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【調味料ソムリエプロが厳選!】おすすめの「七味唐辛子」をご紹介!

MICHIKO 調味料ソムリエプロ

執筆者

調味料ソムリエプロ

MICHIKO

野菜ソムリエプロ・カレーマイスター・食養生士・料理研究家・調味料研究家・調理師 食と健康と美をテーマに、講師・講演・セミナー・料理レシピ・調味料紹介や批評、開発・コラムの執筆などを手がけ、テレビ・雑誌の出演多数、著書も多い。生活習慣病などの生活や食事アドバイスもしている。

「七味唐辛子」、いつも当たり前のように、お蕎麦屋さんのテーブルに並んでいたり、自宅でも蕎麦やうどん、何かにつけてサッとひと振りする香辛料です。唐辛子を使った辛みは、第4次ブームともいわれています。

七味唐辛子を振った料理を食べると、辛さに寄り添うように、旨みが感じられます。辛さだけにとどまらない香りや味わいを持ち、料理の旨みを増す効果も大きいのが七味唐辛子です。

「漢方薬を食べる!」をヒントに調合された調味料です。辛いだけでない、香りや風味の良い七味唐辛子の魅力を再発見してみませんか。今回は七味唐辛子について解説します。

1.七味唐辛子とは?

日本の食文化が生んだ伝統的なミックススパイス、それが「七味唐辛子」です。唐辛子を主とした薬味や香辛料を調合したもので、辛さと風味の良さで人気です。主に、唐辛子、山椒、陳皮、青のり、ごま、麻の実、けしの実などを含む7種類のスパイスを混ぜ合わせています。

七味唐辛子は、辛みを付けるだけでなく、料理の風味や香りをより一層高めるために使います。そばやうどん、鍋物、汁物、漬物、焼きものなどの和食、野菜スティックや蒸し野菜、マヨネーズなどとも相性が良く、さまざまな料理に振りかけて使われているポピュラーな香辛料です。

食卓に置いてあるスパイスとしてもおなじみですね。

2.七味唐辛子の歴史とは?

七味唐辛子はいつから利用されているのか。簡単に歴史を振り返ってみます。

2-1.七味唐辛子の始まり

江戸時代の初期(1625年)に、からし屋徳右衛門が江戸の薬研堀(現在の東日本橋界隈)で売り出ししたのが最初とされています。「漢方薬を食に利用できないか」という発想から生まれたもので、漢方薬の配合を参考にして作られ、「七色(なないろ)唐辛子」として売り出されました。

徳川三代将軍家光公に献上した際に、ことのほか喜ばれ、徳川の「徳」の字を賜り、やげん堀の屋号として使われています。昔ながらの製造方法は今も大切に守られ、基本的な配合は、「二辛五香」といい、辛さと風味を強調したものを2種類の唐辛子(赤粉・焼粉)、香りと食感を楽しめるもの5種類(粉山椒・陳皮・黒胡麻・けしの実・麻の実)を組み合わせています。

この配合は、風邪にとても良く効く漢方薬としても使われていたため、七味唐辛子をかけた熱い蕎麦は風邪の予防食としても人気があったようです。

2-2.七味唐辛子は全国へ

江戸で生まれた七味唐辛子は、その後、各地へと広まりますが、その土地の風土や食べ物により7種類の配合の組合せも多種多様です。また、6種類でも9種類でも、七味唐辛子と呼ばれ、現在は「七味唐辛子=しちみとうがらし」と呼ばれるのが一般的です。

日本の主な七味唐辛子

  • 「やげん堀 七味唐辛子本舗」(東京):唐辛子・焼唐辛子・山椒・陳皮・ケシの実・麻の実・黒胡麻(7種類)
  • 「七味家本舗」(京都):赤唐辛子・山椒・白胡麻・黒胡麻・麻の実・青紫蘇・青海苔(6種類)
  • 「八幡屋礒五郎」(長野):赤唐辛子・山椒・黒胡麻・陳皮・麻の実・生姜・青紫蘇(7種類)  

2-3.関東と関西の違い

七味唐辛子は、関東と関西では微妙にブレンドが異なります。その違いは、関東の“濃い味”文化と関西の“薄味”文化が七味唐辛子の薬味のアレンジを変えているようです。

江戸時代、蕎麦は今の様なファーストフードとして人気がありました。関東で人気の「蕎麦つゆ」は濃い口の醤油味に合うように2種類の唐辛子を使い、風味と辛味を強調したブレンド。関西で人気の「うどんつゆ」は薄口の醤油味で昆布やかつおの風味を大切にするため、山椒の香りと辛み、白胡麻や青海苔も使われて香り良い薬味。信州では関東より味は濃い目といわれ、唐辛子の量も多く生姜や青紫蘇が使われているなどの違いがみられます。

3.七味唐辛子の薬効、健康力とは?

