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マンションの固定資産税とは?新築と中古で異なる計算方法や軽減措置を解説

セゾンのくらし大研究 編集部

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マンションの固定資産税は、所有者に毎年課せられる税金です。新築物件と中古物件では金額が異なり、軽減措置も設けられています。このコラムでは、マンションの固定資産税について詳しく解説します。計算方法や事例別のシミュレーション、支払方法についてもご紹介しますので参考にしてください。

1.マンションの固定資産税はどのくらいかかる?

分譲マンションは、戸建の住宅や土地と同じく固定資産税がかかります。固定資産税は毎年課せられる税金で、マンション購入の際には固定資産税の支払いも考慮しなければなりません。固定資産税の金額は新築と中古で異なり、居住地域によっても差があります。では、マンションの固定資産税がいくらかかるかなど詳細を見ていきましょう。

1-1.そもそも固定資産税とは

固定資産税とは、所有する土地や家屋、償却資産に課せられる税金です。国税ではなく、居住する地域の市町村(東京都23区内は都)に納める地方税です。毎年、6月ごろに4月1日からの1年分の金額を記載した納税通知書が届きます。

固定資産税と同時期に払う税金に都市計画税があり、固定資産税と合わせて送られてきます。都市計画税は固定資産税の対象者が全員支払うものではなく、市街化区域内に土地・建物を所有している場合だけ支払う税金です。

・課税対象と課税対象者

固定資産税の課税対象となるのは、1月1日現在、「土地や家屋、償却資産の所有者として固定資産課税台帳に登録されている人」です。年度の途中でマンションを購入した場合は、最初の年の固定資産税はかからず、翌年以降に課税されることになります。

課税の対象は土地や家屋、償却資産です。一戸建て住宅の場合は土地と建物のそれぞれに課税されます。マンションの場合、土地はマンションの区分所有者全員の共有となるため、土地部分で課税対象となるのはご自身の所有する割合となる分だけです。

1-2.一戸建てとマンションの違い

マンションの固定資産税は、一戸建てに比べて高くなる傾向にあります。それは、耐用年数についてマンションの方が高く設定されているからです。一戸建てが22年、マンションは47年という設定で、マンションの方が建物の価値が長く続くと判断されています。そのため、一戸建てよりもマンションの方が固定資産税の高い状態が続くことになります。また、土地や建物は一定の要件に当てはまる場合に税金の軽減措置がありますが、マンションの場合は土地の所有部分が少ないため、一戸建てに比べて軽減措置を受ける範囲が少なくなります。

そのほか、固定資産税は値上がりする場合もある点に注意しましょう。固定資産税は経年劣化で評価が下がり、年々値下がりするのが一般的ですが、地価の上昇やリフォームによる価値が上がったという理由で税額が高くなる場合があります。また、軽減措置の適用がなくなり通常の税額に戻った場合も、値上がりしたように感じるでしょう。例えば、新築マンションでは5年間税額が軽減され、6年目からの税額は高くなるため、急に値上がりしたように感じる場合があります。

ただし、不自然に税額が高い場合、固定資産の評価ミスや軽減措置の適用忘れの可能性があります。納税通知書を見て疑問に感じる場合は、よく確認しなければなりません。

参照元:耐国税庁|耐用年数(建物/建物附属設備)

2.マンションの固定資産税の計算方法

マンションの固定資産税は、土地と建物それぞれにかかります。税金の計算は、まず固定資産税評価額を決め、それに税率をかけて求めるという方法です。計算式は、以下のようになります。

固定資産税=固定資産税評価額 × 税率(標準税率1.4%)

固定資産評価額とは固定資産の価値を表した金額のことで、市区町村が定めるものです。土地と建物は別々に評価され、同じ面積でも木造や鉄筋など建物の条件で税額が変わることがあるでしょう。通常、木造よりも鉄筋が高くなり、建築のコストが高いほど固定資産税評価額も高くなります。固定資産税評価額の調べ方や、土地・建物部分の評価額についても見てみましょう。

