遅い時間に寝ているわけではないのに、「眠りが浅い」と感じている方は少なくありません。中には、眠りが浅いために体調を崩してしまう方もいるでしょう。寝不足になると、「日中ぼーっとしてしまう」「朝目覚めてもスッキリしない」など、寝ても疲れが取れず負の連鎖となってしまいます。
眠りが浅いなと感じる方は、「どうして眠りが浅くなるのか」その原因を知ることが大切です。ご自身に合った改善策を試すことで、深い眠りに導くことができます。このコラムでは、浅い眠りの改善策や寝不足の方が引き起こしやすい病気なども解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
眠りが浅いとは?
眠りが浅い状態を説明するには、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の関係性を理解する必要があります。2つの睡眠について解説していくので、寝不足や睡眠による疲労感がある方は、チェックしてみてください。
レム睡眠とノンレム睡眠とは?
睡眠には2つの種類があります。それは、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」と呼ばれる睡眠です。
- レム睡眠:身体は休憩しているが脳が働いている状態
- ノンレム睡眠:深い眠りに入っているため、脳も身体も休憩できている状態
人は、この2つの睡眠を繰り返しながら眠っています。つまり、深い眠りのノンレム睡眠時間が長いほど、「良質な睡眠が取れている」ということです。良質な睡眠時間を増やしたい場合は、ノンレム睡眠の時間を増やすようにしましょう。
眠りが浅いとはどんな状態?
レム睡眠の時間が長いと、脳が休息を取れず眠りが浅い状態になります。眠ることはできていても、ノンレム睡眠にならないと熟睡することができません。結果的に寝不足を感じたり、スッキリしない目覚めになってしまいます。
眠りが浅くなっているサイン
眠りが浅い状態に気付かない方も多いでしょう。まずは、眠りが浅いのかチェックしてみてはいかがでしょうか。「寝ても寝足りない」「寝つきが悪い」などの悩みを抱えている方は、参考にしてみてください。以下では、眠りが浅くなっているサインを3つ紹介します。
夜中に目が覚める
朝までしっかり眠ることができず、夜中に何度も目が覚めてしまう方は、眠りが浅くなっている可能性があります。数日だけではなく、何日間も続けて夜中に起きてしまう日があるようであれば、放置せずに専門医を受診しましょう。
「よく眠れた」という実感がない
朝目覚めても、「スッキリしている」「よく眠れた」という実感がない方は、眠りが浅い状態が続いているかもしれません。遅い時間に寝たわけではないのに、睡眠不足を感じる方は、睡眠の質を改善する必要があります。
日中に眠気を感じる
仕事中やご飯を食べたあとなど、日中に眠気を感じる方は眠りが浅くなっているサインです。日中に眠気を感じる場合は、仕事に集中できずミスをしたり、場合によっては怪我をする恐れがあるので気をつけましょう。
眠りが浅い原因
眠りが浅い日が続くと、日常生活のなかでもストレスや身体やのだるさを抱えるなど悪影響が出てくるでしょう。「疲労感がある」「寝たはずなのにスッキリしない」などの悩みがある方は、眠りが浅い原因を知ることが改善の近道になります。ここでは、眠りが浅い原因を6つ紹介するので、当てはまるものがある方は、対策を考えましょう。
カフェインの過剰摂取
コーヒーや紅茶などのカフェインには、覚醒効果があるため浅い眠りを引き起こしやすくなります。寝る前にコーヒーを飲みたくなることもあるかもしれませんが、カフェインを摂取してから作用がおさまるまで4〜6時間程かかるので、眠りが浅い方は控えましょう。
アルコールの摂り過ぎ
アルコールは眠気を誘う作用がありますが、摂取してからの初期段階だけです。寝る前のアルコール摂取は、夜中目が覚めやすく結果的に眠りが浅くなります。また、カフェインと同じように覚醒効果や利尿作用があり、夜中に目が覚めやすくなるでしょう。
人間関係などによるストレス
精神的なストレスは寝つきを悪くし、眠りが浅い原因になります。「職場の人間関係が良くない」などといった悩みがある方もいるでしょう。日々のストレスは睡眠障害だけでなく、体調を崩してしまうので気をつけてください。
スマホやPCなどの電子機器の使用