七味唐辛子の材料には、さまざまな栄養成分や薬効があるといわれています。

3-1.唐辛子

唐辛子は世界中のさまざまな料理の辛みづけに使われるスパイス。食欲増進、肥満防止、冷え性防止、発汗作用(涼しくなる効果)など。唐辛子は焼くことにより辛味は落ちますが、香りが一段と高くなります(焼唐辛子)。

3-2.山椒

山椒は柑橘系の爽やかな香りと舌がしびれるような刺激的な辛みを持つスパイス。生薬としても使われており、健胃、鎮痛など。

3-3.陳皮

陳皮はウンシュウミカンの成熟した果実の皮を乾燥させたもの。独特の爽やかな柑橘の香りがあり、古い皮ほど効能が高いといわれています。生薬としても使われており、健胃、鎮嘔、去痰、消炎など。

3-4.胡麻

胡麻は昔から栄養価の高い食材として知られ、どんな食材とも合わせやすく、滋養強壮や解毒の効果が期待され、黒ごまは主に生薬としても使われてきました。白ごまはごま油が作られたり、肝臓を助ける働きがあるセサミンが豊富といわれています。

3-5.けしの実

けしの実は小さな丸い粒で、ほのかな香りと香ばしさがあります。菓子類によく使われます。古代より薬として用いられ、鎮痛剤としても広く使われています。

3-6.麻の実

麻の実はカリッとした食感を楽しむスパイス。種から搾った、麻の実油=ヘンプオイルがあります。古代中国では、五穀のひとつに挙げられていました。実をつぶすと油がでて、日持ちが悪くなるので注意しましょう。

3-7.青のり

青のりは旨み成分が豊富で、海藻類の中でもさまざまな栄養素が含まれています。食材と合わせることで磯の香りが加わり、料理が美味しくなる特徴があります。

4.調味料ソムリエプロがおすすめ「七味唐辛子」

ここからはおすすめの七味唐辛子の「へべすが香る七味とうがらし」を紹介します。

へべすが香る七味とうがらし(熊野農園・宮崎県) 

へべすが香る一味とうがらし(熊野農園・宮崎県) 

調味料選手権2015 ザ☆JAPAN~伝統調味料~部門 優秀賞受賞。「へべすが香る七味とうがらし」は、宮崎県特産の香酸柑橘「平兵衛酢(へべす)」が香る七味とうがらしです。

江戸時代末期に、宮崎県日向生まれの長曽我部平兵衛さんが、近くの山で自生していた香りの良い柑橘を見つけ、自宅の庭先で栽培したところ評判となり、苗木を分け与えて広め、平兵衛さんの名前から「平兵衛(=へべす)と名付けられました。

今では、日向地区の家の庭先に植えてある木ですが希少性が高く、幻の柑橘と呼ばれています。へべすは柚子やスダチ、カボス等の仲間で見分けがつかないほどよく似ていますが、他の柑橘に比べて皮が薄いため果汁が搾りやすく、爽やかな控え目な香りとまろやかな酸味があり、料理の素材の香りや味わいを壊さずに引き立ててくれる魅力があります。また、果汁の中にはビタミンCと必須アミノ酸が豊富に含まれています。

毎年、8月のお盆明けに緑色の実がたわわに実ります。この実の皮の香り成分を抽出し、パウダー化するという特殊な製法によって作られるので、振りかけた時にへべすの天然の爽やかな香りを十分に楽しむことができます。「へべすが香る七味とうがらし」には、このへべすパウダー、山椒の芳香と辛味、黒と白のごまの風味、そして静岡県三河湾名産(吉良町)の青さなどを使った、へべすの良さを生かした七味唐辛子です。

おすすめは、味噌汁、特に豚汁に振りかければ“味噌汁がバカ旨くなる”魔法のとうがらしで、へべすパウダーが汁物に溶けて湯気と一緒にへべすの香りが漂います。

また、醤油(+)マヨネーズのディップに振り入れれば、いつもの干物やエイヒレが絶品に。

どんな料理にも、ササッと振りかけて!