2-1.固定資産税評価額の調べ方

現在所有している固定資産税を調べたい場合、納税通知書と一緒に送られてくる課税明細書で確認できます。中古マンションを購入した場合には売主から課税明細書を引き渡されるため、そちらで確認しておきましょう。ほかに、市役所などで取得できる固定資産税評価証明書で固定資産税評価額のチェックができます。また、固定資産税台帳の閲覧により、固定資産税評価額を確認することも可能です。毎年4月ごろに期間を定めて閲覧できるもので、近隣の評価額も縦覧できます。

2-2.土地部分の固定資産税評価額

マンション土地部分の固定資産税評価額は、敷地の評価額全体に対する専有部分の割合に応じて決まります。土地全体の評価額は、実勢地価の70%が目安です。例えば、500平方メートルの敷地に建つ総戸数10戸のマンションの場合、1戸あたりの固定資産税は1/10の土地50平方メートルについて課されます。

このように、マンションの固定資産税は専有面積に応じて決まるため、同じマンションで専有面積が同じ場合、1戸あたりの固定資産税の納税額は基本的に同じです。ただし、タワーマンションには特例措置が取られており、階数によって税額は異なります。こちらについては、次の項目でお伝えしましょう。

2-3.建物部分の固定資産税評価額

建物部分の固定資産税評価額は、新築の場合、再建築した場合に必要と予想される費用によって判断されます。また、年を追うごとに、経年劣化による減価率を加味した計算が行われ、その分税額が減少していくのが通常です。減価率は経過年数に応じて次のように定められています。

【減価率の経過年数】

1年0.9579
3年0.9038
5年0.8569
10年0.7397
20年0.5054
30年0.3059
45年以上0.2000

減価率は10年で約3割、20年で約半分というように価値が減っていき、その分の税額が減っていきます。45年以上になると価値は当初の2割になり、その後は変わらず0.2000が続き、ゼロになることはありません。

評価の基準となる再建築価格はどのような建築資材をどのくらい使用しているかで決まり、マンションごとの家屋調査により決定されています。なお、固定資産税評価額は3年ごとに見直しが行われており、特に土地の部分は地価や物価の状況に応じて変動するのが一般的です。(市区町村により対応が異なる場合があります)

3.マンションの固定資産税の軽減措置

マンションの固定資産税には、さまざまな軽減措置が取られています。土地部分については住宅用地が規模に応じて税額が軽減され、用途の変更がない限り軽減措置は変わりません。建物部分は新築の場合に一定期間、軽減する措置が取られています。リフォームした場合には要件に該当した場合に税額が安くなり、自治体ごとに減免制度を設けているところも少なくありません。ここでは、マンションの固定資産税の軽減措置についてご紹介します。

3-1.土地の軽減措置

住宅が建っている土地には、軽減措置が取られています。土地の面積により軽減の割合は2つに分かれており、以下のとおりです。

  • 200平方メートル以下の部分:「小規模住宅用地」として固定資産評価額の1/6が軽減
  • 200平方メートルを超えた部分:「一般住宅用地」として固定資産評価額の1/3が軽減

マンションの場合は、敷地を戸数で割った面積を基準に判断します。住宅用地の軽減措置は期限の定めがなく、マンションがある限り軽減が続く制度です。

3-2.新築マンションの軽減措置

新築マンションの場合、建物部分の固定資産税が軽減される場合があります。3階建て以上の耐火・準耐火建築物であるマンションで、築から5年までが軽減の対象です。床面積120平方メートルまでの建物につき、固定資産税評価額が1/2に減額されます。さらに、同じ条件で長期優良住宅である場合、軽減の期間は7年です。

3-3.タワーマンションの特例措置

マンションは基本的に、専有面積が同じであれば固定資産税は同じです。しかし、タワーマンション(高さが60mを超える居住用建物)は、上の階ほど販売価格が高いにもかかわらず、同じ面積なら固定資産税評価額も同じというのは公平ではないという声がありました。

これを受けて法改正が行われ平成30年度から新たに課税される新築のタワーマンションにつき、階数により固定資産税が変わるという措置がとられています。建物全体の固定資産税額は変わらず、階層ごとに按分して公平を図るというものです。適用を受けるのは20階以上のマンションで、1階上がるごとに税額が変わります。