スマートフォンやPCは、脳を活性化させるので寝つきにくくなります。暗い部屋でブルーライトの光を見ると、眠りにつきにくくなるだけでなく、視力を落とす原因になるので注意が必要です。
生活リズムの変化
引っ越しや転職など、生活リズムが変わることで眠りが浅くなることがあります。「新しい生活に慣れない」「以前に比べて楽しくない」などの悩みがある方もいるでしょう。生活リズムの変化から、焦りや緊張で寝つきが悪くなり、結果的に寝不足になってしまいます。
加齢による体内時計の変化
高齢になると、朝目覚める時間が早くなる傾向になります。これは若いときよりも、ノンレム睡眠の時間が減少するためです。睡眠に必要な血圧やホルモン分泌などが乱れてくるので、浅い眠りになります。また、眠りが浅いとちょっとした物音で起きやすくなるので、睡眠環境を見直してみてはいかがでしょうか。
眠りの浅さを起こす病気
眠りの浅い日が続くと、寝不足だけでなく病気を誘発することがあります。ここでは眠りの浅さで引き起こしやすい代表的な病気を紹介します。具体的な症状や、特徴をまとめているので気になる方はチェックしてみてください。
不眠症
不眠症は、入眠障害に当たる病気です。「眠たいのに眠れない」という体験は誰もが経験したことがあると思います。
- 試験前日の夜
- 旅行先での滞在中の夜
- 寝る前に悩み事や考え事をしてしまった時
寝られない理由は人によってさまざまですが、心配事や不安な気持ちから眠れない状態になります。また、マイナスな考え事だけでなく、楽しみにしていたイベントの前日は「ワクワクして眠れない」ことも原因となります。通常は、数日から1週間ほどで眠れるようになりますが、長期間入眠障害が続く場合は、不眠症の可能性が高いでしょう。
睡眠時無呼吸症候群
眠っているときに、呼吸が止まってしまうことを睡眠無呼吸症候群といいます。この症状に陥りやすい原因は以下のとおりです。
- 食べ過ぎ
- アルコールの過剰摂取
- 運動不足
- ストレス
このように生活習慣が乱れている方に起こりやすいでしょう。この症状は、ご自身では気付きにくいので誰かにチェックしてもらえると良いでしょう。また、無呼吸症候群かどうかを調べるアプリもあるので、気になる方はぜひ利用してみてください。
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むずむず脚症候群
むずむず脚症候群とはその名のとおり寝ている間に脚が動いてしまう病気です。この症状になりやすい方を紹介します。
- 家族に同様の症状がある方(遺伝的なもの)
- パーキンソン病の症状がある方
- 妊娠中の方
- 糖尿病の症状がある方
- 鉄欠乏性貧血の症状がある方
むずむず脚症候群の半数以上は、遺伝が関係しています。病院に行くか考えている方は、まず家族の中に同じような症状が出ているか確認すると良いでしょう。
睡眠時随伴症
睡眠時随伴症とは、睡眠中に起こる異常行動のことです。ご自身の意思にかかわらず身体が動いてしまいます。
- 歯ぎしりがひどい
- 歯を食いしばる
- 悪い夢ばかり見る
- ひどい寝言
- 夜尿
このような行動は、大人でも子どもでもあらわれる症状です。身体が勝手に動いてしまう現象で、基本的に本人はこれらのことを覚えていません。また、似たような病気として、高齢者に多い「レム睡眠行動障害」、睡眠中に突然起きて歩き回る「睡眠時遊行症」、急に目覚めて叫びだす「夜驚症」があります。
眠りが浅いことによる影響
眠りの浅い日が続くと、「生活習慣病」「うつ病」「集中力の低下」といった症状が出やすくなります。日常生活に支障をもたらす前に、早めに対策しましょう。「寝つきが良くない」「夜中に何度も目が覚める」などの悩みがある方は、以下を参考にしてみてください。
生活習慣病になりやすい
寝不足が続く場合は、ホルモンバランスや神経機能が乱れて生活習慣病にかかりやすくなります。
- 糖尿病
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 肥満化
これらは生活習慣病の代表的な症状です。眠りが浅い日が続くと、ご飯やパンなど糖をエネルギーに変換する働きが弱くなり、太りやすい身体になります。運動や食事制限などでダイエットをするのも良いですが、しっかりとした睡眠を取ることも肥満化を防ぐことにつながるでしょう。
うつ病のリスクが高まる
