているか、気になる方も多いでしょう。そこで以下では、令和3年以降の「家計の金融行動に関する世論調査」を参考にして、年代別に預貯金と投資により金融資産を保有している方の割合を見ていきます。
※単身・二人以上世帯を含めた全世帯
参照元:知るぽると各種分類別データ(令和3年)
2-1.20代の場合
20代の場合、預貯金額の平均は103万円、貯金以外の金融資産(株式、生命保険、投資信託など)額の平均は109万円であり、他の年代に比べてそこまで多くありません。年収が低いことや娯楽にかける出費が大きいことが理由に挙げられます。しかし20代の若いうちから投資をし始めている方も62.9%いるのです。
2-2.30代の場合
30代になると金融資産を保有していない世帯は22.7%と20代に比べて37.1%から15%と大きく減少しており、預貯金額の平均も380万円になり、20代から約3.7倍に増えていることが分かります。
仕事で役職についたり昇給したりすることも多い時期であるため、お金に余裕が生まれ貯金する金額が増えているのでしょう。データによると預貯金額の増加に伴って、貯金以外の金融資産額も109万円から372万円に増えています。2-3.40代の場合
40代の場合、貯金額の平均は406万円で、30代の貯金額とあまり変化がありません。40代は働き盛りでありながらマイホームのローンや子育てに追われる年代であり、ライフステージ的に出費が多い時期だからだと考えられます。一方で預貯金以外の金融資産額は、510万円に増えています。
2-4.50代の場合
50代の場合、40代よりも預貯金額が170万円ほど増加して577万円になり、預貯金以外の金融資産額も809万円と増えています。50代は、退職金制度の変化や子育てを終えたことなどによって余裕がでてくる時期です。さらに、親が亡くなるなどの大きな変化が起こりやすいため、老後の資金を意識し始める方が増えてくる時期でもあります。
2-5.60代の場合
60代の場合は、退職金が入ることから50代よりも、預貯金以外の金融資産額が大きく上がっています。さらに、退職金の減少傾向や年金を受け取れる年齢が高くなったことから、10年前と比べて60代の方の就業率があがっていることも、預貯金額、預貯金以外の金融資産額が増加している理由のひとつでしょう。
預貯金額は977万円、預貯金以外の金融資産額は1,430万円です。
また、金融資産を保有していない世帯も19%と少なくなっています。
3.資産運用をためらう方も!その理由とは?
老後の資金を蓄えたいと考えてはいるものの、実際に投資をして資産運用を行うのには不安や抵抗があるという方も多いでしょう。ではなぜ、資産運用をためらう方が多いのでしょうか。
それは、投資に対して、あまりよくないイメージがあるからかもしれません。金利が低い中でも、銀行でコツコツ預金をすればローリス・クローリターンでもマイナスになることはありません。
投資は、見込みが当たって利益を出すことができる可能性がある一方で、見込みが外れれば損失が発生し、マイナスになってしまう恐れがあり、ハイリスク・ハイリターンの運用となります。
さらに、投資は株式市場や為替市場などの動きにも左右され、経済や金融の知識がない、勉強する時間がないなどで、時間がなくて投資をためらっている方も多いといわれています。
しかし、銀行の低い金利の預金のみでは、インフレが進行した場合、以前より多くのお金を払わないと同じものが買えない、すなわち、お金の価値が下がるリスクもあります。
4.比較的ローリスクといわれている資産運用方法
投資をして得をしたいけれど損はしたくないと考える方は当然多いでしょう。そこで以下では、比較的ローリスクといわれている金融商品を6つ紹介していきます。投資に興味はあるが、リスクを恐れて一歩踏み出せていない方は、ぜひ参考にしてください。
4-1.定期預金
定期預金とは、銀行などの金融機関に一定期間お金を預け、利益を得る資産運用のことです。元利金保証で貯蓄の延長線上でできるため、投資初心者におすすめといえるでしょう。
預ける期間は銀行によって1ヵ月〜10年程の商品が一般的です。普通預金と違って期間内にお金を引き出すことはできませんが、普通預金よりも高い金利を得ることができます。さらに、金融商品の価格が変動したとしても、当初の預入金額を下回ることは基本的にありません。
また、万が一設定した期間中に解約しても、元本が割れない点がメリットのひとつです。このように定期預金にはさまざまなメリットがあるため、安全に資産運用をしたい方におすすめの金融商品といえます。
4-2.債券投資
債券投資とは、国や企業などが資金を集めるために投資家に対して発行する債券を購入する投資です。毎年一定利率で利子が支払われ、債券を発行した発行体が破綻しない限り、償還期間が満期を迎えると元本が戻ってきます。
さらに債券投資は、債券期間の途中でも売ることが可能です。市場金利や発行団体の信用度・格付けによって価格が変動する債券は、企業の経営状況や景気などのさまざまな要素に影響されて価格変動する株式に対し、ローリスクな投資といえるでしょう。
ただし、債権を途中で売却する場合は、条件によって損失が発生する場合があります。
4-3.投資信託
投資信託とは、大勢の投資家から資金を集めて専門家に運用してもらい利益を出す金融商品です。投資信託は、100円などの少ない資金で投資できるため、資産運用初心者の方も始めやすいでしょう。
また、投資信託は複数の商品に分散投資ができる点もメリットのひとつです。分散投資ができない株式投資は、通常1口100株からの購入のため、1株1万円の場合、1口を100万円で購入することになります。