※20階未満のマンションおよび、2018年以前に建てられたマンションには適用がありません。

3-4.リフォームの軽減制度

リフォームを行った場合も税額が軽減される場合があります。耐震や省エネ対応など住宅の質を高めるリフォームをした場合で、工事完了年の翌年度分につき、建物部分にかかる固定資産税が軽減されるというものです。

令和6年3月31日までと期間が限定されている措置で、リフォームごとに要件があります。自治体によっても内容は異なるため、リフォームを行う際は要件を確認し、該当する場合は書類を揃えて申告すると良いでしょう。

3-5.自治体ごとの軽減措置

固定資産税は自治体ごとに軽減措置がとられているケースもあります。火災や震災などの災害でマンションに損害を受けた場合、固定資産税を減免するといった措置です。そのほか、65歳以上や特別障がい者など、一定の要件を満たす場合に固定資産税を減額している自治体もあります。居住地の自治体では減免の制度を設けているかどうか、自治体のホームページなどで確認しておくと良いでしょう。

4.マンションの固定資産税をシミュレーション

マンションの固定資産税はどのように計算するのか、実際にシミュレーションをしてみましょう。マンションの場合、専有面積や新築物件・中古物件かどうかで固定資産税が変わります。それぞれ土地部分の軽減措置があり、新築はさらに建物部分の軽減措置により減税されるという計算です。新築と中古、新築タワーマンションのケースでシミュレーションをしてみましょう。

4-1.新築マンションの場合

築1年で専有面積が100平方メートル、土地と建物の評価額は次の場合で計算します。

  • 土地の評価額:2,000万円
  • 建物の評価額:600万円

200平方メートル以下の小規模住宅用地であるため、1/6の軽減措置が適用されます。また、建物部分は新築の軽減措置として1/2が減額される計算です。計算式は次のとおりです。

  • 土地の税額:2,000万円×1/6×1.4%=4.6万円
  • 建物の税額:600万円×1/2×1.4%=3.2万円

専有面積が210平方メートルなど200平方メートルを超える場合、超えた10平方メートルの部分は1/3の減額で計算しましょう。

4-2.新築タワーマンションの場合

2018年以降に新築された20階以上の新築タワーマンションは、階が増えるごとに税額が増える計算です。1階を100とし、階が1つ増えるごとに10/39(0.2564)を加算します。すなわち、1階上がるごとに0.2564%ずつ増税される計算です。

N階の階層別専有床面積補正率=100+10/39×(N-1)

築1年の新築タワーマンションの2階部分で、土地と建物の評価額は前の例と同じ場合、次のように計算します。

  • 2階の専有床面積補正率:100+10/39×(2-1)=100.2564%
  • 7.8万円(固定資産税の合計)×100.2564%=78,199円

4-3.中古マンションの場合

築15年で同じ条件のマンションを計算してみましょう。

  • 土地の評価額:2,000万円
  • 建物の評価額:600万円

建物は新築の軽減措置がなくなり、築15年による経年劣化について減価率が適用されます。築15年の減価率は62.25%であり、建物の評価額600万円に乗じて計算します。

  • 土地の税額:2,000万円×1/6×1.4%=4.6万円
  • 建物の税額:(600万円×62.25%)×1.4%=5.2万円

こちらも、専有面積が200平方メートルを超える場合、超えた部分は1/3の減額で計算してください。

5.マンションの固定資産税の支払いについて

マンションの固定資産税は、毎年市区町村から納税通知書と納付書が送られてきます。支払いは4期に分けられ、一括での支払いも可能です。それぞれ所定の期限内に納付しなければならず、期限を過ぎると翌日から延滞金が発生します。支払い方法は銀行やコンビニエンスストアのほか、クレジットカードが使える自治体も少なくありません。

ここでは、固定資産税の支払い時期と方法についてご紹介します。

5-1.支払時期

固定資産税の支払いは、毎年4〜6月ごろに市区町村から送られてくる納付書で行います。納付書は1月1日時点でマンションを所有している納税義務者に対し、固定資産税評価額が記載された通知と一緒に送られてきます。納付書に記載されている金額は、4月から始まる1年分です。

支払い時期は自治体により異なりますが、通常は6月・9月・12月と翌年2月の4期に分けられています。それぞれに納付期限があり、1年分を一括払いすることも可能です。納付期限の翌日から延滞金が発生するため、忘れずに納付しましょう。