食欲や他人に興味を示すことがなくなり、憂鬱な気分になりやすくなるでしょう。うつ病と聞くと、「食欲がなくなる」「ネガティブ志向になる」というようなイメージがあると思いますが、人によっては過食に走るケースもあります。うつ病は自身では気付きにくいので、「心が疲れている」と感じたら、精神科に通うのもひとつの手です。
集中力・記憶力・判断力が落ちる
日中、「集中できない」「ぼーっとする」など経験がある方もいるでしょう。これは、寝不足により脳が正常に働いていない可能性があります。集中力や記憶力が低下すると、思わぬミスをしたり、やる気がなくなってしまいます。職場や大事な場面でしっかりとしたパフォーマンスを出すためにも、良質な睡眠は不可欠です。
眠りを深くする改善策
熟睡するには、睡眠の質を上げる必要があります。眠りを深くする改善策を紹介するので、取り組めそうなものがあれば、ぜひ試してみてください。
カフェインやアルコールを摂る量や時間を決める
カフェインは、15時以降の摂取をなるべく控えましょう。眠気覚ましに有効なカフェインは、夜寝る前に接種すると目が冴えてしまいます。カフェインが身体に残ったままだと、寝つきが悪くなるので気をつけましょう。
アルコールは、適度な摂取量であれば寝つきを良くしてくれるので、そこまで問題はありません。しかし、下記に当てはまる方はアルコール摂取量を見直す必要があります。
- 毎日お酒を飲んでいる
- 1日に、ビールを2本以上摂取している
- アルコールがないと眠れない
また、お酒の飲みすぎは、眠りが浅くなり、人によってはアルコール依存症といった病気になります。毎日アルコール摂取をしている方は、週に2日ほど休肝日を作ると良いでしょう。
適度な運動によって疲労する
適度に運動をした日は、ぐっすり朝まで眠れることも多くなります。寝る前に運動をすると、興奮状態になり、寝つきが悪くなってしまうので、就寝の3時間前までに行いましょう。
「運動をする暇がない」「運動が苦手」という方は、寝る前のストレッチがおすすめです。ストレッチはリラックス効果が期待できるので、自然と眠りにつきやすくなります。
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リラックスできる睡眠環境を整える
眠りの質を上げるためには、心地の良い睡眠環境は欠かせません。寝具は毎日使うものなので、質の良い布団や枕に取り替えるのも有効です。またリラックスアイテムとして、アロマを使用しても良いでしょう。好きな香りはもちろん、ラベンダーや柑橘系の香りはストレスを和らげる効果が期待できます。アロマディフューザーを置く場所がないという方は、アロマオイルをタオルに1、2滴たらし、枕元に置いておくだけでも良いでしょう。
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入浴や飲み物で身体を温める
身体を温めることで、良質な睡眠につながりやすくなります。普段、入浴はシャワーだけという方は、しっかり湯船に浸かってみましょう。次に、快眠になりやすい飲み物を紹介します。
- ホットココア
- ホットミルク
- 白湯
温かい飲み物を飲むと、ほっと安心したりリラックス効果が期待できたりします。簡単にできるので、ぜひ試してみてください。
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ストレスを発散する方法を作る
ストレスをまったく感じないようにするのは難しいでしょう。しかし、過度なストレスは睡眠の質を下げてしまいます。ストレス発散方法は人それぞれです。好きなものを食べる、友人と話すなど、ご自身にとってストレスを発散できる趣味などを作り、なるべくため込まないように気をつけましょう。
おわりに
このコラムでは、眠りが浅い原因について紹介しました。睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があり、深い眠りを作るためには、レム睡眠時間を増やす必要があります。眠れない原因は人によって違いますが、コーヒーやお酒が好きな方は、カフェインやアルコールの摂取量、摂取する時間を見直してみましょう。
「寝なければ」と焦ると余計に眠れないこともあります。そのような場合は、ストレッチや温かい飲み物を飲むなどしてリラックスする時間を作りましょう。今回ご紹介した改善策を参考に、できることからトライしてみてください。