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鶏むね肉とかぼちゃのピリ辛蒸しもの

【材料】2人分

鶏むね肉120g、かぼちゃ150g、ブロッコリー80g、日本酒大さじ1

A(たれ):へべすが香る七味とうがらし小さじ1/2、醤油、酢、ごま油各大さじ1

【作り方】

  1. 鶏むね肉は厚めのそぎ切りにして、日本酒をまぶす。カボチャは種とワタを除き、皮をむき一口大に切る。ブロッコリーは小房に分ける。(A)は混ぜ合わせる。
  2. せいろなどにキッチンペーパーを敷き、①を並べ入れる。蒸し器に蒸気が立ち上がれば、せいろをのせて、6分ほど、かぼちゃに竹串がすっと通るまで蒸す。
  3. 器に盛り付け、熱いうちに、(A)のたれを全体に回しかける。

*耐熱容器に入れて、ふんわりラップをして、電子レンジ(600w)で5~6分ほど加熱しても。

☆七味おにぎり

【材料】2人分

ご飯(炊きたての温かいもの)1合分、天かす大さじ3、鰹節1袋(3g)、へべすが香る七味とうがらし小さじ1、

【作り方】

  1. ボウルにすべての材料を入れて混ぜ合わせる。
  2. 手のひらに塩少々(分量外)を入れた水をつけて、①の1/4量のご飯をのせて、お好みの形に手早く握る。残りも同様にして握る。
  3. 器に盛る。

*「へべすが香る七味とうがらし」の量は、お好みで調整してください。

5.「七味唐辛子」をチョイ足しして味変を楽しもう!

いつものご飯ものや麺類、おかず類、粉ものなど、あらゆる料理にチョイ足ししましょう。塩味が薄い料理であっても、七味唐辛子を振りかければ、物足りなさを感じることなく味わえ、減塩にもつながります。

  • 下味に、下ごしらえにプラス

肉の旨みをアップ。鶏のから揚げ、生姜焼き、焼肉、豚の角煮、ハンバーグなどに。

  • 炒め物の味付けにプラス

いつもの味がピリ辛に。肉野菜炒め、ナスの味噌炒め、きんぴらごぼう、

  • マヨネーズにプラス

あたりめ、蒸し野菜などのディップ、ポテトサラダなどに。

  • チーズ料理にプラス

ピザ、グラタンなどに。

  • その他の料理

卵かけご飯、五目御飯、丼物、オムライス、目玉焼き、納豆、漬物、おひたし、豚汁、味噌汁、スープ、トースト、パスタ、焼きそば、ラーメン、おでん、湯豆腐、肉じゃが、タコ焼き、お好み焼き、焼き鳥など。

パスタなどにのせる唐辛子の代わりに、餃子(酢プラス七味)などに付けるラー油の代わりに、ピザなどにかけるタバスコの代わりに、隠し味として使うのもおすすめです。調味料と合わせるとピリ辛で料理のアクセントにもなるので、重宝します。

なお一味唐辛子は、唐辛子だけを乾燥させ粉末にしたものです。シンプルですが、辛さだけを足したい時に使うのがおすすめです。

6.「MY七味唐辛子作り」とは?

市販の七味唐辛子をご自分のお好きな味わいにカスタマイズするという楽しみもあります。好きなものをチョイスし、手際よく、ササッと混ぜ合わせましょう。少量ずつ加えるのがコツです。

・辛みを強くしたい時には、唐辛子や山椒を入れる

・香りを強くしたい時には、山椒や陳皮を入れる

・食感を良くしたい時には、胡麻と麻の実を入れる

・芳ばしさを出したい時には、山椒、陳皮、胡麻、麻の実、青のりを入れる

山椒、陳皮を多く入れてしまうと唐辛子の風味が弱まってしまいます。また唐辛子を入れすぎた時には、胡麻を加えるなど、アレンジしましょう。また、少し古くなり香りも弱くなった七味唐辛子は、フライパンを使い弱火で数分炒ると風味が良くなります。くれぐれも焦がさないように。

7.「七味唐辛子」の保存方法とは?

七味唐辛子を入れる木製や缶、プラスチック容器などには、全体の1╱3くらいの量を入れるのが良いでしょう。満杯に入れてしまうと風味が落ち、湿気ることもあります。

光でも劣化しますので、光の当たらない場所に置きましょう。開封後はなるべく早く消費するようにしましょう。

残りは、香りを逃がさず、湿気を防ぐために、密閉容器などに入れて冷蔵庫に入れましょう。高温になると香りが飛びやすくなりますので、特に夏場には注意が必要です。

冷蔵庫で保管すると半年程は美味しさを保存できます。開封後は勿論のこと、未開封であっても冷蔵庫での保存が最適です。

おわりに

七味唐辛子は薬味のひとつです。薬味は食材本来の味を引き立たせる脇役のようなものと思われてきました。

最近は、メインとする食べ方が増えてきています。種類も柚子やニンニク入りなど様々なものがありますので、試してみるのもおすすめです。

辛みは食べ続けると慣れるようですが、食べ過ぎると舌や胃を荒らすといわれています。

適量を守り、食欲を増進したり、体を温めてくれたりする効果を期待しながら、辛みと香り、旨みが合わさった七味唐辛子を楽しみましょう。

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