5-2.支払方法

固定資産税を支払う際は、送られてきた納付書を使います。銀行や郵便局、コンビニエンスストアに納付書を持参して支払いましょう。納付書は分割用と一括用の5枚あり、どちらか一方を選びます。5枚まとめて支払うことのないようにしてください。口座振替に対応している自治体も多く、自動引き落としにしたい場合は手続きをしましょう。

また最近はクレジットカード払いができる自治体も増えています。クレジットカード払いにしておけば払い忘れの心配がなく、手元にお金がない場合にも期限内に支払えるため便利です。

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5-3.中古マンションを購入の際は、決済時に売主へ支払う

1月1日にマンションを所有している場合、その年の4月1日から翌年の3月31日までの固定資産税を支払います。そのため、年度の途中に中古マンションを売却した場合でも、マンション売却日以降3月31日までの固定資産税は売主が負担しなければなりません。

しかし、所有権を失っている売主が売却したあとの固定資産税を支払うのは公平に反するという考えから、実務上は日割り計算して買主が購入代金と一緒に支払う処理が行われています。

6.マンションの固定資産税を支払うときの注意点

固定資産税の支払いでは、いくつか注意したい点があります。まず、必ずしも固定資産税の計算に間違いがないとはいえません。実際に算定ミスが多いことが指摘されています。

金額がおかしいときは、再調査や審査請求も可能です。ここでは、固定資産税の課税額を確認すべきことなど、固定資産税を支払うときの注意点についてご紹介します。

6-1.課税額を確認すること

固定資産税は算出方法の仕組みが複雑で、金額のミスは少なくありません。2018年にはある自治体で、11,285人もの課税に誤りがあることが発覚しています。また、27年間過剰に徴収されていたという例もあるほどです。

総務省の調査では、平成21年から23年度の3年間に、固定資産税の税額を修正した納税義務者が1人以上あった市町村は97%という結果が出ています。ほとんどの自治体で間違いが出ていることがわかるでしょう。納税通知書の数字は鵜呑みにせず、少しでも数字がおかしいと感じたら管轄の窓口に出向いて確認しましょう。

例えば、他人の物件も合わせて計算されていたというケースもあります。マンションの土地部分や新築などの軽減措置がきちんと計算されていない場合もあるため、確認が必要です。

課税されているのは自己所有物件に間違いないか、軽減措置が適用されているかどうかを調べ、誤りがある場合には、固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることもできます。

申し出ができるのは、原則として納税通知書の交付を受けた日から3ヵ月以内です。遡って誤りがあることがわかった場合、還付請求ができます。還付を遡れる期間は地方税法上、5年です。ただし自治体ごとに年数は異なり、5年以上の期間を遡って還付請求することも可能です。

参照元:総務省|固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果

6-2.滞納しないこと

固定資産税は期限内に納め、滞納をしないよう気を付けましょう。納付期限から1ヵ月すぎると延滞金の税率も上がります高額な延滞金になってしまうほか、財産が差し押さえられる可能性もあるでしょう。

滞納すると、まず督促状が届きます。この時点で支払いをすれば特に問題はありません。しかし、その後も納付しない場合、文書や電話、訪問などで催告が行われます。納税するだけの資力があるにもかかわらず納税しない場合は、財産調査を経て差し押さえが執行されるでしょう。

固定資産税を滞納した場合、差し押さえられるのは課税対象であるマンションなどです。差し押さえ後も支払いをしない場合は競売にかけられ、換金されます。競売までには時間がかかりますが、その間も延滞金は発生するため、最終的に売却代金から清算される額は高額になるでしょう。このような事態になる前に、納付できない事情がある場合は市区町村に相談することをおすすめします。

おわりに

マンションを購入するときは、固定資産税が課税されることも把握しておきましょう。1月1日時点の所有者に課される税金です。固定資産税には土地や建物部分にさまざまな軽減措置があり、リフォームを行なった場合も要件に該当すれば節税が可能です。支払いは期限内に行うことが大切で、支払いにクレジットカードを利用したい場合は、ぜひ「SAISON CARD Digital」の利用もご検討ください。

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