投資信託の場合、例えば、100銘柄に投資している投資信託であれば1万円分だけ購入したとしても、100種類の債券や株式に分散して投資できるイメージです。分散して投資することで、リスクが平準化され、所有している株式が急落した際のダメージのようなリスクを抑えることができます。
4-3.積立投資
積立投資とは、複数の銘柄で構成されている投資信託を、毎月または毎週決まった金額で自動的に購入していく投資方法です。
積立投資は、価格が安いときにはより多く、価格が高いときにはより少なくなど、投資した金額をプロが効率的に運用してくれ高い運用益が見込めるため、投資に関する知識や経験が少なくても問題ありません。
また、サービスや金融機関によっては100円から始められるものもあるので、初めから大金を注ぎ込む必要がなく、リスクを抑えた資産運用をしたい方におすすめです。
4-5.外貨預
銀行にお金を預けた際に発生する金利は国によって異なります。外貨預金とは、日本円以外の外国通貨で預金をしてその通貨の金利で利益を得る資産運用方法です。
日本は低金利が続いていますが、日本より金利の高い国の通貨で預金をすれば、日本で預金をするよりその金利差分利益が多くなります。
ただし、外貨預金は預けた時と引き出す時の為替トレードが発生する為替リスクがありますが、外貨で日出して使うことも可能です。また、外貨預金は普通預金や定期預金と変わらず銀行に預けているだけなので、ローリスクな資産運用方法といえるでしょう。
4-6.iDeCo
iDeCoとは「イデコ」と読み、金融機関を通し個人で積み立てる個人型確定拠出年金のことです。国民年金や厚生年金とは違い加入義務はありませんが、税制上の優遇措置があり老後の資産形成を目的として加入する方が増えています。
iDeCoのメリットは、5,000円以上1,000円単位で好きな金額を積み立てられること、掛金が全額所得控除の対象となること、資産運用して得た利益も非課税であることなどです。このようにさまざまなメリットがあり、資産形成を目的に行われる比較的ローリスクな資産運用方法といわれています。
5.お得に資産運用を始める方法とは?
これまで比較的ローリスクといわれる資産運用方法を紹介してきました。ここでは、お得に資産運用を始める方法を紹介していきます。資産運用を検討している方はぜひ参考にしてくださいね。
5-1.手数料があまりかからないところを選ぶ
できるだけお得に資産運用したい方は、手数料があまりかからない金融商品を選ぶのがおすすめです。例えば投資信託の場合、販売手数料や信託報酬、信託財産留保額などの手数料がかかり、株式投資の場合は、株式を買ったときと売ったときに売買手数料がかかります。
このように金融商品によってさまざまな手数料がかかる場合もあるため、お得に資産運用をしたいなら手数料が安いものを選びましょう。
6.50代からの資産運用で気を付けたいことは?
老後の資金について考え始める方が多いとされている50代。そんな50代の方が資産運用をする際に気を付ける注意点をいくつか紹介していきましょう。
6-1.時間がないからと焦らない
50代からの資産運用は、若い世代に比べ運用期間が短くなるため時間がないと焦ってしまい、高利率の商品ばかりに目が行きがちです。さらに焦りから、いきなり大金をつぎ込んだりリスクが高い信用取引に手を出したりしてしまうことにもなりかねません。しかし、結果として高リスクのポジションをとってしまう危険性もあるため、利益については預貯金プラスαをイメージして資産運用することが大切です。
6-2.減った支出分のお金をしっかり管理する
50代になると教育費や住宅ローンの支払いが終わる方も出てくるでしょう。その分手元に残ったお金を「知らない間に使っていた」ということがないように、しっかりと管理することが大切です。教育費や住宅ローンが支払い終わるタイミングは大体予想ができるので、月々や年間でいくら貯金できるのかを把握し、無駄遣いすることなく確実にお金が残るように管理しましょう。
6-3.情報収集を十分行う
最近では、さまざまな投資商品が出ており、資金がある50代の方は投資をすすめられる場合もあるでしょう。そのようなときに、言われるがまま投資をするとさまざまなデメリットやリスクを背負ってしまう可能性があります。
50代以降は、大きく失敗した場合に取り戻すのが困難な年代でもあります。投資を始める前に、インターネットや本、セミナーなどを活用して十分な情報取集をし、メリット・デメリットを理解したうえで行動に移すようにしましょう。
6-4.複利を活用して時間を味方にする
50代からの投資と聞くと、始めるのが遅いのではと思われる方もいるでしょう。しかし、定年までの60歳、65歳は10年、15年は期間があるため、複利が十分に活用できます。複利とは、資産運用で得た利益を使って再投資をすることで、利益が利益を生み出して、資産が膨らんでいく効果が見込めます。
複利については、こちら『投資の神様も愛した複利とは?複利の効果を得るためのポイントとおすすめの投資信託を紹介』の記事で詳しく解説しています。
おわりに
50代になると子育ても落ち着き、家のローンの支払いも終わり、資金に関して余裕が出てくる方もいるでしょう。その余裕分を資産運用に回そうと、投資などを考える方も少なくありません。しかし、50代は若い世代と比べると老後までの時間が短いのも事実です。
そのため、なるべくリスクを抑え、かつリターンが期待できる方法で資産運用するのがおすすめです。今回ご紹介した資産運用方法などを参考に、安全第一で、老後に向けた資金形成を考えてみてはいかがでしょうか。